学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

倉敷幻想 1

2006-12-18 20:28:53 | Weblog
無事、倉敷旅行から戻りました。
とても楽しい3日間でした。
それでは早速報告と行きましょう。

そっとカーテンを開けると、外はまだ暗かった。
街灯にほんのり灯りが点っている。
私は眠い目をこすって、駅まで歩き始めた。
冬の澄んだ空気は、ひんやりとして冷たい。
本来であれば、冬特有の冷たさに嫌気が差すのだが、
あのときの私はほとんど気にならなかった。
駅に着くと、そこには知った顔があった。
とある事情で、どうも気まずい私はずっと下を向いて
ホームの奥へと引っ込んだ。

東京から岡山行きの新幹線に乗車する。
窓側に座った私に手を振るものが居る。
しかし、私はその男を知らなかった。
実は男の目線は私ではなく、隣の女性に注がれていた。
別れの場面に遭遇した。
二人に涙はなかった。
満面の笑顔だった。
私は悲しくも美しい別れを見た。

ふと窓に目をやると、新幹線は静岡まで着たようだった。
小さな山々の上に誇り高くそびえる富士山が見て取れた。
かつて戦国時代、この静岡もとい駿河は今川家、そして徳川家が
治めていた。徳川家康は、この山々からやってくる
武田信玄の侵攻に震えねばならなかった。信玄は富士山を
背にやってくるのである。家康は神を相手に戦をしている
ような感覚だったのかもしれない。

京都、新大阪、新神戸と過ぎる。
兵庫に差し掛かったとき、私は初めて姫路城を見た。
一瞬ではあったが、何百年と続く歴史と威厳を感じた。

そして岡山へ到着した。
岡山は今にも泣き出しそうな曇り空だった。

長くなりましたので、明日へ続きます!

今年を振り返る 2006年5月

2006-12-15 23:23:14 | Weblog
私は数ヶ月前から美術館のホームページを
作成していましたが、今日、ようやく完成しました!
これから館長に確認を取り次第アップします。

学芸員になって、まさかホームページを作ることになるとは
思いませんでしたが、プラス思考で考えればいい勉強になりました。
就職したばかりの頃は、パソコン関係はまったく苦手だったのですが、
人間追い詰められると結構できるようになるみたいで・・・。

5月といえば、ゴールデンウィーク!
世間では最大何連休だとか騒いでおりましたが、
しかし、私にはまるで関係ありませんでした。
美術館は稼ぎ時?ですからね。
連日たくさんのお客様がいらっしゃいました。
スタッフの少ない当館は、ときどき監視も学芸員がします。
私は基本的に監視をしつつ、お客様に声をかけてまわって、
予定外のミニギャラリートークを開催してしまいます。
いかに来館者を満足させるか。
「解説が聞けて良かった。どうもありがとう。」と
声をかけていただくと、学芸員になって本当に良かったと感じます。
そうしたちょっとしたことを積み重ねていくことが美術館にとっては
大事なことなんだと信じて。


さて、明日から3日間倉敷へ旅行に行ってきます。
自分を探しに・・・(笑)
ブログはしばらくお休みになります。
戻ってきたら、報告しますね。
それではしばしの別れ!



今年を振り返る 2006年4月

2006-12-14 22:09:22 | Weblog
今日は久し振りにイライラする日でした。
私はストレスがたまると、詩や小説を書きます。
自分でもちょっと変っていると思うのですが、
どうにもならない怒りを詩なり小説に託すのです。

以前、ストレスがたまったときはクッションを
壁に投げつけたり、ソファーになんどもパンチを
繰り返したり・・・結構荒れていましたね(笑)

さて、こうして書かれた詩は・・・とても
恥ずかしくてブログには公表できませんので、
とにかくイライラして詩を書いたことだけは伝えておきます。
今日はそんな一日でした。


2006年4月、春爛漫なり。
美術館前の桜は大変美しく、散る始めると、
道路がピンク色になり、まるで夢のなかを歩いているようでした。
そのころ私は転職を考えていました。
転職を考えた理由は3つ。
1.人間関係が非常に悪くなり、毎日大きなストレスを
  抱えるようになった。
2.遠距離恋愛をしていた彼女のもとへ行って一緒に暮らしたい。
  一度きりの人生なら・・・。
3.語学を要する仕事をやってみたくなった。
この時期はとても悩みました。
私はほとんど何の迷いもなく学芸員になりましたが、
学芸員になってから、他の職に色々と興味が出てきてしまったのです。
もっと大学時代に将来を真剣に考えるべきだったのでは・・・と
ずっと考えていましたね。
今は転職はほとんど考えていませんが、このあとしばらく
その問題で苦しくなってきます。

