老人雑記

生活の中で気づいた浮世の事

ずたずたの心で春を惜しみけり  

2016-04-16 09:49:38 | 俳句
    ☆   ずたずたの心で春を惜しみけり   長谷川櫂 


今日は熊本の、地震災害が余りにも甚大であったから、呑気にブログなどを書いていては、被災者の方に申し開きができないような気がしていた。

今 まさに荒れに荒れ狂っている、熊本の 益城町は 櫂先生の産土、宇城市にごく近い街である。
地震の規模は阪神淡路大震災と同じ。津波こそ無いが、熊本はいま、激甚の最中に。さぞ、ご心痛のことであろう。

揚句は、東日本大震災を詠んだ、櫂先生の句である。
「春惜しむは」過ぎゆく春を惜しむこと。詠嘆的なもの哀しい情が含まれている。
震災によって壊された東北の山や河、人々の心がずたずたに裂かれている。震災で失われた多くの命を惜しむ気持ちを込めた句とおもえる。

「震災句集」から

    ☆   みちのくの山河慟哭初桜

    ☆   桜貝などに心は慰まず

    ☆   人間に帰る家なし帰り花

震災を乗り越えて未来志向の句も    

    ☆   葦牙のごとくふたたび国興れ

    ☆   桜貝のこされしもの未来のみ

    ☆   悲しんでばかりもをれず薺打つ

故郷を思えば大変であろう。
句に詠んだように、未来に向かって周囲の方と歩を並べ、助け合って行ってもらいたいものである。
私と同じく誌友も、心配をしているであろう。
お見舞い申しあげます。
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