倉敷幻想 ２

私は岡山駅から大通りを歩き始めた。
ふと道路を見ると、路面電車が走っている。
私は生まれて初めて拝見した。
路面電車というと、どうも昭和初期を想像する。
折角、岡山まで来たのだから乗ってみようかとも思ったが、
街並みを歩いたほうが面白そうだったのでやめておいた。

岡山城の手前まで来たとき、大分お腹が空いていたので、
とある定食屋へ入った。
大変小さなお店で、若い女性がメニューを聞きに来た。
背がすらっと高くて、愛想も大変よい。
そして、美人であった。
私は彼女のオススメするカレイの煮つけを注文した。

岡山城は、烏城ともいう。
天守閣が漆黒であるのが、その所以であるとのこと。
その天守閣は空襲により焼失してしまい、現在見られるのは
再建された城である。
しかし、月見櫓だけは奇跡的に生き残った。
あまりにも新しすぎる天守閣には違和感があったが、
月見櫓や石垣は永い歴史を感じさせるもので大変美しかった。

岡山城から南側へ歩くと、後楽園がある。
ここは岡山城主の池田氏の庭園。
私は、正直に申せば城を目当てに岡山で下車したので、
後楽園には別段期待していなかった。
しかし、なかなかどうして後楽園も美しかった。
日本の美しさが凝縮されている。
言葉では到底表現し得ない。
真っ赤に染まる紅葉、さらさらと流れる清流、
質素で上品な家屋、さらに家屋の中央に川を通した休憩場所・・・。
日本人であることを誇らしく思う空間である。

明日へ続きます！