語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【南雲つぐみ】ダイコンのユズ巻き

2017年11月29日 | 医療・保健・福祉・介護
 「小春日和」というと、「秋桜(こすもす)」(詞・曲さだまさし)の歌詞にある薄紅のコスモスが庭先で揺れている、ほのぼのした光景が浮かぶ。ちょうど今頃から12月上旬、寒風が吹き始める頃に、春のような穏やかな日がやってくることをいう。
 「小六月」ともいい、英語圏ではインディアン・サマーというそうだ。そんな小春日和が訪れると思い出すのが「ダイコンのユズ巻き」だ。ダイコンを薄く輪切りにして、穏やかな日差しで一日干し、しんなりしたらユズの皮とショウガを千切りにしたものを芯にして巻き、甘酢に漬け込む。
 これは筆者の母の郷里に近い山梨県甲府地方での作り方らしい。秩父地方などでは、ダイコンでユズを巻いたものに針を刺して糸でつなげ、軒先につるしてしばらく干してから、梅酢などに漬け込むそうだ。
 ダイコンはカルシウムが豊富な野菜だが天日に干すことでビタミンDも豊富になる。ユズのビタミンCとともにカルシウムの吸収に役立つとされるので丈夫な骨づくりや、風邪の予防にも役立つだろう。

□南雲つぐみ(医学ライター)「ダイコンのユズ巻き ~歳々元気~」(「日本海新聞」 2017年11月24日)を引用
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【佐藤優】訳・解説『貧乏物語 現代語訳』の要点

2017年11月29日 | ●佐藤優
 
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【佐藤優】「パナマ文書」は何を語るか ~資本主義は格差を生む~
【佐藤優】トランプ、サンダース旋風の正体 ~米国における絶対貧困~
【佐藤優】教育の右肩下がりの時代
【佐藤優】いくら働いても貧乏から脱出できない
【佐藤優】貧富の格差が拡大した100年前と現代
【佐藤優】河上肇の思考実験を引き継ぐ
【佐藤優】貧乏とは何か、貧乏の原因は何か  ~『貧乏物語』解説(1)~
【佐藤優】河上肇の、貧乏をなくす方策  ~『貧乏物語』解説(2)~
【佐藤優】の考える、貧乏をなくす方策  ~『貧乏物語』解説(3)~
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(1)はじめに 『貧乏物語』と現代(佐藤優)
  ①「パナマ文書」は何を語るか--資本主義は格差を生む
  ②トランプ、サンダース旋風の正体
  ③教育の右肩下がりの時代
  ④いくら働いても貧乏から脱出できない
  ⑤貧富の格差が拡大した100年前と現代
  ⑥河上の思考実験を引き継ぐ

(2)『貧乏物語』
 序(弘文堂版)
 上編 いかに多数の人が貧乏しているか
  第1章 「貧乏線」を生きる人びと
  第2章 豊かな先進国の多くの貧乏人
  第3章 イギリス児童食事事情
  第4章 貧乏との大戦争

 中編 何ゆえに多数の人が貧乏しているか
  第5章 なぜ人間社会は発達したか
  第6章 機械の発明という衝撃
  第7章 贅沢品と生活必需品

 下編 どうすれば貧乏を根治できるか
  第8章 貧乏をなくす三つの方法
  第9章 アダム・スミスの間違い
  第10章 経済体制の改造か個人の改善か
  第11章 経済問題は究極の社会問題
  第12章 贅沢廃止論
  第13章 経済学と倫理学

 付録 ロイド・ジョージ  

(3)おわりに 貧困と資本主義(佐藤優)
  ①性悪説のピケティと性善説の河上肇
  ②働いても貧乏から脱出できない--『貧乏物語』(上編)解説
  ③貧乏の原因は何か--『貧乏物語』(中編)解説
  ④貧乏をなくす三つの方法--『貧乏物語』(下編)解説
  ⑤善意の帝国主義者--ロイド・ジョージ論
  ⑥ふたたび貧困は社会問題になった
  ⑦教育の無償化という貧困対策
  ⑧人間関係の商品化
  ⑨資本主義の矛盾を解決する二つの方法

□河上肇/佐藤優・訳解説『貧乏物語 現代語訳』(講談社現代新書、2016)
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【保健】死亡率が最大5倍超に ~がん代替療法の選択で~

