はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

新型インフルエンザのこと

2009年05月10日 | はなこのMEMO
人の行動範囲が国境を越えて広範囲に渡れば、人の移動と共に病原体も拡散し、伝染性の病気が世界的に流行するのはやむを得ないことなんだろうなあ。しかも現在は飛行機でひとっ飛びの時代だ。以前、米国で問題になった「ナイル熱」も、ウィルスを媒介する蚊が人間と共に航空機でNYに上陸したと言われている。

今回、メキシコを発生地とする新型(豚)インフルエンザは、人の移動が盛んな春期に爆発的流行を見せた為に、世界的混乱を招いている。日本国内初の感染者は大阪の高校生と教師の3人となったが、春休み明け以降GW前の時期は旅行コストが比較的低く、海外研修旅行を積極的に勧めている学校の多くが、この時期に短期留学や研修旅行を実施しているのが仇となった形だ。

この時期に米国大陸へ渡航した多くの学校は、果たしてタイミング的に、事前に研修旅行を取りやめ、もしくは延期することが可能だったのだろうか?今回、研修旅行の参加者が不運にもインフルエンザウィルスに感染してしまったのだが、今後そのことをあからさまに非難するような論調には傾いて欲しくないなあ。さきほどのテレビ放送では、大阪府から感染者が出たことを受けて会見を行った橋下知事の映像と共に、テロップで「怒り」の文字が躍っていてドキッとした。知事は至って冷静に感染の事実を受け止め、適切に対処すると語っていた。いったい誰が怒ってるの?マスコミは徒に不安や怒りを煽らないで欲しいな。

数年前に省庁再編で厚生省と労働省が統合して厚生労働省が出来たわけだが、この省はただでさえ「年金問題」「医療(医療費の増大や医師不足や救急医療体制等の)問題」「雇用問題」を抱えて大変なのに、それに追い打ちを掛けるように、今回の「新型インフルエンザ問題」だ。この仕事量は他省に比べて尋常じゃない。果たして統合は正しかったのか?

国民のひとりとしては、省のトップである大臣が「新型インフルエンザ問題」でテレビに登場する度に、「年金問題はどうなっているの?」「雇用問題はどうするの?」「医療問題の解決に向けて何ら進展はあるの?」と気になって仕方がない。私の周囲の人間も概ね同様の疑問を抱いている。大臣の仕事って何なんだろう?

WHOも前面に出て、その感染爆発を危惧している「新型インフルエンザ」だが、震源地のメキシコを除いて、感染者が確認されている国々での死者は幸いにして一桁台だ。当のメキシコも流行の峠を越えて、市民生活も落ち着きを取り戻しつつある。今回のメキシコにおける新型インフルエンザによる死亡の多くは、健康保険制度が整っていない国で医療費が支払えない為、感染者が初期段階に医療機関で適切な治療を受けずに重症化したのが主な原因とされている。日本のような先進国では、それほど恐れることでもないのではないか?寧ろ素人目には、感染を恐れるあまり国民を無菌状態の中に置くことの方が怖い気がするのだが、どうなんだろう?

もちろん爆発的に流行したら、国民生活は大きな影響を受け、経済活動も停滞することになるが…まさか日本民族が滅びたりはしないよね?とは言えウィルスも生き物。まさに今回は生き残りをかけたウィルスと人類の一大決戦だ。かつて多くの死者を出した「スペイン風邪」も中国で発生した直後は弱毒性であったのが、感染拡大の過程で進化し、強毒化したと聞いている。政府やマスコミが騒ぎ過ぎるのはどうかと思うが、油断は禁物と言うことなんだろう。

個人的には、それ以上に心配なのが戦争特需を目論んだ世界大戦の勃発なんだけどね。今回のインフルエンザ騒動が深刻な経済不況にさらなる打撃を与えたら、国家経済の立て直しを図る為に(←そのことを口実に?)、軍需に期待する国が出ないとも限らない。或いは、映画『ナイロビの蜂(原題:THE CONSTANT GARDENER)』や『ザ・バンク~墜ちた巨像(原題:THE INTERNATIONAL)』で描かれたような「人の命を踏み台にして巨利を生み出す巧妙なシステム」が、「国家」という枠組みを超えたところで出来上がっているのが事実なら、無力な人々(おそらく人類の大多数)が常にその餌食になるのは、避けられないことなのかもしれない(今回の騒動にほくそえんでいる者が少なからずいる、と言ったら下種の勘繰り?)。
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