語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】夏のインフルエンザ

2017年07月10日 | 医療・保健・福祉・介護
 2009年から10年にかけて、世界中で新型インフルエンザの爆発的な流行が起こった。日本でも当時の累計患者数は2,100万人(2010年第13週)、厚生労働省に報告された死亡者数は、同年8月末で203人となった。
 新型インフルエンザは、季節性のA型、B型などとは違い、ほとんどの人が免疫抗体を持っていない。まず、鳥やブタなど、動物間で感染が広がり、動物からヒトへ感染するようになる。やがてヒトからヒトへの感染が確立し、爆発的な流行が起こる。この状態を「パンデミック期(フェーズ6)」という。
 09年4月にメキシコで流行が認められ、日本では5月に成田空港で初めて新型インフルエンザの感染者が確認された。その後、6月に世界保健機関(WHO)が「フェーズ6」に引き上げた。
 インフルエンザは冬にかかりやすいとされるが、このように春から夏にも流行することがある。ぜんそくなどの呼吸器系の病気や糖尿病の患者、高齢者、乳幼児、妊娠中の人は症状が悪化しやすいので注意が必要だ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「夏のインフルエンザ ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年6月15日)を引用
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【朝日俳壇抄】為政者の驕り露見や青嵐 ~7月10日~

2017年07月10日 | 詩歌
【凡例】☆印は共選作。①、②以下丸文字は一席、二席等。

<稲畑汀子選>
 ①夏至の日もなんだかんだと暮れにけり (佐賀県基山町)古庄たみ子
 ③水動く時涼しさの生まれけり (高松市)梶万喜子
 ⑥海賊の国に忘れし夏帽子 (奈良市)田村英一
 【評】一句目。一年で一番日が長い夏至。暮れるのが遅いと思いつつ、いつの間にか暮れた。つい気を許した一日になった。(中略)三句目。水を動かし、涼しさを作るのは風と知った。

<金子兜太選>
 ②山百合を山ごと負うて妻の墓 (群馬県東吾妻町)酒井大岳
 ⑥雲の峰昭和に飢ゑといふ記憶 (日立市)國分貴博
 ⑧返すすべ失せし一書を曝(さら)しけり (名張市)長山千栄
 ⑨花も実も子も無き六十路しやぼん玉 (島根県邑南町)高橋多津子
 ⑩為政者の驕(おご)り露見や青嵐 (野洲市)深田清志
 【評】(前略)酒井氏。山百合で亡き妻の墓を埋め尽したい。(中略)十句目深田氏。都議選を予見か。

<長谷川櫂選>
 ①反古(ほご)にする約束ひとつ沖縄忌(東京都)野上卓
 ②豊かなる胸よ心よ雲の峰(いわき市)馬目空
 ③よろよろと命の水へ夏の蝶(尾張旭市)久永満
 ⑤薫風や第九すなはちEU歌(ドイツ)ハルツォーク洋子
 【評】一席。ほんとうは「ひとつ」どころではないのだが。反古の山の島というべきか。二席。夏の讃歌である。あふれるような入道雲。三席。炎天下、水に集まるアゲハの群れを見たことがある。蝶たちもまた渇いているのだ。

<大串章選>
 ④戦にも地震にも耐へし大夏木(合志市)坂田美代子
 ⑦産土の今は蛍の里となり (川越市)大野宥之介
 ⑨空梅雨の三連水車廻りけり (伊万里市)松尾昭良
 ⑩枇杷(びわ)の実の人無き里に落つるのみ (明石市)小田龍聖
 【評】(略)

□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年7月10日)
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 【参考】
【朝日俳壇抄】叩かれて叩かれてなほ油虫 ~7月3日~
【朝日俳壇抄】政権も徒党に堕すや走り梅雨 ~6月26日~
【朝日俳壇抄】妻はヨガ吾は吟行風薫る ~6月19日~
【朝日俳壇抄】あの人も人間失格桜桃忌 ~6月5日~
【朝日俳壇抄】地響きに滝の重さのありにけり ~5月29日~
【朝日俳壇抄】聖五月人には青の時代あり ~5月22日~
【朝日俳壇抄】戦後よりまた戦前へ四月馬鹿 ~5月15日~
【朝日俳壇抄】空爆の次は花見のニュースかな ~5月7日~
【朝日俳壇抄】鞦韆は蹴るべし愛は返すべし ~5月1日~



