<官邸前デモを発火点にした「脱原発」の声は、大間原発の建設工事再開を巡って、再び熱く広がる気配を見せている。明確な意思表示をする著名人も、数多い。改めて、どんな人たちが、どんなメッセージを発しているのか。>
「AERA」誌は、政治家以外の、なるべく多様な立場、職種、業界の著名人200人のメッセージを掲載している。ここではその一部を引用する。
【凡例】①「さようなら原発1000万人アクション」、②「脱原発社会を創る30人の提言」、③日本ペンクラブ編「いまこそ私は原発に反対します」
●アーサー・ビナード(米) 詩人/67年生
①に「『平和利用』と『軍事利用』を巧みに分けた原発のPRキャンペーンは『世紀の詐欺』といっても過言ではない」と賛同メッセージ。自身のHPでも「二度と原発人災が引き起こされない社会を作りあげることは、じゅうぶん可能だ」と発言(11年7月13日付)。
●秋山桃花 音楽家
自身のブログで「わたしはもともとは、なにがなんでも再稼働反対!というわけではなかっただが、これだけやりかたがぐだぐだなのをみていると、やっぱり反対です」と発言(12年6月3日付)。
●雨宮処凜 昨夏/75年生
11年9月、『14歳からの原発問題』(河出書房新社)を上梓。ブログで「『原発』って、戦後日本の政治の矛盾すべてが凝縮されている・・・・」と記す(12年7月30日付)。
●いしだ壱成 俳優・歌手/74年生
94年の歌手デビュー曲「WARNING」で反原発を主張。大飯原発再稼働に反対する地元の運動の応援に訪れ、「自身があっただけで原発が大丈夫かと不安になる。原子力、放射能にいろんな人がストレスを抱えている」と発言(12年3月31日付朝日新聞)。
●上野千鶴子 社会学者/48年生
②に「これだけの犠牲を払い、これだけ高くつく授業料を払って、いまだに歴史から学ばないとしたら、度しがたいおろかものだ」と記す。
●江上剛 作家/54年生
週間現代(11年6月18日号)のアンケートで「思いつきではないエネルギー政策に基づいて現実的には順次停止していくべきでしょう。今回の事態で我が国は原発リスクをコントロールできる能力が政府、民間にないことが明らかになったのですから」と回答。
●片山恭一 作家/59年生
朝日新聞(11年7月4日付)で「これだけ大きな事故を引き起こしたにもかかわらず、なし崩し的に各地で原発が再稼働を始め、日本が以前と変わらない状態に戻ってしまうことを憂える」と発言。
●玄侑宗久 作家・福聚寺住職/56年生
①に「インペイ体質の抜けない組織に、あの龍を飼うことはもとより無理だったのですね」と賛同メッセージ。
●小西寛子 声優・歌手/74年生
「脱原発世界会議」に寄せたメッセージで、これまでのタレント活動で出会ったいわきの子どもたちに言及し、「福島県をはじめ原発被害に遭われた人たちが、どれほどの絶望感と先の見えない恐怖に怯えているか、子供たちがこれからこの汚染された世界でどうやって生きていけばいいのか、自分の身に置き換えて考えてみてください」と呼びかける。
●今野敏 作家/55年生
89年の参院選にミニ政党「原発のいらない人びと」から立候補。その体験を踏まえ、③の中で、「反原発や脱原発の言葉を聞くと、正直に言って、『今さらか』と思ってしまう」「20年以上も前に口を酸っぱくして言ったことを、またここで繰り返さなければならないことに、私は無力感を覚えている」「本当に、原発が安全だというのなら、東京湾に作ってみればいいのだ。電力会社にも、国にもどんな度胸はないだろう。そこに、原発の本質がある」と記す。
●鹿野淳 音楽評論家/64年生
ウェブマガジン「MUSICA」主宰。「脱原発世界会議」に「原発はその存在自体が僕らの生きる事の邪魔をします」「これ以上原発をほっといたら、僕らはもう『加害者』です、原発、反対します」と賛同メッセージ。
●菅原文太 俳優/33年生
毎日新聞(11年6月30日付)のインタビューで「戦後日本は政官財学が癒着して、経済成長優先で原発を造り続けてきたというところだろ。そういう仕組みは、ここで断ち切らないと駄目だよな」と発言。
●高橋源一郎 作家・明治学院大学教授/51年生
11年11月、震災チャリティーを扱った小説『恋する原発』を発表。震災後の政治化については「この国で起こったことから、なにも学ばなかったのだろうか」と発言(11年8月25日付朝日新聞)。
●辻井喬 セゾン文化財団理事長・作家・詩人/27年生
①のHPで呼びかけ人として「科学技術そのものは人間にとって肯定的でもなければ否定的でもない」「しかし、核に関する技術はそのような“一般技術”とは本質的に異質」「それは制御不可能な本質を持っていることによって、それ自体反人間的なのである」と寄稿。