この時期、気分転換に中学生時代の同級生と
宮城県の登米、松山へ行ってきました。
やはり同級生はいいですね。
自分を飾らなくていいから、とても気持ちが楽です。
お互いの仕事、恋愛、思い出話などで盛り上がりました。
年末もまた会うので、とても楽しみです。

そんな今年の4月でした。

今年を振り返る 2006年3月

2006-12-13 21:53:15 | Weblog
今日は美術館の忘年会。
イタリア料理で、とても楽しい時間を過ごすことができました。
そして私は・・・非常に酔っています。
どれくらい飲んだのか、よく覚えていません(笑)
よってわけのわからない事を書いてしまったらごめんなさい!

3月・・・何をしていたんだろうか。
酔っていて、記憶が辿れない。
そう、3月は私の誕生日なのです。
秋田の楢岡焼を頂きました。
とても素敵な器です。
本当に、どうもありがとう。
大事に使ってるよ!

春は別れと出会いの季節。
新人の私に学芸員の仕事を教えてくださった館長も退任。
新人の私をいやというほど鍛えてくださった上司も移動。
お二人との別れは辛かったです。
私にとって別れのある3月はとても嫌な季節なのです。
本当にお世話になりました。

・・・ここまで書いてきて、もう限界です。
倒れてしまいそうなので、ブログはここまでにしますね。
本当・・・ごめんなさい。

今年を振り返る 2006年2月

2006-12-12 21:01:41 | Weblog
今日で、先月から進めていた小学校の木版画教室が終了しました。
完成したクラスもありましたが、時間がなくて、
彫りで終わってしまったところもありました。残念!
生徒のみんなが、版画に親しみを持ってくれたのなら
とても嬉しいですね。

私個人としては、とても楽しい仕事でした。
私は学芸員になってから、少しでも絵画を理解しようと
木版画の教室に通って、自分でも版画を制作しています。
本から得た知識だけでは、到底絵画を理解できないと
考えていましたので。
そうして私が学んだコツを、たいしたものではありませんが、
生徒たちに指導しました。
生徒たちは、自分の力で仕上げたことへの満足感に満たされた
でしょうが、指導した私としても、とても嬉しかったのです。
生徒さん、お疲れ様でした!


今年の2月、たしか・・・東京で学芸員のシンポジウムがありました。
海外の美術館館長が集まり、美術館の在り方に就いて議論を
したのです。衝撃的でしたね・・・。インターネットの重要性、
ポットキャストによる解説など・・・参考になることばかり。
余談ですが、とある学芸員が館長たちにこんな質問をしました。
「日本の美術館の館長は、おかざりみたいなところがありますが、
海外ではどうなのですか。」
みんな、苦笑しましたね(笑)
その回答が次の通り。
「日本における館長の多くが、そうであるのならば、それは悲劇的なことです。
しかし、私が知る限り、みなすばらしい見識をもった館長ばかりですよ。
私たち館長は、美術に関する知識はもちろん、企画力、経営能力、経理、
対外交渉のうまさを持ち合わせていなければなりません。大変幅広い能力が
求められるのです・・・云々」
とお話されました。
それからも非常に興味深い話を延々とされて、
もう、言葉が出ませんでした。
あまりにもレベルが違いすぎる・・・。
私は学芸員と名乗っていいのだろうか、と自問自答しました。
このシンポジウムに参加して、自分のなかで学芸員への認識が
大きく変りました。
生涯忘れることの出来ない研修です。

今年を振り返る 2006年1月

2006-12-11 21:42:43 | Weblog
今日は、「枕草子」、「更級日記」、「ビアス短編集」を
買ってきました。
枕草子といえば「春はあけぼの・・・」で始まる随筆ですね。
日本語がとても美しい。
これからじっくりと読んでみます。

さて、今年も残りわずか。
少しずつ、2006年を振り返って見たいと思います。
1月。
今年の目標は「チャレンジ2006」でした。
一番のチャレンジはブログを始めたことでしょうか。
毎日帰宅して、ただ寝るだけの生活でしたが、
ブログを始めてからは更新するのがとても楽しみになりました。
そのわりにはたいしたこと書いていないですけれどね(笑)
あと・・・これから行くのですが、倉敷旅行かな。
見聞を広めてこられれば、と思います。

仕事では公募展の準備や審査に追われて、
休みが取れず、かなり疲労がたまっていました。
もう毎年のことなので、段取りは十分に出来たんですが、
プレッシャーがやはり辛かったです。

プライベートでは、・・・嗚呼、悲しい過去が蘇る。
別に無理に書かなくてもいいのですが、
その頃、付き合っていた女性が就職試験を受けるというので、
神社に御参りに行ったのですね。
どうか合格するようにと。
しかし、それが別れの序曲だったとは・・・。

1月は、そんな感じでした。
私は寒いのが苦手なので、毎日早く暖かくなってくれないかと
祈っていましたね。
1年経つのは本当に早い!