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【朝日俳壇抄】叩かれて叩かれてなほ油虫 ~7月3日~

2017年07月10日 | 詩歌
【凡例】☆印は共選作。①、②以下丸文字は一席、二席等。

<大串章選>
 ①父の日に百薬の長届きけり (柏市)藤嶋務
 ②誰ひとり気付かず父の日の過ぎぬ (東京都)三輪憲
 ④しやぼん玉とばす夕日のゴビ砂漠 (川口市)青柳悠
 ⑦石塊(いしくれ)の動きて蟇(ひき)となりにけり (大月市)中村照子
 ⑩死に際の母の希(ねが)ひし心太(ところてん) (町田市)佐藤隆市
 【評】第一句。「百薬の長」と言ったのは、ほかでもない贈られたご当人であろう。酒が大好きなのだ。第二句。こういう家族もある。母の日はみんな気付いていたのに。(後略)

<稲畑汀子選>
 ②叩かれて叩かれてなほ油虫 (静岡市)松村史基
 ③立石寺登り切ったる涼しさよ (西宮市)竹田賢治
 ⑥足音に水の沸き立つ鰻桶 (枚方市)嶋林岳紹
 ⑧万緑や人ら小さく吸ひ込まる (堺市)山戸暁子
 【評】(前略)二句目。強い害虫の油虫を描いて見事。三句目。芭蕉が訪ねた立石寺。磴(いしだん)を登り切った作者の感慨を、季題が語る。

<金子兜太選>
 ②老いるとは軽くなること海霧深し (さぬき市)野崎憲子
 ④牡丹咲く青春といふ浪費あり (熊谷市)内野修
 ⑤見えぬぞや秘仏秘宝に燕の子 (秦野市)熊坂淑
 ⑦退屈は人間のもの蟻地獄 (秋田市)中村榮一
 【評】(前略)野崎さん。率直な実感のユーモラスなことよ。(後略)

<長谷川櫂選>
 ①南(みんなみ)の孤島が墓標六月来 (桑名市)藤井シゲ子
 ②風鈴の修羅からひとつ選びけり (日光市)渡辺全朗
 ⑦短夜の心いたぶるニーチェかな (鴻巣市)佐久間正城
 ⑧吹かれてはまた戻り来る糸蜻蛉(とんぼ) (松阪市)谷元清志
 【評】一席。「父の場合」と前書(まえがき)がある。南海を今も漂う墓標である。二席。涼しげに鳴る風鈴にも修羅があるのだ。修羅とは業のもたらす果てしない争い。(後略)

□「朝日俳壇」(朝日新聞 2017年7月3日)
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 【参考】
【朝日俳壇抄】政権も徒党に堕すや走り梅雨 ~6月26日~
【朝日俳壇抄】妻はヨガ吾は吟行風薫る ~6月19日~
【朝日俳壇抄】あの人も人間失格桜桃忌 ~6月5日~
【朝日俳壇抄】地響きに滝の重さのありにけり ~5月29日~
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【南雲つぐみ】納豆の日 ~7月10日~

2017年07月10日 | 医療・保健・福祉・介護
 「7(なっ)10(とう)」の語呂合わせで、7月10日は納豆の日。納豆は納豆菌以外にも、タンパク質やレシチン、ビタミン類などたくさん含んだ健康食だということはよく知られている。
 全国納豆協働組合連合会が2015年6月に行ったアンケートでは、「納豆を食べることで摂取できる成分」として知っているものは、ナットウキナーゼが45.7%と最も高く、次いで、イソフラボン(39.9%)、食物繊維(19.3%)となっていた。
 逆に、もっとも知られていない成分だったのが、ポリアミンというもの。これは細胞を持つすべての生物に存在するアミノ酸合成物質で、人の体内では動脈硬化のもとになるLFA-1という炎症性の物質を抑える働きをしているという。老化防止の役割を担っているのだ。
 年齢とともに、体内のポリアミンは減少し、動脈硬化を起こしやすくなるそうだ。
 ポリアミンを豊富に含む納豆やみそなど大豆発酵製品を摂取することで、ポリアミンの減少を防ぎ、老化防止につながるという。

