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【訃報】反原発学者・吉岡斉さん死去

2018-01-15 00:13:55 | 原発問題/一般
<訃報>吉岡斉さん64歳=九州大教授 脱原発けん引(毎日)

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 東京電力福島第1原発事故に関する政府の事故調査・検証委員会(政府事故調)委員を務め、脱原発運動をけん引してきた九州大教授の吉岡斉(よしおか・ひとし)さんが14日午前8時すぎ、肝神経内分泌腫瘍のため、福岡市の九州大病院で死去した。64歳。葬儀は未定。

 富山県生まれ。東大大学院修了。和歌山大助教授のほか、九州大では2010年4月から14年3月まで副学長も務めた。専門は科学史。日本の原子力導入の歴史を科学的に分析するアプローチで、原子力政策の問題点を検証してきた。

 福島事故後に発足した市民団体「原子力市民委員会」では座長を務め、政策提言書「原発ゼロ社会への道」をとりまとめるなど脱原発運動をけん引してきた。
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元九州大副学長の吉岡斉さんが死去した。内閣府原子力委員会専門委員、経済産業省エネルギー調査会臨時委員、また福島原発事故後は東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会(政府事故調)委員などを歴任。当ブログが吉岡さんを初めて知ったのは福島原発事故後、「原子力市民委員会」座長としてだった。64歳、現役の九州大教授としてあまりにも早すぎる。当ブログはここに謹んでご冥福をお祈りする。

原子力市民委員会が発行している政策提言書「原発ゼロ社会への道~脱原子力政策実現のために~」はインターネットにも掲載されている。原子力の問題点とその克服策をあらゆる角度から検証したもので、他の追随を許さないほどの充実ぶりだが、300ページを超える内容では読むのが困難だ。紙版が1,500円で購入できるので、今後の原子力市民委員会の活動基盤を維持する上でもぜひ購入して読んでほしい(なお、1月いっぱいは最新の2017年版が1,000円で購入でき、購入者で希望する人には2014年版がサービスで1冊付いてくる特典もある)。

反原発・脱原発運動をけん引した人々の中でも、吉岡さんはいわゆる活動家タイプではなく、学者として一歩引いたスタンスで原子力政策の問題点を指摘する姿勢を貫いた。そのため、活動家タイプの人からは「物足りない」と評されることもあったようだが、このスタンスを貫いたことで、吉岡さんが行う脱原発の政策提言は地に足のついた着実なものとなり、かえって信頼性を増すことにつながった。私は直接お会いしたことはないが、核のごみ問題に対して「政府が進めている高レベル放射性廃棄物処分場の受け入れ地を絶対に決めさせてはならない。そうすれば日本の原発推進政策を破たんに追い込むことができる」と話していたことが印象に残っている。

「高レベル放射性廃棄物処分場の受け入れ地を決めさせるな」という指摘は、原発推進の人々や、原子力に不安を抱いているものの内実にあまり詳しくない人々から見ると無責任に聞こえるかもしれない。だが吉岡さんの名誉のために述べておくと、これは事実であり、原発推進の国策を変えたり、脱原発の政権に交代させたりする見通しが当面立たない現状では、おそらく日本の原発推進政策を実質的に破たんに追い込む最も効果的で、かつほとんど唯一の方法だと思う。高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉決定や、六ヶ所村の核燃料再処理工場の実質的破たん(すでに稼働開始は24回延期されている)により、搬出先が見つからないまま、各原発の使用済み燃料プールが燃料で満杯になりつつある。このまま推移すれば、各原発の使用済み燃料プールは6~10年程度で満杯になると試算する専門家もいる。原子炉内にある使用済み燃料も取り出せなくなって次々と原子炉が稼働停止に追い込まれていく、というシナリオが現実味を帯びてきている。政府・自民党がどんなに原発を稼働させたくても物理的に不可能となる状況が刻一刻と迫っているのである。もしここで1カ所でも処分地に名乗りを挙げる地域が現れれば、原子力ムラは永遠に原発を運転し続けられる。だからこそ吉岡さんが指摘したように「処分場の場所を決めさせない」ことが最も重要なのである。

無責任? もちろんである。だが核のごみの処分場の場所も、いやそれどころか処分方法さえ決めず、日本全国54基もの原発を「トイレのないマンション」状態のまま見切り発車で稼働させてきた人類史上最悪の無責任集団・原発推進派に吉岡さんを無責任呼ばわりする資格などあるわけがない。当ブログは、吉岡さんの遺志を受け継ぎ、核のごみの処分場を決めさせないための闘いに引き続き全力を尽くしていく。吉岡さんの墓前に「日本の原発の滅亡」を報告できる日は、おそらく私の存命中に必ずや訪れるであろう。

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