味覚は歳とともに変化する。
おふくろの味と呼ばれているものがある。
世に、というほど大げさなものではないが、日本中どこへ行っても「おふくろの味」で通る。
おふくろの味とは、その人が幼少期に家でよく食べていたものであり、母親を想起させるものである。
であるから、世代によって各家庭によって、おふくろの味は全く違ってくる。
今、二十代から四十代の人なら、それはハンバーグであったり、グラタンであったり、カレーであったりするが、昭和の時代に育った人たちは全く違ってくる。
おからの煮たの、ひじきの煮たの、大根の煮たのということになる。
もちろんこのほかにも、きんぴらごぼう、オムレツ、肉じゃがなどあるが、今回は話の都合上このまま話を進めさせていただきます。
子供が生まれると、お父さんの食事は一変して、お子様風になる。
お母さんだって料理を子供用とお父さん用と二種類つくるのは大変だから、ついついお父さんは我慢させられる。
仕事から疲れて帰ってきたというのに、真っ赤っかのケチャップ味のスパゲティを食べさせられるのは気の毒だ。
確かに子供のころは、特別煮物やイワシの丸干しが美味しいとは思わず、それよりも玉子焼きや洋食に心を奪われる時期もあった。
初めてピザを食べたときは「こんなおいしいものがあったのか」とうっとりした。
しかしそれも十代、二十代をピークにだんだん和食のほうに嗜好が移っていった。
若いころは肉類を食べ、歳をとるにつれて魚、野菜とサッパリしたものを好むのは自然ではないか。
しかし世の中、やたらケチャップやマヨネーズを使った味のものが多く、ハンバーグとかスパゲティを好む中高年もいる。
自分がもっと歳をとったら毎食、御飯、みそ汁、焼き魚、煮物を食べてる姿を想像するが、きっとケチャップ味の魔力にとりつかれた人たちは、歳をとっても真っ赤かのスパゲティをフォークで食べるだろう。
将来老人ホームに入居して、食堂の隣のテーブルにいる老人が、そんなものを食べてたら、やっぱり嫌だろうなと思うのである。
だが和食ばかりでは飽きる。
たまには中華もいいんじゃないかい。
ということで雲南市三刀屋のドンシューの麻婆豆腐
料理の鉄人、陳健一の流れを汲む四川料理のお店。
点心もいいね
結局和食にこだわらず、何でも美味しくいただけるうちが花ですね。