人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

【鉄ちゃんのつぶや記 第1号】日本を愛したスパイのお話

2003-06-01 22:15:07 | その他社会・時事
 夢があるから、生きられる。
 理想があるから、死ねる。

 そんなひとりの男を描いた映画が、いよいよ6月14日から、全国の東宝系で劇場公開されます。その映画のタイトルは「スパイ・ゾルゲ」。

 http://www.spy-sorge.com/

 戦前の一時期、日本で活動していたスパイ、ゾルゲの生涯にスポットを当てようと言うものです。

 知らない方のために簡単な解説をしますが、この人はリヒアルト・ゾルゲといい、確か父がドイツ人で、母がロシア人です。現在のアゼルバイジャン共和国、バクーに生まれ、やがて共産主義者となります。

 ソ連指導下にあったコミンテルン(共産主義インターナショナル)の密命により、ドイツの新聞記者を装って日本に潜入。近衛文麿内閣中枢にいたブレーンの尾崎秀実(ほつみ)と懇意になり、日本の機密情報を聞き出してはソ連に通報していたのです。やがて、その諜報活動は日本の公安の知るところとなり、尾崎、ゾルゲとも逮捕され、1944(昭和19)年に刑死します。尾崎秀実は、日本ペンクラブ会長を務め、1999年に死去した尾崎秀樹(ほつき)とは義理の兄弟の関係にあります。

 篠田正浩監督が10年前から構想を温めていたこの作品は、篠田監督の事実上「引退作」となります。妻である岩下志麻も、近衛首相の夫人役で出演予定です。最近は忙しくて映画も滅多に見る暇のない私ですが、この映画はとても楽しみです。

 当時の日本人がユートピアと信じて引きつけられた共産主義という理想。そのユートピアが20世紀の人類にどんな希望と、どんな失望とをもたらしたかを知るのに格好の教材となりそうな予感がします。

 ゾルゲといっても、これまでは知名度も低く、知っているのは私のような「趣味者」くらいだったと思うのですが、映画化の影響か、このところゾルゲに関するいろいろな書籍が復刻されてきているのはとても嬉しいです。先日、社会科学系に強い書店に行ってみたところ、尾崎秀実の獄中記である「愛情はふる星のごとく」までが岩波文庫から復刊されているのを見て目頭が熱くなりました(大げさ?)

 私の個人的考えですが、共産主義がもたらした様々な諸問題(イデオロギーとか、党派主義といった問題)は、その多くが国労はじめ労働運動の多くに共通する問題です。そこで提起された問題は、多くが共産主義陣営の中でも、また各種運動の現場でも未解決のままになっており、そのことが「一般人が気軽に参加できる運動」を構築する上での大きな障害になっています。

 私は、党派から自由な「趣味者」の立場で長年そうした状況をウォッチしてきた人間のひとりですが、最近のイラク反戦行動の現場などを見ていると、過去のしがらみを知らない若い人たちの自由な発想が、そうした状況に風穴を空けつつもあります。

 興味のある方は、とりあえず「スパイ・ゾルゲ」を見てみてはいかがでしょうか。公開される劇場は、ここのURLのとおりです。

 http://www.toho.co.jp/gekijo/sorge/welcome-j.html

 私のような趣味者はもちろん、一般の方も、酒好きで女たらしで(笑)、人間味あふれるゾルゲの人柄に感じるものがあると思います。私自身も最近、「人らしく生きよう-国労冬物語」以外にまともな映画を見た記憶がないので、この辺でしっかり見てみようかなぁと思っています。

(2003/6/1・鉄ちゃんとは鉄道ファンのこと。筆名/特急たから。不定期)

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