(この記事は、当ブログ管理人がレイバーネット日本に投稿した記事をそのまま掲載しています。)
店舗閉鎖に対抗する形で、昨年決行された西武池袋店のストライキは、小売業界としては実に61年ぶりということで、大きな社会的注目を集めました。「経営者によるどんな理不尽にも、解雇を恐れて黙って耐えなければならないのだ」という、日本人に染みついた奴隷根性を転換する一大事件だったと思います。
そして今回、エス・インターナショナル(「株式会社ケヒコ」)経営陣による会社財産の私的流用や偽装倒産攻撃に対抗して、北海道内の労働者がストライキに決起したという情報を聞き、こんな至近距離でこのような出来事が起きているなら、取材しない手はないと思い、21日、ストライキにより休業中の苫小牧市内2店舗(苫小牧店、苫小牧東店)を見てきました。
両店とも、照明が消された店内は無人で静まりかえっていました。労働者の姿もありませんでした。ただ、店舗裏面に回ってみると、大きな室外機が普段通り大きなうなり声をあげて動いていました。冷蔵品・冷凍品はいつでも営業再開できるように保存しておかなければならないので、考えてみれば当然のことです。
「月間特売」のチラシとスト決行中の張り紙が並んで張り出されていました。ストライキ期間は「7月18日(木)13:00~未定」と書かれており、組合側としても経営側との妥結の見通しは立っていないように見えました。
張り紙にはこのように書かれています。「現在、労働組合と会社側で労働争議が行われております。組合側は、代表取締役である菅井麻貴氏による会社資産の私的流用をやめさせ、経営陣による放漫経営の責任を問い、私たちの労働条件悪化を防ぐこと、雇用の安定を求めて闘っております。また菅井氏によるパワハラや不当労働行為に抗議しています。このまま放置すれば、私たち従業員の労働条件の悪化、さらには雇用も失われかねません。お客様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご支援のほどよろしくお願い申し上げます。全国一般東京東部労働組合エス・インターナショナル支部」
市民・顧客の支持を得るため、きちんと自分たちの主張の正当性、経営側の不当性を張り紙で顧客に伝える組合側の姿勢には好感を持ちました。西武百貨店のストにも共通していますが、小売業界のストライキは利用客の支持を得られるかが重要な鍵を握っていると考えるからです。
経営者による会社財産の私的流用で、会社の経営状態は極限まで悪化しており、このまま座して見ていても死を待つだけ。それなら立ち上がって勝負に出るべきだというかなり切羽詰まった状況が今回のストライキの背景にあるように感じました。この点も西武百貨店のストライキと共通しています。市民・顧客からの支持は必ず得られるし、そうなるように訴えていくことも支援者の役割だと思います。
店舗閉鎖となっているのは、「業務スーパーすすきの狸小路店」「業務スーパー苫小牧店」「業務スーパー苫小牧東店」「業務スーパー室蘭店」「業務スーパー岩見沢店」「業務スーパー滝川店」「業務スーパー旭神店」の7店舗です。どの店舗もストライキの影響は大きいと思いますが、その中でも圧倒的に大きな影響を与えているのはすすきの狸小路店でしょう。いうまでもなく、業務スーパーがここに店舗を構えている理由は、日本三大歓楽街の1つといわれるすすきのの飲食店街に、良質な食材を大量に安く提供することです。
札幌一極集中が強まり、北海道中の若者を札幌が飲み込んでいく中、週末ともなると、すすきのは深夜0時を過ぎても若者の列が横断歩道を渡るため、車が右左折もできないほどです。巨大歓楽街の「夜間経済」を陰で支える業務スーパーすすきの狸小路店の閉店が長引けば、歓楽街へもじわじわと影響が及んでくるでしょう。
利潤獲得が目的の民間企業とはいえ、経済活動を担う企業は社会的存在です。そこにはルールがあり、資本主義経済の下では企業は私的に所有されていますが、私的な所有形態であることと経営者の私物であることは必ずしもイコールではありません。会社のカネを自分のカネのように思っている経営陣が退陣し、労働組合と労働者の望む形で早期に争議が収拾されることを、一道民として望みます。
