老い生いの詩

老いを生きて往く。老いの行く先は哀しみであり、それは生きる物の運命である。蜉蝣の如く静に死を受け容れて行く。

126;老人が死の間際に生きていてよかった と思える介護

2017-05-23 15:26:12 | 介護の深淵
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介護は、人生の縮図でもある
出会いと死別
死別の体験は、自分自身の感性を、大きく揺り動かす。
その体験が、自分自身の成長の節目としてあるように思える。
老人の死に直面して泣けることは素晴らしいことである。
その涙は、更なる勇気を沸き立たせてくれる。

しかし、死別で涙を流すことより、老人が生きている間に
いっしょになって、どれだけ感激の涙、嬉し涙、感動の涙を流せるか。

老人の手を握り
老人のひとつ一つの言葉に頷きながら
老いていくことや
生きていくことの
意味を考えていきたい。

「いまなにを考えているのか」
「死にたいと思っているのか」
「生きる望みをもっているのか」
「何を悩んでいるのか」
「何を欲しているのか」
「何に戸惑っているのか」

老人の思いに対して
何ができるのか。

「忙しい、時間がない」のは
私たち介護員ではなく、老人である。

「時間」と「幸福」は
誰かが与えてくれるものではなく
自ら作っていく以外にない。

老人が死の間際に
生きていてよかった
と思えるような介護でありたいと思う。

125;食べることの意味(8)「食べたくても食べられない」其の参

2017-05-23 12:35:12 | 老いの光影
空き地で見つけた綿毛たんぽぽ

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畑は雨が欲しいです

痛みを代わることができなくてごめんね

家に帰ると、再び痛みが襲い
本人はうずくまり
炬燵のところに座ったり
横になって寝ていたりの生活が続いていた。

今日も食事を摂っておらず
顔はやつれ小さくなってきたような感じで
妻からは「夜寝ない日が続くので心配・・・・」。 

2月の或る日、
彼は、めずらしく妻に
「うどんが5,6本入ったうどんが食べたい」
「なかには具を入れて欲しい」
と要望をだされ、うどんを食べた。

妻は、嘉一郎さんの大好物を故郷長野から佐久鯉のあらいを取り寄せ
彼鯉のあらいであった。

亡くなる二日前から
嘉一郎さんは、「此処(ここ)は自分の家ではない
此処では死にたくない
(生まれた信州なのか、生活を営んでいた横浜なのか、どちらの地かわからなかったが帰りたがっていた)」と言って
妻に付き添われながら玄関まで行き
外へ出ようとしたものの玄関先で座り込んでしまった。
妻は一人であり、
どうしてよいかわからず、
不安もあり、一緒に居て欲しいと
電話がかかってくる。
その日から智恵子さんと一緒に
看取りをさせて頂くことになった。
退院してからずっと妻はベッドで寝ることもできずにいた。
片時も夫の傍に付添い、寄り添い、
夫が訴える体の痛みのあちこちをさすり、
「痛みを代わることができなくてごめんね」
と話しかける妻の言葉に、
嘉一郎さんの目尻から無言の泪(なみだ)が零れ(こぼれ)落ちていた。

嘉一郎さんは、
癌の進行と痛みと死の不安から
妻を常に自分の傍に置きたかった。

癌による痛みは、
本人だけしかわからない激痛であり、
それは「食べたくても食べられない」ほどの痛みと怠さがあっただけに、
「食べない」「飲まない」といったような状態が続き、
体力も落ち栄養が摂れなくなってきた。

主治医にも連絡を入れ
自宅で看取ることを
妻は心に決めた。

東京から駆けつけてきた長男、長女と
最愛の妻に見守られ手を握りしめながら、
彼は痛みから解放され静かな眠りについた。









124;家庭菜園風景

2017-05-23 03:49:13 | 春夏秋冬
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連日暑い日が続き4日なります
5月だというのに冷房を入れてます
beagle元気は毛皮を着ているため
可哀想なので留守番のときは
扇風機と冷房

