語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【保健】満腹より栄養素に目を向けて ~収入が低い世帯は主食頼み~

2017年07月07日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)国立・栄養研究所の調査によると、世帯収入が低い家庭は摂取エネルギーを専ら米やパンなど主食に頼り、野菜や果物、魚介類を食べないようだ。

 (2)研究者らは、2011年度と12年度の国民健康栄養調査に回答した5,475世帯、11,015人(年齢20~79歳、男女比ほぼ1対1)の食事内容と世帯収入との関係を分析。食事内容については、全国300ヵ所の地域を無作為に抜き出して、11月のある日の献立を調査している。
 年間の世帯収入は、次の3分類で自己申告してもらった。
   ①低め(200万円未満)
   ②中間(200~600万円)
   ③高め(600万円以上)
 ①では、単身で年齢60~79歳のいわゆる「独居老人」が多いことが目につく。

 (3)調査の結果、
  (a)個人の1日の総摂取エネルギー量は、
   ②「中間」世帯が最も多かった。
   ①「低め」世帯が最も少なかった。
   ③「高め」世帯の平均摂取エネルギー量は、1,885kcalだった。
   【参考】日本人の食事摂取基準では、50代の標準体形の日本人の必要エネルギー量は、
    ・男性 2,100~2,800kcal(活動量で変動)
    ・女性 1,650~2,200kcal(同上)
 (b)年収別に食事内容を比較したところ、①「低め」世帯は「穀物」・・・・ご飯やパンなど主食の摂取量が②「中間」世帯、③「高め」世帯より有意に多かった。その一方で、イモ類やマメ類、野菜、果物、魚介など副食の摂取量は有意に少ないことが判明。研究者は、「収入が低い世帯の成員は、専ら主食でおなかを満たしている」と指摘している。

 (4)今回の調査では、細かい栄養素の格差や影響には踏み込んでいないが、主食に多く含まれる糖質は、肥満や生活習慣病を引き起こすことが知られている。偏った食事は、長い間に健康を損なってしまうのだ。

 (5)低所得層の主食頼みは、世界共通の現象だ。生鮮野菜が高額であること、ファスト・フードやコンビニ食など「便利・お手軽食」の普及の影響が大きい。
 世帯年収によらず、手っ取り早く「満腹だけ」を求める食習慣はいただけない。 

□井出ゆきえ(医学ライター)「収入が低い世帯は主食頼み/満腹より栄養素に目を向けて ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.350~」(「週刊ダイヤモンド」2017年5月27日号)
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン

