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「いのちとくらしを守る10・27団結まつり」参加者によるJR北海道安全問題に関する声明

2013-11-06 22:57:40 | 鉄道・公共交通/安全問題
10月27日、東京・亀戸中央公園で行われた「いのちとくらしを守る10・27団結まつり」では、安全問題研究会がJR北海道問題に関する報告を行いました。その報告をもとに、「元国労闘争団を応援する団結まつりしゃべり場」参加者で討議した結果、JR北海道について「再公有化を目指すべき」との結論とともに、以下の声明を採択することが確認されました。

以下、採択された声明をご紹介します。

なお、この声明のPDF版は、後日、安全問題研究会が行った報告レジュメとともに、同研究会サイトに掲載する予定です。

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声   明

 2013年10月27日

1 JR北海道で列車の事故が続発している。2011年5月27日には石勝線で特急「スーパーおおぞら14号」が脱線火災事故(負傷者39名)を起こしたのをはじめ、今年に入ってからは、3月24日に東室蘭駅で特急「北斗5号」の床下から発煙、4月8日に八雲駅で特急「北斗20号」のエンジンが破損し発煙、5月5日に奈井江・茶志内間で特急「スーパーカムイ6号」の床下の車軸付近から出火、7月6日に山崎・鷲ノ巣間で特急「北斗14号」のディーゼルエンジンが破損し潤滑油をまき散らしながら走行して出火、7月15日に西の里信号場で特急「スーパーおおぞら3号」の配電盤から出火、7月22日に十勝清水・羽帯間の平野川信号場付近で特急「スーパーとかち1号」のエンジンから白煙と続き、9月19日には大沼駅構内で貨物列車が脱線した。JR北海道では「安全」の二文字は完全に崩壊した。

 また、この安全の崩壊と軌を一にするように、9月7日には30代の男性運転士が、ATSの設定確認を怠り列車が非常停止したのを隠すため、非常停止した列車のATSスイッチを、車両故障のせいにすべくハンマーでたたき壊した。運転士としてあるまじき行為であり、モラルも崩壊したといってよい。

2 相次ぐ特急車両からの発煙・出火の原因は必ずしも明らかではないが、元々北海道は酷寒地であるため、車両構造をはじめ他のJR各社よりも制約が多いにもかかわらず、人減らしを進めて検修が疎かになり、反面、無理なスピードアップを重ねたことだといわれている。

 また、貨物列車の脱線事故の原因は、2012年10月に行われた定期検査では脱線現場付近のレールの幅が通常のレール幅より20ミリ広がっていたため、本来直ちに補修しなければならないにもかかわらず、補修しないどころか、今年6月の検査では25ミリとさらに広がっていたにもかかわらず、放置したためである。まさに鉄道の安全のイロハさえない事態である。

3 JR北海道の現状は、まさに「安全より利益」の一語である。

 前述の人減らしは、発足時の定員14000名が現在半分以下の6789名に削減された。「安全より利益」を優先した結果である。

 しかし、「安全より利益」の体質は昨日今日に始まったものではない。これこそが分割民営化の本質であり、行きつく場所である。分割民営化の当初から、民営化すれば利潤の追求こそが第一の目的となるため、安全が二の次になることは強く指摘されてきた。実際にも、1991年5月14日の信楽線を切り捨て第三セクター化した信楽鐡道事故(42名死亡)、2005年4月25日のJR西日本尼崎事故(107名死亡)、同年12月25日のJR東日本羽越線事故(5名死亡)と重大な死亡事故が相次いで起こったが、事故の背景にはいずれも「安全より利益」の発想があり、まさに民営化の賜物であった。

 今回のJR北海道での連続事故は、まさに「安全より利益」の信楽鐡道事故以来の民営化路線の延長線にある必然的な事故である。経営的に成り立たないことが自明なJR北海道で事故が集中したことは、決して偶然ではなく、分割民営化の破綻を垣間見ることができる。

 本来、鉄道は住民の交通権を保障する極めて公共性の高い事業であるから、過疎地・過密地を問わず、全国等しくその利益が享受されなければならない。そうであれば、分割するのではなく全国を一社にして統一的に運用する必要がある。貨物を含めた7分割は、儲かる東日本、東海、西日本の路線を分捕り、北海道、四国、九州、貨物を切り捨てたものに他ならない。

 現在、JR東海が9兆円をかけてリニア中央新幹線を建設する予定であるが、それだけの費用があれば、北海道、四国、九州の鉄道を維持するために、全国的観点で使用されるべきである。

 さらには、有能な職員を国労などの組合所属を原因に差別してJR北海道に採用せず、その後も被差別者を採用しないために人員不補充を続けた結果、中堅層が不足し、保線現場などの業務は外注化して別会社が担うようになり、技術の承継がなされなくなっている。そして、現在でもJR総連傘下の多数派組合について優遇し他の組合を差別するという労務政策が継続されていることも、安全を求める現場の声が反映されないことの原因となっている。

4 そこで、以下のことを訴える。

 当面の緊急課題としては、今回の連続事故の原因が極限的な人減らしにある以上、外注化をはじめとする合理化は直ちに中止して、運転・施設を問わず、経験豊富な職員の大増員を要求する。特に外注化は技術の継承を不可能にするため、即刻中止すべきである。また、国鉄分割民営化の際の組合差別を反省し、各組合を平等に扱い、安全を求める声に耳を傾けるようにすべきである。