我が家の3坪「大農園」の全景です
手前の苗は ゴーヤー
チョッと左上の一本の苗は ネットメロン
妻のリクエストにより植えた


黒小玉西瓜 黄色い花がきれい 収穫できるかどうか一番不安


ぴーまん 白い花が可愛い


胡瓜たち 苗が小さいので収穫は遅くなりそう


トマトの花 ちょっとピンボケ 撮影者が木瓜気味なのでピンボケ


手前は茄子 茄子は2本

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123;出会い と 死別(わかれ)

2017-05-22 12:25:25 | 介護の深淵
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老人介護は
出会いに始まり
死別(わかれ)で終わる。
出会いから死別までの時間(プロセス)において
想いを抱きそれを行動に移したのか
相手は満足や安らぎを感じ取っていたのか。

老人だけでなく
私たちも
明日への生は
必ずしも約束されてはいない。
不慮の事故に遭遇し
いつ生命を失わないとも限らない。

しかし
老人は私たちより
(その私も今年で介護保険第1号被保険者になる)
(法的に老人の仲間入り?)
死が間近に迫っている。
80歳、90歳・・・・と高齢になるほど
また 元気な老人ほど突然逝かれることもある。
明日への生は
わからない。

老人にとっては
「残り少ない大切な時間」
であることを忘れてはならない。
私たちは、その時間を大切にしなければならない。

介護を通し
老人の死に直面したとき
誰もが悲しみ
悲しみの泪が滲む。
老人との信頼関係や想いが深いほど
悲しみは大きくなる。
死別のときに
流した泪の重みを
青い空に浮かぶ 白い雲を見たときに
ふと思い出したい。

ひとりの老人に対し
完璧にかかわるということは難しい。
誰もが理想と現実のはざまのなかで悩み
ジレンマを感じながら
日々の介護に追われている。

死別の泪の重みを胸に秘めながら
残された老人に対し
悔いのない介護相談や介護を
為していく以外にない。




122;牛糞臭~い

2017-05-22 08:15:00 | 春夏秋冬
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妻から「臭~い」と苦情
野菜の苗に元気になってもらおう、と
牛糞を撒いたのがいけなかった
妻は匂いが敏感
私は鈍感なのか?
牛糞が「臭い」と苦情
暑いから余計に臭うのか?

野菜畑に行ってみたら
確かに牛糞臭かった
「ごめんなさい~」


121;ミミズ

2017-05-22 01:52:10 | 春夏秋冬
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野菜畑を耕したら
土のなかからミミズが「こんにちは」した
ミミズは 目がなく 手足もない
人間様からは「気持ち悪い」と疎まれている
ミミズは土を耕し 大変役立っている生き物
陽の当たらない土の中で働き
人間様の役に立っているミミズ
「ミミズさま ありがとう」

魚釣りをするときミミズを餌としてつける
ミミズを食べたさに魚は「パクリ」
鯛焼きのオジさんに釣られた魚
人間様が「ぱくり」と食べる
ミミズはいま何処にいるのだろうか?

120;20本の野菜苗が家族に

2017-05-21 19:22:35 | 春夏秋冬
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3日連続 真夏の暑さが続き
5月だというのに扇風機と冷房を使用
寒い冬よりは 暑い夏の方が好き

JAで野菜苗を20本と
ホームセンターで牛糞2袋購入
胡瓜6本 ゴーヤ 4本 トマト  3本
茄子2本 ピーマン2本 黒玉西瓜 2本
ネットメロン 1本

素人が植えたので
画像を見ると苦笑されてしまうが
形より実を欲する

苗たちには 土 と 水 と 太陽 が必要
野菜も手間をかけることで
花は咲き
蜜蜂が飛び交い
実はなる

ところで
我が家では野菜の苗を植えたり水をやったりなどの
世話は私 夫の役目になる
これから朝夕は多忙になる
beagle元気の散歩と野菜の世話
妻は 蚊にさされやすく
赤く腫れ 最悪のときには高熱を出します
だから 「私 食べる人」なのです
勿論収穫した野菜を料理するのは妻です
beagle元気は 胡瓜とトマト、西瓜 メロンが大好物

