(1)昨夏、郡山市の小中学校は、外の線量が高いため窓を開ける機会は限られていた。屋外活動は3時間に限られた。暑さ対策として、葦のすだれと扇風機が支給され、今年も支給が継続した。
だが、昨夏は閉め切った教室内が大変な暑さとなり、扇風機は熱気をかき回しただけ。鼻血を出すなど体調を崩したり、勉強の能率が落ちた子どもたちが多かった。【「安全・安心・アクションIN郡山」の保護者】
(2)郡山市は、これまで学校や通学路を数度にわたって除染した。線量の高い学校を中心に、昨年5月から校庭の表土を除去したり、校舎内の洗浄や、保護者を動員して通学路を除染するなど多大な労力を投入した。
市教育委員会は、今年3月23日、学校における屋外活動を3時間に制限していた昨年来の措置を新学期から解除した。除染などで屋外平均0.2μSv/時以下になり、「学校がもっとも安全な場所になっている」のがその理由だ、という。
各校は、窓を再び開放し始めた。
(3)武本泰・「安全・安心・アクションIN郡山」顧問は、情報開示請求で、市教委の衝撃的な内部文書を入手した。
(a)1月23日付け通知「学校敷地内ホットスポット調査について」は、各小中学校に中庭、側溝、体育館裏、生け垣など計8ヵ所を列挙し、同月25日までに「線量が高いと思われる箇所を各校で1箇所選定し、放射線量を調査票により報告」するよう求めた。これを受けて、市内の86小中学校は「学校敷地内ホットスポット調査票」にこの8ヵ所に数値を記入した。結果は、12の小中学校で「計画的避難区域」設定の目安となる年間被曝線量20mSv相当の3.8μSv/時超のホットスポットが確認された。
(b)武本顧問が追加入手した2月22日(4月4日提出分も加えると)、総計で3~6μSv/時が21校27地点、6~9.99μSv/時が18校23地点、「測定不能」とされる9.99μSv/時以上は5校6地点。
(4)市教委は、(3)のホットスポットが発生しているのを知りながら、(2)の屋外活動制限解除を行ったことになる。
そのためか、市教委は、5月から6月にかけて計84の小中学校で<側溝など比較的放射線量が高い場所の除染を始めた。・・・・市の委託を受けた業者が側溝の洗浄や体育館裏の落ち葉除去などに当たった>【5月8日付け「福島民報」】。
だが、市教委は、今後のホットスポット調査や除染計画は「当面予定していない」。また、ホットスポットの存在が確認された後に屋外活動が解除された点については「危ない場所は限られているので、そこには近づかないように指導している。平均的には除染などによって校庭の線量は下がっており、今後もこの方針に変更はない」。
(5)では、5~6月の除染は効果があったのか。
郡山の全小中学校のグラウンド脇に設置されたモニタリングポストの数値によれば、10月1日午前0時段階で、0.23μSv/時以上が36校あり、機械故障1校を除く全体の42%に達した。最高値は0.63μSv/時。【福島県がホームページで公表している「各地の定時測定」】
ホットスポットではなくとも、除染の「支援」が必要な学校がこれだけ、まだ存在する。
市教委は、現在もホットスポットの調査を各学校で継続していることを認めているが、なぜか現在まで数値を公表していない。
「除染で安全になった」という主張が揺らぐような高い数値が出ているので、情報を隠しているのではないか。【武本顧問】
(6)市議会では6月、「小学校そして中学校へのエアコン設置を求める請願書」が提出された。「学校敷地内にはホットスポットが生じていることが判明し、窓を開放しての学校生活は、外部・内部被曝を防止する見地から回避すべき」とし、窓を完全に閉め切ることを前提に「エアコン設置」を要求したのだ。
だが、保守系が圧倒的多数の市議会は、否決した。反対の理由は、
①除染業者のお陰で震災以前の郡山に戻った。
②節電が叫ばれている今、エアコンで電力を使うのはいかがなものか。
③子どもに我慢をさせるのも教育・・・・
(7)ふくしま集団疎開裁判【注】弁護団の柳原俊夫・弁護士はいう。
「除染に効果はなく、土建屋の利益のために行われているのは明らか。それを口実に子どもたちを避難させず、被曝させているのは故意の殺人に等しい。いつまでこうした犯罪的行為を続けるつもりなのか」
【注】「【原発】金曜デモの変化・主張の多様化 ~ふくしま集団疎開裁判~」
以上、成澤宗男(編集部)「除染したから「安全」はウソだった ~ホットスポットが消えない郡山市の学校」(「週刊金曜日」2012年10月12日号)に拠る。
