学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

今年を振り返る 2006年2月

2006-12-12 21:01:41 | Weblog
今日で、先月から進めていた小学校の木版画教室が終了しました。
完成したクラスもありましたが、時間がなくて、
彫りで終わってしまったところもありました。残念!
生徒のみんなが、版画に親しみを持ってくれたのなら
とても嬉しいですね。

私個人としては、とても楽しい仕事でした。
私は学芸員になってから、少しでも絵画を理解しようと
木版画の教室に通って、自分でも版画を制作しています。
本から得た知識だけでは、到底絵画を理解できないと
考えていましたので。
そうして私が学んだコツを、たいしたものではありませんが、
生徒たちに指導しました。
生徒たちは、自分の力で仕上げたことへの満足感に満たされた
でしょうが、指導した私としても、とても嬉しかったのです。
生徒さん、お疲れ様でした!


今年の2月、たしか・・・東京で学芸員のシンポジウムがありました。
海外の美術館館長が集まり、美術館の在り方に就いて議論を
したのです。衝撃的でしたね・・・。インターネットの重要性、
ポットキャストによる解説など・・・参考になることばかり。
余談ですが、とある学芸員が館長たちにこんな質問をしました。
「日本の美術館の館長は、おかざりみたいなところがありますが、
海外ではどうなのですか。」
みんな、苦笑しましたね(笑)
その回答が次の通り。
「日本における館長の多くが、そうであるのならば、それは悲劇的なことです。
しかし、私が知る限り、みなすばらしい見識をもった館長ばかりですよ。
私たち館長は、美術に関する知識はもちろん、企画力、経営能力、経理、
対外交渉のうまさを持ち合わせていなければなりません。大変幅広い能力が
求められるのです・・・云々」
とお話されました。
それからも非常に興味深い話を延々とされて、
もう、言葉が出ませんでした。
あまりにもレベルが違いすぎる・・・。
私は学芸員と名乗っていいのだろうか、と自問自答しました。
このシンポジウムに参加して、自分のなかで学芸員への認識が
大きく変りました。
生涯忘れることの出来ない研修です。