はなこのアンテナ@無知の知

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労働組合…

2007年11月06日 | 気になったニュース
 米国で、映画やテレビ番組の脚本を手掛ける脚本家らの労働組合が、ストに突入したらしい。ネット配信やDVD販売による収益の、脚本家への配分が少な過ぎることが原因のようだ。どんな対立関係であれ、どちらが正しくどちらが誤りかという以前に、微妙なパワーバランスのもとに紛争は回避されているのだろう。そのバランス(必ずしもイーブンとは限らない)がどちらかによって破られた時、「対峙」は「対決」へと転換するように見える。19年前のストは5カ月も続き、業界に総額5億ドルの損失をもたらしたとされるが、労使のパワーバランスの目に余る不均衡は、結局労使双方の首を自ら絞めることになるわけだね。
 
米脚本家組合がスト突入、TV番組に早くも影響(ヨミウリオンライン)

 労使の利益分配を巡る対立は永遠に続くものなんだろうなあ。利益の大半を手にする者とほんの一部しか手にできない者。搾取する側と搾取される側。この関係は不変だ。

 最近、弟を通じてICLS(International Center for Labor Solidarity、国際労働者交流センター)と言う、アジア圏の労働組合の国際交流団体の存在を知った。労働組合は何らかの政党と繋がりがあるものだけど、その点については詳しくは知らない(知りたくもない)。

 弟は職域の代表として、タイのバンコクで開催された年次総会に出席したそうだ。総会では現地の労組による日系企業の傍若無人な行為も明らかにされたらしい。常軌を逸した長時間労働、駐在員による現地従業員へのセクハラ行為等、劣悪な就業環境の改善を訴えるべく現地労働者は労働組合を結成し、現地子会社では埒が明かないので日本の親会社へ代表を派遣したところ、全員有無を言わさず解雇されたそうだ。こんなことは日本のマスコミでは報道されない。

 熾烈なコスト競争に打ち勝つべく、数多くの日本の企業が生産拠点を海外に移転しているが、日本から遠く離れているのを良いことに、現地の従業員に対しては、かつての「女工哀史」さながらの人権を無視した仕打ちを平気でしている。海外の安い人件費によってコストパフォーマンスが飛躍的に向上し、そのおかげで企業の好業績はもちろん、日本の親会社で働く日本人従業員の世界的に高い賃金体系が支えられているのかと思うと、日本人として罪悪感、後ろめたい気持ちは否定できない。

 同時に労働組合だって誰の目にも清廉潔白で、諸手を挙げて正しいとは言い切れないだろう。どんな組織も時間が経てば初期の高い志は廃れ、腐敗する恐れを孕んでいる。労働組合も当初は組合員の地位向上を目指したはずが、いつの間にか権力闘争の具になったり、組織の体面が何よりも優先されるように変質することがあるのではないか?弟がどの程度労働組合に関わっているのかは不明だけど、そのまっすぐな志が折れることなく、仲間の為に正しいことが選択できる人で在り続けることを願っている。 
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