□南雲つぐみ(医学ライター)「納豆の日 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年7月10日)を引用
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 【参考】
【南雲つぐみ】暑中見舞いとお中元
【南雲つぐみ】タナバタウオ(七夕魚)
【南雲つぐみ】スイカの薬効成分 ~シトルリン~
【南雲つぐみ】ゲリラ豪雨
【南雲つぐみ】スイカの栄養
【南雲つぐみ】首を冷やさないで ~扁桃の免疫機能~
【南雲つぐみ】タコの消費 ~7月2日は半夏生~
【南雲つぐみ】レム睡眠と過食
【南雲つぐみ】ビートルズと日本武道館 ~6月29日~
【南雲つぐみ】首を冷やさないで ~扁桃の免疫機能~
【南雲つぐみ】日本人の睡眠 ~世界で2番目に短い~
【南雲つぐみ】ウニの色と栄養
【南雲つぐみ】夏至 ~6月21日~
【南雲つぐみ】北見のハッカ油 ~毎月20日は「ペパーミントの日」~
【南雲つぐみ】足がつったとき ~こむら返り対症療法~
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【南雲つぐみ】消費期限を守る ~ウイルス性の食中毒から細菌性の食中毒へ~
【南雲つぐみ】低コレステロール ~痩せ形の女性~
【南雲つぐみ】血糖値スパイクに注意
【南雲つぐみ】ストレスから救う方法 ~東洋の「感謝の原理」~
【南雲つぐみ】はやぶさの日 ~6月13日~
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【南雲つぐみ】散歩しながら会議
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【南雲つぐみ】春休みの時差ぼけ
【南雲つぐみ】菜種梅雨 ~春雨、催花雨~
【南雲つぐみ】お花見 ~3月27日は「さくらの日」~
【南雲つぐみ】カテキンの効果 ~殺菌・消臭・口内の衛生~
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【南雲つぐみ】栄養はバランスよく ~若者より高齢者の方が健康的~
【南雲つぐみ】クロロゲン酸の効用 ~珈琲~
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【南雲つぐみ】春は突風に注意 ~飛来物・落下物・転倒事故~
【南雲つぐみ】春苗の植えどき ~ハーブ、青菜、花~
【南雲つぐみ】お彼岸 ~その心~
【南雲つぐみ】せきを抑えるツボ ~自衛法~
【南雲つぐみ】加齢黄斑変性とその治療法
【南雲つぐみ】頭痛が続く時 ~「気象病」~
【南雲つぐみ】クラゲの癒やし ~ストレス解消~
【南雲つぐみ】アレルギー性結膜炎 ~目の花粉症~
【南雲つぐみ】遺伝子検査と生活習慣
【南雲つぐみ】早春の香り ~匂いとセラピー~ 
【南雲つぐみ】白酒と甘酒 ~甘酒は栄養豊富~
【南雲つぐみ】背骨の新しい治療法
【南雲つぐみ】ビーナスベルトと地球影 ~西の空~
【南雲つぐみ】火災を防ぐ ~春季全国火災予防運動~
【南雲つぐみ】温泉かれい ~北陸~
【南雲つぐみ】がんと就労 ~仕事と治療の両立~
【南雲つぐみ】富士の笠雲
【南雲つぐみ】歩き方いろいろ ~室内でできるスロージョギング~
【南雲つぐみ】飲酒のメカニズム ~前頭葉を刺激~
【南雲つぐみ】ハリーアップ症候群 ~時間に追われると~
【南雲つぐみ】おでんの日 ~車麩~
【南雲つぐみ】フローズンショルダー ~肩関節周囲炎~
【南雲つぐみ】更年期女性と心疾患 ~微小血管狭心症~
【南雲つぐみ】梅の季節
【南雲つぐみ】皮膚の乾燥やかゆみ ~傾向と対策~
【南雲つぐみ】お菓子の日とビタミンB1
【南雲つぐみ】午の時刻、方位、初午の名物料理
【南雲つぐみ】添加物が気になる時 ~ワカメのみそ汁の効果~
【南雲つぐみ】揺さぶりに注意 ~赤ちゃんの脳震盪や硬膜下出血~
【南雲つぐみ】喉あめの効果 ~唾液分泌~
【南雲つぐみ】静電気を防ぐには ~綿や麻は電子を帯びにくい~
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【南雲つぐみ】マスクで花粉症の予防 ~ダイエットにもなる~
【南雲つぐみ】寒灸の習慣 ~関節の痛みやこりを和らげる~
【南雲つぐみ】タイの天ぷら ~徳川家康の死因考~
【南雲つぐみ】アボカドの栄養とその調理法
【南雲つぐみ】フェリチンに注目 ~貧血対策~
【南雲つぐみ】ショウガを飲む ~その薬効~
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【南雲つぐみ】寒たまご ~1日2個以上も可~
【南雲つぐみ】安納芋の栄養価と味わい ~焼くか蒸す~
【南雲つぐみ】小正月には小豆がゆ ~むくみによる体重増の対策~
【南雲つぐみ】「おなかの風邪」の予防と事後処理 ~ノロウイルス、「ロタウイルス」~
【南雲つぐみ】食事制限だけのダイエットは危険 ~運動が大事~
【南雲つぐみ】温泉の安全な入り方
【南雲つぐみ】七草がゆ
ミカンのうんちく ~延命長寿の果実~
【南雲つぐみ】鍋で養生 ~今年1月5日は小寒~
【南雲つぐみ】お雑煮の食べ方 ~事故の防止法~
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【後藤謙次】経世会(額賀派)・宏池会(岸田派)・石田茂 ~都議選大惨敗後の動き~

