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「希望の党は絶望の党、自民党小池派」「国難は安倍首相本人」厳しい改憲勢力批判~10/9さようなら原発北海道集会

2017-10-12 21:06:45 | 原発問題/一般
(この記事は、当ブログ管理人が「レイバーネット日本」に投稿した内容をそのまま転載しています。)

10月9日、札幌・大通公園で行われた10/9さようなら原発北海道集会に参加した。さわやかな秋晴れの空の下、2200人(主催者発表)が集まった。

小野有五・北海道大名誉教授は、北海道電力泊原発(岩内町、泊村)沖合にある断層について、原子力規制委員会が「活断層」とする考え方を支持している現状とこれまでの推移を報告。「規制委が初めて(断層が活断層でないとする)北電の主張を退けた。もう泊原発は動かないと思っている」と、再稼働阻止への自信を見せた。小野名誉教授は地質学者として、世界各地の地層を調査し、これらの資料を規制委に提出。規制委がこの断層を実地調査した結果、「活断層」との見方に変わるなど、規制委の審査に影響を与える活動を続けてきた。また、「できるだけ多くの人が北電から新電力に契約を切り替えることで、北電を追い込むことができる」と、新電力への契約切り替えを呼びかけた。

北海道では、2016年4月の電力自由化からわずか1年半で、15%近い契約が新電力に流出している。泊原発沖合の断層について活断層との見方を強めた規制委が北電に対し、追加の安全対策工事を求めたことと併せ、ダブルパンチだ。泊原発の再稼働の見通しが立たない状況に追い込んでおり、一部地元経済誌で北電の経営危機が取りざたされるほどだ。

続いて、西尾正道・北海道がんセンター名誉院長は「希望の党は絶望の党であり、自民党小池派に過ぎない」と批判。東京電力が福島県沖の海に投棄を計画している汚染水の主力、トリチウム(三重水素)の危険性をアピールした。トリチウムは水素の同位体であり、水素を含む細胞は水素の同位体を水素同様に取り込んでしまうため、細胞内に入り込んだトリチウムが直接細胞核に向かって放射線(β線)を発して破壊してしまう、とその危険性を強調。「泊原発ができるまで、北海道内市町村の中でがん死亡率が下位だった岩内町、泊村は原発稼働後がん死亡率上位になった」と警告した。

今、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が水爆実験に成功した可能性が指摘されているが、トリチウムは水爆の原料物質でもある(私は「科学者は戦争で何をしたか」(益川敏英・著)を読んでこの事実を知った)。人体への影響もさることながら、「水爆の原料物質が含まれた福島沿岸の魚を食べたいか」と聞かれて、食べたいと答える人はいないだろう。東電による汚染水の海洋投棄は許されない。

麻田信二・北海道生活協同組合理事(学校法人「酪農学園」前理事長)からも、厳しい安倍政権批判が飛び出した。「秘密保護法、違憲の安保法制、共謀罪。そしてあまり注目されていないが食の安全を脅かす種子法廃止。北朝鮮への軍事挑発。安倍首相は国難突破解散と言うが、国難を作り出しているのは安倍首相本人だ」。

麻田さんが少し前まで理事長を務めていた酪農学園は、首都圏以外で私学としては唯一、獣医学部を持つ。「加計学園に獣医学部を開設するための規制改革会議での審議内容は私の元に届いていた。安倍首相は、加戸守行・元愛媛県知事が獣医が足りないと言っていることを引き合いに、獣医が足りない足りないと討論番組で言っている。だが、この10年間で獣医は8千人も増えている」と、安倍首相のウソを一刀両断した。獣医学教育の最前線にいる人の発言だけに重みがある。

ちなみに、加戸元愛媛県知事もまた、日本会議愛媛県支部役員を務める安倍の「オトモダチ」人脈のひとりだ。知事時代の2001年には、愛媛県立高校の歴史教科書にあの扶桑社版(「つくる会」教科書、現在は育鵬社版に引き継がれている)を採択するよう県教育長に働きかけ、採択にこぎ着けている。愛媛の教育右傾化に決定的な役割を果たしたと言っていい。そうした観点からは、加計学園問題のまったく違う側面が見えてくる。今治市への加計学園進出は、単なる獣医学部問題ではなく、安倍とそのお友達一派による愛媛の教育右傾化路線「総仕上げ」でもあることを、ここで忘れずに指摘しておきたい。

北海道幌延町には、日本原子力研究開発機構による放射性廃棄物処分に関する研究施設(幌延深地層研究センター)がある。その幌延町に隣接する豊富町で、酪農を営む傍ら、深地層研に反対し、3.11後は福島の子どもたちの保養も受け入れてきた久世薫嗣さん。今年になって経産省が核のごみ「適地マップ」を発表した背景について興味深い指摘をした。高レベル放射性廃棄物は、受け入れを表明していない自治体の区域を通過して陸上輸送することは認められておらず、内陸部の自治体はそもそも受け入れできない制度なのだという。「適地マップ」では沿岸部の自治体が軒並み「適地」を示す緑色に塗られているが、これはそもそも陸上を通過せず、船で沿岸部の自治体に直接、廃棄物を持ち込むためのものだという指摘は重要だ。

久世さんの話を聴いて「やはりそうだったか」との思いを新たにした。原発の立地場所を先に決めてから、その場所が地震が少なく、活断層もない場所であるかのようなデータを出すということを繰り返してきた原子力ムラの非科学的で汚いやり口は福島第1原発事故の後もまったく変わっていない。どうせまた財政難の自治体に目をつけ、札ビラで受け入れを迫るつもりなのだろう。

私は、今年3月、旭川市での反原発集会でも久世さんの話を聴いている。「高レベル放射性廃棄物の輸送は、強い放射線が船外に漏れ出ないよう遮蔽しながら行わなければならないため、ある程度大きな船がいる。そのため、ある程度大きな船が入れる大きな港が必要になる。核のごみを受け入れたくない自治体は、立派な港湾を整備してはいけない」という話だったと記憶している。もし、皆さんの住んでいる地域で、国から港湾整備をしませんか、という話があったときは、地元の持ち出しなく便利になるのだから、と安易に受け入れず一度立ち止まってほしい。うまい話には必ず裏があるのだ。

この他、ルポライターの鎌田慧さん、上田文雄・前札幌市長からスピーチがあった。

集会後は、「自然とともに生きるなら原子力なんて必要ない」「原発をなくすことは核の脅威をなくすこと」と書かれた横断幕を掲げた小野さん、西尾さん、麻田さんらを先頭に、労働組合、市民が大通公園から札幌市中心部を経て北海道庁前までデモ行進。晴れ渡る空の下、サウンドデモの小気味よいリズムが響き渡った。

「原発をなくすことは核の脅威をなくすこと」は、昨年までのこの集会のスローガンにはなく、今年から追加されたものだ。選挙で無党派層の票をかすめ取るため、ポピュリズム的に「原発ゼロ」を掲げながら、同じ口で北朝鮮への圧力強化を叫び、核ミサイルの危険を招き寄せている希望の党の欺瞞を暴くこのスローガンを、私は個人的に気に入った。

(文責・黒鉄好)

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