(取材:文責/黒鉄好)
店舗閉鎖に対抗する形で、昨年決行された西武池袋店のストライキは、小売業界としては実に61年ぶりということで、大きな社会的注目を集めました。「経営者によるどんな理不尽にも、解雇を恐れて黙って耐えなければならないのだ」という、日本人に染みついた奴隷根性を転換する一大事件だったと思います。
そして今回、エス・インターナショナル(「株式会社ケヒコ」)経営陣による会社財産の私的流用や偽装倒産攻撃に対抗して、北海道内の労働者がストライキに決起したという情報を聞き、こんな至近距離でこのような出来事が起きているなら、取材しない手はないと思い、21日、ストライキにより休業中の苫小牧市内2店舗(苫小牧店、苫小牧東店)を見てきました。
両店とも、照明が消された店内は無人で静まりかえっていました。労働者の姿もありませんでした。ただ、店舗裏面に回ってみると、大きな室外機が普段通り大きなうなり声をあげて動いていました。冷蔵品・冷凍品はいつでも営業再開できるように保存しておかなければならないので、考えてみれば当然のことです。
「月間特売」のチラシとスト決行中の張り紙が並んで張り出されていました。ストライキ期間は「7月18日(木)13:00~未定」と書かれており、組合側としても経営側との妥結の見通しは立っていないように見えました。
張り紙にはこのように書かれています。「現在、労働組合と会社側で労働争議が行われております。組合側は、代表取締役である菅井麻貴氏による会社資産の私的流用をやめさせ、経営陣による放漫経営の責任を問い、私たちの労働条件悪化を防ぐこと、雇用の安定を求めて闘っております。また菅井氏によるパワハラや不当労働行為に抗議しています。このまま放置すれば、私たち従業員の労働条件の悪化、さらには雇用も失われかねません。お客様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解とご支援のほどよろしくお願い申し上げます。全国一般東京東部労働組合エス・インターナショナル支部」
市民・顧客の支持を得るため、きちんと自分たちの主張の正当性、経営側の不当性を張り紙で顧客に伝える組合側の姿勢には好感を持ちました。西武百貨店のストにも共通していますが、小売業界のストライキは利用客の支持を得られるかが重要な鍵を握っていると考えるからです。
経営者による会社財産の私的流用で、会社の経営状態は極限まで悪化しており、このまま座して見ていても死を待つだけ。それなら立ち上がって勝負に出るべきだというかなり切羽詰まった状況が今回のストライキの背景にあるように感じました。この点も西武百貨店のストライキと共通しています。市民・顧客からの支持は必ず得られるし、そうなるように訴えていくことも支援者の役割だと思います。
店舗閉鎖となっているのは、「業務スーパーすすきの狸小路店」「業務スーパー苫小牧店」「業務スーパー苫小牧東店」「業務スーパー室蘭店」「業務スーパー岩見沢店」「業務スーパー滝川店」「業務スーパー旭神店」の7店舗です。どの店舗もストライキの影響は大きいと思いますが、その中でも圧倒的に大きな影響を与えているのはすすきの狸小路店でしょう。いうまでもなく、業務スーパーがここに店舗を構えている理由は、日本三大歓楽街の1つといわれるすすきのの飲食店街に、良質な食材を大量に安く提供することです。
札幌一極集中が強まり、北海道中の若者を札幌が飲み込んでいく中、週末ともなると、すすきのは深夜0時を過ぎても若者の列が横断歩道を渡るため、車が右左折もできないほどです。巨大歓楽街の「夜間経済」を陰で支える業務スーパーすすきの狸小路店の閉店が長引けば、歓楽街へもじわじわと影響が及んでくるでしょう。
利潤獲得が目的の民間企業とはいえ、経済活動を担う企業は社会的存在です。そこにはルールがあり、資本主義経済の下では企業は私的に所有されていますが、私的な所有形態であることと経営者の私物であることは必ずしもイコールではありません。会社のカネを自分のカネのように思っている経営陣が退陣し、労働組合と労働者の望む形で早期に争議が収拾されることを、一道民として望みます。
(取材:文責/黒鉄好)