2017年07月10日 | 社会
 (1)「問題発言をした大臣(稲田朋美・防衛相)を選挙中に首にしておけば、自民党はこんなに負けはしなかった。このままでは自民党は駄目になる。こういうタイミングでこの種の会合が開かれたことを好機と捉えて奮起をしてほしい」
 東京都議会議員選における自民党大惨敗の余韻冷めやらぬ7月4日夜、「プリンスパークタワー東京」(東京・芝)。
 かつて「政界の狙撃手」といわれた野中広務(91)・元自民党幹事長が現役時代そのままに吠えまくった。

 (2)この日は、竹下登・元首相が旧田中派の大多数を引き連れて「経世会」(竹下派)を発足させてから満30年に当たる“派閥結成記念日”。経世会は、その後「平成研究会」(現・額賀派)と名称を変え、今日に至るが、その存在感は見る影もない。
 そこで、「30周年を凋落する平成研の復活のきっかけにしたい」(同派幹部)と、いわば再起に向けた“決起大会”にする狙いがあった。このため、現職の額賀派所属議員に加え、野中を筆頭に綿貫民輔・元衆院議長、津島雄二・元厚相/前平成研会長ら派閥OB、さらに橋本龍太郎、小渕恵三の2人の元首相夫人がゲストで招かれた。
 野中と同様に、津島も苦言を呈した。
 竹下は、経世会を足場に首相の座に上り詰め、日本の税制史上初めて消費税導入を実現させた。旧大蔵官僚の津島は、安倍晋三・首相の2度にわたる消費増税の延期に我慢がならなかったのだろう。現職議員の奮起を促しながら、安倍政権にも批判の矛先を向けた。
 「国民を怒らせる原因は、首相官邸からしか声が出ていない。なぜ額賀派として意見を言わないのか」
 確かに都議選(7月2日)の結果は、「安倍1強」に対して都民が突き付けた「レッドカード」といっていい。自民党の獲得議席は定数127に対してわずか23議席。選挙前の57議席からの急降下は、誰も予想できなかった歴史的大惨敗だった。不遇をかこつ額賀派が反安倍ののろしを上げるタイミングでもあった。
 ところが、派閥会長の額賀福志郎のあいさつには、安倍に対する批判は全くなかった。むしろ安倍支持の考えを鮮明にした。
 「党内抗争で自民党が混乱している印象を与えるのはいけない」
 そんな額賀に対する派内の不満は今や爆発寸前の状態といえる。
 その象徴が、この日の会合に1人のキーマンの姿がなかったことだ。竹下登の元秘書から参院議員になり、“参院のドン”と呼ばれた青木幹雄だ。青木は政界を引退した今も、参院額賀派というよりは参院自民党全体に大きな影響力を持つ。
 その青木が欠席した理由は言うまでもなく、額賀に対する牽制にあった。約1年前、青木は額賀に派閥会長の座を退くよう申し渡しをしている。青木の思いは竹下登の実弟で現自民党国会対策委員長、竹下亘へのバトンタッチにある。
 「竹下派」の復活だ。竹下が会長になれば、派閥を離れた議員が再結集する可能性が高いからだ。
 30年前に竹下登が経世会を発足させた際に結集したのは114人。竹下が所属した旧田中派の約8割に当たる。この参加者の中から橋本、小渕の2人の首相が誕生した。その後自民党を出た羽田孜、鳩山由紀夫も首相になっている。
 このほか、二階俊博・現幹事長、石破茂・元幹事長、小沢一郎・現自由党共同代表、梶山静六、渡部恒三・元衆院副議長や鈴木宗男・新党大地代表らを輩出した。このため、この“同窓会”には今も健在の小沢や渡部、鈴木らも呼んで「安倍1強を牽制すべき」との声が旧竹下派の秘書グループには存在した。
 しかし、今や「牙を抜かれたトラ」になった額賀にはそれだけの度胸や覚悟はなかった。

