「ああー!なにしてんのよ」
妻の素っ頓狂な声に、
私の手はハタと止まった。
庭の草刈り中だった。
「……ススキ、ススキを刈ってしまってる」
妻が指し示す先にあるのは、
ススキの株。
昨年、
妻がホームセンターから買い求めてきたのを
丁寧に植え、
水やりも欠かさなかった。
「子供たちもいなくなって
静かになったんだから、
日本の情趣を楽しまなくっちゃ」
そういう妻が最初に思いついたのは、
お月見だった。
庭先から空を眺めるのに
ぴったりの場所がある。
視界に建物など邪魔者がないので、
星空なんか絶景だ。
それでお月見の発想が。
当然ススキがなくては
絵にならない。
妻が大切に育てたススキの葉を
きれいさっぱり刈り取ってしまったわたし。
うっかりミスでは済まされそうにない
妻の権幕だ。
「ああ、
虎刈りのススキでお月見?
なんで?」
妻の毒がある皮肉を
十五夜を過ぎるまで聞かされる。
ミスの重みをヒシヒシと感じる。
妻の素っ頓狂な声に、
私の手はハタと止まった。
庭の草刈り中だった。
「……ススキ、ススキを刈ってしまってる」
妻が指し示す先にあるのは、
ススキの株。
昨年、
妻がホームセンターから買い求めてきたのを
丁寧に植え、
水やりも欠かさなかった。
「子供たちもいなくなって
静かになったんだから、
日本の情趣を楽しまなくっちゃ」
そういう妻が最初に思いついたのは、
お月見だった。
庭先から空を眺めるのに
ぴったりの場所がある。
視界に建物など邪魔者がないので、
星空なんか絶景だ。
それでお月見の発想が。
当然ススキがなくては
絵にならない。
妻が大切に育てたススキの葉を
きれいさっぱり刈り取ってしまったわたし。
うっかりミスでは済まされそうにない
妻の権幕だ。
「ああ、
虎刈りのススキでお月見?
なんで?」
妻の毒がある皮肉を
十五夜を過ぎるまで聞かされる。
ミスの重みをヒシヒシと感じる。