安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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核のない未来を願って 松井英介遺稿・追悼集(緑風出版)

●安全問題研究会が、JRグループ再国有化をめざし日本鉄道公団法案を決定!

●安全問題研究会政策ビラ・パンフレット
こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

「北の鉄路守ろう! 根室本線は北海道の幹線! 災害復旧と存続を求める3.23札幌集会」開催

2021-04-17 19:01:01 | 鉄道・公共交通/交通政策
(この記事は、当ブログ管理人が月刊誌「地域と労働運動」2021年5月号に発表した原稿の一部を掲載しています。)

 「北の鉄路守ろう! 根室本線は北海道の幹線! 災害復旧と存続を求める札幌集会」が3月23日、札幌市内で開催。ソーシャルディスタンスを確保しつつ、81人が全道から集まった。本来であれば昨年3月に開催予定だったがコロナ感染の急拡大で11月に延期、11月も直前に再延期された。この間、路線廃止反対の市民がコロナで動きを取れないでいるうちに、日高本線の廃線が決定(4/1付廃止)するなど、待ったなしの情勢だった。

 ●国の責任認めさせる

 主催団体「根室本線の災害復旧と存続を求める会」(根室本線の会)の平(ひら)良則代表が「2016年の台風災害に便乗した鉄路廃止・バス転換は、国鉄民営化当時の国会決議無視であり許されない」と開会あいさつ。1986年11月、国鉄分割民営化関連8法案の可決成立の際の付帯決議では、JR各社の「輸送の安全の確保及び災害の防止のための施設の整備・維持、水害・雪害等による災害復旧に必要な資金の確保」を求めている。

 池本柳次北海道議会議員(民主党・道民連合、元国労中央本部青年部長)は「青函トンネルを介して、本州、四国、九州へと人と物が安全にして大量に正確に運ばれた。日本の経済発展の原動力としての役割を鉄道は果たしてきた。その鉄道を分割民営後は、赤字路線という表現で片っ端から廃止をする。そんな事態を招いた分割民営化は失敗だったと国に認めさせよう」と、国の責任を追及し、国の責任で路線を維持させる地元からの決意を表明した。

 武田泉北海道教育大学札幌校准教授は、「改正」のたびに減便、廃駅、終電繰り上げが繰り返され、不便になっていく北海道内のJRダイヤを告発。わざと列車を不便にして乗客が減るように仕向け、廃線への布石にしようとしていると指摘。公共交通事業者としての責任を放棄するJR北海道を批判した。

 根室本線の会の佐野周二事務局長(元国労帯広闘争団長)は「冬こそ鉄道というイメージがあった。国鉄時代は少々の雪は何とか対応できた。今は安全のためといえば聞こえはいいが、ちょっとの雪ですぐ列車を止めてしまう。除雪要員を確保できていないからだ」と自身の国鉄時代の体験を踏まえ指摘。「根室本線がなくなるのは自分の身体が切られるのと同じ。何としてもオール北海道で鉄路を守りたい」と述べた。

 道内の各政党からは、畠山和也前衆院議員(共産)、浅野隆雄社民党道連幹事長、木山誠二新社会党札幌総支部書記長が連帯のあいさつをした(余談だが、立憲、社民両党の合流に当たって、社民党北海道連は立憲への合流はせず社民として残ることを決めている)。

 ●自治体騙し廃線狙う

 各界からのアピールでは、筆者も安全問題研究会代表として登壇した。「政治家も官僚も国民のための立法作業をしないなら、市民自ら対案を示すことも必要と考え、JRを全国一社に統合し再国有化するための法案を作成、公表した」と再国有化に向けたプランを披露。「日本より一足早く新自由主義時代に入った英国では1970年代に廃線にしたローカル線を復活する動きが出ている。新型コロナで失業した人の雇用の受け皿として廃線を復活させる計画だ」。労働集約型産業である鉄道で新たな雇用を作っていく英国の注目すべき動向を紹介しながら民営化見直しを訴えた。

 夕方の通学時間帯の列車をわざわざ減便にするJR北海道の姿勢に疑問と憤りを抱いた高教組組合員の教師らが調査したところ、廃線が狙われている留萌本線を通学に利用する多くの生徒がいることがわかった。高教組が沿線自治体首長に行った要請で「JRからは鉄道で通学する生徒はいないと聞かされていたので驚いた」と打ち明けられたことを高教組組合員は報告した。道民の生活の足である留萌本線を、沿線自治体にウソをついてまで廃線にしようとしているJR北海道の実態が暴かれた。

 集会は、路線維持を求めるアピールを採択。団結ガンバローで閉じた。

 ●JR支援延長決定

 経営危機のJR北海道、四国、貨物3社に対しては、民主党政権下の2010年に10年限りの経営支援策が決められた。菅政権は、この3月で期限切れの予定だった支援策をさらに10年延長するため国鉄清算事業団債務等処理法の延長法案を今国会に提出。3月26日、全会一致で可決成立した。

 延長法には、従来からの安全投資や観光振興などに加え、北海道・四国両社にとって重荷になっていた青函トンネルや瀬戸大橋の事実上の上下分離(維持管理の国への移管)、債務の株式化による追加出資と債務削減などが盛り込まれた。だが問題の根本原因である分割民営化体制には全く手を触れず、赤字のつど税金を投入するだけの問題先送りに過ぎない。

 集会で発言があったように、鉄道危機は歴代自民党政権が新自由主義政策によってみずから作り出したものだ。危機克服には抜本的な政策見直しが必要だ。


あいさつする畠山和也・前衆院議員


団結ガンバローで廃線阻止の決意を示す参加者

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