 (3)その経世会の全盛時に、対極にいたのが安倍晋三の実父の安倍晋太郎・元外相が率いた旧安倍派だった。
 晋太郎はトップリーダーの座を目前にして他界したが、小渕の病気退陣後に首相になった森喜朗以降、小泉純一郎、そして安倍が2度にわたって首相となり、今日の「安倍1強体制」を築くことになる。栄枯盛衰は世の常とはいえ、30年を経て政界の勢力図がこれほど激変すると誰が想像したか。

 (4)一方、安倍に対するスタンスを額賀とは微妙に変えたのが、「宏池会」(岸田派)会長の岸田文雄・外相だ。岸田派は、池田勇人・元首相に始まる宏池会を引き継ぐ党内きっての名門派閥。その宏池会も4日、派閥創設60周年を記念してシンポジウムを開いた。この中で岸田はポスト安倍への意欲を強くにじませた。
 「政権を取ることを考えた場合、大事なのは忍耐や謙虚さだ。政治が国民から信頼を得る上で重要なポイントだ」
 池田が政権を引き継いだのは、安倍の祖父、岸信介。岸は日米安保条約の改定などの実績を残したが、その強引な手法に反発も強かった。
 この反省から池田は「低姿勢」と「寛容と忍耐」をスローガンに掲げた。岸田の「忍耐と謙虚」は明らかに池田を意識したものだろう。「ポスト安倍への名乗り」とまではいえないが、ジワリと足を踏み出したのは間違いない。

 (5)石破茂は、都議選後、岸田よりさらに大きく踏み込んだ。
 「街頭で一番厳しい雰囲気を感じたのは候補者。都民の反応はこうだったというところから始めるべきだ。街頭に立つと、駆け寄ってきて政権に不満を言う人が相当数いた」

 (6)党内の勢力は依然として安倍支持が圧倒的だ。しかし、溜まっていた「不満のガス」が、少しずつ水泡となって水面から見えるようになってきた。
 安倍にとって最大の痛手は、首相の大権である衆院解散権の行使についてフリーハンドを失ったことだ。少なくとも年内解散は消えた。安倍は二階の幹事長続投でこの難局を乗り切る意向だが、起死回生の挽回策は見当たらない。潮目は大きく変わった。

□後藤謙次「“参院のドン”が「経世会」の結成30周年会合を欠席した理由 ~永田町ライブ!No.347」(「週刊ダイヤモンド」2017年7月15日号)
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 【参考】
【後藤謙次】安倍首相の改憲案の前倒し発言 ~「年内解散」に向けた思惑~
【後藤謙次】支持率急落で首相が「反省の弁」 ~それでも止まらぬ内部文書流出~
【後藤謙次】憲法改正発議までの長い道のりが賭のリスクに ~天皇退位・総裁選・衆院選~ 
【後藤謙次】【加計学園疑惑】沈黙していた政官双方から異論 ~加計学園問題が招く想定外反応~
【後藤謙次】共謀罪に加計学園問題まで炎上 ~予想以上に高い「6月の壁」~
【後藤謙次】安倍1強時代を揺るがすリスク ~森友学園問題で一躍「渦中の人」~
【後藤謙次】北朝鮮、金正男氏殺害の深層 ~日本政府内に異なる二つの見方~
【後藤謙次】政府与党内の二つの見方 ~北方領土交渉は頓挫?~
【後藤謙次】トランプの地滑り的勝利で始まった未知なる対米外交
【後藤謙次】築地市場の移転延期の決断が小池都知事の手足を縛るリスク
【後藤謙次】幹事長の入院が人事に波及、「ポスト安倍」めぐり早くも火花
【後藤謙次】参院選大勝も激戦12県で大敗 ~劣る「勝利の質」~
【後藤謙次】都知事選で与党分裂の理由 ~自民党内の反安倍勢力~
【後藤謙次】日本が直面する「ABCリスク」 ~英EU離脱で顕在化~
【後藤謙次】甘利大臣辞任をめぐる二つのなぜ ~後任人事と直後のマイナス金利~
【政治】不可解な時期に石破派が発足 ~その行方は内閣改造で~
【政治】震災後2度目の統一地方選 ~異例なほど注力する自民党本部~
【政治】安倍が描いた解散戦略の全内幕 ~周到な準備~
【政治】安部政権の危機管理能力の低さ ~土砂災害・火山噴火~
【政治】「地方創生」が実現する条件 ~石破-河村ラインの役割分担~
【政治】露骨な安倍政権へのすり寄り ~経団連が献金再開~
【政治】石原発言から透ける政権の慢心 ~制止役不在の危うさ~
【原発】政権の最優先課題 ~汚染水と廃炉作業~
【政治】「新党」結成目前の小沢一郎の前にたちはだかる難問
【政治】小沢一郎、妻からの「離縁状」の波紋 ~古い自民党の復活~
【政治】国会議員はヤジの質も落ちた