普段使わない筋肉使ったので
体はボロボロ
心は充実感
野菜畑の画像は
明日ご期待乞う

花は6月に入ってから植えまする

119;海が見える家に帰りたい

2017-05-21 05:32:38 | 老いの光影
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その婆さんの名前は 沢井静さん
静さんは、人生の悲哀さを語ってくれた。
「人間、いろんなことがあったかと思うと、
昨日は涙が出てどうしようもなかった。
夫は寝たきりになってから口もきかないから、
黙っているだけで・・・・・。
わたしは88歳、夫は93歳。
いつまでもここ(老人保健施設)にいてもしょうがない。
海が見える家に帰りたい。」
と最後にポツリと話す。

その後、彼女の口から一度も
「海が見える家に帰りたい」
と聞いたことがない。
彼女自身は認知症があり
老人保健施設の二人部屋で
両手両足が拘縮してしまった夫を
海が見える家で介護をすることは、
もう難しいことを体で理解していた。
家に帰ることを諦めた彼女。
一度は確かに、
「海が見える家に帰りたい」
と胸のうちを聞いてもらいたかったのかもしれない。
彼女にとって約半世紀
夫とともに歩んできた海の見える町
人生の思い出が重なる海が見える家

118;いまご飯を炊いていますよ

2017-05-21 04:46:28 | 老いの光影
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いま 食べたことを忘れてしまい
「ご飯食べていない 腹減った?」
と 認知症老人はご飯を催促する。

「さっき 食べたばかりでしょう」と
話されても
「食べていない」
を繰り返す。

「食べた!」「食べていない!」のやりとりになると
最後には
「俺のことを信用していないのか」
と 人間関係だけがこじれてしまう

「(ご飯を食べた終えたばかりなのに)ご飯を食べていない」
と真顔で話されたとき
「いま ご飯食炊いていますよ」
優しく話してあげると 落ち着きます

数分後に また「ご飯食べていない お腹がすいた」
と同じことを繰り返されたら
同じく「いまご飯炊いていますよ」

同じことを話しても大丈夫です
最初に話した「ご飯炊いていますよ」の言葉は
忘れています

「さっき食べたばかりでしょう」
と事実を述べても
認知症老人にしてみると
いま「お腹がすいた ご飯食べていない」ことが
一番気になっていることであり
そのことが解決しない限り
いつまでもそのことに拘り続けます
そのときに「さっき食べたでしょう」と話されても
「食べていない」ことを否定され
俺の言葉を信用していないのか、となってしまうだけである

「いま ご飯炊いていますよ」は否定形の言葉ではなく
「いま ご飯たいているのか」
ちょっとだけ待てばいいのか、と気持ちは落ち着きます
それでも 怪訝な表情をしたときには
「間もなく炊けますから 待ってて下さい」でいいのです





117;今日に生きているわたし

2017-05-20 20:46:16 | 老いびとの聲
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昨日のことは覚えていない
明日そのものが在ることも知らない
今日に生きているわたし 
一番気になっていることを知りたい

あなたはだあ~れ
わたしはだれだかわからない
だれかわからなくても
あなたはわたしの見方

なぜって
あなたは わたしがどうしていいか
わからず不安なとき
掌をさすりながら 傍らにいてくれる




116;老人を好きになる秘訣

2017-05-20 16:43:51 | 老いの光影
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老人を好きになる秘訣 2つ

齢を重ねてくると
「できたいた」ことが
「できなくなる」。
子育てと同じで
「できなくなった」ことを叱り
「できる」よう叱咤激励してしまう。

老人の場合も
「できる」ことをみつけ
「できる」ことを褒める
「できない」ことは
介護者が支援することにより解決する

2つ目は
老人のいいところを
褒める。
例えば
「今日の洋服素敵だね」
「いつも手伝ってくれてありがとう」
「親切だね」などなど

とくにお願いしてやっていただいたときには
「ありがとう」のお礼を述べることが大切。
これは老人でなくとも、当たり前で大切なこと。

頼むときは「できそうな」ことをお願いする
お願いしたことが不完全であっても
まず「ありがとう」と褒めること
やり直しをするときは、本人のいないところでやること。


115;死にたい?

