王様の耳はロバの耳

横浜在住の偏屈爺が世の出来事、時折の事件、日々の話、読書や映画等に感想をもらし心の憂さを晴らす場所です

「初秋の剣」を読む

2007-11-15 05:42:44 | 本を読む
秋の夜長になりました。難しい本を読むのも良い季節ですが軽い本をささと読んで寝るにも良い季節です。
風野真知雄著 二見時代小説文庫発行の「初秋の剣」をお勧めします。
大江戸定年組との副題が付いていますが、本当はこちらの方が主題の様な気がします。
主人公は町方同心の藤村慎三郎、三千五百石の大身旗本、夏木権之助、裕福な小間物屋七福仁左衛門の三人。
何とも身分違いの取り合わせだが三人は大川(墨田川)での水練の仲間で若い頃と言っても12-15歳に掛けて泳いだり喧嘩をしたりして仲間付き合いをして育った。泳ぎの達者な三人は永代橋付近から江戸湾まで泳ぎ捲くっていた。大人になる頃自然に疎遠に成ったが10年程前、もう一人いた仲間の死がきっかけで付き合いが復活したわけ。

丁度55歳という老年期(江戸時代)への入り口で三人とも倅に後を譲り隠居した。
今日は藤村の隠居した日の夜、三人は永代橋を深川に渡った直ぐの「海の牙」という居酒屋で集まり一杯やる。

三人は老後の生きがいに「美しい景色を眺めて暮らす」事を決めてその為の借家を江戸のあちこちに探す。
藤村が同心時代に付き合いのあった商人の揉め事を上手く解決したのが縁で商人の義父が作った凝りに凝った二階建ての家作を月400文という只みたいな家賃で借り受けた。

場所は永代橋を深川に渡り深川熊井町にある。目の前が大川の河口で二階に上がると堤防でさえぎられてた大川と江戸湾の様子が一望に開ける。晴れた日には富士山が目の前に見えるというまさに「美しい景色を眺めて暮らす」に打って付けである。

なべ釜は備え付けがあるので布団を持ち込み気ままな生活が始まる。
日帰りの日もあり、泊まりの日もある。夜は「海の牙」で一杯やっておだを上げる。隠れ家には「初秋庵」という名をつけて入り口の門に扁額まであげる凝り様。

二階から向こう堤の柳を眺めているうちに揃って俳諧を志し、揃って美人師匠入り江かな女に弟子入りする飄逸振りである。

そうこうしていると亭の隣に自身番が移ってくる。自身番の事件には藤村の息子である同心見習い康四郎が出入りする。
幾つかの事件に首を突っ込んだ挙句、三人は気が付く。
「奉行所が扱うほどの事件でなく自身番さえ取り上げるかどうかだが近隣の人が困っている様な事を解決してやる。金になるなら貰う 成らなければとらない」それで「三人の経験や知恵を使って、世の為、人のために役立つ。これこそ正しい隠居の道」だ。 この認識が「大江戸定年組み」の心だと爺は思うのです
ここに行き着くまで一巻が五話に分かれています。活字は今風で大きく読みやすく成っています。話の筋は穏やかで展開に無理がありませんからとてもよく頭に入ります。 何時ごろの話でしょうか?第四話に十返舎一九が出てきますから1825年頃でしょうか(一九は1831年没)明治維新まであと40年ほどです。

06年7月に初版がでていますが、主人公三人の身辺をめぐって今年9月までに第4巻まで出ています。

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新テロ法案 衆院を通過

2007-11-14 00:18:14 | 政治
新テロ法案、衆院を通過(読売新聞) - goo ニュース

12日の衆院テロ対策特別委員会を与党の賛成多数で通過したのですから、13日の衆院本会議でも通過したのは当然といえば当然ですよね。
安倍前総理も登院していました。当然賛成ですよね。わははは

さて参議院での審議については与野党の駆け引きが有るようですが、来月15日の会期末頃採決の山場を迎えるそうです。

さてさてここ迄に漏れてきた情報で「新テロ法案」に関する与野党の利害得失を考えておきましょう。

与党の利点:
その1;参院で否決されても衆院で再審議2/3の多数で可決できる。
その2;大連立構想が潰えて民主党と小沢氏の政治責任能力に国民の疑問符が付いた。 
その3:「新テロ法案」は親米派の国民と国際協調派の国民を納得させやすい。

