各選手の結果は順当だったかな、という印象。
浅田選手にとっては、早々とシニアで優勝してしまったら、
3年後のバンクーバー・オリンピックまでモチベーションを
維持するのは大変だったと思う。それはキム選手にとっても同じ。
昨年16歳で世界女王となった米のキミー・マイズナー選手が
輝きを失ってしまったのを見ても感じたこと。
彼女はまだ17歳なのに、すでに老成した印象がある。
安藤選手はトリノでの惨敗(15位)からの見事な復活劇。
一度どん底を見た選手は強い。彼女は精神的に成長したなあ。
専門家の指摘の通り、10代半ばの選手の技術力が注目される中、
安藤選手の大人びた容姿と艶やかな表現力は光っていた。
素晴らしいコーチ(ニコライ・モロゾフ氏)との出会いは、
彼女にとって大きかったようだ。かつてヤグディン選手の
振り付けも担当した気鋭の振り付け師なのだとか。
彼は荒川静香に続き、またもや世界チャンピオンを生んだ。
優勝請負人として、世界で彼の争奪戦が始まるかもしれない。
表現力という意味では、3位に甘んじたキム・ヨナ選手の
指先まで神経の行き届いた演技にも驚いた。
手首も柔らかいのだろうなあ。しなやかな動きが印象的だった。
彼女の場合、心配なのは先日も書いたように、過剰な練習だ。
練習風景を以前テレビで見たことがあるけど、
星飛雄馬の大リーグボール養成ギブス(古っ)ばりの器具を使って、
繰り返し繰り返しジャンプの練習をしていた。
昔ながらの”熱血トレーニング”という印象。
あの細身で国民の期待を一身に背負うのはさぞかし大変だろう。
彼女も素晴らしい選手だから、周囲の期待が潰さないで欲しい。
3人の輝きに隠れがちだけど、5位の中野選手も素晴らしかった。
自分の持ち味を十分に発揮しつつ、
苦手なジャンプへの挑戦も忘れていなかった。偉いなあ。
ピークをどこに持って行くかと言ったら、
選手にとってはやはり毎年ある世界選手権より、
4年に一度のオリンピックだろう。
それぞれの選手が順調にキャリアを重ね、
3年後のバンクーバーでも持ち味を発揮して輝いて欲しい。
ところで詳細は知らないけど、このところのアジア勢の台頭は、
新採点方式が後押ししていると聞く。
旧6点満点方式はジャッジの主観が反映し、
伝統のある欧米が優位と言われていたらしい。
しかし今回の結果を受けて旧勢力が危機感を覚え、
採点方式の改正に動き出すのではないかという心配もある。
旧勢力には「我らが競技」という自負があるだろうから。
かつて萩原兄弟が活躍したノルディック複合が
そうであったように。
それにしてもスケート王国ロシアの凋落ぶりが目立つ。
そして、フジテレビ・男性アナの実況中継はいかにも軽過ぎた。
時には、年長の選手に対して失礼なのではという失言もあった。
■過去の記事「今日は安藤美姫にウルウル」