野外展示は気を使う

2006-12-10 20:07:21 | Weblog
おとといから、野外展示をしていました。
中学生が御影石を加工して、オブジェを作り上げ、
美術館近くの芝生で展示をしていたわけです。
夜にはライトアップもして、ロマンチックな感じ♪
石はとても神秘的な印象を与えてくれます。

野外展示は、室内と違って、とても広々とした
空間ですから、のんびりと観る事ができますし、
何より作品が身近に感じられますね。
お日様の下で作品を見るのもなかなか良いものです。

しかし、管理する美術館側としては気を使います。
万が一、いたずらされたら大変だと、
ときどき学芸員が見に行ったり、夜間は警備会社に頼んで、
見回りをお願いしました。
幸い、何事もなく本日で展示は終了。

トラックで、中学校まで運搬し、ほっと一息。
でも正直、トラックは運転しづらかったです。
マニュアル車も一年ぶりでしたし。
作品も運搬していることですから、ゆっくりと
慎重に運転しました。
エンストしなかった自分を褒めてあげたいです。(笑)

明日は休日。
特に予定もないのですが、来週倉敷へ旅行に出ますので、
その準備をしておこうかと思っています。
あと大掃除・・・。部屋がとんでもないことになってますので・・・。
それではおやすみなさい。

日本文学古典をよむ

2006-12-09 21:12:07 | Weblog
最近、日本文学の古典を読んでいます。
「竹取物語」や「徒然草」など・・・。

私は、日本的なものがとても好きです。
日本的・・・といってしまうと、あまりにも抽象的ですが、
歴史ある街並、伝統工芸といった日本が永い歴史の中で
作り上げてきたもの、と考えてもらえたらと思います。

そこで日本人として、古典を理解していないのはおかしい
のではないかと考えるようになりました。
むろん、古文は生活していくうえで必要ではありません。
読めなくとも生活になんら支障はきたさないのです。
しかしながら、そうしたものを抜きにして、
教養の1つとして学ぶ必要があるのではないかと。

そこで手始めに岩波文庫「竹取物語」を読むことにしました。
お馴染みのかぐや姫ですね。
古文を読むのは高校以来ですから、難しい・・・と思いきや、
意外に理解できました。
でも、翁はけっこう凶暴な方だったんですね(笑)
優しいお爺さん、そんなイメージがありましたが・・・。

「竹取物語」は読みやすくて、とてもオススメですよ。
次は「土佐日記」にチャレンジ!

お酒が飲めなくて

2006-12-09 09:51:40 | Weblog
昨日は忘年会で、帰ってきたのが今日でした。

私がお酒が好き、と前に記述しましたが、
最近あまり飲めなくなってしまいました。
すぐに酔っ払ってしまうのです。

昨日は缶ビール1本、カクテル1本、
焼酎ロック2杯でダウン。
おかしい。
以前ならまだまだ飲めたのに。

もう量より質を楽しむことに専念しようかな。
ちょっとショックな忘年会でした。

思いやりの心を持って

2006-12-07 20:23:40 | Weblog
中学生の職場体験最終日。
午前中は館の掃除、午後はHPの原稿作りを手伝って
もらいました。パソコンは苦手だといっていましたが、
きちんと原稿を作ってくれました。

3日間の感想は?と聞くと、
笑顔で「疲れました・・・」とのこと。
やはりお客様相手の仕事は緊張しますよね。
お疲れ様でした!

最後に、私からのメッセージ。
就職したら、思いやりの心を持って仕事をして下さい、
とお話しました。
他人の仕事が忙しそうなら助けてあげること。
誰にでも温かい気持ちを持って接すること。
仕事をしていくなかで、いつか自分自身に絶体絶命の
ピンチがやってくることがあるはず。
そんなとき、かつて思いやりの心で接した人たちが
きっと助けに来てくれるから。
そう話すと、中学生はわかりましたと頷いてくれました。

素敵な社会人になってね!