与党の泣き所:
その1:参院で与党は法案を可決出来ない。12月15日より早い成立を期待する米国の意向に沿わない。

その2:仮に強行して法案を成立させても「日本国内で反米勢力(野党勢力)を増やした福田総理には用が無い」
その3:アフガンにおける対テロ作戦は米軍の思う様に進展せず、テロリストが通過するパキスタンは政権基盤が揺るごうとしている。「米国の言いなりになる事がが国際協力」なのかどうか疑問に思う人が増えてきた。
その4;「洋上給油」を指揮する防衛省の不祥事が晴れない;
1)給油量取り違えの防衛省ぐるみの関与
2)山田洋行宮崎前専務による守屋前防衛次官に対する過剰接待
3)そこから派生する守屋夫人による遊興費の付回し
4)宮崎元専務の逮捕とこれから始まる証人喚問
5)守屋氏の元部下の課長に対する2500万円?の資金運用依頼
野党の利点:
その1;参院で「新テロ法案」を否定して与党に衆院での「再議決」をさせる。それを非難して衆院で「福田総理の問責決議案を可決」させ衆院を解散させる。
その2;守屋関連の不祥事の徹底追及で会期中に衆議院解散に追い込む。
その3:大連立が壊れた事で「小沢氏が小沢派と目される参議院の17名を連れて与党と組む事が出来ない事が判った(恐らく17名よりもっと少ない惨めな数であったのだろう)

野党の泣き所:
その1;小沢氏のぶれた動きで野党第一党としての「貫目の余りの軽さ」を国民と民主党支持者に見せてしまった。
その2;小沢氏に代わる新指導者を選出出来なかった。
その3:防衛省の一連のスキャンダルを生かして与党を解散に追い込む気力も実力も無さそうに見える。

要するに与野党どちらにも自党に有利な状況で解散する条件はある。
「たけしのTVタックル」の悪党党幹事長浜田幸一のセリフを思い出さねばいけない。
「戦争に負けて米国に占領された日本は武装解除された。日米安保で国を(米国に)守ってもらう。米国(の要求に)にノーなんて言えないんだ!」が真実である。
与党であれば(戦後ほとんど自民党であったが)親米政権でなければならない。米国が(許容の範囲を越えたと思えば)与党の田中総理でも米国の情報リーク(意図的漏洩)で失脚する。
週刊誌によれば小沢党首は福田総理との党首会談で「湾岸戦争が起きた当時海部総理、小沢幹事長のコンビで120億ドル〔ざっと1兆2千万円もの協力金を米国に払ったが小沢氏がキックバック(割戻し)を懐に入れたとのCIA資料を突きつけられて(連立に)乗った」との事である。幾ら懐に入れたのでしょうね?
 0.1%で12億円、0.3%で36億円になりますよ!

まあこの話しが本当かどうかは判りません。しかし一国の指導者が米国の意向に反して声を上げた時「金脈・人脈」に疑義があれば「ネガティブキャンペーン(相手の人格を誹謗中傷する活動)」が行われるのです。

若い頃CIAにうなぎやてんぷらを無料で接待に預かった鳩山法相なんかは「反米を掲げて総理に立候補したらスキャンダルを書き捲くられる事になります」
まあその心配は無いと思いますけれど。

要するに「反米を掲げて日本国首相になろうと思う人物は清廉潔白(クリーン)でなければならない事」「国民的支持を得てそのお布施や施しで一党を維持できるカリスマ性が必要」です。
加えて、本気で政権を奪取する気であれば「反米の心(離米でも隔米でも良いが)は奥深くしまい込み、まず政権を奪取するだけの政治的演技力がなければいけません」

この様な人物は最近の日本では明治維新前の「西郷・小松対島津久光の関係」における西郷・小松にしか見られません。
新しい時代の党首は「野党にいるのでしょうか与党にいるのでしょうか?」
年末にかけて本物・偽者いろいろ登場しそうです。騙されぬようしっかり事態を見守りましょう。


読売新聞:
衆院は13日午後の本会議で、インド洋での海上自衛隊の給油活動を再開させるための新テロ対策特別措置法案を自民、公明両党の賛成多数で可決した。

 政府・与党は12月15日まで延長した今国会での法案成立を目指し、14日の参院本会議で新テロ法案の趣旨説明を行うよう野党側に求めているが、参院第1党の民主党は反対しており、審議入りのめどは立っていない。

