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「福島から始発で間に合わず「傍聴抽選遅くして」」とのメディア報道について

2017-10-15 21:02:52 | 原発問題/一般
福島から始発で間に合わず「傍聴抽選遅くして」(読売)

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 東京電力福島第一原発事故で強制起訴された東電旧経営陣の刑事裁判を巡り、事故被害者らで作る「福島原発告訴団」などは12日、傍聴希望者の受付時間を遅らすよう求める要請書を東京地裁に提出した。

 同地裁では、傍聴希望者が多いと予想される裁判については、当日の受付時にクジで傍聴者を選ぶ。今年6月30日午前10時に始まった旧経営陣の初公判では、締め切りの午前8時20分までに717人が集まり、54人が当選。倍率は13倍だった。

 一方、福島駅からは始発電車に乗っても東京駅に着くのは午前8時16分のため、告訴団のメンバーらは夜行バスを利用するなどしたという。要請書では「事故の最大の被害地域の住民が傍聴するのが非常に困難」と指摘。次回以降の公判の締め切り時間を遅らせるよう求めた。これに対し、東京地裁は「コメントできない」としている。
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当ブログ管理人も告訴人のひとりとして参加している福島原発告訴団が東京地裁宛てに行った、傍聴抽選の開始時間を遅くするよう求める要請の内容が、メディアで報道された。記事は読売の他、共同通信の配信で地方紙にも掲載されている。もともとは告訴団が報道各社に宛てて行ったプレスリリースに基づいて報道されたものだ。

傍聴抽選の時間が朝7時30分に設定されたため、原発事故で最も大きな被害を受けた福島県民が、当日朝の出発では傍聴できなくなってしまった問題は、当ブログ管理人が月刊誌「地域と労働運動」2017年8月号に発表した原稿の中で触れている(当ブログにも過去記事として掲載)。

上記、読売の記事が転載されたヤフーニュースのコメント欄には、事情を知らない閲覧者によって「地元の福島地裁に訴えればよかったのに」等のコメントが書き込まれているのが散見されるが、そうした書き込みをしている人は、上記の過去記事を見てほしい。もともと、福島原発告訴団は地元の福島地検に告訴・告発していたが、検察が事件を東京地検に移送したためこのような事態になっているのだ(もちろん、この移送は告訴団に了解なく勝手に行われたものである)。検察審査会法は、「事件を処理した検察官が所属している地検を管轄する検察審査会」でしか審査を認めていないため、東京地検に事件が移送された結果、東京の検察審査会でしか強制起訴の判断ができず、裁判所の管轄も東京地裁になってしまったのである。

当事者である福島県民で作る「福島原発告訴団」の了解を得ることもなく、検察が不当な事件処理をしてきたことが「裁判の東京移送」の原因だ。そのような不当な事件処理に巻き込まれただけに過ぎず、何ら落ち度のない福島県民が、今度は裁判所による傍聴抽選時間の設定によって裁判を傍聴する権利を制限される。これが単純に人権侵害だという事実を、理解できていない人が多すぎるのである。

もっとも、検察当局は、福島原発告訴団による告訴・告発を東京地検に移送したことを、今ごろ後悔しているのではないだろうか。福島地検が不起訴処分を行った後続の第2次告訴は、福島の検察審査会で強制起訴にならなかったからだ。大変申し訳ないが、東京と福島では、検察審査会で審査員を務める市民にも能力・識見の面で大きな差があることが明らかになったといえよう。全国から優秀な人材が集まっている首都としての東京のいろいろな意味での「力」を認識させられる結果だったとも言える。

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