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アメフト観戦記や読書日記を綴っていましたが、最近は古墳(コフ)ニストとして覚醒中!横穴式石室をもつ古墳にハマっています。

獅子王アレクサンドロス

2014-02-16 02:19:29 | 読書日記
「獅子王アレクサンドロス」
 阿刀田高 著 講談社文庫

 紀元前3世紀、東方社会を席巻したマケドニアのアレクサンドロス大王(僕が高校生の時はアレキサンダー大王と習ったなあ。)の生涯を描いた長編歴史小説です。総ページ約700頁に及ぶ大作ということで、読みごたえは十分。むしろ意外とすっと読めたかなという感じ。
 アレクサンドロス大王の生きた時代は、紀元前4世紀になる。日本で言えば、ちょうど弥生時代が始まった頃だ。ギリシャの都市国家の時代が最盛期から衰退していった頃にマケドニアの興隆がはじまったのである。
 本書では、アレクサンドロス大王が、学問の師としてアリストテレスを迎えた時から物語は始まる。それは、アレクサンドロス大王が、東征を進めた理由が、(ギリシャ哲学の希求した)「真・善・美」であり、それはアリストテレスの影響からだという本書の主張とつながるのであろう。
 考えれば、何故にギリシャからインドまで軍を進めていったのだろう?当時のギリシャ人の感覚から言うと地中海周辺を支配下におければそれで十分だったような気がする。それ以上に東へ東へと進み、最後はインドのインダス川まで進んでいったのは、新しい世界を知りたいという好奇心、向上心からだけだったんだろうか?アレクサンドロス大王の行動は、いわば秘境を開拓する探検家のような気さえする。
 
 父王フィリッポス2世の暗殺後、ギリシャ出兵を行い、ギリシャにはを唱え、その後エジプト、ペルシャと東方世界に覇権をとなえた。そして最後にはインドに至る。その期間は10年にも及び、最後は、ギリシャに戻ることなく、ペルシャのバビロンにて、あっけなくその短い生涯を閉じる。
 この本を読んで、初めてその東征の期間の長さに驚く。後半は東に軍隊が進むたびに新しい世界が広がっていく、そのことは、おそらくアレクサンドロスのように知的欲求の強い人物にとっては、非常に興味深いものだったのだろう。新しい文物、文化、風土といったものに目を輝かせたのであろう。そのことと引き換えに多くの兵隊の命があったのだろうが・・・。
 インドからの帰路は海路であった。本書では、比較的淡泊に書かれているのだが、一大冒険小説にもなりそうなモチーフではある。いろいろな魔物にであったであろう。
 アレクサンドロス大王の死後、彼の一番の部下たちを中心に後継者争いが起こり、彼の肉親たちもすべて政争に巻き込まれ命を落としていく。結局は、彼の作った世界帝国は、3つに分割される。その一つが、プトレマイオス朝エジプトである。そして、その末裔がクレオパトラになる。歴史の悠久の時間の流れを感じてしまう。

 アレクサンドロス大王の東征は、ヘレニズム文化という一つの新しい文化を生み出す。そのことが結局後世に受け継がれた。

 本書は、アレクサンドロス大王の生涯を知るには非常にわかりやすい本であり、読みやすい本であった。この時代についても、もうちょっと深めていきたいなあと思った。僕の中では、ギリシャの都市国家の時代とローマ帝国の間が空白なのである。

  
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