2017年11月29日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)誰でもがん治療は怖い。告知のショックから立ち直る間もなく情報の波に翻弄され、重大な決断を迫られる。この選択が自分の生命を左右するかもしれない、という恐怖に不安が募る。

 (2)そんなとき
   「がんが消えた!」
   「免疫でがん細胞をたたく」
等の“万能感”と“わかりやすさ”が差し出されたら、どうだろう。日頃から科学的・合理的思考の持ち主を自任していても「民間療法」や「代替療法」に気持ちがふらりと揺らぐ。
 しかし、だ。8月に米国立がん研究所の機関誌に掲載された研究によると、
   「転移のない早期がんの治療に代替療法を選んだ患者が、5年以内に死亡する確率は、標準療法を選んだ患者より2.5倍高い」
という。
 乳がんに至っては、代替療法を選んだ患者の死亡リスクが、標準療法を選択した患者の5.7倍にもなった。大腸がんは4.6倍、肺がんは2.2倍へとそれぞれ上昇。一方、前立腺がんではリスクの変動は認められなかった。

 (3)本来、転移がない早期乳がんに対する標準療法の5年生存率は、9割以上だ。
 大腸がんも同様で、転移がないステージ1~2の5年生存率は9割超。リンパ節転移があるステージ3でも8割を超える。
 肺がんはがんの組織型で進行スピードが違い、一概にはいえないが、進行が遅い非小細胞肺がんならステージ1~2の5年生存率は、標準療法で6~9割に達する。
 少なくとも標準療法が進化している乳がん、大腸がん、一部の肺がんでは、代替療法によって手遅れになる可能性が極めて高い。

 (4)一方、前立腺がんの多くは進行が遅く「無治療経過観察」が普通に選択される。平たくいえば放置であり、代替療法に高額な費用をかける意味からして不明だ。
 代替療法を選択するタイプは、より高収入、高学歴で併存疾患が少ない若い人らしい。背景には、これまでの成功体験や現代医療への不信、健康に対する信念などさまざまな理由があるだろう。
 しかし、がんの治療は自分にとって未知の領域だ。無手勝流に走る前に、標準的な選択肢に目を向けることが自分を救う道になる。