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【後藤謙次】安倍首相の改憲案の前倒し発言 ~「年内解散」に向けた思惑~

2017年07月10日 | 社会
 (1)「築城3年落城1日」
 安倍晋三・首相は、通常国会閉会直後の6月20日、自民党役員会でこうあいさつした。そして付け加えた。
 「国民の信頼が得られるよう丁寧に説明する努力を積み重ねる原点に立ち返り、政権政党として責任を果たしていかなければならない」
 学校法人「加計学園」(岡山)をめぐる獣医学部新設問題、共謀罪の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法を強引に成立させた国会運営。その結果、内閣支持率の急落を招来し、安倍の「反省の弁」につながったとみられていた。ところが、このあいさつ後も「安倍1強」の緩みからくる暴言、失言が止まらない。

 (2)「このはげー」
 豊田真由子・衆院議員(埼玉4区)の政策秘書に対するパワハラは、その音声と共に当分消えることはないだろう(「週刊新潮」が報じた)。豊田は、安倍が政権復帰を果たした2012年12月の衆院選で初当選した“安倍チルドレン”。「魔の2回生」と呼ばれるほど12年初当選組のスキャンダルはとどまるところを知らない。
 豊田は直ちに自民党を離党した。無所属議員の控室(国会3階)は、今や自民党離党議員が使う「スキャンダル部屋」と揶揄される。

 (3)6月27日、安倍の“秘蔵っ子”稲田朋美・防衛相が、知的能力に欠ける失言でとどめを刺した。
 「本当に大変だからお願いしたい。防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてお願いしたい」
 東京都議選の自民党公認候補に対する応援演説でのことだ。稲田は深夜になって「誤解を招きかねず撤回したい」と語ったが、謝罪はなかった。稲田発言が政権内部に広がるおごり、慢心を浮き彫りにする。稲田には問題発言をした認識すらなかったらしい。稲田の発言撤回が官房長官の菅義偉の指示によるものだったからだ。
 稲田は、学校法人「森友学園」(大阪)をめぐる国有地払い下げ問題でも謝罪に追い込まれるなど、“お荷物閣僚”の一人。それを、そのつど安倍が擁護してきた。今回も野党側の辞職要求に対して「職務を全うしたい」と一向に反省していない発言をし、強気の姿勢を崩していない。安倍も職務継続を指示したという。

 (4)安倍周辺の失言、暴言の連鎖は政権の体力の消耗を確実に加速させる。
 安倍の悲願である憲法改正実現にも暗雲が漂い始めた。
 安倍は間違いなく次の内閣改造をバネに改憲に向けて大きく踏み出そうとしていた。6月24日、安倍は神戸で一気にアクセルを踏んだ。
 「来るべき臨時国会が終わる前に、衆参の憲法審査会に自民党案を提出したい」
 従来の自民党案の提出時期についてのスケジュール観は、年内に党内の意見を集約、来年1月召集の通常国会に自民党案の国会提出というものだった。それを大幅に前倒しするというわけだ。
 安倍が最初に憲法改正について具体的な考えを明らかにしたのは、今年5月3日の憲法記念日。「読売新聞」朝刊と安倍を支持するグループの集会へのビデオメッセージだった。今回は産経新聞社と密接な関係にある「神戸『正論』懇話会」での特別講演会が発信の場となった。安倍に近い「読売」と「産経」の双方に配慮した格好だ。