 新テロ特措法案は11月1日に失効したテロ特措法に代わるもので、海自の活動内容を海上阻止活動を行う米英などの艦船への給油・給水活動に限定、活動期限を1年間とし、旧法にあった国会の事後承認規定は削除した(引用終わり)
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道路財源 「余るはず無い」冬柴国交相

2007-11-13 06:47:20 | 税、年金、国保
道路財源「余るなんて机上の空論」 冬柴国交相(朝日新聞) - goo ニュース

確か日曜日の夜のニュースで冬柴国交相が「余った分は一般財源にまわすが、余る訳が無い」と発言。続いて二階総務会長の悪党面が写り「道路(建設)をストップする様な事は承服できない」見たいな事を言っていた。

これは現在1リットル¥150を越えているガソリン価格で車を使用している方々が「やりきれない」と悲鳴を上げている事など全く関心が無い事を物語っている。

寝る寸前のニュースであったので翌朝新聞記事で確認してーーと思った。
さて今になると昨日の朝であるがウエブの新聞で「上の発言」を探すが見つからない。えー?!各社スルーかよー と思っていたが後で気がついた。昨日12日は何故だか朝刊が休みでした。(恐らくその影響で)ウエブ用の原稿も朝は用意されなかったのであろう。ウエブで昼になって見つけた。

道路特定財源については丁度1年前の今頃安倍前総理の意向で「見直しの検討」が指示されたが族議員と官僚の反対でうやむやになった。
その道路特定財源の国の取り分が約3兆5000億円。07年度は一般財源に5000億円ほど振り替える事となった。
さて08年度(つまり今年、来年の3月まで)の扱いを如何するか?に関して冬芝国交相と二階総務会長の発言につながる。
加えて福田総理は「特定財源の一般化には反対」の意向だとか。

話は細かくなるので揮発油税(ガソリンに掛かる)暫定税率(1リットル¥23.
4)の根拠法の期限が来年3月で切れる。
根拠法が延長されなければ単純計算で1リットル¥150のガソリンは¥125になる。
まあそんな事をしたら道路族議員と関係官僚は飯の食い上げだから必死の反対をするであろう。
それでも07年度に5000億円を一般財源に振り向けたと言う。加えて猪瀬氏の活躍?で道路はそんなに作らせないと決まったのではなかったのか

今回の発言は道路族の利権を代表100%ベースで主張したといえる。
今後の議論で誰が道路族議員であるか良く判るからしっかり関係者の発言に気をつけて行きましょう。
暇のある方は昨年のエントリー道路特別財源のみ直し2にお立ち寄りください。


朝日新聞:
冬柴国土交通相は11日、和歌山県田辺市で開かれた阪和自動車道開通式のあいさつで「(道路特定財源が)余れば一般財源(にする)というが、余るはずがない。地方へ行けば本当に道路が必要だと分かる」と述べた。政府は昨年末の閣議で「真に必要な道路整備」の歳出を上回る余剰分を一般財源化する方針を決めたが、道路財源を道路歳出に使い切る考えを示したものだ。

 冬柴氏はその後、記者団に「道路整備や補修・管理の費用はどんどん増えている。余ってるなんていう机上の空論はやめてもらいたい」と強調。同席した自民党の二階俊博総務会長も「(冬柴)大臣の主張を全面的に支持する。道路をストップさせてやろうというようなことは絶対に承服できない」と同調した(引用終わり)
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老老介護で夫が妻を絞殺

2007-11-12 05:26:39 | 社会
「自分は末期がん」と悲観、認知症の妻を絞殺した夫を逮捕(読売新聞) - goo ニュース

尼崎市での事件です。悲惨と言うか気の毒と言うか言葉に詰まってしまいます。
夫85歳で末期がんと妻80歳で認知症 老老介護の典型ですよね。
このあと究極の選択を夫がしたわけですが、爺にも他人事と思えません。

昨日の昼には事件として報じられていましたが、子供達の状況とか資産の有無とかもう少し分かってから発言しようと思っていました。追加の情報は無いようです。地元紙ではもっと詳細が報じられているかもしれません。