●ピーター・バラカン(英) ブロードキャスター/51年生
「原発がなければ、電力が不足するというのは正しいのか。日本はエコや省エネの工夫が得意で、効率の良いシステムを作る努力もしているはずだ。原発なしでやるという前提に立てば、新しい道があると思う」(12年3月2日付毎日新聞)。
●村上龍 作家/52年生
「もはや日本では原発推進はありえない。原発の事故はリスクが特定できないことがわかってしまったからだ」。必要なのは安心ではなく「信頼」(『文藝春秋』12年3月号)。
●村田光平 東海学園大学名誉教授・元スイス大使/38年生
自身のHPで「再稼働問題が脱原発の鍵になりました。日本の脱原発は世界の動向に決定的影響を与えます。その意味で再稼働問題は日本の命運、世界の命運を左右する問題と言っても過言ではないと信じます」(11年12月21日付)。
●森村誠一 作家/33年生
③の中で、便利性追及の中毒に陥った現代人を「便奴」と呼び、「便利性は命のために発達した。その便利の奴隷となって寿命を短くしたり、命を失っては本末転倒」「原発は、調教師すら飼い馴らせない機械文明の猛獣である」と記す。
●柳澤桂子 生命科学者・エッセイスト・歌人/38年生
週間現代(11年6月18日号)のアンケートで「高レベル放射性廃棄物の処理の仕方も解決されていないのに、原子力発電をするのは、とんでもないことです」と回答。
●山中恒 作家/31年生
①に「原発推進のからくりがぼろぼろ暴露されています。それをかくして国民をだまし続けた自民党、それに迎合したマスコミの責任が問われる時期が来たと思います」と賛同メッセージ。
●渡辺謙 俳優/59年生
震災発生直後、メッセージなどで被災者を応援するサイト「kizuna311」を立ち上げる。12年1月のダボス会議では「『原子力』という、人間が最後までコントロールできない物質に頼って生きて行く恐怖を味わった。再生エネルギーに大きく舵を取らなければ、子供たちに未来を手渡すことはかなわない」と発信(12年1月26日付東京新聞)。
以上、本誌編集部「「脱原発人名辞典」決定版」(「AERA」2012年10月15日号)に拠る。
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「AERA」誌は、政治家以外の、なるべく多様な立場、職種、業界の著名人200人のメッセージを掲載している。ここではその一部を引用する。
【凡例】①「さようなら原発1000万人アクション」、②「脱原発社会を創る30人の提言」、③日本ペンクラブ編「いまこそ私は原発に反対します」
●アーサー・ビナード(米) 詩人/67年生
①に「『平和利用』と『軍事利用』を巧みに分けた原発のPRキャンペーンは『世紀の詐欺』といっても過言ではない」と賛同メッセージ。自身のHPでも「二度と原発人災が引き起こされない社会を作りあげることは、じゅうぶん可能だ」と発言(11年7月13日付)。
●秋山桃花 音楽家
自身のブログで「わたしはもともとは、なにがなんでも再稼働反対!というわけではなかっただが、これだけやりかたがぐだぐだなのをみていると、やっぱり反対です」と発言(12年6月3日付)。
●雨宮処凜 昨夏/75年生
11年9月、『14歳からの原発問題』(河出書房新社)を上梓。ブログで「『原発』って、戦後日本の政治の矛盾すべてが凝縮されている・・・・」と記す(12年7月30日付)。
●いしだ壱成 俳優・歌手/74年生
94年の歌手デビュー曲「WARNING」で反原発を主張。大飯原発再稼働に反対する地元の運動の応援に訪れ、「自身があっただけで原発が大丈夫かと不安になる。原子力、放射能にいろんな人がストレスを抱えている」と発言(12年3月31日付朝日新聞)。
●上野千鶴子 社会学者/48年生
②に「これだけの犠牲を払い、これだけ高くつく授業料を払って、いまだに歴史から学ばないとしたら、度しがたいおろかものだ」と記す。
●江上剛 作家/54年生
週間現代(11年6月18日号)のアンケートで「思いつきではないエネルギー政策に基づいて現実的には順次停止していくべきでしょう。今回の事態で我が国は原発リスクをコントロールできる能力が政府、民間にないことが明らかになったのですから」と回答。
●片山恭一 作家/59年生
朝日新聞(11年7月4日付)で「これだけ大きな事故を引き起こしたにもかかわらず、なし崩し的に各地で原発が再稼働を始め、日本が以前と変わらない状態に戻ってしまうことを憂える」と発言。
