はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

私のこの1枚~『北斎展』

2005年12月02日 | 文化・芸術(展覧会&講演会)
上野・東京国立博物館・平成館で12月4日(日)まで
開催予定の「北斎展」。平日休日に関係なく連日の大盛況。
私も2度見ました。会期前半と後半に1回ずつ。


日本と、海外に流出した北斎の作品が一堂に会し、
まるで作品の一大同窓会のようです。
米、仏、蘭、独、伊等の高名な美術館から、
久々に里帰りの傑作たち。
どうして日本人は手放してしまったんだろう?
日本になかったから生き延びた、とも言えるのかもしれない。
自分が存命中にこれだけのものを見るのは、
これが最初で最後かもしれない。

葛飾北斎は当時としてはかなり長寿で、
89歳で亡くなるまで精力的に創作活動を行った。
さまざまな技法、様式、テーマ、媒体に挑み、
質量共にずば抜けた作品を遺しています。
筆名も何度か変えている。まるで出世魚のような人。

1999年には米「ライフ」誌が行ったアンケート
「この1000年で最も偉大な業績を残した世界の100人」に、
ただ一人日本から選ばれている。その多芸多才ぶりは、
ピカソに並び称される芸術家とも言えるでしょう。

その彼の画業の全貌を「春朗期」「宗理期」「葛飾北斎期」
「戴斗(たいと)期」「為一(いいつ)期」
「画狂老人卍(がきょうろうじんまんじ期」の6期に分け、
かつてないスケールで見せてくれるこの展覧会。

私は見終わった後、さすがに目は疲れたものの、
心はすこぶる元気になれました。
それはあっぱれとしか言いようのない北斎の生き様が、
一画家として精一杯生きた幸福感が、
作品のひとつひとつからビンビンと伝わって来たから。

数ある作品の中で、思わず見とれてしまったのが『夜鷹図』。
北斎36歳、宗理期の作。貴重な肉筆画です。
夜鷹と言えば、ムシロ一枚を腕に抱え、みすぼらしい身なりで
夜、路傍に立って客を引く下級娼婦です。
しかしこの絵の夜鷹は、柳の木の下に佇む
その後ろ姿が実に艶やかで美しい。
「計算されつくした構図と無駄のない完成された筆致」で、
専門家の評価も高いようです。

実は私は女性の後ろ姿フェチで、小さな紙と鉛筆さえあれば、
ドレス姿が艶めかしい女性のイラストを描いてしまいます。
おこがましいと思いつつも、北斎の『夜鷹図』と
私の『後姿美人図』を並べてみました。
女性の後ろ姿って無防備で、正面像以上に色っぽく、
”おんな”を感じさせると思いませんか?

時折街中で後ろ姿の美しい女性を見かけると、
ついつい顔を覗き見たくなります。
さりげなく追い越して見てみると、
想像以上に年配の方だったりする。
北斎も、思わず顔を覗き見たくなるような
色香漂う女性の後ろ姿を、彼一流の筆致で
描きたかったのではないか?と想像します。


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