“渋谷の父 ”ハリー田西の占い研究所

自身のことを含め世の中の森羅万象を占い師・運命学研究家の立場からつづります。

「赤色エレジー」とあがた森魚の“忍”

2009年01月14日 18時52分07秒 | Weblog
あがた森魚って知っていますか?

あがた森魚は、1972年に名曲「赤色エレジー」を大ヒットさせた
シンガー・ソングライターです。

彼がこの曲をひっさげて登場した時は、その一種異様な風体といい、
この曲の持つどこか大正ロマニズムを感じさせるような
虚無的、退嬰的な曲調といい、
日本のミュージックシーンに独特の空間を現出させ、
僕はたちまちこの不思議なあがたワールドの虜になりました。

すんごい!こんな時代の中でこんな曲を作ってしまうなんて!
当時大学生だった僕は、この“時空を超えて現われた宇宙人”のような
あがた森魚という人物に非常に興味を持ったものです。

ところが、ほどなくしてこの「赤色エレジー」に盗作の疑いがかけられたのです。
「赤色エレジー」が八洲秀章さんの「あざみの歌」のメロディーにそっくりだというのです。
八洲秀章さんといえば、「さくら貝の歌」や「あざみの歌」など、
いわゆる抒情歌の作曲で知られる戦後のベテラン作曲家です。

ためしに両方の曲を聞き比べてみると、
たしかに出だしの八小節は「あざみの歌」に似ていないこともありません。
ただし、「赤色エレジー」のほうがかなりマイナーで悲しげに聞こえますが・・・。

といっても、似ているのは本当にこの出だしの部分だけで、
あとはもう全く別の曲といえます。
それでも僕は、「こりゃ出だしのとこだけパクったのか」と思いました。
同時に、この程度のパクリなら他にも山というくらいあるぞ、
たぶんこの騒ぎもあがた森魚本人が「盗作なんかしてません」とシラを切り、
そのまま曖昧なうちに収束すると思っていました。

ところが、当初あがた森魚作詞作曲と表記されていた「赤色エレジー」が、
いつのまにか作詞・あがた森魚、作曲・八洲秀章と表記されるようになったのです。

ということは、あがた森魚は暗にあっさりと盗作を認めてしまったということになります。
僕はすっかり拍子抜けをしました。
なぁ~んだ、腰砕け~と。

それから、35年あまりの月日がたちました。

その間、僕は30年以上もマスコミの世界で暮らしてきながら、
なぜか一度もあがた森魚というアーティストとすれ違うことはありませんでした。

ところが、邂逅(であ)いは突然やって来たのです。
昨日ある番組であがた森魚氏と一緒になったのです。

そして、かなり打ち解けたところで、
あがた森魚氏に(失礼を承知で)おそるおそる35年前の盗作騒動について
尋ねてみたのです。
「僕は『赤色エレジー』は誰がどう思おうと、
あがたさんのオリジナルだと思っていますが、
例の盗作云々の件について、ご本人はどう思っているですか?」と。
すごい失礼な奴ですよね。
でも、35年も聞きたかったことなんですもん。
昨日を逃したらもう今後二度と聞けないかもしれないじゃないですか!

さいわい初対面のあがた氏は、とっても飾らない気さくな方でした。
そして、言葉を選びながらも、きっぱりと、
「ええ、あれはたしかに私が作った曲です」と断言してくれました。
やっぱり本人は盗作したなんて意識はなかったし、
あれはまさしく偶然の産物だったのです。

ただ、盗作騒ぎが起きた時、事が大きくなるのを懸念したレコード会社が、
八洲さんを気遣い、「赤色エレジー」は八洲秀章作曲とするという形で、
あがた氏を承服させ、手打ちにしてしまったのが真相のようです。

「あの頃はレコード会社のほうが強かったですからね・・・」
新人歌手・あがた森魚氏は、黙ってそれに従うしかなかったといいます。

当然、作曲印税も八洲さんのもとへ・・・う~ん、そうなのか・・・

一方の八洲秀章さんはこの件についてどう思っていたのか?
すでに八洲さんも物故されているのでわかりかねますが、
少なくとも、いろいろな意味で、35年間、“忍”の一文字で耐えてきたのは
間違いなくあがた森魚氏のほうです。

この件に関して、たとえ不満があっても35年以上じっと沈黙を守り、
淡々と、粛々と独自の活動を続けてきたあがた森魚氏は、実にエライ人です。
敬服です。

そのあがた氏は昨年還暦を迎え、いま全国を回ってのライブを展開中です。

それとともに、「赤色エレジー」は、
発売から35年以上たっても決してセピア色になるどころか、
相変わらずの妖しい色彩を放ちながら、歌謡史に輝いています。

好きだなぁ、この人・・・。


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