□井出ゆきえ(医学ライター)「死亡率が最大5倍超に/がん代替療法の選択で ~カラダご医見番・ライフスタイル編 No.373~」(「週刊ダイヤモンド」2017年11月11日号)
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 【参考】
【保健】認知症と性格の関係 ~責任感は予防的に働く~
【保健】手洗い励行の季節 ~CDC推奨の方法は~
【保健】何を食べていましたか? ~認知良好な69~71歳の場合~
【保健】SNSに投稿した写真が鬱病診断の手がかりに?
【保健】もし妻が乳がんに罹患したら ~10月はピンクリボン月間~
【保健】ダイエット法の新説は最大18時間の絶食 ~朝・昼2食でBMI低下~
【保健】秋の登山でも水分補給を ~脱水係数で消費量を把握~
【保健】歯周病と全身疾患との関係
【保健】尿のpHで糖尿病の発症予測 ~酸性度が高いとリスクが上昇~
【保健】ビタミンB群の過剰摂取にご注意 ~男性の肺癌発症リスクが上昇~
【保健】長距離タイムは血液型しだいか ~影響は普段の練習に匹敵~
【保健】活動格差が肥満を招く ~72万人に対する調査で判明~
【保健】認知症の発症を予防する/10代から意識すべき9因子
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【保健】鬱に効くボルダリング ~悲観的な自動思考を解消~
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【保健】梅雨明け~お盆は熱中症の季節 ~危ない人、予防と対応法~
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【保健】アジア系2型糖尿病でも全がん死リスクが上昇
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【保健】玄米でカロリー消費! ~30分程度の運動に匹敵~
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【保健】悪性腫瘍ばりの「足の狭心症」 ~運動・喫煙で早期に対応を~
【保健】ワクチンを接種し損ねても ~インフル予防に補中益気湯~
【保健】高齢者は健康な生活、他方、若い世代は生活習慣に課題
【保健】子供の感染性急性胃腸炎に ~家庭でできる経口補水療法を~
【保健】痛風発作の薬は低用量で/米国のガイドラインが推奨
【保健】社会文化的伝統は肥満のもと ~年末~春は危険だらけ~
【保健】サルコペニア肥満で糖尿病!? ~筋肉減でインスリン分泌低下~
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【保健】偽薬効果は学習効果? ~慢性的な腰痛が軽減~
【保健】中高年の性行動と認知機能
【保健】揚げ物はレジリエンス(心の弾力・回復力)に悪影響?
【保健】カロリー制限か運動療法か、どちらか一つじゃダメか?
【保健】遺伝子検査で再発リスクを評価 ~乳癌、抗癌剤治療の回避も~
【保健】慢性疲労症候群に関係か ~腸内細菌叢~
【保健】脳トレに有酸素運動をプラス ~認知機能と記憶力が向上~
【保健】標準体重なのに2型糖尿病?/BMIが「1」増加しただけで
【保健】受動喫煙は確実に癌、脳・心疾患、乳幼児突然死症候群を生む
【保健】嫌な気分の時こそ、動く ~うつ病治療に行動活性化療法~
【保健】孤独リスクも欧米化する?/宴会文化が廃れた後は
【保健】茶カテキンによる肝障害でノルウェーがサプリメント含有量規制へ
【保健】学んで4時間後に運動すると記憶が定着 ~記憶術~
【保健】飲む抗癌剤で生存率改善へ ~膵臓癌の再発を抑制~
【保健】恐竜も腫瘍を患う ~癌は進化の宿命~
【保健】高血圧にはモーツァルト ~安静に寝ているより効果的~
【保健】塞栓症リスクが低いピルは?/エストロゲン量と黄体ホルモンで違い
【保健】悲しいと食べすぎる ~食べ放題は幸せなときに~
【保健】「夏の蚊対策国民運動」 ~ジカ熱対策~
【保健】2型糖尿病発症にも民族差/アジア系は「BMI23」でリスク
【保健】ジャガイモに高血圧リスク/ノンオイルでも要注意 
【保健】ADHDに「ゲーム療法」?/2製品が臨床試験へ
【保健】男性は運送業、女性は医療・介護 ~メタボになりやすい業種~
【保健】健康生活の王道は「食」 ~食事バランスガイドと死亡率~
【保健】眼底検査で何がわかるか ~眼疾患だけではない~
【保健】弾性ストッキングが効果的 ~エコノミークラス症候群対策~
【保健】マインドフルネスで腰痛改善 ~認知行動療法と同じ効果~
【保健】歯磨きが心血管疾患を予防 ~毎食後で発症リスクを軽減~
【保健】ガン=生存時代の就労支援 ~治療と仕事の両立に指針~
【保健】糖尿病患者の降圧目標値 ~140mmHgでよい?~
【保健】睡眠不足でスナック菓子を渇望、体重増加 ~大麻並みの快楽
【保健】コーラ1缶で薬の吸収率がアップ ~抗癌剤の薬効~
【保健】その一言で妻の2型糖尿病リスクが減少 ~「先に寝ていて」~
【保健】先進国では認知症が減少? ~予防の鍵は生活習慣の改善~
【保健】生活設計は長期戦か短期決戦か ~癌の臓器別・病期別生存率~
【保健】イチゴとオレンジはEDに効く ~米国の研究報告~
【保健】高齢者の服薬適正化にGL ~容易な多剤併用に警鐘~
【保健】朝食抜きに脳卒中リスク 阪大など調査 大規模調査で1.18倍高
【保健】下剤は脳・心血管疾患リスク> ~背景にストレスや運動不足~
【保健】高脂肪食でシナプスが消失? ~動物実験~
【保健】2型糖尿病とフライド・ポテトとの関係 ~ポテトは煮物で~
【保健】世帯の所得と健康リスクの関係 ~食習慣と飲酒習慣~
【保健】抗がん剤の価格差は最大4倍以上 ~WHOの調査~
【保健】より危険な睡眠時無呼吸 ~脳・心疾患のリスク増~
【保健】初日の出の心身的効果 ~鬱対策は光を浴びて~
【保健】日本人肥満男性の食事と運動 ~糖尿病予防~
【保健】適性な「降圧目標値」 ~120未満で関連疾患が3割低下~
【保健】自由な裁量権でスリムに ~ストレスでメタボ~
【保健】目の老化には赤と緑と橙色 ~加齢黄斑変性症の予防~
【保健】早期発見のためにエコーと併用 ~乳がん検診~
【保健】骨折予防はカルシウムのほかに・・・・
【保健】前糖尿病患者は食習慣の改善を ~全国糖尿病週間~
【保健】糖質制限より脂質制限? ~体脂肪を減らす~
【保健】受動喫煙が歯周病リスクに ~ただし男性のみ~
【保健】貧乏ゆすりが命を救う? ~マナーより健康~
【保健】「高収入の勝ち組」の健康リスク? ~50歳以上の有害な飲酒~
【保健】照明用白色LEDのブルーライトは安全か?
【保健】目の愛護デー ~緑内障による失明を予防~
【保健】長時間労働は脳卒中リスク ~週41~48時間でも上昇~
【保健】ほぼ毎日食べると、死亡リスクが14%減少 ~唐辛子~
【保健】水族館でリラックス効果 ~血圧・心拍数に好影響~

