こころの文庫(つねじいさんのエッ!日記)

家族を愛してやまぬ平凡な「おじいちゃん」が味わう日々の幸せライフを綴ってみました。

娘が

2016年05月16日 23時47分14秒 | 文芸
「オーディションを受けるから」

 明石の交響楽団で演奏したくて

チャレンジするという。

「え?」と意表を突かれた娘の宣言。

以来、

バイオリンの音色が

毎晩響いている。

オーディションに向けた練習である。

 高校音楽科で

バイオリン専攻の娘は、

卒業を機に弾かなくなった。

大学で始めたサークル活動は

テニスという畑違い。

幼稚園のころから打ち込んだバイオリンに

燃え尽きた娘の新たな選択だと、

応援するのは親の役目だ。

 それが一年間の大学生活を経て、

彼女は自らバイオリンを

再び手に取る気になった。

若いころ教わった、

「やりたいことをやるよりも、

やれることをやれ」の言葉。

娘はやりたいものに費やした結果、

自分がやれるものの大きさに気づいた。

夢を追う楽しさより、

しんどくても価値あるものが

手元にあると。

娘の成長を喜ぶとともに、

精いっぱいの応援をしてやる。

それが親離れにつながろうとも、

悔いはない。

親の本懐ここにありだ。




きのう、うれしい連絡が入りました。

地元加西市の全国公募『愛の詩』コンクールに応募していた作品が、『根日女賞』に選ばれたという朗報でした。公募の入選も、自分のふるさとの公募だと、また格別に嬉しいものですね。これを励みに、これからもパワーアップして頑張るっきゃありません。やるぞー!
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そっと

2016年05月16日 00時34分11秒 | 文芸
失恋し、

人生真っ暗闇だった

青春時代のひととき。

会社も無断欠勤、

アパートの自室で、

布団を頭からかぶり

一日を送った。

ドアを叩かれようと

開く気もせず

立てこもった。

 そんな時、

郵便受けにコトンと

落ちたものが。

気になって覗くと、

切手の貼ってない封書が

一通あった。

封はされていない。

中身を取り出すと、

便せんが五枚。

墨で書かれた筆字。

思い当たるものがあった。

父だ。

 びっしり

文字が詰まった手紙と

思いきや、

あっさりしたものだった。

仕事場から連絡を受けたこと。

心配していること。

そして、

最後の一枚は、

父らしい正直な表現だった。

「いっぺん帰って来い。

風呂沸かしとくさかいにな。

ちょっと

ゆっくりしたらええがい」

 誰からだとは

書かれていなくても、

父の顔が思い浮かんだ。

馬鹿正直でお人好し、

それが父だ。

きっと毎晩風呂を用意している。

 夜遅く、

こそっと家に帰った。

ポケットに

父がしたためた手紙を

突っ込んでいた
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