 その後の究極的な課題としては、信楽鐡道事故以来の鉄道事故は分割民営化路線の延長線にある必然的な事故である以上、破綻した分割民営化を改め、全国を一体的に運営する公共鉄道機関の復活・JRの再国有化を要求する。

5 以上、決議する。

 元国労闘争団を応援する団結まつりしゃべり場参加者一同

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JR北海道で発生した連続事故及び日本国有鉄道改革の見直しに関する質問主意書

2013-11-06 22:38:42 | 鉄道・公共交通/安全問題
JR北海道の安全問題について、安全問題研究会は、11月6日、山本太郎参議院議員を通じて質問主意書を提出した。質問主意書の内容は以下の通り。

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(参議院ホームページより)

質問第四五号

JR北海道で発生した連続事故及び日本国有鉄道改革の見直しに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十五年十一月六日


山 本 太 郎   


       参議院議長 山 崎 正 昭 殿



   JR北海道で発生した連続事故及び日本国有鉄道改革の見直しに関する質問主意書

 最近、JR北海道でレール破断、列車の発煙・出火、燃料漏れ、脱線等の事故が相次いでいる。これらの事故の背景として、実施から二十六年を経過した日本国有鉄道の分割民営化(以下「国鉄改革」という。)を指摘する声があることを踏まえ、以下質問する。

一 JR北海道は、国鉄改革による会社発足時、社員数が約一万三千人であったが、現在は約六千八百人と約半数に減少している。一方、特急列車の本数は会社発足時、一日当たり七十八本であったものが現在は百四十本とほぼ倍増している。また、札幌と釧路の間における特急列車の所要時間は最短で約四時間三十分であったものが現在は約三時間四十分と約五十分も短縮している。鉄道の運行現場の実態を無視したこのような極端な人員削減と増発が、運行現場に過酷な負担を与え、事故続発の原因となっているものと考えられるが、この点に関し、JR北海道を監督する立場としての政府の見解を明らかにされたい。

二 二〇一二年度末におけるJR各社の社員数は、JR東海が営業キロ千九百七十・八キロメートルで一万八千九十四人であるのに対し、JR北海道は営業キロ二千四百九十九・八キロメートルで六千七百八十九人となっている。営業キロ一キロメートル当たり社員数にするとJR東海の九・一八人に対しJR北海道は二・七二人に過ぎない。

 営業キロがJR東海より長いJR北海道が、JR東海の約三分の一の社員数で鉄道の運行に当たろうとすること自体無理であり、事故が続発するのは当然であると考える。JR北海道を監督する立場として、この事態をどのように考えているのか、政府の見解を明らかにされたい。

三 新聞各紙の報道によれば、「修繕、改修のための資材を本社に手配しても、要求数通り納品されることはまずない」との声がJR北海道現場労働者から上がっているとされる。そもそもJR北海道、四国、九州の三社は、国鉄改革当時から経営安定基金を設け、その運用益から欠損を補てんするよう措置されている。自立的経営が不可能であることは当初から明らかであり、JR北海道の自力再建は困難であると考えられるが、国鉄改革に当たった政府として、責任をどのように考えているか明らかにされたい。

四 現在、JR各社の保線や車両整備は、そのほとんどを協力企業の請負労働者が担っているが、国鉄改革に際し、優れた技術を持った労働者が解雇され、協力企業の請負労働者に切り替えられた際に技術が継承されなかったことが脱線事故の原因として指摘されている。解雇された労働者は、国鉄改革に反対していた特定の労働組合に所属する者に集中しており、JR新会社への雇用に当たって労働組合による差別を行わないよう求めた参議院日本国有鉄道改革に関する特別委員会附帯決議(一九八六年十一月二十八日)にも反するものであった。被解雇者が提起した訴訟においても組合差別の存在は確認されているところである。

 このような経過から考えれば、JR北海道の一連の事故は、所属労働組合のみを理由として、優れた技術を持った労働者に至るまで、勤務成績に関係なく解雇した結果であり、国鉄改革に起因すると考えられるが、政府の見解を明らかにされたい。

五 道路の維持管理は政府や地方公共団体などの公共セクターが実施しており、空港もほとんどが公共セクターによる維持管理が行われている。しかしながら、鉄道に関しては線路の維持管理は原則として鉄道事業者に委ねられている。同じ公共交通である以上、道路や空港と同様、鉄道線路の維持も国や地方公共団体により行われることが必要と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

六 一九九八年五月、黒野匡彦運輸事務次官(当時)が「国鉄改革は百年後も正義であり続ける」旨発言したとされるが、JR西日本で福知山線脱線事故が起き、JR北海道でも連日事故が続く今なお、その認識に変化はないのか、政府の見解を示されたい。

七 政府は、旧国鉄をJR地域六社に分割した手法について、誤りはなかったと考えているのか。誤りはなかったと考えている場合、なぜ旧日本電信電話公社、旧日本道路公団及び旧日本郵政公社の分割の際、同様の手法を採らなかったのか。

八 JR福知山線事故やJR北海道の連日の事故を踏まえ、国鉄改革を検証し、見直す考えはないのか、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。

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