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だが、昨夏は閉め切った教室内が大変な暑さとなり、扇風機は熱気をかき回しただけ。鼻血を出すなど体調を崩したり、勉強の能率が落ちた子どもたちが多かった。【「安全・安心・アクションIN郡山」の保護者】
(2)郡山市は、これまで学校や通学路を数度にわたって除染した。線量の高い学校を中心に、昨年5月から校庭の表土を除去したり、校舎内の洗浄や、保護者を動員して通学路を除染するなど多大な労力を投入した。
市教育委員会は、今年3月23日、学校における屋外活動を3時間に制限していた昨年来の措置を新学期から解除した。除染などで屋外平均0.2μSv/時以下になり、「学校がもっとも安全な場所になっている」のがその理由だ、という。
各校は、窓を再び開放し始めた。
(3)武本泰・「安全・安心・アクションIN郡山」顧問は、情報開示請求で、市教委の衝撃的な内部文書を入手した。
(a)1月23日付け通知「学校敷地内ホットスポット調査について」は、各小中学校に中庭、側溝、体育館裏、生け垣など計8ヵ所を列挙し、同月25日までに「線量が高いと思われる箇所を各校で1箇所選定し、放射線量を調査票により報告」するよう求めた。これを受けて、市内の86小中学校は「学校敷地内ホットスポット調査票」にこの8ヵ所に数値を記入した。結果は、12の小中学校で「計画的避難区域」設定の目安となる年間被曝線量20mSv相当の3.8μSv/時超のホットスポットが確認された。
(b)武本顧問が追加入手した2月22日(4月4日提出分も加えると)、総計で3~6μSv/時が21校27地点、6~9.99μSv/時が18校23地点、「測定不能」とされる9.99μSv/時以上は5校6地点。
(4)市教委は、(3)のホットスポットが発生しているのを知りながら、(2)の屋外活動制限解除を行ったことになる。
そのためか、市教委は、5月から6月にかけて計84の小中学校で<側溝など比較的放射線量が高い場所の除染を始めた。・・・・市の委託を受けた業者が側溝の洗浄や体育館裏の落ち葉除去などに当たった>【5月8日付け「福島民報」】。
だが、市教委は、今後のホットスポット調査や除染計画は「当面予定していない」。また、ホットスポットの存在が確認された後に屋外活動が解除された点については「危ない場所は限られているので、そこには近づかないように指導している。平均的には除染などによって校庭の線量は下がっており、今後もこの方針に変更はない」。
(5)では、5~6月の除染は効果があったのか。
郡山の全小中学校のグラウンド脇に設置されたモニタリングポストの数値によれば、10月1日午前0時段階で、0.23μSv/時以上が36校あり、機械故障1校を除く全体の42%に達した。最高値は0.63μSv/時。【福島県がホームページで公表している「各地の定時測定」】
ホットスポットではなくとも、除染の「支援」が必要な学校がこれだけ、まだ存在する。
市教委は、現在もホットスポットの調査を各学校で継続していることを認めているが、なぜか現在まで数値を公表していない。
「除染で安全になった」という主張が揺らぐような高い数値が出ているので、情報を隠しているのではないか。【武本顧問】
(6)市議会では6月、「小学校そして中学校へのエアコン設置を求める請願書」が提出された。「学校敷地内にはホットスポットが生じていることが判明し、窓を開放しての学校生活は、外部・内部被曝を防止する見地から回避すべき」とし、窓を完全に閉め切ることを前提に「エアコン設置」を要求したのだ。
だが、保守系が圧倒的多数の市議会は、否決した。反対の理由は、
①除染業者のお陰で震災以前の郡山に戻った。
②節電が叫ばれている今、エアコンで電力を使うのはいかがなものか。
③子どもに我慢をさせるのも教育・・・・
(7)ふくしま集団疎開裁判【注】弁護団の柳原俊夫・弁護士はいう。
「除染に効果はなく、土建屋の利益のために行われているのは明らか。それを口実に子どもたちを避難させず、被曝させているのは故意の殺人に等しい。いつまでこうした犯罪的行為を続けるつもりなのか」
【注】「【原発】金曜デモの変化・主張の多様化 ~ふくしま集団疎開裁判~」
以上、成澤宗男(編集部)「除染したから「安全」はウソだった ~ホットスポットが消えない郡山市の学校」(「週刊金曜日」2012年10月12日号)に拠る。
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