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「東アジア反日武装戦線」とその時代

2024-01-27 20:55:01 | その他社会・時事
指名手配の桐島聡容疑者?神奈川で入院 本人と認め、病院側が通報(毎日)

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 1974~75年の連続企業爆破事件で、爆発物取締罰則違反容疑で指名手配されている過激派「東アジア反日武装戦線『さそり』」メンバー、桐島聡容疑者(70)とみられる人物が神奈川県内の病院で見つかり、警視庁公安部が事情を聴いていることが捜査関係者への取材で判明した。公安部が桐島容疑者かどうか確認している。桐島容疑者は約50年にわたり逃亡を続けており、公安部は身元が確認でき次第、長年にわたる逃亡生活の実態解明を進める。

 捜査関係者によると、桐島容疑者とみられる人物は神奈川県鎌倉市内の病院に入院していた。当初は違う名前を名乗っていたが、25日に桐島容疑者本人と認める話をしたことから、病院関係者の通報を受けた神奈川県警が警視庁に連絡した。病状は重篤だといい、公安部は慎重に対応を進めている。

 公安部は、本人確認をDNA型鑑定などで進める方針だが、新たに親族から試料を採取するなどの対応が必要とみられ、捜査関係者は「時間がかかるのではないか」と話している。

 桐島容疑者は75年4月18日夜、東京都中央区銀座7のビル5階にあった韓国産業経済研究所の入り口ドアに手製爆弾1個を仕掛け、翌19日未明、時限装置で爆発させたとして指名手配されている。

 桐島容疑者の時効は、事件を共謀したとして逮捕・起訴された大道寺あや子容疑者(75)が、日本赤軍がインド上空で日本航空機をハイジャックした「ダッカ事件」(77年9月)で超法規的措置で釈放され、国外逃亡したことから停止している。共犯者の公判中は時効が停止するという刑事訴訟法の規定に基づくもので、公安部が行方を追っていた。

 桐島容疑者は広島県出身。事件当時は明治学院大の4年生だった。【木下翔太郎】

<連続企業爆破事件>

 反帝国主義や反植民地主義を掲げるテロ組織「東アジア反日武装戦線」が1974年8月~75年5月、三菱重工など旧財閥系やゼネコンなど海外進出する日本企業を標的に起こした事件。計12事件で8人が死亡し、多くの重軽傷者が出た。東アジア反日武装戦線には「狼」「大地の牙」「さそり」のグループがあり、桐島聡容疑者は「さそり」に所属していた。
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年明け早々、日本共産党で史上初の女性委員長が誕生したと思ったら、今度は「東アジア反日武装戦線」メンバーの桐島聡容疑者とみられる人物が末期がんを患い、神奈川県内の病院に重篤な状態で搬送されてきたことが判明したという。

「趣味者」の世界も、定期的にネタが投下され、唯一元気な「朝鮮クラスタ」(北朝鮮中心にウォッチしている趣味者)以外はネタにも乏しく、休業か廃業している人がほとんどだが、なぜかここに来て「趣味者」の本能を刺激する出来事が国内で相次いでいる。やはり時代は平穏から激動への転機なのか。

私が、東アジア反日武装戦線と聞いて最初に思い浮かべたのは「腹腹時計」(はらはらとけい)である。この言葉を知っているのは、当事者でなければ趣味者くらいだろう。普通の健全な人たちは知らなくて当然だし、世の中には知らないほうが幸せなこともある。たぶんこれもそのひとつに違いない。東アジア反日武装戦線のうち「狼」に属している人物、具体的には記事中に登場する大道寺あや子容疑者の夫、大道寺将司容疑者によって書かれたとされる爆弾製造法解説書である。単なる爆弾製造法の解説にとどまらず、都市におけるゲリラ戦術についても記載しているとされ、おそらく戦後日本で「球根栽培法」などと並ぶ「最危険文書」だといえる。

警察施設には桐島容疑者の指名手配写真が必ずと言っていいほど貼られているので、これまでも運転免許の更新などの際に何度も見てきた。他の指名手配容疑者は人相も悪く「いかにも」な感じを受けるが、桐島容疑者だけは学生時代の指名手配ということもあり「好青年」に映っている。こんな過激な左翼運動に身を投じず一般社会で普通に生きていれば、たぶん私なんかよりよほど女性にもモテていたんじゃないかと思うこともある。

東アジア反日武装戦線のことを歌ったと思われる曲がある。「おちめタンゴ2(ふたたび)」という曲である。検索した限り、リンク先のニコ動以外にはアップされていないようだ。Youtubeと違って当ブログへの埋め込み方がわからないので、気になる方はリンク先に飛んでほしい。