2017-05-20 11:54:13 | 老いの光影
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死にたい?

食中毒に気をつける季節となりました
「もったいない」ということで
傷んだ物を食べてしまった真代さん(93歳)
嘔吐と下痢を繰り返す
「死にたい~」
「1回死ねば~ 死ぬことがない~」
と 長男嫁が運転する車のなかで
叫ぶ真代婆さん

長男嫁さんはハンドルを握りながら
「死にたいのに どうして医者にかかるの?」
とひとり言のように呟く

114;食べることの意味(7)「食べたくても食べられない」其の弐

2017-05-20 08:23:28 | 老いの光影
貧乏草、菜の花と2ショット 南陸奥 初夏の風景

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家に帰りたい

師走28日に 彼は「家に帰りたい」と言って
病室や1階ロビー待合室で叫び騒ぐ
その場では看護師の説得に頷くが
病室に戻ると
「帰る」と言ってきかず
残り一回の放射線治療も行うことなく
強引に南陸奥総合病院を退院した。

自宅に帰っても
「食べない」
「飲まない」
「薬を拒否する」
「水を飲むとむせてしまう」
といったような状態が続いた。
彼は言い出したら聞かず
なかなか食べようとはしなかった。

新しい年が明けた7日の13時過ぎに
嘉一郎さんの妻智恵子さん(75歳)から
「(暮れから続き)今日もあまり食べずに元気がない
咳き込みもひどく心配、どうしたらよいだろうか」と、電話が入る。
「明日まで様子を見るといっても、
夕方になると暗くなり、夜中になってから急変し、
救急車を呼んでも大変になる。
いまならば明るいし、
早く救急車を呼び入院された方が体力の回復も期待できるのでは」
と話をした。
救急車が到着する前に利用者宅を訪れた。
救急車に私も同乗し、
彼は南陸奥総合病院に到着した。
診察の結果再入院。

病室に訪れると彼は
「お世話になり申し訳ない」と
在宅に居るときと違い
よく話しかけてくれるようになった。
「痛みが辛い。医師から“痛みを5段階で表現したら”
と言われても
「痛みは耐えきれずとにかく痛い」
「痛みが重苦しい感じがする」
「体全体が重くけだるいような感じ」である。

じっとしていることはできず
ベッドで寝ている状態は、180度回転。
脚の方に頭がきていて、落着きがない状態であった。
それは
前立腺癌は 体のあちこちに転移し、
痛みが拡散され、体を蝕(むしば)んでいた。
しかし、入院され治療により
痛みが一時的に緩和された。

彼は「家に帰りたい」と再び強く訴え、
4日後には退院し、“自宅療養”となった。


113;「ありがとう」を伝えたい

2017-05-19 17:56:56 | 老いの光影
私が暮らしている団地の一角

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最期 
死に場所は
どこになるのか
その運命がどうなるのか
神のみぞ知る

脳幹梗塞を発症
言葉は聴こえる
でも
話すことができない
もどかしさ
悔しさに
ただ泣き喚くしかない
治療は終えた 
と医師から告げられ
療養型病院転院は間近
療養型病院の次は
何処に往くのだろうか
神のみぞ知る

蛍光管は切れ
点滅し
薄暗い病室に
寂寥の寝台が浮かぶ
最期
あなたの掌を握りしめ
「ありがとう」を伝えたい




112;青い空に浮かぶ白い雲

2017-05-19 13:07:37 | 老いびとの聲
気持ちが曇りのときは
青い空に浮かぶ白い雲
を みると
気持ちが晴れる

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今日は快晴
青い空に浮かぶ白い雲を パチリ
今日は 8人の在宅老人を訪問
朝8時46分スタート

両膝関節痛のため
歩行器を使い
家のなかを移動し」
屋外はちょっと無理な
92歳になるミサエさん
炬燵と大の仲良し
炬燵の子守をしています
昔は土方をし
家族を養ってきたのが自慢

庭には
白とピンクのツツジが咲いていた
軒下から
幸福を運ぶ燕が飛んでいった