夫の末期がんが思い込み出なく本当であれば「老人のガンは進行が遅い」そうですがそれでも体はきつかったでしょうね。ガンでなくても85歳は高齢で男性としてはいつお迎えが来てもーーーですよね。
加えて妻80歳が認知症とか。介護は夫一人がしていたのでしょうね。介護に来てくれる人はいなかったのでしょうか。?
認知症だけが問題ならこの方は夫より長生きの可能性は高いのでしょう。

どんな暮らしをしていたのでしょう?
マンションの一室と有りましたから賃貸にせよ部屋はあったわけですね。
生活資金はどうやって得ていたのでしょう? 年金暮らし? まあこれが一番考えられるのですが? 生活保護では8階建てのマンションの一室には住めない様な気がします。でもわかりません。

書かれていることから判断すると、夫は自分が死んだ後、認知症の妻が残る事を不憫に思い手を掛けた。後追い自殺をし損ねたか、自殺をしなくても間もなく死ぬと見切っていたのでしょうね。
もう少し周辺の人と話す機会があれば妻の介護に何か手段があったのかも知れません。どんな方法があるのか、爺には分かりません。
85歳の夫は究極の選択をしてしまいました。
何かどこへ思いをぶつけて良いのか判りませんがとても他人事とは思えません。 奥さんのご冥福を祈ります。 合掌

読売新聞:
妻の首を絞めて殺害したとして、兵庫県警尼崎南署は11日、夫で同県尼崎市大庄川田町の無職橋本幸夫容疑者(85)を殺人容疑で緊急逮捕した。

 調べでは、橋本容疑者は同日午前2時50分ごろ、8階建てマンション1階の自宅寝室で、寝ていた妻房恵さん(80)の首を手芸用のひもで絞め、殺害した疑い。約30分後、「妻を殺した」と110番。同署員が駆けつけ、房恵さんが倒れているのを見つけた。

 調べに対し、橋本容疑者は「自分は末期がんで妻は認知症。自分が死んだら、残った妻が不憫(ふびん)だと思った」と供述しているという。(引用終わり)
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巻き添えの男性死亡

2007-11-11 05:02:51 | 社会
巻き添えで重体の男性死亡 池袋パルコ飛び降り(朝日新聞) - goo ニュース

6日昼、池袋の飛び降り自殺の巻き添えを喰って重体であった男性が10日朝亡くなりました。何ともお気の毒な限りで謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

男性は38歳、結婚をしていれば子供さんもいてこれから金が掛かる時期であろうと思うと何ともお気の毒な限りに思う。
加害者は成人した女性で死んでしまっているから損害賠償はどうなりますかね?
生命保険に入っていたとしても自分には過失がありませんから、保険の適用というのもどうなのでしょうか?
自殺する人に説教は無駄でしょうがその際は他人に迷惑を掛け無い様して欲しいものです。

佐賀では8日朝どうやら別人と間違えられ入院患者が射殺されました。警察庁の偉いさんが佐賀県警に乗り込み異例の「銃乱射による殺人犯の検挙」に発破が掛かったそうです。
これも随分と乱暴でひどい話です。謹んでご冥福をお祈りします。


二つの死亡に至った原因は違いますが、「ごく普通に生きる市井の人」が巻き添えとかとばっちりを受けてあっけなく命を奪われる世相に嫌なものを感じます。

その他にも通勤通学の途上で車のスピードの出しすぎで死傷する事故、これは業務上過失致死傷の扱いを受けますが、その性格は殺人と同様に思えます。割り切れない事の多い毎日です。気をつけようもありませんが、気をつけて暮らしましょう。

朝日新聞:
東京都豊島区の池袋駅前で6日、「池袋パルコ」(8階建て)の屋上から飛び降り自殺した女性(25)がぶつかってきたため、意識不明の重体になっていた男性が10日午前5時半すぎ、搬送先の都内の病院で死亡した。

 警視庁池袋署によると、男性は千葉県松戸市新松戸2丁目、会社員池田長武さん(38)。6日は休みで外出した。上司に「相談事で人に会う」と話していたという。午後1時前、歩いていて巻き添えになり、顔面を複雑骨折して集中治療室で治療を受けていたが、意識が戻らないまま亡くなった。
 女性は練馬区在住の無職。同署は重過失致死容疑で書類送検する方針だ。
(引用終わり)
コメント (2)
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