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国は今こそ貨物列車迂回対策を!

楢葉町の「中間貯蔵施設住民投票拒否」とその背景を考える

2014-01-30 22:57:24 | 原発問題/一般
道筋見えず、いら立ち 「中間貯蔵」楢葉、拒否の意向(福島民友)

楢葉町の住民投票条例案、再び否決 中間貯蔵施設めぐり(朝日)

「フクシマを核処分場にする計画」を改めて検証してみる(ブログ「反戦な家づくり」)

福島県楢葉町で、除染に伴って出る汚染廃棄物の中間貯蔵施設受け入れの是非を巡って住民投票を行うよう市民グループが求めていた問題で、楢葉町議会は請求を僅差で否決した。否決は昨年秋に続き2度目で、住民投票実施を求める声はまたも葬られた。

中間貯蔵施設を受け入れるかどうかを巡っては、福島県内世論も真っ二つに割れているように見える。「『低濃度』だから問題ない」「受け入れないと県内各地の除染が進まない」「候補地がゴネているから除染が進まないと受け止められる」として受け入れを容認(あくまで推進ではなく、消極的容認が大半だろう)する声の一方、「受け入れれば『県内を最終処分場にしない』との約束は反故にされ、最終処分地になる」「受け入れれば『危険』とのイメージができ、若い世代を中心に住民帰還が困難になる」として受け入れに反対する声もある。

当ブログは、従来から、予防原則の立場に立ち、少しでも発癌リスクを増やすおそれのある放射線被曝はできる限り低減すべきとの考えであり、この春にも避難区域解除が見込まれる「避難指示解除準備区域」(被曝量20mSv/年以下)を含め、住民は帰還すべきでないと思っている。避難・移住をできるだけ広く認めるべきだ。

中間貯蔵施設についての当ブログの立場を明らかにしておくと、現時点での設置は時期尚早と思っている。何よりも、福島県内でまことしやかにささやかれている「中間貯蔵施設ができれば除染が進む」論自体がかなり怪しい。国や県は除染で県内の空間線量が下がったと盛んに効果を宣伝しているが、福島原発事故で放出された放射性物質の中には半減期が2年と短いセシウム134が大量に含まれていた。除染など行わなくとも、自然減衰により3~4割程度、空間放射線量が減ることは当初からわかっていたことだ。それに対し、除染で放射線量が「低減した」といっても低減率は2~3割程度であり、自然減衰の影響か除染の効果か検証できない程度にとどまっている。

福島では森林除染が行われておらず、風雨のたびに山林から住宅地に放射性物質が流れ込んで除染の効果を見えにくくしている。それに、そもそも壊れた原子炉から環境中への放射能漏出が止まっておらず、放射性セシウムだけで1時間当たり1000億ベクレルもの垂れ流しが続いている現状で、除染がいたちごっこに過ぎないことは最初からわかっていたことだ。いわば「汚染の元を絶たないで汚れる端から掃除をしている」状況は、原発事故当初から何も変わっていない。これで「中間貯蔵施設ができれば除染が進む」とはとうてい考えられない(「作業としての除染」は進んでも放射線量の低減にはつながらないと言ったほうがより正確であろう)。にもかかわらず除染が続けられているのは、福島県内の雇用対策の部分が大きい。

2つ目として、中間貯蔵施設を受け入れれば最終処分場になることは確実だ。政府は「最終的には県外に汚染廃棄物を搬出できるよう法制化も検討する」と表明している。しかし、高濃度に放射能汚染されてしまった福島県内ですら受け入れ先がないものを他の地域で受け入れてもらえると考えるのは甘すぎる。政府が「初めは県外」と約束しながら、究極の迷惑施設であるためどこにも引受先が現れず、約束はやがて反故にされ、そのうち地元の人たちが「約束が違う」と怒り出す…つい最近も、そんな話を私たちはどこかで聞いた記憶がある。そう、沖縄における米軍普天間基地の「移設問題」と同じように、最終的には福島に固定化、という流れになるだろう。

そして、3つ目。当ブログが中間貯蔵施設設置に反対するのはこの理由が最も大きいが、もしこれを地元が認めれば、「受け入れるのは除染土のみであり、高レベル廃棄物はお断り」という約束を彼らは必ず反故にし、使用済み核燃料の処分場にするだろう。そして、使用済み核燃料の処分場が見つかれば、日本の原発は「トイレのないマンション」状態を脱するおそれがある。つまり、原発が永遠に止まらないという悪夢が待っているかもしれないのだ。

高レベル放射性廃棄物の処分については、すでに、内閣府原子力委員会からの諮問に対して、2012年9月、日本学術会議が「日本では長期にわたって安定した地盤がなく、地層処分は不可能。当面は一時保管とすべき」とする答申をまとめ公表している(こちら)。この面からも、日本学術会議の答申をいわば「錦の御旗」にして、中間貯蔵施設が「高レベル廃棄物最終処分場」に化けるおそれは十分にある。

