(1)文部科学省は、全国(福島県を含む)にモニタリングポスト(M/P)を設置し、放射線モニタリング情報を空間線量を発表している【注】。
(2)「市民と科学者の内部被曝問題研究会」は、10月5日、福島県の空間線量を計測しているM/Pの値を検証する独自調査の結果を発表した。
(a)同研究会は、今年9月以降、文科省が福島県相馬市、南相馬市、飯舘村などに設置しているM/Pのうち約100ヵ所を網羅的に測定したところ、わずかな例外を除き、公表されているM/Pの値よりも1.1~1.3倍程度高い値が出た。
(b)M/P周辺の除染されていない地域でも計測したところ、1.5~2.5倍程度高い値が出た。
(3)同研究会によれば、
(a)各M/Pは、表土を広範囲に削った場所、公園や保育園など既に除染済みの場所に設置されていた。
(b)他方、除染されていない公園などには設置されていなかった。
(4)矢ヶ崎克馬・琉球大学名誉教授/同会会員によれば、
(a)周辺地域の住民が浴びている正確な放射線量を知るには、M/Pが示す値のおよそ2倍で考える必要がある。
(b)M/Pの計器そのものに、線量を低めに示す傾向が共通してある(あらかじめ数値が低く出るように意図的かつ系統的に操作された疑い)。
(5)同会は、未調査のM/Pについても、今後検証を進めていく、とのこと。
【注】放射線モニタリング情報」
以上、古川琢也(ルポライター)「意図的に低い放射線量提示か ~内部被曝問題研究会が独自調査結果発表」(「週刊金曜日」2012年10月12日号)に拠る。
*
(1)WHOによれば、飯舘村住民は昨年9月までの間に10~50mSvもの累積被曝を被った。
(2)小林晃は、放射線計測器のエンジニアなどと6人で、8月4~6日、飯舘村を訪れた(昨年7月以来2回目)。そして、32ヵ所を調査した。狙いは、①文科省のM/Pとの比較、②昨年から1年間の変化だ。文科省のM/P23ヵ所のうち7ヵ所の調査結果は次のとおり。
(a)蕨平公民館(高汚染地区)のM/P(<文科省>5.569μSv/時)・・・・M/P直近で6.702μSv/時。M/Pから25m離れた場所では、M/Pの1.5倍の8.558μSv/時(高い値)。
(b)小宮コミュニティセンターのM/P(<文科省>3.622μSv/時)・・・・M/P付近で1.2倍の4.403μSv/時。M/Pから5m離れた草むらでは、M/Pの1.5倍近くの5.397μSv/時。
(c)相馬農業高等学校飯舘高のM/P(<文科省>4.373μSv/時)・・・・M/P付近で1.1倍。M/Pから3m離れた木の根元では1.6倍超。
(d)臼石小学校のM/P(<文科省>2.763μSv/時)・・・・M/P直近で1倍超の3.047μSv/時。M/Pから10m離れたところでは1.4倍超の3.99μSv/時。
(e)飯舘村役場前のM/P(<文科省>0.77μSv/時)・・・・M/P直近で1.1倍の0.842μSv/時。M/Pから10m離れた場所では1.6倍超の1.288μSv/時。
(f)飯舘村南部の比曽(高汚染地区)のM/P・・・・M/P直近で<文科省>の1.4倍の4.157μSv/時。M/Pから50m離れた旧校庭では1.8倍超の5.536μSv/時。
(g)前田地区の赤石沢遺跡(縄文遺跡)のM/P・・・・M/P直近で1.2倍。M/Pから5m離れた草むらで1.3倍超。
(3)小林らの調査結果をまとめると、文科省のM/P設置場所での<小林ら>の計測値はM/P値より1~2割高く、M/Pから10m前後離れた場所では平均1.5倍を超えた。
もし、これが23ヵ所全体のM/Pの傾向であるならば、この低い線量を飯舘村民の累積被曝線量の基礎資料として使うには問題がある。実態に合わない低い累積線量被曝となるからだ。事故後短期間で除染帰宅を促したい国にとっては好都合だが、それは許されない。M/P全体を、信頼できる機関が再調査する必要がある。
(4)小林らの今年の調査を昨年のそれと比べると、臼石小学校で2割、相馬農高グラウンドで4割も低くなっていた。自衛隊が除染した村役場前は8割も低い値だった。それでも、放射線管理区域の下限0.6μv/時(5.2mSv/年)を超えていた。
また、32ヵ所のうち、政府のいう帰宅の目安3.8μSv/時(20mSv/年)を超えたのは18ヵ所だった。
以上、小林晃(フォトジャーナリスト)「飯舘村のモニタリングポストの値は低すぎる」(「週刊金曜日」2012年10月12日号)に拠る。
