24日、ついにロシア軍がウクライナに侵攻した。来るべき時が来たと当ブログは感じている。自称「専門家」の一部には、ロシア軍は侵攻しないとの甘い見通しを振りまく人もいたが、当ブログは侵攻は必ず起こるし、その時期も北京五輪が終わればすぐにでもあり得ると考えていた。ここでは、その根拠を示すとともに、今後起こりうる展開も含めて述べておきたい。
なお、あらかじめ述べておくが、当ブログ管理人は昨年10月4日付記事で告白したとおり、マルクス主義者であるとともに、いわゆる「共産趣味者」でもある。旧ソ連が失敗したのはソ連の官僚指令型社会主義が「人間の顔」をしていなかったからであり、社会主義のすべてが否定されたわけではない。人間の顔に装いを改めた新しい社会主義は必ず復興するし、またそうあらねばならないと考えている。従って以下の記事は「ロシア視点」で記述しながらも、帝国主義的なプーチン政権のロシアの立場を擁護するものではないことはお断りしておきたい。野蛮な帝国主義は、マルクス主義者としての当ブログ管理人が目指す人間の顔をした社会主義とは対極のものである。
* * *
当ブログ管理人が「侵攻は必ず起こるし、その時期も北京五輪が終わればすぐにでもあり得る」と判断した根拠は主に以下の2点である。
<根拠1>ロシアが2022年の新年早々から10万を超える兵力をウクライナ国境へ集結させていたこと
日本でもこのニュースは報道されている。軍事オタクならともかく、軍事に疎い一般の人々にとって、10万が軍事作戦上どのような意味を持つのかを判断するのは難しいかもしれない。しかし、自衛隊の兵員数が陸15万、海4.5万、空4.7万、計25万(出典:「令和2年版防衛白書」(防衛省・自衛隊ホームページ))という数字を示せばその巨大さがわかるだろう。自衛隊の兵員の約半数をウクライナ戦線に投入するのと同じことが起きているのである。ロシアのような広大な国土面積を持つ国では、兵員を移動させるだけでも莫大な経費がかかる。単なる軍事的威嚇や「こけおどし」のレベルでここまではしないであろう。新年早々、ロシアの本気度を見せつけるには十分な兵員数である。
<根拠2>ウクライナの死活的重要性
第2の根拠は、ロシアにとってのウクライナの死活的重要性である。ウクライナはロシアにとって裏庭というべき存在であり、ロシア革命によるソ連建国後、第2次大戦中の一時期、ナチス・ドイツに奪われたことがあるものの、ソ連が奪還した。以降、ウクライナはソ連内の共和国として存在し、ソ連解体後も現在のゼレンスキーが大統領に就任するまではずっと親露派政権が続いてきた。ウクライナはナチスから奪還後、ロシアにとって敵対的外国勢力には一度も割譲したことがない絶対不可侵の土地である。
ソ連・ロシアでは第2次大戦中の独ソ戦を「大祖国戦争」と呼ぶが、ウクライナ東部ハリコフは、ソ連軍とナチスドイツ軍が激突、死闘が繰り広げられ、多くの犠牲者を出した。世界地図を見ればわかるが、ウクライナ・ベラルーシ両国が親露派の手中にある限り、NATO加盟諸国は陸路で直接ロシア領内に入れない。一方でここを失うなら、ロシアにとってウクライナ領内に展開するNATO軍と国境で直接対峙しなければならない事態に陥る。これはロシアにとって悪夢そのものであり、第2次大戦後、最大の危機と言っても過言ではない。独裁者と呼ばれようが屁とも思わず君臨してきたプーチンにとって、この事態を指をくわえて傍観するなら、それは彼自身にとって「第2次大戦後のロシア史上初めて、敵対的外国勢力にウクライナを売り渡した男」の汚名を着せられることを意味する。それはプーチンにとって耐えがたい屈辱であり、政治的死と同じである。ロシアにとっての死活的利益と、彼自身にとっての名誉を守るためなら、どんなことでもするであろう。
