難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

障害者自立支援法見直しに関する社会保障審議会障害者部会の報告

2009年02月15日 23時34分29秒 | 福祉サービス
昨年(2008年)12月15日の障害者自立支援法見直しに関する社会保障審議会障害者部会の報告の詳細がWAMNETに掲載されている。
http://www.wam.go.jp/
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/vAdmPBigcategory10/8DA6CDF76F797F7D49257522000C1635?OpenDocument
http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/vAdmPBigcategory10/B9C8E55AA90DC3EE49257522000ED6EA?OpenDocument

私たちにとって、障害者の権利条約の批准との関係で言えば、一つは応益負担を止めることだ。
もう一つは支援対象となる聴覚障害者の範囲を大幅に拡大することが求められる。サービスにもよるが少なくともWHOの41dB以上に聴力損失を一つの基準とすべきだ。

さらに、難聴者に必要な支援サービスと支援にあたる者を養成する必要がある。
例)聴能訓練の保障、補聴援助システムの給付。コミュニケーション等訓練事業。

現場の実態を把握し、施策を見直すというならば、担当行政に関わらず、難聴者の利用する要約筆記者の派遣対象、範囲を大幅に拡充しなければならない。一例を挙げれば、特に就労の場に要約筆記者派遣が雇用者に義務付けられるべきだろう。


ラビット 記
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●障害者自立支援法見直しに対する障害者部会の
基本姿勢

○ 本報告に基づき、施行後3年の見直しに係る関係法律・制度の改正や、平成21年4月の障害福祉サービスの費用の額(報酬)の改定等に向けて、厚生労働省において具体的な制度改正について検討し、実現を図るべきである。
また、本報告の中には、今回の部会での議論の中では、一定の結論を得るまでに至らず、今後、引き続き検討していかなければならない事項もある。こうした残された課
題については、厚生労働省等において、鋭意検討を継続していくべきである。

○ また、現在、政府において「障害者の権利に関する条約」の批准に向けた検討が行われており、今回の見直しに当たっても配慮するとともに、今後批准に向けて同条
約との整合性が図られるよう更に検討することが必要である。

○ さらに、今後も絶えず現場の実態の把握に努めるとともに、今回の見直しの一定期間後(例えば今回と同様に施行後3年を目途)に、今回同様、実施状況や取り巻く
環境の変化を踏まえ、改めて制度全般について見直しを加え、必要な措置を講じることにより、障害者の自立支援に向けたより良い制度へと改善していく取組を続けてい
くべきである。






東京都の要約筆記者派遣事業を残せ!

2009年02月15日 22時46分01秒 | 要約筆記事業
090212-182434雛人形.jpg我々は、広域派遣の捉え方が行政に引きづられていないか。

東京都は、国の意向や障害者自立支援法の趣旨だとして、あくまでも唯一都の事業として残っていた集団の場への要約筆記者派遣事業の区市事業への移行を強行する構えだ。

個人が居住地以外で要約筆記派遣を利用する広域派遣と違う、同一の場所に複数の居住地にまたがる難聴者等が派遣を依頼した場合、全体投影(OHPやOHC、液晶プロジェクターによる要約筆記)の広域派遣はどのように考えるべきか。

障害者自立支援法以前は、都道府県で要約筆記奉仕員派遣事業が実施され、多くの都県で団体派遣が行われていた。これは、1970年代みみより会や当時各地で結成された難聴者協会の会合の情報保障としてOHPを使った要約筆記が行われていたからだ。つまり手話によるコミュニケーションが使えない重度の難聴者の集団討議を可能としたのがOHPによる要約筆記だ。

元々集団の場のコミュニケーションをするために生まれたのだ。

ここに、コミュニケーション支援の本質がある。つまり、さまざまな聴力、コミュニケーション方法を持つ難聴者、健聴者も含めた人々の間のコミュニケーションを成立させているのだ。それは、要約筆記はその場にいる人々全体のコミュニケーションを支援しているということだ。「場」へのコミュニケーション支援である。

聞こえない人一人と聞こえる人一人の間であっても、そこには「場」が存在する。その「場」を要約筆記、手話通訳が「意志の仲介」をするのだ。

聴覚障害者のみがコミュニケーション支援サービスを利用していると考えるのは大きな間違いであることに気づく必要がある。

それを「場」に参加した聴覚障害者一人一人を調べて、居住自治体に按分して負担させるなんて、まったく愚の骨頂だ。それなら聞こえる人にも負担させるべきだし、都庁前の広場を通る人に利用料を徴収すべきだ。

広域派遣とは、行政の都合だ。コミュニケーションは行政区分では区切れない。

東京都は目を覚ませ!!


ラビット 記





難聴者の社会福祉学習 社会福祉援助技術ノート(4)

2009年02月15日 17時42分29秒 | 要約筆記事業
090110-110331.jpg要約筆記者が社会福祉サービスの担い手としてコミュニケーション支援にあたるというのは、障害者自立支援法の地域生活支援事業のコミュニケーション支援事業が提供されるということだ。

その要約筆記者によるコミュニケーション支援は、社会福祉援助技術としての個人援助、集団援助、地域援助があるが、どれにあたるのだろうか。

聞こえない難聴者が要約筆記を利用してコミュニケーションするのだから、「個人援助」だろうか?難聴者協会の例会などの場合は「集団援助」なのだろうか?地域において要約筆記者派遣サービスが利用されるということは「地域援助」なのだろうか?

東京都は要約筆記者派遣サービスが地域生活支援事業で区市の必須事業になったとして、団体、集団への派遣も個人に対する支援であるとして、派遣費用を集会に参加した聴覚障害者の居住区市に按分することを考え、区市に対して説明を始めている。

しかし、説明を受けた区市から、公平な費用負担が出来るのか、急な変更は無理と疑問を出されている、事業の実施を依頼された手話通訳等派遣センターも費用按分の事務は実務上無理としているが東京都は来年度の予算は計上せずに何が何でも強行する構えだ。

派遣を依頼した聴覚障害者の名簿を要約筆記者に現場まで持参させ、集会の主催者に参加者をチェックさせて、また要約筆記者に報告させるという無茶苦茶なことを考えている。

申し込んだ聴覚障害者のリストを要約筆記者に持たせたり、主催者に、参加者に障害の有無や居住地をチェックさせるなんて、ファッショも良いところだ。障害を理由にした差別そのものであり、憲法の保障する集会参加の自由すら損ないかねない問題だ。

これが大東京の貧困な聴覚障害者の福祉の実態だ。


ラビット 記