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(2)「市民と科学者の内部被曝問題研究会」は、10月5日、福島県の空間線量を計測しているM/Pの値を検証する独自調査の結果を発表した。
(a)同研究会は、今年9月以降、文科省が福島県相馬市、南相馬市、飯舘村などに設置しているM/Pのうち約100ヵ所を網羅的に測定したところ、わずかな例外を除き、公表されているM/Pの値よりも1.1~1.3倍程度高い値が出た。
(b)M/P周辺の除染されていない地域でも計測したところ、1.5~2.5倍程度高い値が出た。
(3)同研究会によれば、
(a)各M/Pは、表土を広範囲に削った場所、公園や保育園など既に除染済みの場所に設置されていた。
(b)他方、除染されていない公園などには設置されていなかった。
(4)矢ヶ崎克馬・琉球大学名誉教授/同会会員によれば、
(a)周辺地域の住民が浴びている正確な放射線量を知るには、M/Pが示す値のおよそ2倍で考える必要がある。
(b)M/Pの計器そのものに、線量を低めに示す傾向が共通してある(あらかじめ数値が低く出るように意図的かつ系統的に操作された疑い)。
(5)同会は、未調査のM/Pについても、今後検証を進めていく、とのこと。
【注】放射線モニタリング情報」
以上、古川琢也(ルポライター)「意図的に低い放射線量提示か ~内部被曝問題研究会が独自調査結果発表」(「週刊金曜日」2012年10月12日号)に拠る。
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(1)WHOによれば、飯舘村住民は昨年9月までの間に10~50mSvもの累積被曝を被った。
(2)小林晃は、放射線計測器のエンジニアなどと6人で、8月4~6日、飯舘村を訪れた(昨年7月以来2回目)。そして、32ヵ所を調査した。狙いは、①文科省のM/Pとの比較、②昨年から1年間の変化だ。文科省のM/P23ヵ所のうち7ヵ所の調査結果は次のとおり。
(a)蕨平公民館(高汚染地区)のM/P(<文科省>5.569μSv/時)・・・・M/P直近で6.702μSv/時。M/Pから25m離れた場所では、M/Pの1.5倍の8.558μSv/時(高い値)。
(b)小宮コミュニティセンターのM/P(<文科省>3.622μSv/時)・・・・M/P付近で1.2倍の4.403μSv/時。M/Pから5m離れた草むらでは、M/Pの1.5倍近くの5.397μSv/時。
(c)相馬農業高等学校飯舘高のM/P(<文科省>4.373μSv/時)・・・・M/P付近で1.1倍。M/Pから3m離れた木の根元では1.6倍超。
(d)臼石小学校のM/P(<文科省>2.763μSv/時)・・・・M/P直近で1倍超の3.047μSv/時。M/Pから10m離れたところでは1.4倍超の3.99μSv/時。
(e)飯舘村役場前のM/P(<文科省>0.77μSv/時)・・・・M/P直近で1.1倍の0.842μSv/時。M/Pから10m離れた場所では1.6倍超の1.288μSv/時。
(f)飯舘村南部の比曽(高汚染地区)のM/P・・・・M/P直近で<文科省>の1.4倍の4.157μSv/時。M/Pから50m離れた旧校庭では1.8倍超の5.536μSv/時。
(g)前田地区の赤石沢遺跡(縄文遺跡)のM/P・・・・M/P直近で1.2倍。M/Pから5m離れた草むらで1.3倍超。
(3)小林らの調査結果をまとめると、文科省のM/P設置場所での<小林ら>の計測値はM/P値より1~2割高く、M/Pから10m前後離れた場所では平均1.5倍を超えた。
もし、これが23ヵ所全体のM/Pの傾向であるならば、この低い線量を飯舘村民の累積被曝線量の基礎資料として使うには問題がある。実態に合わない低い累積線量被曝となるからだ。事故後短期間で除染帰宅を促したい国にとっては好都合だが、それは許されない。M/P全体を、信頼できる機関が再調査する必要がある。
(4)小林らの今年の調査を昨年のそれと比べると、臼石小学校で2割、相馬農高グラウンドで4割も低くなっていた。自衛隊が除染した村役場前は8割も低い値だった。それでも、放射線管理区域の下限0.6μv/時(5.2mSv/年)を超えていた。
また、32ヵ所のうち、政府のいう帰宅の目安3.8μSv/時(20mSv/年)を超えたのは18ヵ所だった。
以上、小林晃(フォトジャーナリスト)「飯舘村のモニタリングポストの値は低すぎる」(「週刊金曜日」2012年10月12日号)に拠る。
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