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【甲子園6日目】珍しいプレーで済々黌、初戦突破

2012-08-13 21:32:15 | 芸能・スポーツ
甲子園6日目、第2試合の済々黌(熊本)×鳴門(徳島)戦で珍しいプレーがあった(試合自体は済々黌が初戦突破)。

謎の出来事が起きたのは7回裏、済々黌の攻撃中。1死1、3塁の場面から2番・西の打った飛球は遊撃手の頭のはるか上。頭上を越え、レフト前に抜けた…と思われた瞬間、鳴門の遊撃手が大ジャンプをして捕球してしまった。

このライナーで2死となった後、遊撃手は併殺を狙い、1塁への帰塁が遅れていた走者を刺すため1塁へ投球、1塁走者は帰塁が間に合わずアウトとなり、併殺が成立。鳴門はピンチをしのぎ、0点で切り抜けた…と思われたが、7回裏、済々黌のスコアボードに「1」が入る。球審から「3アウトとなる前に3塁走者が生還し、鳴門からのアピールもなかったため、済々黌に得点を認めた」との場内説明があったが、この場内説明を聞いても何のことやら最初は全く意味がわからなかった。

そこで、手元にある野球の公式ルールブック「公認野球規則」を見てみたところ、愕然とした。そこには、確かに次のように定められている。

--------------------------------------------------------------------------------------
公認野球規則<抄>

7・08 次の場合、走者はアウトとなる。
(a)~(c) (略)
(d)フェア飛球、ファウル飛球が正規に捕らえられた後、走者が帰塁するまでに、野手に身体またはその塁に触球された場合。(以下略)

7・10 次の場合、アピールがあれば、走者はアウトとなる。

(中略)

 イニングの表または裏が終わったときのアピールは、守備側チームのプレーヤーが競技場を去るまでに行わなければならない。

(中略) 

 第三アウトが成立した後、他にアピールがあり、審判員が、そのアピールを支持した場合には、そのアピールアウトが、そのイニングにおける第三アウトとなる。

 また、第三アウトがアピールによって成立した後でも、守備側チームは、このアウトよりもほかに有利なアピールプレイがあれば、その有利となるアピールアウトを選んで、先の第三アウトと置きかえることができる。

 “守備側チームのプレーヤーが競技場を去る”とあるのは、投手及び内野手が、ベンチまたはクラブハウスに向かうために、フェア地域を離れたことを意味する。

(以下略)
--------------------------------------------------------------------------------------

今年のセンバツの際にも過去ログで触れたが、【原注】とは英語の原文の段階で付けられている注意事項が日本語訳されたものだ。「触球」とはタッチの意味で、当ブログ管理人の手元にある2007年版野球規則ではこのような表現になっている(最新版では「タッチ」という、よりわかりやすい表現に変わったようだ)。

まず、大前提として、野球では通常、アウトとはタッチアウトであり、フォースアウトは走者に進塁義務がある場合において、その進塁予定の塁に対してのみ適用される例外である、ということを理解しておかなければならない。つまり、規則上でフォースアウトと明記しているもの以外はフォースアウトではない(第三アウトの成立より先に生還している走者がいれば得点が認められる)ことに注意を要する。

鳴門は済々黌の3塁走者がホームを踏んだ後、3塁に戻っていないにもかかわらず、そのことに気がつかないまま第三アウトを1塁走者で取りに行った。これにより、鳴門は帰塁が遅れている1塁走者をアウトにすることができたが、このままでは3塁走者が生還となり、得点が認められるという事実にも気づいていなかった(その事実に気づいて3塁にボールを送り、ボールを受け取った選手が3塁を踏んでいれば、3塁走者を刺したことになるから済々黌に得点は認められず、何の問題もなかった)。

では、3アウトとなった後で守備側のチームがこの事実に気づいた場合、打つ手はないのか。守備側のチームは攻撃側のチームに得点が入るのを座して見守るしかないのか。そうではない。ここで、上記規則7.10にある「第三アウトが成立した後、他にアピールがあり、審判員が、そのアピールを支持した場合には、そのアピールアウトが、そのイニングにおける第三アウトとなる。」の規定が生きてくる。

つまり、鳴門は3アウトとなった後でも、選手がベンチに引き上げる前(より正確に言うとフェアグラウンド内にいる間)であれば、3塁にボールを送り、ボールを受け取った選手が3塁を踏んで、「このアウトを3アウト目にする」旨をアピールすればよい。審判員がこれを認めれば、第三アウトは1塁走者ではなく、帰塁しなかった3塁走者を刺して成立したことになり、済々黌の得点を阻止することができたのである。

しかし、結果的に鳴門がこのアピールを行わず、全員がファールラインを超えてフェアグランドから外に出てしまったために、アピール権が消滅、済々黌に追加点を許すことになってしまったのだ。

この「アピールプレイによる第三アウトの置き換え」は、野球選手でも知らない人が多い「ルールブックの盲点」といわれており、かつては野球漫画「ドカベン」でも取り上げられたことがある。当ブログ管理人は中学時代、野球部に所属していたが、こんなルール、誰からも聞いたことがなかった。

そもそも、フライやライナーが打ち上げられれば、その時点で走者は元いた塁に戻るのが当たり前だから、このようなケースになること自体、きわめてまれである。今回は、まさか遊撃手が大ジャンプをして捕球してしまうとは誰も思わなかったはずであり、その好プレーが結果的にこのような珍しいプレーを生むことになった。

それにしても、済々黌は日頃から「頭を使う野球」をモットーにしており、毎日新聞の記事によれば、ルールを熟知した上で、このような状態に備えた練習もしていたというから恐れ入る。結果的に、この「珍プレー」による1点は決勝点にならなかったが、1点差で8回を迎えるのと2点差で迎えるのとでは心理的に雲泥の差がある。この追加点がなければ、鳴門は1点差のまま8回を迎えることができたわけで、その後は全く違った展開になっていた可能性もあった。

当ブログ管理人にとっても、この第2試合は何かと勉強になることが多かった。

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