当ブログ読者の中には、「いくら何でも、そこまで露骨なだまし討ちはあり得ないだろう」と、この期に及んでなおありもしない政府の「善意」を信じたい人もいるかもしれない。しかし、そうだとすると、当ブログにはどうしても拭い去ることのできない大きな疑問がある――中間貯蔵施設の設置場所が「帰還困難区域」である大熊町・双葉町はともかく、「避難指示解除準備区域」として(当ブログは反対だが)少なくとも国・県の基準ではじゅうぶん帰還が可能と考えられている「低線量」区域の楢葉町がなぜ中間貯蔵施設の候補地になっているのだろうか――? なにしろ、楢葉町の空間放射線量はこちらに掲載されているとおりであり、当ブログ管理人が昨年3月まで住んでいた福島県白河地域の放射線量とほとんど変わらないのだ。

ここで、以前、当ブログで一度ご紹介した「反戦な家づくり」というブログを再び想起してほしい――「フクシマを核処分場にする計画」を改めて検証してみると題する2011年5月21日付け記事の中に、驚くべき記述がある。

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■■ 最終処分場探しは、本気の本気で進められている

国の方針として、最終処分場は2020年には候補地を確定して、2035年ごろには操業開始 ということになっている。2020年に候補地を確定させるとなると、もう今頃はいくつかに候補を絞って、技術的な検討と地元説明に全力をあげなくてはならない時期だ。

しかし、これまで、高知県東洋町をはじめ、多くの町が手を上げたが、ほとんどは地元の反対でつぶれている。詳しくは、「環境と原子力の話」というホームページの中の、こちらに詳しくまとめられている。こんなに多くの動きがあったのかと、驚くばかりだ。

処分場誘致の動き

 
なかなか表沙汰にならない動きを、丹念にまとめられており、とても貴重な資料。この中で、注目すべきは、福島県楢葉町と、青森県東通村だ。

楢葉町は言うまでもなく福島第2原発のある場所。東通村は東通り(ママ)原発のある場所。いわば、毒を食らわば皿まで、ということ。なにせ、原発の地元は、極端に反対をしにくい場所だ。どんなことであれ、原発に歯向かうことは村八分になる。少なくとも、3月11日までは。

だから、多くの場所は何やかんや言いつつ、とりあえずは撤回や拒否という結論が出ているのに、この2箇所は拒否という結論になっていない。つまり、現役の候補地なのである。

この点を見ても、原発直下が最終処分場という考えは、荒唐無稽でも陰謀論でもなく、もっとも確率の高い候補地として進められてきたことがわかる。

(中略)

地図〔略〕の下の方に見える楢葉町が、2009年に「高ベル核廃棄物処分場」に立候補した町。今でもその時の町長が現役のはず。
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そう、楢葉町はなんと高レベル放射性廃棄物最終処分場の現役候補地だったのである。立候補したのは、記事にあるように2009年だ。中間貯蔵施設の候補地が帰還困難区域内とされた大熊町・双葉町を尻目に、楢葉町だけ低線量区域であるにもかかわらず中間貯蔵施設の候補地となった背景に、当ブログはこの問題があると見ている。国にとって、この手の迷惑施設を押しつける上で最も面倒なのは地元同意を取り付けることだが、「高レベル放射性廃棄物最終処分場候補地として、カネ欲しさに自分から手を挙げるような自治体であれば説得は容易」「地元同意のハードルなんて事実上ないに等しい」と国は考えているだろう。要するに楢葉町民は舐められているのだ。

もし、楢葉町が何らの抵抗もせず、唯々諾々と中間貯蔵施設を受け入れたらどうなるか。「高レベル放射性廃棄物最終処分場として、必ずなし崩し的に持って行かれる」と当ブログは断言できる。楢葉町が抵抗すれば、国は間違いなく恫喝してくるだろう――「お前たちは高レベル放射性廃棄物最終処分場候補地にみずから名乗りを上げたではないか。除染廃棄物程度の低濃度のものの受け入れに今さら反対するのか」と。そして、自分たちが原発を推進し、事故を引き起こした責任を棚に上げ、こうも言うだろう――「お前たちのエゴのせいで、福島の他の地域で除染が進まず、子どもを持つお母さんたちが被曝の恐怖に震えている」と。福島県民同士をいがみ合わせ、分断支配しようとする策動がまた始まるだろう。

だから、当ブログははっきり言う。少なくとも、国として脱原発の方針が確定するまでは、福島県内のいかなる市町村も「中間貯蔵施設」を受け入れてはならない。福島県民は一致団結し、「オール福島」として断固抵抗すべきだ。「高レベル放射性廃棄物最終処分場候補地にみずから名乗りを上げたお前らが、中間貯蔵施設に反対するのはおかしい」と国に恫喝されたら、楢葉町民はこう言ってやればよいのだ。「立候補した2009年当時と3.11以降は違う。小泉純一郎でさえ180度変わったのだから、俺たちが変わって何が悪い」と。

将来、日本が国として、決して後戻りすることのない揺るぎない脱原発の方針を決めたら、そのとき、放射性物質の処分場を帰還困難区域に置くことは、放射性物質の拡散防止の観点からやむを得ないと思う。その時にこそ、帰還困難区域を抱える県内自治体は、胸を張って処分場を引き受ければいい。

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