平成22年度全国高等学校バスケットボール選抜優勝大会(通称 Winter Cup 2010)の組み合わせが決まった。昨日の男子に続いて女子バスケについても少しだけ言及したい。(公式サイト組合せ→男子・女子)
やはり、インハイの覇者、札幌山の手(北海道)が優勝最右翼にみえる。長身センター長岡を中心にアウトサイドにもクイックネスとシュート力のあるプレーヤーをそろえ、ディフェンスも非常にタイトである。そして何よりよく走る。夏のインハイの結果を見ても、相手に大きな差をつけての勝利であり、優位は動かない。ただ、高校生はちょっとしたきっかけで大きく崩れることもよくあり、油断は禁物だ。この第1シードの山では対抗できるチームはないのではないか。個人的には、ウインターカップ3年連続ベスト4で大沼(妹)を擁する山形商(山形)に注目したいのだが、札幌山の手の前ではやや小粒に見えてしまう。
第2シード中村学園(福岡)はよくわからないが、インハイで準優勝したことを考えてもなかなかやりそうだ。アシスタントコーチの平岡さんは、つい数年前まで我が宮城の石巻商で指導していた人なので応援したい。このブロックにはノーシードに聖カタリナ(愛媛)もいるが、私が注目したいのは、U-18トップエンデバーにも選ばれたオールラウンダー木工を擁する足羽(福井)である。毎年、タイトなディフェンスを武器に「がんばるバスケット」を展開する公立高校の足羽には、なぜか声援を送りたくなる。
U-18日本代表の中心選手、センターの宮澤夕貴を擁する第3シードの金沢総合に、私は最も期待している。というか、Hコーチの知将・星澤純一先生に注目している。もう20年ほども前のことだが、星澤さんの講演と簡単な実技指導を受けたことがある。加藤貴子を擁して全国制覇したすぐ後のことだ。バスケ素人だった私だが、バスケットボールというスポーツの魅力を教わり、目が開かれた気がした。日本一のチームの指導者だが、基本的スキルを重視して、考えるバスケットをめざす姿勢に、また、「野蛮な」体育会的体質ではなく、どこか知的で、バスケットボールを通して人間の生き方を教えようとする教育者としての星澤さんにすっかり魅了されたものだ。以来、星澤さんのチームにはずっと注目しているのだが、定年退職をまじかにひかえ(あと1年?2年?)、かなり熱が入っているようだ。何かで読んだのだが、教え子のバスケ部OGが交通事故(?)で亡くなり、彼女のためにも優勝をその墓前にささげたいのだという。実際、これまでの星澤さんは試合中立ち上がったりせずに、タイムアウトもほとんどとらないことで有名だったが、先のインハイでは立ちっぱなしで大きな声で檄を飛ばしていたらしい。このブロックで他に注目されるのは、インハイで準優勝の中村学園にわずか3点差で敗れた大阪薫英(大阪)、6月の東海大会であの桜花学園に勝ったという岐阜女子(岐阜)あたりだろうか。
第4シードの明成(宮城)もそこそこがんばるだろう。宮城県大会の決勝は、見ごたえのあるなかなかいいゲームだった。インハイでベスト4まで進出した明成は、190㎝を超える中国人留学生を中心としたチームだが、ディフェンスやクイックネスあるいは機動力やシュート力では、聖和学園のほうがやや上かとも思った。しかし、明成のガード、フォワード陣も勝負所でディフェンスをかなりがんばり最後は聖和学園を突き放した感じだった。インサイドとアウトサイドの歯車がかみ合えば、再び上位進出も可能だろう。ただ、このブロックには昨年度準優勝の東京成徳(東京)や、一ノ瀬和之監督率いる埼玉栄(埼玉)、そして逆サイドにはあの常勝集団、桜花学園(愛知)もいる。特に、インハイで札幌山の手に90-61と完敗した桜花学園は、リベンジに燃えているはずである。U-18トップエンデバーにヒル理奈はじめ数名が選出されている桜花学園は、もともと実力のあるチームだ。名将・井上監督のもと、必ずや立て直してくるに違いない。我が宮城代表の明成が上位進出するためには、これらのチームを倒さねばならない。
ウインター・カップ2010は、12月23日からはじまり、女子決勝は12月28日である。今から本当に楽しみだ。