 (5)しかし、計りに計った改憲案提出前倒しには、自民党内からも異論が飛び出した。中でも安倍の出身派閥である細田派会長で自民党総務会長の細田博之が苦言を呈したことで党内にさざ波が立った。
 「国会や党の意向もある。スケジュールありきはいけない。内容で合意が成立しなければならない」
 「安倍1強」の中で細田が異を唱えた意味は、小さくない。さすがに菅は「期限を切らないと議論がズルズルと続くだけだ」と安倍に理解を示す。しかし、安倍にとって深刻なのは、細田発言と稲田失言のダブルパンチをきっかけに、安倍の足元に揺らぎが出てきたことだ。稲田とそれをかばい続ける安倍に注がれる冷ややかな視線は否定しようがない。安倍が政権戦略の修正を迫られたのは間違いない。

 (6)改憲案前倒し発言には憲法改正だけでなく、「年内解散」に向けた環境整備という思惑も込められていた。衆院議員の任期満了は2018年12月13日。
 来年はしかし、天皇陛下の退位、秋篠宮家の長女眞子さまの婚姻などの皇室行事、さらに9月には自民党総裁選が予定されている。安倍が解散権を行使する余地はほとんどない。宮内庁関係者もこんな疑問を抱く。
 「衆院解散は総理の専権事項でとやかく言うことはできないが、ご退位の関連で解散の時期がいつになるかはとても気になる」
 つまり安倍が解散権行使についてフリーハンドを握れる時期は、どんなに先延ばししても来年の前半まで。それまでに解散のタイミングを逃すと、「追い込まれ解散」の道をたどらざるを得ない。安倍が選択肢を増やすとなれば解散権行使のための“土俵”を前に広げるしかない。臨時国会での改憲案提出は解散の大義名分づくりでもある。今の自民党の状況について選対幹部はこう解説する。
 「いつ選挙をやっても議席が減ることは避けられない。要は“負け”をどれだけ少なくすることができるかを冷静に判断することだ」

 (7)そこで思い浮かぶのが2014年12月衆院選までの運びだ。
   9月3日 内閣改造・自民党役員人事
   9月29日 臨時国会召集
   11月21日 衆院解散
   12月14日 投開票」
 この選挙で大勝した安倍は、14年型の政治日程を描いていた可能性が高い。
 しかし、稲田発言を契機に自民党内には「改造8月上旬説」も浮上した。稲田を抱えていれば、さらに求心力を失いかねないからだ。内閣改造によって政権浮揚を狙うのが政権与党の常套手段だが、改造で政権が勢いを取り戻した例はほとんどない。安倍は政権復帰以来、最大の正念場を迎えた。

□後藤謙次「安倍首相が改憲案の前倒し発言 透ける「年内解散」に向けた思惑 ~永田町ライブ!No.346」(「週刊ダイヤモンド」2017年7月8日号)
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 【参考】
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【後藤謙次】【加計学園疑惑】沈黙していた政官双方から異論 ~加計学園問題が招く想定外反応~
【後藤謙次】共謀罪に加計学園問題まで炎上 ~予想以上に高い「6月の壁」~
【後藤謙次】安倍1強時代を揺るがすリスク ~森友学園問題で一躍「渦中の人」~
【後藤謙次】北朝鮮、金正男氏殺害の深層 ~日本政府内に異なる二つの見方~
【後藤謙次】政府与党内の二つの見方 ~北方領土交渉は頓挫?~
【後藤謙次】トランプの地滑り的勝利で始まった未知なる対米外交
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【後藤謙次】参院選大勝も激戦12県で大敗 ~劣る「勝利の質」~
【後藤謙次】都知事選で与党分裂の理由 ~自民党内の反安倍勢力~
【後藤謙次】日本が直面する「ABCリスク」 ~英EU離脱で顕在化~
【後藤謙次】甘利大臣辞任をめぐる二つのなぜ ~後任人事と直後のマイナス金利~
【政治】不可解な時期に石破派が発足 ~その行方は内閣改造で~
【政治】震災後2度目の統一地方選 ~異例なほど注力する自民党本部~
【政治】安倍が描いた解散戦略の全内幕 ~周到な準備~
【政治】安部政権の危機管理能力の低さ ~土砂災害・火山噴火~
【政治】「地方創生」が実現する条件 ~石破-河村ラインの役割分担~
【政治】露骨な安倍政権へのすり寄り ~経団連が献金再開~
【政治】石原発言から透ける政権の慢心 ~制止役不在の危うさ~
【原発】政権の最優先課題 ~汚染水と廃炉作業~
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【政治】小沢一郎、妻からの「離縁状」の波紋 ~古い自民党の復活~
【政治】国会議員はヤジの質も落ちた
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【後藤謙次】支持率急落で首相が「反省の弁」 ~それでも止まらぬ内部文書流出~