 【参考】
【保健】だるいときほど階段昇降を ~カフェインより効果的~
【保健】成人ADHDの予備診断 ~六つの質問でクリーニング~
【保健】“ベンゾ系薬剤”に注意 ~常用量でも薬物依存を形成~
【保健】ギャンブル依存症ってなに? ~最新の定義は「プロセス依存」~
【保健】グルテンフリー食の功罪 ~結局、2型糖尿病に?~
【保健】アジア系2型糖尿病でも全がん死リスクが上昇
【保健】「男の更年期」改善効果に疑問符 ~テストステロン補充療法~
【保健】狩猟・採集民族のチマネの人々に学ぶ ~現代的な生活は健康リスク~
【保健】玄米でカロリー消費! ~30分程度の運動に匹敵~
【保健】1日あたり0.5合程度が上限 ~認知症を予防する飲酒量~
【保健】電子たばこで禁煙補助? ~英米で見解の相違~
【保健】二つの睡眠時無呼吸症候群 ~閉塞性か中枢性かで違い~
【保健】不安やうつはがんの初期症状? ~結腸・直腸、膵臓などで関連~
【保健】赤身肉は魚や鶏肉に置き換えて ~大腸憩室炎の発症リスクを軽減~
【保健】学会監修の防災セットが限定発売 ~心臓を守るリストも~
【保健】前立腺癌の手術で優れているのは ~ダ・ヴィンチvs人の手~
【保健】サウナで認知症リスクが低下 ~本場フィンランドの報告~
【保健】ポケモンGOで運動量up! ~仲間でワイワイの効果~
【保健】「過剰診断」か「見落とし」か ~マンモグラフィー検診のリスク~
【保健】悪性腫瘍ばりの「足の狭心症」 ~運動・喫煙で早期に対応を~
【保健】ワクチンを接種し損ねても ~インフル予防に補中益気湯~
【保健】高齢者は健康な生活、他方、若い世代は生活習慣に課題
【保健】子供の感染性急性胃腸炎に ~家庭でできる経口補水療法を~
【保健】痛風発作の薬は低用量で/米国のガイドラインが推奨
【保健】社会文化的伝統は肥満のもと ~年末~春は危険だらけ~
【保健】サルコペニア肥満で糖尿病!? ~筋肉減でインスリン分泌低下~
【保健】子どもの砂糖摂取量は1日25g以下に ~肥満症対策のため清涼飲料より水~
【保健】偽薬効果は学習効果? ~慢性的な腰痛が軽減~
【保健】中高年の性行動と認知機能
【保健】揚げ物はレジリエンス(心の弾力・回復力)に悪影響?
【保健】カロリー制限か運動療法か、どちらか一つじゃダメか?
【保健】遺伝子検査で再発リスクを評価 ~乳癌、抗癌剤治療の回避も~
【保健】慢性疲労症候群に関係か ~腸内細菌叢~
【保健】脳トレに有酸素運動をプラス ~認知機能と記憶力が向上~
【保健】標準体重なのに2型糖尿病?/BMIが「1」増加しただけで
【保健】受動喫煙は確実に癌、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群を生む
【保健】嫌な気分の時こそ、動く ~うつ病治療に行動活性化療法~
【保健】孤独リスクも欧米化する?/宴会文化が廃れた後は
【保健】茶カテキンによる肝障害でノルウェーがサプリメント含有量規制へ
【保健】学んで4時間後に運動すると記憶が定着 ~記憶術~
【保健】飲む抗癌剤で生存率改善へ ~膵臓癌の再発を抑制~
【保健】恐竜も腫瘍を患う ~癌は進化の宿命~
【保健】高血圧にはモーツァルト ~安静に寝ているより効果的~
【保健】塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い
【保健】悲しいと食べすぎる ~食べ放題は幸せなときに~
【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~
【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク
【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 
【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ
【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~
【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~
【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~
【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~
【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~
【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~
【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~
【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~
【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽
【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~
【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【南雲つぐみ】タナバタウオ(七夕魚)

2017年07月07日 | 医療・保健・福祉・介護
 七夕は、1月7日の人日(じんじつ)・3月3日の上巳(じょうし)・5月5日の端午(たんご)に続く節句で、七夕(しちせき)の節句ともいわれる。
 七夕祭りは全国で行われるが、各地の水族館でも七夕イベントを開催するそうだ。例えばアマノガワテンジクダイなど星の名前が入った魚の展示などだ。
 タナバタウオという魚がいるのをつい最近知った。おなかの下に2本の長いヒレと、背びれには11本の先端が赤いとげを持つ海水魚だ。体長は7~10センチ。日本では、太平洋側で駿河湾あたりから九州までの海域に生息し、浅い岩礁域や潮だまりなどで、おなかの長いヒレで歩くようにして移動する姿を見かけることができるという。
 タナバタウオの体色は灰褐色なのだが、繁殖の時期になると頬が黄色くなる。これを婚姻色というそうで、初夏の繁殖の季節を迎え、水温の高くなる7月ごろには頬がきれいに染まった姿が見られる。そこで、牽牛と織り姫の年に一度のデートにちなんで七夕の名前をつけられたという説もあるようだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「タナバタウオ ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年7月7日)を引用
     ↓クリック、プリーズ。↓
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ  人気ブログランキングへ  blogram投票ボタン
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする