《甲》キューピー「キューピーあえるパスタソース カルボナーラ濃厚チーズ仕立て」・・・・一番多く使われている植物油脂は水素添加をする製造方法(大部分の市販サラダ油)の場合、トランス脂肪酸発生の不安が大きい。「乳等を主要原料とする食品」は、「公正競争規約」により、「食品衛生法で認められている添加物」や「味、香り、栄養成分、機能性及び物性を付与する目的の食品」の使用が認められている食品で、多種多様の添加物が使用されている可能性がある。
《乙》日清フーズ「マ・マー ミルクたっぷりのカルボナーラ」・・・・着色に使われているクチナシ色素には「黄・青・赤」の3色があり、黄色はクチナシの実を水またはエタノールで抽出したもので、黄色素は下痢や肝臓への影響が確認されている。タンパク加水分解物はタンパク質を加水分解する過程で、安全性の証明されない様々な物質ができる懸念がある。
《丙》日清フーズ「青の洞窟 2種のチーズのカルボナーラ」・・・・《乙》と同様に、着色に使われるクチナシ色素の健康被害が懸念されている。アナトー色素は変異原性の懸念が指摘されている。
《丁》日本製粉「オーマイ カルボナーラ」・・・・一番多く使われている「乳等を主要原料とする食品」は、《甲》と同様、多種多様の添加物の危険性がある。一括名表示の酸味料と香料が使用されているため、使用されている添加物の種類は多くなることが推定される。
(1)カルボナーラはパスタソースの一つで、「黒胡椒、チーズ、豚肉の塩漬け、鶏卵」で作る。自分で作る場合は原材料はこの四つだ(生クリームが使われることもある)。
(2)ところが、市販のカルボナーラの原材料は実に多い。食品添加物も多数使われているが、《甲》、《乙》、《丙》、《丁》に共通して使われているのは、(a)加工でん粉、(b)調味料(アミノ酸等)、(c)発色剤(亜硝酸ナトリウム)、(d)着色料(カロチノイド色素、クチナシ色素、アナトー色素)。
(a)加工でん粉・・・・増粘剤、安定剤、乳化剤などとして使われることも多く、2008年にそれまでの食品から食品添加物に指定された成分だ。でん粉は食品で、加工でん粉は食品添加物。双方ともでん粉なのだが、その違いは次のとおり。
①でん粉・・・・葉緑体を持った植物体に広く存在する無味・無臭で水に溶けない性質を持つ天然の物、つまり食品。
②加工でん粉・・・・でん粉に酵素的や化学的な加工をして作られた物質の総称。合成食品添加物。アセチル化酸化でん粉、アセチル化アジビン酸架橋でん粉、リン酸化でん粉など11種類ある。その11種類も、それぞれたくさんの種類があるのだが、どんな種類の加工でん粉がどれくらい、どのように組み合わされて使用されていても、一括名表示ではないにもかかわらず「加工でん粉」とだけ記載すればよいとされている。さらに、11種類のうち、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋でん粉とヒドロキシプロピルでん粉の2種類は安全性の情報が不足しているという理由で、EUでは乳幼児向け食品への使用が禁止されている。
(a’)加工でん粉の問題点
①種類が多いため合成するたびに微妙に異なる合成でん粉が生成されてしまう。確認されていない合成でん粉を摂取した後に体にどのような影響をもたらすかは、今まさに実験中なのだ。また、でん粉に含まれているタンパク質も合成過程で変性する可能性があり、新たに生まれた合成タンパク質が体に与える影響(アレルギーを持っていなかった人がアレルギーになる)も懸念されている。
②不純物の懸念だ。加工でん粉はでん粉にさまざまな化学物質を混ぜて合成されるが、中にはでん粉に結合しない化学物質もあり、それはそのまま残り、不純物となる。この不純物を取り除くことはきわめて困難である、と言われている現状から、加工でん粉には不純物が残存している可能性が高いのだが、含有の規制がない。
(c)発色剤(亜硝酸ナトリウム)・・・・はショルダーベーコンの色を見栄えよくするために使われる添加物だ。本来、肉製品や魚卵などは変色しやすいのだが、添加すると黒ずみを防いで、いつまでもピンク色の状態を保つことができるため、ハムやソーセージ、イクラやタラコなどに使われている。
見た目ピンク色で新鮮なように見えるが、食品添加物の中では急性毒性が非常に高いと言われている(推定致死量は0.18~0.25グラムで、猛毒の青酸カリの致死量0.15グラムに匹敵する)。
肉・魚・魚卵などに含まれるアミン(古くなったタンパク質からできる)と胃の中で結合して、発癌性物質のニトロソアミンに変化することが確認されていて、胃癌との因果関係が指摘されている。
また、メトヘモグロビン血症(酸素を運べない赤血球のヘモグロビンが多くなり、酸欠状態に陥り、重度の場合は死亡することもある)に関与する恐れもあると言われ、日本ではベビー食品における使用は禁止されている。
(3)(b)調味料(アミノ酸等)や(d)着色料も、(a)加工でん粉や(c)発色剤(亜硝酸ナトリウム)に負けない健康被害の報告や懸念が多々ある現状で、簡単で美味しいけれども、市販のカルボナーラは避けた方が賢明だ。
(4)トマトソースが普及したのは17世紀末。それまではチーズをからめたパスタが庶民の味だった。チーズ味のカルボナーラを安全な食材で作れば、不必要かつ健康被害につながる添加物を取り入れる必要はまったくなく、良質なタンパク質を摂取できるスタミナかつ健康食になる。
□沢木みずほ「「カルボナーラソース」には問題ありありでした ~新買ってはいけない238~」(「週刊金曜日」2017年7月7日号)
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