以上の2つの根拠から、当ブログは遅かれ早かれ侵攻はあると考えてきた。ロシアに侵攻を思いとどまらせる唯一の手段は、ウクライナが望むNATO加盟を阻止することである。だがそのための外交努力が失敗した以上、侵攻は時間の問題だった。ただそれでも北京五輪閉幕までは待つだろうと当ブログは考えていた。北京五輪中に軍事行動を起こせば、開催国であり、ネット用語でいうところの「レッドチーム」仲間である準同盟国・中国の支持を失うという大きな政治的損失を伴うからである(レッドチームとは、東西冷戦時代に用いられていた「共産圏」という用語に意味としては近いと思う)。ロシアにとってウクライナはいつでも踏みつぶせる程度の小国であり、2週間やそこら待ったところで大勢に影響はないのである。
大半の日本人にとって初めて聞く話かもしれないが、ウクライナのゼレンスキ―大統領は元コメディアンである。政治経験、行政経験はなく、ポピュリズムと、旧ソ連時代、スターリンに虐げられてきたウクライナ国民の歴史的反ロシア感情をうまくくすぐり、大統領の地位をかすめ取った。
ウクライナ国民は、このようなばかげた人物を国のトップに選んだ政治的代償を、これから最も大きな形で払うことになる。コメディアンを大統領に選んだウクライナ国民の行動について、「吉本興業のお笑い芸人が大阪維新に担がれて首相を射止めるようなもの」だと例えれば日本人にもぐっと理解が容易になるであろう。面白半分に維新所属の犯罪予備軍を選挙で連戦連勝させるようなことをしていては、日本もいずれ戦争を招き寄せることになる。日本人にとっても教訓とすべきであろう。
同時に、忘れてはならないのは、ウクライナが四半世紀前、チェルノブイリ原発事故により国土の大部分を放射能で汚染された国家だということである。今回、ウクライナ軍は、チェルノブイリ事故で住民全員が強制避難させられ、無人となった原発労働者の町、プリピャチでロシア侵攻に備えた軍事訓練を行った。「高層マンションなどの建物が当時のまま残されていて、市街戦を想定した訓練に最適だ」というのがプリピャチを選んだ理由だというが、こんなばかげたことをやらかすこと自体が、コメディアン出身の大統領らしく、政治がテレビのお笑い番組レベルに退化してしまっている。放射能汚染に長期間晒され続けた人間は、この程度の思考力、判断力しか持ち得なくなるという事実を余すところなく示している。
そして、この光景はおそらく、日本でも福島原発事故で汚染された東北・関東を中心に、今後10~20年後どんなことが起こるかを示す先行事例でもある。このまま東京に首都を置いていては、日本は立ちゆかなくなるであろう。今からでも遷都、首都移転を真剣に考えるべきだと思う。
ロシアは今後、どこまで軍事作戦を続けるだろうか。親露派支配地域である「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」はおそらくロシアに併合され、チェチェン(旧ソ連時代の「チェチェン・イングーシ自治共和国」)のように自治共和国に降格されるかもしれない。ウクライナ全土を併合するには莫大なエネルギーを必要とするため、ロシアといえどもそこまでは難しいと思う。ロシアの目標はウクライナのNATO加盟を阻止することにあり、その目的が達成されれば十分であろう。
さしあたり、ゼレンスキ―大統領をモスクワに連れ去り、「NATO加盟はあきらめろ。それができないなら辞めろ」と脅す可能性はある。何しろ、旧ソ連はいわゆる「プラハの春」当時、市民とともに官僚指令型社会主義を「人間の顔をした社会主義」に改革しようとしていたチェコスロバキア共産党・ドプチェク第1書記をチェコに侵攻して連れ去り、モスクワで「改革路線を放棄」するまで脅した前科があるからだ。
ゼレンスキーを連れ去り、「NATO加盟をあきらめるか、辞めるか」迫り、受け入れるまでモスクワから帰さない。その上で、ゼレンスキーを辞任させ、ロシア国内でしているのと同じように、反ロシア派を殺すか逮捕し立候補できないようにして、親露派候補者だけの大統領「選挙」を実施、ウクライナを再び傀儡政権の下に置く--このあたりがロシアの考える「落としどころ」ではないだろうか。
