
全国津々浦々に美術館のある現代の日本人には想像できないかもしれないが、ブリヂストン美術館は戦後、本物の泰西名画や日本の近代洋画が見られる、大原美術館などと並んで数少ない貴重な場所だった。しかも、東京駅のすぐそばとあって、地方から上京してきても便利だった。
そのブリヂストン美術館が改修工事中とあって、ふだんならまず館外貸し出しにならないような、同館が所蔵する代表的な絵画がまとめて札幌に来た。セザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」など「日本にあるその作家の良品」が多く、したがって、日本で出版される画集や美術入門書に図版が載っている絵画も多い。
画家の名前だけを挙げてみても、コローやルノアール、ピカソ、キリコなどがそろい、「誰だっけ、これ」という人は皆無なのがすごい。
国内勢も小出楢重「帽子をかぶった自画像」や黒田清輝「針仕事」など、近代美術の教科書に出てきそうな作品がかなりある。
このような豪華なコンテンツであるから、へたな小細工をするよりも作品を並べるだけで良い―というのも、ひとつの見識であろう。
しかし、筆者としては、せっかくこれだけの名画が集まったのだからなおさら、近代美術史・絵画史に新たな視座を提供してもらいたかった。
道立近代美術館はこのあとも「東京富士美術館開館35周年秘蔵展 日本の美・百花繚乱」「京都国立近代美術館名品選 極と巧 京のかがやき」と、本州の名品を運んでくる展覧会が続く。
遠い地に住むわたしたちにとってありがたい機会であることは間違いないのだが、もうすこし、日本の美術史研究に何かしら寄与する展覧会になることを望みたい。
2018年4月21日(土)~6月24日(日)午前9時半~午後5時
道立近代美術館(札幌市中央区北1西17)と道立三岸好太郎美術館(札幌市中央区北2西15)
□公式サイト http://event.hokkaido-np.co.jp/bridgestone/
□公式ツイッター @bridgestonetenS
そのブリヂストン美術館が改修工事中とあって、ふだんならまず館外貸し出しにならないような、同館が所蔵する代表的な絵画がまとめて札幌に来た。セザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」など「日本にあるその作家の良品」が多く、したがって、日本で出版される画集や美術入門書に図版が載っている絵画も多い。
画家の名前だけを挙げてみても、コローやルノアール、ピカソ、キリコなどがそろい、「誰だっけ、これ」という人は皆無なのがすごい。
国内勢も小出楢重「帽子をかぶった自画像」や黒田清輝「針仕事」など、近代美術の教科書に出てきそうな作品がかなりある。
このような豪華なコンテンツであるから、へたな小細工をするよりも作品を並べるだけで良い―というのも、ひとつの見識であろう。
しかし、筆者としては、せっかくこれだけの名画が集まったのだからなおさら、近代美術史・絵画史に新たな視座を提供してもらいたかった。
道立近代美術館はこのあとも「東京富士美術館開館35周年秘蔵展 日本の美・百花繚乱」「京都国立近代美術館名品選 極と巧 京のかがやき」と、本州の名品を運んでくる展覧会が続く。
遠い地に住むわたしたちにとってありがたい機会であることは間違いないのだが、もうすこし、日本の美術史研究に何かしら寄与する展覧会になることを望みたい。
2018年4月21日(土)~6月24日(日)午前9時半~午後5時
道立近代美術館(札幌市中央区北1西17)と道立三岸好太郎美術館(札幌市中央区北2西15)
□公式サイト http://event.hokkaido-np.co.jp/bridgestone/
□公式ツイッター @bridgestonetenS
(この項続く)