(1)福島県いわき市志田名地区は、福島第一原発から30kmほど離れ、避難区域とはされなかったが、住民による自発的な放射線測定で高い空間線量が測定され、チョエルノブイリの「避難対象地域」に匹敵する土壌汚染も見つかった(ホットスポット)。
(2)この志田名地区で、「超高濃度汚染米」が見つかった。
昨年、試験的に採取された米からは、357Bqが測定された。厚生労働省の定める規制値100Bq/kgの3.6倍だ。
より精密に汚染を調べると、驚くべし、18gのサンプル米がもつ汚染のうち、半分近くの汚染が0.02gの米ひと粒に集中していることが明らかになった。この米ひと粒の汚染度を1kg当たりに換算すると、140,000Bqになる。【高辻俊宏・長崎大学准教授】
(3)(2)は、放射能汚染が均等に広がるのではなく、ひと粒ないし田んぼの中の1本の稲穂など、極端に偏った状態で進む可能性を示す。
そうした米粒だけを弾くことは、現在の検査体制では不可能だ。
高濃度汚染米を取り除こうとするなら、米ひと粒ずつチェックしなければならない。しかし、現実的に難しい。個人が、5kg、10kgの米を買い、その中のひと粒だけ弾いて食べないようにすることもできない。「貧乏くじ」(高濃度汚染米を食べてしまう)可能性がある。【高辻准教授】
(4)各自治体は、汚染米を市場に出さないために検査を行っている。
二本松市では、国が今年10月1日から施行した100Bq/kg(9月末までは500Bq/kg)を先取りして、8月の早場米からすべての米を袋単位で検査している(全袋検査)。検査に用いられる測定器は、島津製作所の高性能機器だ。
しかし、高性能機器とはいえ、高濃度のひと粒を選り分けることはできない。しかも現行システムには落とし穴もある。
1kg当たりの検出限界がある。<例>それが5Bqならそれ以下の数値は検出されない。その場合、(2)の2.9bqの米粒は見逃される。仮に10kgずつ検査したら、全部で最大50Bqが見逃されてしまう。現在の検査で測っているのは、あくまで米袋全体での放射性物質の汚染度なので、消費者はそこに混在する高濃度汚染米を食べてしまうかもしれない。【高辻准教授】
現在の検査装置の測定精度は、各社共通の検査が確立されていないため、信頼性は不十分だ。放射能に汚染された食品が、いつ私たちの食卓に上がるか、わからない時代を迎えた。【木村真三・獨協大学准教授】
(5)なぜ汚染がひと粒に集中したのか、そのメカニズムは分かっていない。その可能性は、
(a)稲穂の中でひと粒にセシウムが集中した。・・・・可能性は低い。【根本圭介・東京大学教授】
(b)田んぼの中で一つの稲だけに集中した。・・・・あり得る。【根本圭介・東京大学教授】
(c)外部から飛来してきた放射性物質が稲に吸着した。・・・・あり得る。【高辻准教授】
(6)内部被曝をどうしたら避けられるか。
現行の全袋検査を全粒検査に変えるのは困難だろうが、いま以上に細かい単位で米の検査ができれば、内部被曝の確率は下げることができる。ロシアンルーレットの確率を、6発に1発ではなく、1,000発、10,000発に1発にすることはできるはずだ。【高辻准教授】
以上、記事「福島県産の「新米」から放射性セシウム」(「週刊現代」2012年10月13日号)に拠る。
【参考】
「【震災】原発>食卓の放射能汚染、2012」
「【震災】原発>「穴」の多いコメ検査体制 ~基準越えセシウムが検出~」
↓クリック、プリーズ。↓
(2)この志田名地区で、「超高濃度汚染米」が見つかった。
昨年、試験的に採取された米からは、357Bqが測定された。厚生労働省の定める規制値100Bq/kgの3.6倍だ。
より精密に汚染を調べると、驚くべし、18gのサンプル米がもつ汚染のうち、半分近くの汚染が0.02gの米ひと粒に集中していることが明らかになった。この米ひと粒の汚染度を1kg当たりに換算すると、140,000Bqになる。【高辻俊宏・長崎大学准教授】
(3)(2)は、放射能汚染が均等に広がるのではなく、ひと粒ないし田んぼの中の1本の稲穂など、極端に偏った状態で進む可能性を示す。
そうした米粒だけを弾くことは、現在の検査体制では不可能だ。
高濃度汚染米を取り除こうとするなら、米ひと粒ずつチェックしなければならない。しかし、現実的に難しい。個人が、5kg、10kgの米を買い、その中のひと粒だけ弾いて食べないようにすることもできない。「貧乏くじ」(高濃度汚染米を食べてしまう)可能性がある。【高辻准教授】
(4)各自治体は、汚染米を市場に出さないために検査を行っている。
二本松市では、国が今年10月1日から施行した100Bq/kg(9月末までは500Bq/kg)を先取りして、8月の早場米からすべての米を袋単位で検査している(全袋検査)。検査に用いられる測定器は、島津製作所の高性能機器だ。
しかし、高性能機器とはいえ、高濃度のひと粒を選り分けることはできない。しかも現行システムには落とし穴もある。
1kg当たりの検出限界がある。<例>それが5Bqならそれ以下の数値は検出されない。その場合、(2)の2.9bqの米粒は見逃される。仮に10kgずつ検査したら、全部で最大50Bqが見逃されてしまう。現在の検査で測っているのは、あくまで米袋全体での放射性物質の汚染度なので、消費者はそこに混在する高濃度汚染米を食べてしまうかもしれない。【高辻准教授】
現在の検査装置の測定精度は、各社共通の検査が確立されていないため、信頼性は不十分だ。放射能に汚染された食品が、いつ私たちの食卓に上がるか、わからない時代を迎えた。【木村真三・獨協大学准教授】
(5)なぜ汚染がひと粒に集中したのか、そのメカニズムは分かっていない。その可能性は、
(a)稲穂の中でひと粒にセシウムが集中した。・・・・可能性は低い。【根本圭介・東京大学教授】
(b)田んぼの中で一つの稲だけに集中した。・・・・あり得る。【根本圭介・東京大学教授】
(c)外部から飛来してきた放射性物質が稲に吸着した。・・・・あり得る。【高辻准教授】
(6)内部被曝をどうしたら避けられるか。
現行の全袋検査を全粒検査に変えるのは困難だろうが、いま以上に細かい単位で米の検査ができれば、内部被曝の確率は下げることができる。ロシアンルーレットの確率を、6発に1発ではなく、1,000発、10,000発に1発にすることはできるはずだ。【高辻准教授】
以上、記事「福島県産の「新米」から放射性セシウム」(「週刊現代」2012年10月13日号)に拠る。
【参考】
「【震災】原発>食卓の放射能汚染、2012」
「【震災】原発>「穴」の多いコメ検査体制 ~基準越えセシウムが検出~」
↓クリック、プリーズ。↓