安全問題研究会(旧・人生チャレンジ20000km)~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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ゆうパック、前代未聞の大混乱 配達2日遅れも

2010-07-04 23:10:31 | その他社会・時事
<ゆうパック>「お中元が届かない」百貨店、業者切り替えも(毎日新聞)

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 日本郵政グループの宅配便「ゆうパック」の集配作業の遅れが4日も続き、同便を使って贈答品などを販売している百貨店、名産品販売業者らは、宅配業者を切り替えるなど対応に追われている。7月上旬は「お中元」を配達するピークの時期とも重なり、消費者からは「指定した日に商品が届かない」などの不満も出ている。

 同グループの郵便事業会社で関西の配送拠点となっている大阪南港ターミナル支店(大阪市住之江区)。長さ200メートル、幅50メートルほどの建物内ではブルーの制服を着た従業員に加え、ジーンズなどの私服にヘルメットをかぶって作業する人の姿が目立った。非番の従業員もかき集めて、滞留した荷物の処理に追われた。

 「詳しいことは東京で聞いてほしい」。同支店の幹部は毎日新聞の取材に、緊張した面持ちで繰り返す。4日に東京都内の本社で会見した同社の鍋倉真一社長は「週明け早々に復旧する見込み」と強調した。

 配達の遅れは、中元シーズンに合わせ、旬の食べ物や地域の名産品を販売する業者に混乱を招いている。山梨県の桃販売業者には、知人に中元を贈ったが、遅配となった顧客らから「鮮度は大丈夫か」などの問い合わせが寄せられた。販売員の一人は「傷むことはないと思うけど、もしものことがあったら大変」と心配そうに語った。

 宮城県内のかまぼこ製造工場では、ゆうパックを集荷するトラックが通常、午後4時に来るが、7月1日は3時間遅れの7時ごろに到着。販売の責任者は「本当に2日の発送に間に合うのか」と不安を覚え、「一日も早く集配が正常化してほしい」と語った。

 影響は流通大手にも及び、大丸松坂屋百貨店の主力店舗「大丸東京店」(東京都千代田区)では、2日から一部商品の配達を「ゆうパック」から別の業者に切り替える作業を開始。4日までに対象商品は、顧客から配達日の指定を受けた計約2000個に上った。生鮮食品のように消費期限があるものは、代替品を送るなどの対応を行った。

 スーパー大手のイトーヨーカ堂は日本郵政側から3日になって集配遅れの一報を受け、ゆうパックを扱っている一部店舗に連絡。店頭では商品の配達を注文する顧客に対し、「届くのが遅れる可能性があります」などと伝えている。【南敦子、永井大介、谷川貴史】
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ペリカン便との事業統合は結果的に裏目に出た。裏目に出たというより、あまりに時期が悪すぎたということだろう。中元商戦、参議院選挙関係で爆発的に郵便物が多い時期に事業統合を急いだ。それも、システムに不慣れな職員を置いてきぼりにしたまま。

この混乱を見て思いだしたのは、2002年4月、システム統合で大混乱を起こしたみずほ銀行の事例だ。このときも、無理な計画が背景にあり、現場は統合のはるか以前から来るべき混乱を予測していたという。

ゆうパック事業は、旧郵政4事業の中でも最も収益構造が厳しい郵便事業の中で、収益事業として全体のけん引車になるはずだったが、いまや逆に全体の足を引っ張る文字通りの「お荷物」になりつつある。

最近、郵便局に行くと、中元・歳暮は言うに及ばず、母の日、父の日ギフトなど、ゆうパックは1年中何かのキャンペーンをしている。そのうち当ブログ管理人の誕生日も記念日になってしまうのではないかと思うほどだ。まぁそれは冗談としても、こうも1年中キャンペーン期間ばかりでは、現場は余裕が失われ、疲弊していくばかりだろう。

JR尼崎事故の現場を見るなどする中で、当ブログ管理人は、頭の中は官僚制思考のまま収益優先で突っ走る暴走経営が事故を招いたとしてJR西日本の企業体質を批判したことがあるが、頭の中は官のまま、利益優先で突っ走る今の郵政の姿はJRとそっくりである。分社化で応援態勢もままならず、人減らしをしながら利益優先で愚にもつかないキャンペーンにばかり注力するからこんな事態が起こるのだ。