なお、あらかじめ述べておくが、当ブログ管理人は昨年10月4日付記事で告白したとおり、マルクス主義者であるとともに、いわゆる「共産趣味者」でもある。旧ソ連が失敗したのはソ連の官僚指令型社会主義が「人間の顔」をしていなかったからであり、社会主義のすべてが否定されたわけではない。人間の顔に装いを改めた新しい社会主義は必ず復興するし、またそうあらねばならないと考えている。従って以下の記事は「ロシア視点」で記述しながらも、帝国主義的なプーチン政権のロシアの立場を擁護するものではないことはお断りしておきたい。野蛮な帝国主義は、マルクス主義者としての当ブログ管理人が目指す人間の顔をした社会主義とは対極のものである。
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当ブログ管理人が「侵攻は必ず起こるし、その時期も北京五輪が終わればすぐにでもあり得る」と判断した根拠は主に以下の2点である。
<根拠1>ロシアが2022年の新年早々から10万を超える兵力をウクライナ国境へ集結させていたこと
日本でもこのニュースは報道されている。軍事オタクならともかく、軍事に疎い一般の人々にとって、10万が軍事作戦上どのような意味を持つのかを判断するのは難しいかもしれない。しかし、自衛隊の兵員数が陸15万、海4.5万、空4.7万、計25万(出典:「令和2年版防衛白書」(防衛省・自衛隊ホームページ))という数字を示せばその巨大さがわかるだろう。自衛隊の兵員の約半数をウクライナ戦線に投入するのと同じことが起きているのである。ロシアのような広大な国土面積を持つ国では、兵員を移動させるだけでも莫大な経費がかかる。単なる軍事的威嚇や「こけおどし」のレベルでここまではしないであろう。新年早々、ロシアの本気度を見せつけるには十分な兵員数である。
<根拠2>ウクライナの死活的重要性
第2の根拠は、ロシアにとってのウクライナの死活的重要性である。ウクライナはロシアにとって裏庭というべき存在であり、ロシア革命によるソ連建国後、第2次大戦中の一時期、ナチス・ドイツに奪われたことがあるものの、ソ連が奪還した。以降、ウクライナはソ連内の共和国として存在し、ソ連解体後も現在のゼレンスキーが大統領に就任するまではずっと親露派政権が続いてきた。ウクライナはナチスから奪還後、ロシアにとって敵対的外国勢力には一度も割譲したことがない絶対不可侵の土地である。
ソ連・ロシアでは第2次大戦中の独ソ戦を「大祖国戦争」と呼ぶが、ウクライナ東部ハリコフは、ソ連軍とナチスドイツ軍が激突、死闘が繰り広げられ、多くの犠牲者を出した。世界地図を見ればわかるが、ウクライナ・ベラルーシ両国が親露派の手中にある限り、NATO加盟諸国は陸路で直接ロシア領内に入れない。一方でここを失うなら、ロシアにとってウクライナ領内に展開するNATO軍と国境で直接対峙しなければならない事態に陥る。これはロシアにとって悪夢そのものであり、第2次大戦後、最大の危機と言っても過言ではない。独裁者と呼ばれようが屁とも思わず君臨してきたプーチンにとって、この事態を指をくわえて傍観するなら、それは彼自身にとって「第2次大戦後のロシア史上初めて、敵対的外国勢力にウクライナを売り渡した男」の汚名を着せられることを意味する。それはプーチンにとって耐えがたい屈辱であり、政治的死と同じである。ロシアにとっての死活的利益と、彼自身にとっての名誉を守るためなら、どんなことでもするであろう。
