三味線弾きの日常。

おもに津軽三味線弾き唄い。
ときどき地歌・上方唄。こっそり義太夫三味線。
三味の音を一人でも多くの人に届けたい。

未来のサムライミュージシャンズ発掘コンテスト 優秀賞受賞!

いつか、この世界で起こっていたこと。

2017年09月21日 | 読書
地震、津波、原子力、といったキーワードで
ゆるやかに繋がった短編集。

いつか、この世界で起こっていたこと
黒川創
新潮社


原爆が作られたアメリカの核施設
サハリンの天然ガス開発と先住民
キノコ狩りが出来なくなったチェルノブイリ
旧ユーゴに落とされた劣化ウラン弾
関東大震災の津波で死別した夫婦

それぞれの短編は繋がってはいない。
けれど、そのひとつひとつが
決して声高に誰かを、何かを糾弾するのではなく
小さな声で語りかけてくるようだ。
あの震災が起きる前に
環境問題や放射能のことを
考え直すきっかけになるべき出来事が
本当はたくさんあったのではないのか、と。


小説を読むのは
ときに結構、消耗するものです。

津波のときを描いた「波」は
読んでいて苦しくなった。
なぞなぞをする母と幼い娘、
部屋の片隅で話をする叔父と姪、
漂流する孫と祖母。
これは、いつかこの世界で起こっていたこと。
彼らはもうこの世にいない。
それに、なかなか向き合うことが出来ない。


コメント
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