マンボウ夢遊郷 ~中南米を行く~
北杜夫著 文春文庫
最近、さる事情があり、ラテンアメリカについて調べたいと思って、本棚を探していたところ、20数年ぶりに読み直した本である。奥付をみると、1984年9月出版となっている。まだまだ、ラテンアメリカと言えば、秘境というイメージが我々の中に残っている時代であり、本書を読んでいても所々にそういったイメージが現れている。
ピラニアなんぞはその代表的なイメージで、アマゾン川に入って、ピラニアに噛みつかれると、あっという間に骨までしゃぶりつくされてしまうそんなイメージを小さい時から植えつけられていたが、どうやらそんな事もない様で、今では熱帯魚店でも売られ、それが川に捨てられて環境問題を引き起こしていたりする。
密林の中、大蛇や猛獣がいるそんなイメージを引きずっているのも事実だなあ。(きっとかつての水曜スペシャルなんかの影響だろうか。)
本書で、マンボウ氏が訪れたのは、メキシコ、コロンビア、ブラジル、ペルーの4か国。残念ながら、僕が一番知りたかったアルゼンチンはなかった。
本書に出てくる諸国は、発展途上国とされ、まだまだ貧しい国であったころである。おそらくこの20数年の間にかなり事情が変わっているとは思う。(今でも発展途上国などという名称は、地理の時間に習ってるんだろうか?そもそも地理って習ってんの?)
マンボウ氏は、これらの4か国の観光名所などをいつものマンボウ調とでもいうべき行動でグダグダとしながら、時には蝶を追って猛スピードで動いている。こういう国に行っても、政治がどうだ、経済がどうだと大上段に構えないところがマンボウ氏らしいし、そういった部分が僕にはどうにも好ましい。まあ、僕自身がそういった政治的なことがあんまり興味を持たないのは、北杜夫の影響だろうなと最近つくづく思う。
しかし、60近い年齢になっても、昆虫や自然に夢中になれる、そういった部分を持ち続けてるのが、この人の魅力ではあるんだろうが。
そういえば、本書でペルーのインカ帝国の遺跡を訪れた際、(与太話の一つとして)この遺跡を作ったのは宇宙人ではないのかという説を述べている話の中に、アダムスキーのことが出ていた。アダムスキーってすっかり忘れられてるんだろうけど、僕らの子どものころは、「小学○年生」といった真面目な雑誌でもUFOと言えば必ず取り上げられているほど、著名な人だった。金星人にあったやらUFOに乗せてもらったなどと言っていた人だ。当時はアダムスキー型UFOなどという空飛ぶ円盤の形式もあった。そして当時は、インカ文明やペルーの地上絵などを語るときは、必ず宇宙人説が出てくるのだった。
おそらく、ラテンアメリカの秘境イメージと宇宙人のイメージが重ね合わしやすかったのだろう。
今どきの子どもには、わからないだろうけどね。(それだけ地球が狭くなったということかな。)
しかし、マヤ文明やらインカ文明といった世界的な遺跡を前にしても、モルフォ蝶の方が気にかかるというところはマンボウ氏の面目躍如といったところであろう。
本書では、移民の話がたびたび出てくる。この取材の成果は、のちに書かれた大作「輝ける碧き空の下で」に現れることになる。この後しばらくして、ペルーで日系人のフジモリ氏が大統領になった。日本では、日本人が他国の大統領になったみたいな盛り上がりを見せたが、事情は単純なものではないと思う。移民というとロマンチックなイメージを持ちやすいが、その実は大変な苦難があったのである。
などなとを思いながら、ラテンアメリカについての興味は続く、次ははてさて、どんな本を読んでみたらいいものやら・・・。
北杜夫著 文春文庫
最近、さる事情があり、ラテンアメリカについて調べたいと思って、本棚を探していたところ、20数年ぶりに読み直した本である。奥付をみると、1984年9月出版となっている。まだまだ、ラテンアメリカと言えば、秘境というイメージが我々の中に残っている時代であり、本書を読んでいても所々にそういったイメージが現れている。
ピラニアなんぞはその代表的なイメージで、アマゾン川に入って、ピラニアに噛みつかれると、あっという間に骨までしゃぶりつくされてしまうそんなイメージを小さい時から植えつけられていたが、どうやらそんな事もない様で、今では熱帯魚店でも売られ、それが川に捨てられて環境問題を引き起こしていたりする。
密林の中、大蛇や猛獣がいるそんなイメージを引きずっているのも事実だなあ。(きっとかつての水曜スペシャルなんかの影響だろうか。)
本書で、マンボウ氏が訪れたのは、メキシコ、コロンビア、ブラジル、ペルーの4か国。残念ながら、僕が一番知りたかったアルゼンチンはなかった。
本書に出てくる諸国は、発展途上国とされ、まだまだ貧しい国であったころである。おそらくこの20数年の間にかなり事情が変わっているとは思う。(今でも発展途上国などという名称は、地理の時間に習ってるんだろうか?そもそも地理って習ってんの?)
マンボウ氏は、これらの4か国の観光名所などをいつものマンボウ調とでもいうべき行動でグダグダとしながら、時には蝶を追って猛スピードで動いている。こういう国に行っても、政治がどうだ、経済がどうだと大上段に構えないところがマンボウ氏らしいし、そういった部分が僕にはどうにも好ましい。まあ、僕自身がそういった政治的なことがあんまり興味を持たないのは、北杜夫の影響だろうなと最近つくづく思う。
しかし、60近い年齢になっても、昆虫や自然に夢中になれる、そういった部分を持ち続けてるのが、この人の魅力ではあるんだろうが。
そういえば、本書でペルーのインカ帝国の遺跡を訪れた際、(与太話の一つとして)この遺跡を作ったのは宇宙人ではないのかという説を述べている話の中に、アダムスキーのことが出ていた。アダムスキーってすっかり忘れられてるんだろうけど、僕らの子どものころは、「小学○年生」といった真面目な雑誌でもUFOと言えば必ず取り上げられているほど、著名な人だった。金星人にあったやらUFOに乗せてもらったなどと言っていた人だ。当時はアダムスキー型UFOなどという空飛ぶ円盤の形式もあった。そして当時は、インカ文明やペルーの地上絵などを語るときは、必ず宇宙人説が出てくるのだった。
おそらく、ラテンアメリカの秘境イメージと宇宙人のイメージが重ね合わしやすかったのだろう。
今どきの子どもには、わからないだろうけどね。(それだけ地球が狭くなったということかな。)
しかし、マヤ文明やらインカ文明といった世界的な遺跡を前にしても、モルフォ蝶の方が気にかかるというところはマンボウ氏の面目躍如といったところであろう。
本書では、移民の話がたびたび出てくる。この取材の成果は、のちに書かれた大作「輝ける碧き空の下で」に現れることになる。この後しばらくして、ペルーで日系人のフジモリ氏が大統領になった。日本では、日本人が他国の大統領になったみたいな盛り上がりを見せたが、事情は単純なものではないと思う。移民というとロマンチックなイメージを持ちやすいが、その実は大変な苦難があったのである。
などなとを思いながら、ラテンアメリカについての興味は続く、次ははてさて、どんな本を読んでみたらいいものやら・・・。
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