学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

『野分』を読む

2007-06-23 22:28:37 | Weblog
『野分』(のわき)は、夏目漱石の作品。
自分の意志を貫こうとする元教師白井と、
過去と未来に絶望しているかつての教え子高柳を
中心に展開していく話です。

数ある漱石作品のうち、『野分』はちょっと説教じみたところが
ありますが、私のなかで最も好きな作品になりました。
(ちなみに以前は『こころ』。)

白井の教え子高柳君、まさに私とそっくりな性格でした。
私はマイナス思考の人間なので、この高柳君が自分自身のように見え、
また、高柳を諭す白井の言葉も私に投げかけられているように思えたのです。

少し引用してみます。
白井「然しあなたの生涯は過去にあるんですか未来にあるんですか。
   君はこれから花が咲く身ですよ。」
高柳「花が咲く前に枯れるんです。」
白井「枯れる前に仕事をするんです。」

そんなやり取りが続いていきます。
白井の言葉、つまり漱石の主張がぐさぐさと私の心に突き刺さって、
精神を叩きなおせといわれたような気分です。

『野分』。
短篇ですので、マイナス思考の方にはオススメ?です。