郵政は、利潤のためにビジネスとして物流を営んでいるヤマト運輸や佐川急便とは違う。地域のため、「総合担務」を望む地方の高齢者のため、もっと他にやるべきことがあるはずだ。宅配便業務が収益の足を引っ張るくらいなら、ビジネスのうまいヤマトや佐川に任せて郵政は撤退してもいいのではないか。その代わり、郵政は公共的事業体でなければできない仕事をすべきだと思う。

それにしても、全国的なゆうパックの配達遅れが大々的に報道されているこの最悪のタイミングで、写真のようなゆうパックの宣伝チラシが我が家のポストに入っていたのには、笑える。

(注)総合担務とは、国営時代の郵政で、郵便配達員が郵便配達をしながら、地域のお年寄りの現金を預かって郵便貯金に預入手続きをするなど、郵便・貯金・保険の事業を超えて複合的に仕事を担当することを指す用語である。法律上には根拠がなく、旧郵政省の通達によって行われてきた。国民、とりわけ地方の利用者が郵政に望んでいるのはこうした利便性のある仕事であり、ゆうパックのキャンペーンではないと思うのだが…

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JR不採用問題の最高裁和解に関する声明/安全問題研究会

2010-07-02 23:16:55 | 鉄道・公共交通/交通政策
JR不採用問題に関し、安全問題研究会が声明を発表した。以下、全文を掲載する。

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 1987年の国鉄分割・民営化の際に国鉄清算事業団に移され、1990年、清算事業団からも解雇された国労組合員らの不採用問題を巡って、不採用者910名のうち904名と独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(旧・日本鉄道建設公団)との間で2002年の第一次提訴以来続いてきた裁判闘争は、2010年6月28日、最高裁での和解を迎えた。これにより、JR不採用問題は政治の場に続いて法律上でも和解を迎えた。

 当研究会の政治解決に関する考え方は、すでに2010年4月20日の声明に発表した通りであり、繰り返さないが、23年間に及んだ「戦後最大の労働問題」が大きな区切りを迎えたことに対しては感慨無量の思いである。

 しかし、当研究会は、今回の和解に当たって発表された国土交通大臣談話に対し、強く抗議する。「国鉄改革が…大きな痛みを伴」ったことは当然としても、「鉄道を我が国の基幹的輸送機関として再生することを目的とした戦後最大の行政改革」「国民に対して大きな成果をもたらした」とする見解には、全く同意できない。

当研究会にとって国鉄改革は「百害あって一利なし」と言うべきものである。それは、公共輸送の使命を投げ捨てて地方の足を奪い、新幹線開業に伴う並行在来線切り捨ては、鉄道の先人たちが幾多の苦労に耐えて作り上げた全国在来線ネットワークを破壊した。利益優先となったJR体制の下で安全は崩壊し、150名を超える乗客の命が奪われた。首都圏では、労働組合のストが頻繁に行われていた国鉄時代でさえあり得なかった日常的な列車の運休・遅延が多発している。

 国民の共有財産であった国鉄を解体し、誰も望まない鉄道へと改変させたこのようなエセ改革が「大きな成果」などであるはずがなく、このような恥知らずの談話を発表した国土交通省は、すべての被解雇者と事故犠牲者、そして国民の前に謝罪すべきである。

 JR不採用問題の和解に当たり、残された課題は雇用である。不当労働行為によって生まれたJR各社は、最後まで「再雇用拒否」を貫こうとしている。しかし、JR各社に対する各界各層の世論がこれほど厳しい時代はかつてなかった。JR各社が、これまでのような国民不在の経営を続けることはできない。当研究会は、国民各層と連携し、引き続きJR各社に法令遵守と再雇用を厳しく求めていく。

 和解に応じなかった国労組合員6名、政治解決を拒否した動労千葉組合員9名の支援も今後の課題である。これらの原告は様々な意見の違いを抱えているが、解雇撤回を求めて、名誉のために闘い続けるこれらの原告を守ることは日本の労働運動と国鉄闘争関係者にとって義務である。

 破壊されたネットワークと地域の足の再生、そして安全・安定輸送の復活は、公共輸送に責任を持つことのできる公的事業体への転換なくして実現することはできない。国鉄闘争との関わりの中で培った思想とそれに対する確信を胸に、当研究会は、国鉄「改革」が生み出した新自由主義と首切り・民営化路線の転換を求める闘いを今後も続ける。

2010年7月2日
安全問題研究会

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