語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】体重増加と関節の痛み

2017年11月22日 | 医療・保健・福祉・介護
 膝関節の痛みで受診したUさん(58)は湿布と痛み止めをもらい、医師に「少しやせたほうがいい」と言われた。しかし、「1年で5キログラム太ったけれど、肥満というほどではない」という。
 太ることで足腰の関節に悪影響を及ぼすのはなぜか。これは「てこの原理」によって説明できると聞いた。片足で立つと、骨盤が傾いて体の中心線からずれる。そこでバランスを取ろうとして体重より重い荷重が軸足の骨盤にかかるのだ。
 例えば、体重50キログラムの人が両足で立っているとき、左右の足はそれぞれ25キログラムずつの重さを支えている。では片足立ちをするとどうか。軸になった足には全体重50キログラムだけでなく、その3倍の150キログラムがかかるそうだ。
 階段を上り下りするときの軸足には体重の5倍、片足ジャンプとなると8倍がかかっているという。ということは、50キログラムの人が5キログラム太って55キログラムになったら、階段の上り下りは今までより25キログラム上乗せで、負担が掛かる。痛みやけがの出るリスクも高くなるというわけだ。

□南雲つぐみ(医学ライター)「体重増加と関節 ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年11月20日)を引用
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【米国】とメキシコ国境に建つトランプの「壁」の試作品 ~国境の街の反応は?~

2017年11月22日 | 社会
 (1)「メキシコとの国境に巨大な壁を建てて不法移民をシャットアウトする」
 そう公言して大統領になったトランプ氏。その壁の試作品8点が、カリフォルニア州のオータイメイサ地区に建設された。
 現地には荒涼とした平原が広がる。高さ9メートルの壁の試作品が並ぶ場所は公道から1キロメートル以上離れた所にあり、公道から壁は見えない。封鎖された入り口には監視カメラがあり、国境警備隊が24時間体制で警備している。今後数カ月で試作品8点の壁の強度をテストし、採用するタイプを決めるという。
 目と鼻の先のメキシコから国境を越えてくる貨物トラックが行き交うこの街には、事故車や中古車を激安で販売する店舗が並び、メキシコからの客でにぎわっている。その他には州刑務所があるぐらいで閑散としている。

 (2)街角のどこを探しても壁の建設に反対してデモをする市民の姿は見当たらない。
 大統領自らが壁の試作品の写真をツイッターで発信したほどホットな話題なのに、なぜ地元は静まり返っているのか。サンディエゴを拠点とする市民団体、「ボーダー・エンジェルス」のエンリケ・モロネス氏いわく、
 「壁の試作品に対して数千人規模で反対デモなどしたら、壁に全米の注目が集まってしまう。それではトランプの思うつぼ。私たちは壁の建設に強く反対するからこそ、あえてデモをしない戦略」

 (3)米国とメキシコの間の国境の長さは約3,200キロメートル。その3分の1にはすでにフェンスが設置されている。フェンスがない地域の多くが砂漠地帯だ。そこをメキシコ側から徒歩で渡るのが不法入国の主要ルートだが、「1994年以降、1万人以上がこの砂漠越えで命を落とした」とモロネス氏。大リーグ球団パドレスのマーケティング担当をしていた彼は、市民団体を立ち上げ、砂漠を歩いては、水のボトルをあちこちに配置してきた。
 「不法移民の命を助けることで、不法移民に加担している」と保守派のFOXニュースで糾弾されたモロネス氏は「水を置くのは命を救うため。摂氏45度の砂漠を歩く幼い子どもや母親が脱水症状で死んでいく。それを黙って見ていろと言うのか」と、砂漠に落ちていた子ども用のスニーカーの片方を見せながら反論する。米政府が壁を強化すれば、監視の目をかいくぐれる僻地の砂漠での死者が増えるだけで、移民問題の根本的解決にはならないとモロネス氏は言う。

 (4)米国内の不法移民の数は1,100万人規模だ。メキシコ人の不法移入は年々減少し、中南米からの不法移民の割合が高まっている。ドラッグや犯罪者の流入を国境で阻止すると公約し、保守派の支持を取り付けたトランプ大統領にとってみれば、壁の建設は支持率を左右する死活問題だ。だが、220億ドルと試算される壁建設の資金にいまだ米議会の承認が下りない。さらに、トランプ氏自らが選んだ国土安全保障省のトップ候補が「国境全体に壁を張り巡らせる必要はない」と発言したばかりだ。
 米軍の施設が多数あるサンディエゴは、ロサンゼルスよりも保守派の地盤が強いが、住民に聞いてみると「“美しい”壁より医療に税金を注入して」「壁の下にトンネルを掘れば入ってこられるから意味がない」という声も多かった。

□長野美穂(ロサンゼルス在住ジャーナリスト)「米・メキシコ国境に建つトランプの「壁」の試作品/国境の街の反応は?」(「週刊ダイヤモンド」2017年11月25日号)
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