はなこのアンテナ@無知の知

たびたび映画、ときどき美術館、たまに旅行の私的記録

(44)ボーン・アルティメイタム(最後通告)

2007年11月12日 | 映画(2007-08年公開)
 疾走感がたまりません!

 マット・デイモンは、彼の飛躍のきっかけとなった『グッドウィル・ハンティング』 (本作で米アカデミー賞脚本賞を受賞、主演男優賞でもノミネート)以来、注目している俳優だ。改めて調べてみたらスクリーン・デビューは17歳で、なんと若き日のジュリア・ロバーツ(まだ垢抜けないオネーチャンでした)が主演の『ミスティック・ピザ』らしい。全然気付かなかった!

 おそらく、記憶を亡くしたCIAの殺し屋「ジェイソン・ボーン」シリーズは、彼を一気にスターダムにのし上げた、彼の代表作のひとつになると思うが、掉尾を飾る本作でも彼は怒濤のアクションを披露してくれている。ドキュメンタリー畑出身のポール・グリーングラス監督も気合い十ニ分で(笑)、そのカメラワークは度肝を抜く斬新さ。

 通常アクション映画は1000カットと言われる中で、本作は4倍の4000カットを用いて、舞台もロシア→イタリア→フランス→イギリス→スペイン→モロッコ→アメリカと世界を駆け巡るなど、とにかく目まぐるしい。ロンドン、ウォータールー駅で披露する相変わらずの素早い情報処理&判断能力、モロッコでの目にも止まらぬ動きの格闘シーン、大都会ニューヨークでの無茶苦茶なカーチェイス。「普通の人間ならとっくに死んでいるぞ」という過酷な状況に何度も遭う中で、超人的なサバイバル能力を見せる。まさにボーン三部作の集大成と言った感じだ。と言うより、渡辺祥子さんも言われるように、スパイ映画の金字塔ですね。

 前2作をテレビ放映で一応”復習”したけど、『アルティメイタム』を見るに当たっての前準備にはなっても、作品としての迫力は今ひとつだった。本シリーズはやはり映画館で見なくては、その素晴らしさが堪能できないということなんだろう。映画ファンには、是非映画館で見て欲しい。東宝シネマズ辺りで、”三部作イッキ見”をやってくれないかなあ~。今は無理でもいつか。かなり体力消耗しそうだけど(笑)。

 さらに本作は、既に誰かが指摘しているように「監視社会」の恐怖も描いている。例えば『世界を見る目が変わる50の事実』という本によれば、イギリスでは300万台近い有線テレビカメラが街を監視しているという。この設置台数は全世界の10%に当たり、ロンドン市民は1日に300回以上、この監視カメラで撮影されていることになる。本作の舞台のひとつとなったウォータールー駅には何と250台ものカメラが設置されているらしい。その尋常でない監視カメラの数から、ここが物語の舞台に選ばれた理由が分かるというもの。さらに本作ではエシュロンと呼ばれる世界規模の盗聴システムの使用の実態も描かれている。例えば電話で発した何気ない一言が瞬時に世界のどこかで解析されているのですよ。本作で描かれているのは、けっしてフィクションの世界の話ではなく、現実の世界で起きていることなのだと考えたら、ホント笑えない。

★後日、加筆の可能性あり。

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