以上の2つの根拠から、当ブログは遅かれ早かれ侵攻はあると考えてきた。ロシアに侵攻を思いとどまらせる唯一の手段は、ウクライナが望むNATO加盟を阻止することである。だがそのための外交努力が失敗した以上、侵攻は時間の問題だった。ただそれでも北京五輪閉幕までは待つだろうと当ブログは考えていた。北京五輪中に軍事行動を起こせば、開催国であり、ネット用語でいうところの「レッドチーム」仲間である準同盟国・中国の支持を失うという大きな政治的損失を伴うからである(レッドチームとは、東西冷戦時代に用いられていた「共産圏」という用語に意味としては近いと思う)。ロシアにとってウクライナはいつでも踏みつぶせる程度の小国であり、2週間やそこら待ったところで大勢に影響はないのである。
大半の日本人にとって初めて聞く話かもしれないが、ウクライナのゼレンスキ―大統領は元コメディアンである。政治経験、行政経験はなく、ポピュリズムと、旧ソ連時代、スターリンに虐げられてきたウクライナ国民の歴史的反ロシア感情をうまくくすぐり、大統領の地位をかすめ取った。
ウクライナ国民は、このようなばかげた人物を国のトップに選んだ政治的代償を、これから最も大きな形で払うことになる。コメディアンを大統領に選んだウクライナ国民の行動について、「吉本興業のお笑い芸人が大阪維新に担がれて首相を射止めるようなもの」だと例えれば日本人にもぐっと理解が容易になるであろう。面白半分に維新所属の犯罪予備軍を選挙で連戦連勝させるようなことをしていては、日本もいずれ戦争を招き寄せることになる。日本人にとっても教訓とすべきであろう。
同時に、忘れてはならないのは、ウクライナが四半世紀前、チェルノブイリ原発事故により国土の大部分を放射能で汚染された国家だということである。今回、ウクライナ軍は、チェルノブイリ事故で住民全員が強制避難させられ、無人となった原発労働者の町、プリピャチでロシア侵攻に備えた軍事訓練を行った。「高層マンションなどの建物が当時のまま残されていて、市街戦を想定した訓練に最適だ」というのがプリピャチを選んだ理由だというが、こんなばかげたことをやらかすこと自体が、コメディアン出身の大統領らしく、政治がテレビのお笑い番組レベルに退化してしまっている。放射能汚染に長期間晒され続けた人間は、この程度の思考力、判断力しか持ち得なくなるという事実を余すところなく示している。
そして、この光景はおそらく、日本でも福島原発事故で汚染された東北・関東を中心に、今後10~20年後どんなことが起こるかを示す先行事例でもある。このまま東京に首都を置いていては、日本は立ちゆかなくなるであろう。今からでも遷都、首都移転を真剣に考えるべきだと思う。
ロシアは今後、どこまで軍事作戦を続けるだろうか。親露派支配地域である「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」はおそらくロシアに併合され、チェチェン(旧ソ連時代の「チェチェン・イングーシ自治共和国」)のように自治共和国に降格されるかもしれない。ウクライナ全土を併合するには莫大なエネルギーを必要とするため、ロシアといえどもそこまでは難しいと思う。ロシアの目標はウクライナのNATO加盟を阻止することにあり、その目的が達成されれば十分であろう。
さしあたり、ゼレンスキ―大統領をモスクワに連れ去り、「NATO加盟はあきらめろ。それができないなら辞めろ」と脅す可能性はある。何しろ、旧ソ連はいわゆる「プラハの春」当時、市民とともに官僚指令型社会主義を「人間の顔をした社会主義」に改革しようとしていたチェコスロバキア共産党・ドプチェク第1書記をチェコに侵攻して連れ去り、モスクワで「改革路線を放棄」するまで脅した前科があるからだ。
ゼレンスキーを連れ去り、「NATO加盟をあきらめるか、辞めるか」迫り、受け入れるまでモスクワから帰さない。その上で、ゼレンスキーを辞任させ、ロシア国内でしているのと同じように、反ロシア派を殺すか逮捕し立候補できないようにして、親露派候補者だけの大統領「選挙」を実施、ウクライナを再び傀儡政権の下に置く--このあたりがロシアの考える「落としどころ」ではないだろうか。