『腹腹時計に惑わされ ゲバ棒メットを投げ捨てて 模範市民を装って 爆弾仕掛けたこともある 目覚まし時計で足がつき/服毒自殺もできかねて 今じゃ時計の修理工』という一節は間違いなく、爆弾闘争に走った左翼を笑うものだ。「爆弾仕掛けた」の部分が聴き取れないように音声にボカシを入れたバージョンもある。

この曲を発表したのは「まりちゃんズ」という謎のグループである。1974~1976年の3年間しか活動期間がないが、世間に挑戦するような曲を次々発表したあげく、そのほとんどが要注意歌謡曲(いわゆる「放送禁止歌」)指定を受けた。そもそもデビュー曲のタイトルが「ブスにはブスの生き方がある」だから凄い。「戦後日本で最も強くなったのは靴下と女性」だといわれ、ウーマンリブ(女性解放)運動が最も華やかに展開されている時代にこれを発表したのだから、どれだけ命知らずなグループかわかるというものだろう。本人たちはパンクバンドと称しているが、コミックバンドに分類され、徹頭徹尾、悪ふざけを演じきったグループだった。

今の若い人には想像ができないかもしれないが、「ひろゆきや日本維新の会がバンドを組んだらこんな感じになるんじゃないか」といえばイメージできるかもしれない。ただ、まりちゃんズに比べたら、ひろゆきも維新も弱い者いじめが過ぎて少しも面白くない。悪ふざけという意味では同じだが、「理想実現」のためなら無差別に一般市民を巻き込むテロリストを笑うという意味では、まりちゃんズのほうがはるかに健全だ。

まりちゃんズは、1990年代に入って再結成され、「尾崎家の祖母(おざきんちのばばあ)」という曲がプチヒットした。私が彼らを知ったのもこの曲を通じてである。「KaraGen~湘南 から元気倶楽部 Cafe」というサイトの「スーパーパンクバンド ”まりちゃんズ”」というコーナーでこのバンドのことが紹介されている。あまりに詳しすぎる内容で驚かされるが、このサイトの管理人「静炉巌(せいろがん)」氏が「まりちゃんズ」のかつてのメンバー、尾崎純也氏ではないかというのが私の推測である(このサイトを詳しく見ていけば行くほど、そうとしか思えなくなってくる)。もし私のこの推測が正しいなら、「尾崎家の祖母」は尾崎純也氏の実在の祖母を歌った曲かもしれない。

最後はあらぬ方向に話が逸れてしまったが、桐島容疑者は半世紀近く、神奈川県内の土木会社で偽名を使って働いていたと報道されている。まりちゃんズが歌ったとおり「模範市民を装って」いたことになる。警察の任意の事情聴取に対し、「最期は本当の名前で迎えたい」との意向を示しているとされる。それならば、桐島容疑者には命あるうちにお願いしたいことがある。自分が若き青春時代を懸けた爆弾闘争について、ひとことでいいので謝罪してほしいのだ。

「東アジア反日武装戦線」が暴れ、「まりちゃんズ」がそれを腐していた時代まで、日本では左翼にもそれなりの支持があった。だが、連合赤軍による一連の事件や東アジア反日武装戦線に代表される爆弾闘争以降、左翼は坂道を転がり落ちるように支持を失っていった。それから半世紀経った今なお、左翼退潮は止まることなく続いている。

もちろん、過激なテロ・ゲリラ闘争のなかった諸外国でも左翼はおしなべて退潮しており、彼らだけにその原因すべてを求めるのも無理があろう。だが、海外で社会主義に復権の兆しが見えてきている中、日本でだけその兆しが見えない原因にこれらテロ・ゲリラ闘争を挙げたとしてもそれほど外れていないと思う。あの時代、爆破された企業ビルの中で働いていたのは、労働力を資本家に売る以外に生活のすべを持たないという意味で間違いなく「労働者」だった。「理想社会」が実現したあかつきには、ともに労働者として汗を流す「仲間」になるべき人だったはずである。それら罪のない労働者を無差別に巻き込むことは、いかなる理由があろうとも正当化することはできない。たとえあの頃が「そういう時代」だったとしても。

今、昭和の時代さながらの古い価値観から脱却できず、性加害・セクハラ・パワハラを続けてきた人物が、新しい時代の新しいルールに従って次々に告発されている。今を生きる人たちにとっては、「500年後の人類にも胸を張って正しいといえるかどうか」を確認してからでないと行動に移せない難しい時代になった。当然、社会変革も新しい時代にふさわしい形にリニューアルしていく必要がある。だが、そのために努力している多くの人たちが一般市民の支持を取り付ける上で「あの時代」が邪魔をしている。だからこそ、無差別に一般市民を巻き込むという取り返しのつかない過ちを犯した「桐島さん」(ここではあえてこう呼びたい)にとって「謝罪すること」が残された最後の役目だと私は思うのだ。

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