他報道によれば、ロシア国が不法占拠中の北方領土・択捉(えとろふ)島と露本土・ウラジオストクとを結ぶ直行航空便が運航を始める由。既存の旧樺太サハリン・ユジノサハリンスク(旧豊原)との便に加え、露本土との往来の便が更に強化されるという事になる。
表向きは、この所の 中国大陸他由来の新型コロナ感染症禍明けもあっての露国内観光客増に対応するものとの説明だが、一方で 不法占拠の北方領土の露固有領化へ向けた布石ではとの指摘もあるとか。我国外務・防衛の両省初め関係各位はこの動向への注視監視をゆめ怠らぬ様願いたいものだ。
本題です。その中露など日友好国側の不穏な動向にも防衛省と共に対応する、海上保安庁の無人航空機拠点が 現行の東北から九州北部に移転する見込みだとか。確かにこの所話題に上る 台湾危機リスクに絡んでの中国大陸の不穏な動向に対応の必要あるは分かるが、無人機自体は増備される由なので、何とか中露両国の動きに対応すべく 2拠点化できないかとも思う所。以下 昨日の読売新聞ネット記事を引用して、みて参る事に。
「海上保安庁の無人機、拠点を青森から北九州空港に移転へ・・2機増の 5機で沖縄・尖閣諸島の監視強化」
政府は 海上保安庁が運用する無人航空機「シーガーディアン」の拠点を、2024=令和 6年度末までに 現在の青森県から福岡県の北九州空港に移転する方針を固めた。運用機数も 2025=同 7年度中に 2機増の 5機とし、複数の海域を常時監視できる体制へと拡充。中国(大陸)船の領海侵入が相次ぐ沖縄県・尖閣諸島周辺などを念頭に 監視能力を強化する。
北九州空港は 瀬戸内海西端の人工島に立地し、24H の離発着が可能な海上空港で、敷地内に海保北九州航空基地(福岡県苅田町)がある。(この) 5月に広島で開かれた先進 7カ国首脳会議(G7 サミット)では、警備にあたったシーガーディアンの給油や整備を行う臨時拠点が同基地に置かれた。
中国(大陸) は 7月に尖閣沖の 日本の排他的経済水域(EEZ) 内に海洋調査ブイを設置するなど強引な海洋進出を続ける。政府関係者は「北九州は 尖閣諸島や朝鮮半島にも近く、高い海洋監視能力をさらに発揮できる配置となる」とする。年内に移転を公表する予定。
海保は昨年 10月、海上自衛隊・八戸航空基地(青森県八戸市) を拠点にシーガーディアン 1機の運用を始め、今年 5月に 3機体制に増強した。一方 防衛省・自衛隊との官庁間協力の取り決めで、同基地の建物や敷地は 2024=令和 6年度末に使用期限を迎えるため 運用拠点を移す必要があった。
政府は 複数の候補地から海保北九州航空基地を新たな配備先に選定した。海保は 来年度予算の概算要求で移転費用として 16億円弱を計上したが、移転先は「未定」としていた。また、2025=令和 7年度に追加配備する 2機は 購入を予定する。現在運用中の 3機はいずれもリース契約だが「1年間の運用を経て、長期継続して配備する価値が十分にあるとの判断に至った」(政府関係者)という。(引用ここまで)
無人機「シーガーディアン」は全長 11.7m、全幅 24m、24H以上の航続性能と夜間用赤外線カメラなどによる高い監視能力を備え、海難事故の捜索や不審船の警戒監視にあたる。米合衆国のジェネラル・アトミクス社製で、同国の沿岸警備隊にも配備実績を持つ。同機の名称は「海の守護神」の意。
確かに近い将来の台湾危機が指摘される折、中国大陸船艇の 尖閣諸島辺りにての我国領海侵入事案が多発している事実は認めるし、それと朝鮮半島関連の「海の不穏な事象」に備えての今回決定たる事は尊重する者だ。
その事に留意するにしても、やはり北方への警戒監視は疎かにできないのではないか。福岡県下、北九州空港への海保無人機拠点移転は我国の一機密事項だったろうし、その公表に慎重が期されたのは当然と心得る。
が それにしても、これまで北方にも目を光らせる事ができた青森県下から福岡県下への拠点移転は 対露監視が甘くなる様な印象を与えかねない。中国大陸程ではないといわれるにせよ、露側船舶による対日領海侵犯事案はゼロではなかろう。
露側の不穏な動きは、領海侵犯よりは領空侵犯の方が多い事も理解はするが、未だに同国が北方領土返還に応じないのは、将来の対北海道侵略の意図を捨てていない事が大きな一因とも聞く。つまり、同国の大義とされる「大ロシア主義」の内には「奪った領土が我が領土」なる 他国からすれば不穏極まりない意図が隠されているというのだ。事実、昭和末の 1988年の青函トンネル開通と、2016=平成 28年の北海道新幹線初開通に最も不快感を示したのは 旧ソ連邦を含むロシア国だったとの話もよく聞く所だ。
そうした懸念が常に付き纏う以上、防衛省の抑止努力と共に 海保の無人航空機配備も 2拠点化を目指すのが望ましい姿だろう。少なくとも当面 自衛隊基地を借用する必要あれば、又改めて交渉や調整をすれば良い事だ。同時に予算面の配慮も願いたい所。
岸田政権が表明の 向こう数年間での防衛力増強方針は大筋理解も、やはり海保との連携や それに伴う予算面の手当も改めて一考を願いたい。今回画像も振り返り恐縮。新潟・山形両県境辺りに続く日本海の名称「笹川流れ」付近の様子を。通る線路は JR羽越本線。