●玄侑宗久 作家・福聚寺住職/56年生
①に「インペイ体質の抜けない組織に、あの龍を飼うことはもとより無理だったのですね」と賛同メッセージ。
●小西寛子 声優・歌手/74年生
「脱原発世界会議」に寄せたメッセージで、これまでのタレント活動で出会ったいわきの子どもたちに言及し、「福島県をはじめ原発被害に遭われた人たちが、どれほどの絶望感と先の見えない恐怖に怯えているか、子供たちがこれからこの汚染された世界でどうやって生きていけばいいのか、自分の身に置き換えて考えてみてください」と呼びかける。
●今野敏 作家/55年生
89年の参院選にミニ政党「原発のいらない人びと」から立候補。その体験を踏まえ、③の中で、「反原発や脱原発の言葉を聞くと、正直に言って、『今さらか』と思ってしまう」「20年以上も前に口を酸っぱくして言ったことを、またここで繰り返さなければならないことに、私は無力感を覚えている」「本当に、原発が安全だというのなら、東京湾に作ってみればいいのだ。電力会社にも、国にもどんな度胸はないだろう。そこに、原発の本質がある」と記す。
●鹿野淳 音楽評論家/64年生
ウェブマガジン「MUSICA」主宰。「脱原発世界会議」に「原発はその存在自体が僕らの生きる事の邪魔をします」「これ以上原発をほっといたら、僕らはもう『加害者』です、原発、反対します」と賛同メッセージ。
●菅原文太 俳優/33年生
毎日新聞(11年6月30日付)のインタビューで「戦後日本は政官財学が癒着して、経済成長優先で原発を造り続けてきたというところだろ。そういう仕組みは、ここで断ち切らないと駄目だよな」と発言。
●高橋源一郎 作家・明治学院大学教授/51年生
11年11月、震災チャリティーを扱った小説『恋する原発』を発表。震災後の政治化については「この国で起こったことから、なにも学ばなかったのだろうか」と発言(11年8月25日付朝日新聞)。
●辻井喬 セゾン文化財団理事長・作家・詩人/27年生
①のHPで呼びかけ人として「科学技術そのものは人間にとって肯定的でもなければ否定的でもない」「しかし、核に関する技術はそのような“一般技術”とは本質的に異質」「それは制御不可能な本質を持っていることによって、それ自体反人間的なのである」と寄稿。
●ピーター・バラカン(英) ブロードキャスター/51年生
「原発がなければ、電力が不足するというのは正しいのか。日本はエコや省エネの工夫が得意で、効率の良いシステムを作る努力もしているはずだ。原発なしでやるという前提に立てば、新しい道があると思う」(12年3月2日付毎日新聞)。
●村上龍 作家/52年生
「もはや日本では原発推進はありえない。原発の事故はリスクが特定できないことがわかってしまったからだ」。必要なのは安心ではなく「信頼」(『文藝春秋』12年3月号)。
●村田光平 東海学園大学名誉教授・元スイス大使/38年生
自身のHPで「再稼働問題が脱原発の鍵になりました。日本の脱原発は世界の動向に決定的影響を与えます。その意味で再稼働問題は日本の命運、世界の命運を左右する問題と言っても過言ではないと信じます」(11年12月21日付)。
●森村誠一 作家/33年生
③の中で、便利性追及の中毒に陥った現代人を「便奴」と呼び、「便利性は命のために発達した。その便利の奴隷となって寿命を短くしたり、命を失っては本末転倒」「原発は、調教師すら飼い馴らせない機械文明の猛獣である」と記す。
●柳澤桂子 生命科学者・エッセイスト・歌人/38年生
週間現代(11年6月18日号)のアンケートで「高レベル放射性廃棄物の処理の仕方も解決されていないのに、原子力発電をするのは、とんでもないことです」と回答。
●山中恒 作家/31年生
①に「原発推進のからくりがぼろぼろ暴露されています。それをかくして国民をだまし続けた自民党、それに迎合したマスコミの責任が問われる時期が来たと思います」と賛同メッセージ。
●渡辺謙 俳優/59年生
震災発生直後、メッセージなどで被災者を応援するサイト「kizuna311」を立ち上げる。12年1月のダボス会議では「『原子力』という、人間が最後までコントロールできない物質に頼って生きて行く恐怖を味わった。再生エネルギーに大きく舵を取らなければ、子供たちに未来を手渡すことはかなわない」と発信(12年1月26日付東京新聞)。
以上、本誌編集部「「脱原発人名辞典」決定版」(「AERA」2012年10月15日号)に拠る。
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