2017年07月10日 | 社会
 (1)「つい強い口調で反論してしまう私の姿勢が、結果として政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省している」
 通常国会閉会を受けて記者会見に臨んだ首相の安倍晋三が最初に口にしたのは、「反省の弁」だ。6月19日夕、首相官邸の記者会見場はいつもとは違う緊張した空気が支配していた。強気一辺倒の安倍がなぜ低姿勢に転じたのかは言うまでもない。この日報じられた新聞各紙の世論調査の結果だ。内閣支持率の下落幅はほぼ10ポイント前後。下落率の高い順に並べてみる。
  「読売新聞」・・・・49%(マイナス12ポイント)
、 「共同通信」・・・・44.9%(マイナス10.5ポイント)
  「毎日新聞」・・・・36%(マイナス10ポイント)
  「日本経済新聞」・・・・49%(マイナス7ポイント)
  「朝日新聞」・・・・41%(マイナス6ポイント)。

 (2)安倍が2012年12月に政権復帰してから約4年半。この間に2度、支持率の急落を経験している。特定秘密保護法の成立(2013年)と安全保障法制の制定(2015年)直後。いずれも、個別の具体的な政策をめぐる世論の反発が急落の要因だった。
 しかし、今回は全く質が違う。学校法人「加計学園」(岡山)の獣医学部新設問題と、改正組織犯罪処罰法(「共謀罪法」)の成立に至るまでの強引な国会運営など、「1強のおごり」「安倍の手法」が国民の反発、失望の背景にある。
 それだけに即効性のある対処法はおいそれとは見当たらない。とりわけ安倍が「腹心の友」と呼ぶ、加計学園理事長との個人的関係が見え隠れする獣医学部新設問題は、「官邸vs文部科学省」という政府内の対立の構図を引きずったまま泥沼状態に陥りつつある。しかも、その対立は一向に収束に向かう気配が見えてこない。
 獣医学部新設に関する文科省の内部文書調査で、再び新しい文書の存在が明らかになったことがどろ沼状態を裏付ける。

 (3)加計問題を振り返ると、一定の流れが浮かび上がる。まずメディアが内部文書の存在を報じる。そして文科省内から「本物」との証言が飛び出し、官邸側を追い詰める、という構図だ。
 6月17日に朝日が最初に報じた8枚の内部文書もそうだ。報道直後に官房長官の菅義偉は「怪文書」と断じ、文書の存在も「確認できなかった」と早々に幕引きを図った。
 ところがそこに文科省の前事務次官、前川喜平が登場する。
 「あったものをなかったとは言えない」
 こう語った前川は「行政の在り方がゆがめられた」とまで言い切り、官邸側との“全面戦争”に入る。さらに前川の援軍が文科省内から続出、松野博一・文科相はたまらず、「確認できなかった」とした文書の再調査を命じた。結果、文書の存在が明らかになる。

 (4)(3)は最後ではなかった。今度はNHKが全く新しい内部文書を暴露した。
 「10/21萩生田副長官ご発言内容」
 この表題が付いた文書の流出は、官邸に大きな衝撃を与えた。安倍が「反省の弁」を述べた直後に流出したことに加えて、その中身の記述が生々しいからだ。
 「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」
 「農水省は了解しているのに、文科省だけが怖気づいている」
 この文言から、大学の学部新設の許認可権を握る文科省に対する官邸サイドの強烈な圧力が窺える。文書の内容は、これまで確認されている「総理のご意向」などの文書とも重なる。
 これに対して官房副長官の萩生田光一は反論のコメントを発表した。
 萩生田は文書の中身に文句をつけたが、文書が新たに見つかった事実は否定できない。
 否定しても否定しても次々と出てくる内部文書。その背景には、加計学園の獣医学部新設をめぐる文科省内の強い不満がある。

 (5)加計学園の獣医学部新設の最終結論は、8月末にも想定される大学設置審議会で出される予定だ。
 「安倍1強」の前にこれまで沈黙してきた自民党内からも声が出始めた。長老議員は言い放った。
 「この政権は武士道を忘れている。武士道とは自己規律だ」

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