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【本】私たちの食卓はどうなるのか ~工業化された食糧生産の脆さ~

2017年11月29日 | 批評・思想
★ロブ・ダン(高橋洋・訳)『世界からバナナがなくなるまえに: 食糧危機に立ち向かう科学者たち』(青土社 2,800円)

 (1)19世紀中盤のアイルランドでは、ジャガイモの作付けが壊滅したことで大飢饉が発生し、百万人単位の人が餓死したといわれる。なぜ、このような事態が発生したのだろうか。

 (2)ジャガイモは、16世紀にスペイン人の征服者により、南米のアンデスから欧州大陸に持ち帰られた。長時間の船旅に耐え、欧州の気候と農法に適合した1種類(ランパー種)のみが作付けされることになった。当時の欧州には、ジャガイモの天敵となる南米由来の有害菌が存在しなかったため、欧州における成長は速かった。
 この新しい作物は栄養価が高く、荒れ地でも育つことから、食糧難に苦しむ貧しい人々を中心にジャガイモへの依存が増していった。
 一方で、アンデスの農民はもともとその地の生態系から長い時間をかけて学んだ“種の多様性”を維持するために、注意深い農法を実施していた。
 だが、スペイン人によって、ジャガイモだけが文脈(気候、関連する他の生物、農法)を離れて持ち帰られた上に、欧州全域で単一種のみが広まったことから、ランパー種を攻撃する有害菌が欧州にやって来たときには、欧州のジャガイモは疫病の猛威に対して一溜まりもなく、アイルランドでは大飢饉が起こった。

 (3)害虫や有害菌は常に薬品などに対する耐性を獲得していくため、植物の品種改良や農薬の開発と害虫・有害菌の進化は終わりのない競争をしているようなものだ。
 したがって、種の多様性を確保しておかないと、害虫や有害菌に追い付かれた際に、新しい種を作れなくなる。伝統的な農法では交配などを通じて一つの畑の中に多様性を維持するが、工業化された農法では生産性の高い単一種を広範囲に作付けする。いったん、害虫や有害菌の攻撃に負けると、大規模な被害が発生する--。

 (4)本書は、バナナ、キャッサバ、カカオ、小麦、ゴムなどの農作物の大規模被害や全滅の可能性が高まっていることを、事実を積み重ねて解説する。背景にあるのは、工業化と多様性の喪失だ。
 農作物は、天敵、天敵の天敵、さらにその天敵などを含む巨大な動的生態系の中にある。常に多様性を維持しながら、天敵から逃げ続けることで進化してきた。
 著者によれば、遺伝子組み換え作物の危険性は、健康や環境に対してよりも種の多様性の減少に対してあるという。食糧危機とは、人口の増加に食糧生産が追い付かないということよりも、現在の工業的な食糧生産の仕組みが崩壊する危機のことなのである。本書の後段には、私たち一人ひとりができることについての助言もある。

□平野雅章(早稲田大学ビジネススクール教授)「私たちの食卓はどうなるのか/工業化された食糧生産の脆さ  ~私の「イチオシ収穫本」~」(「週刊ダイヤモンド」2017年11月18日号)
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 【参考】
【本】歪み増殖していく物語に迷う ~『森へ行きましょう』~
【本】加工食品はどこから来たのか ~軍隊と科学の密な関係~
【本】80年代中世ブームの傑作 ~『一揆』~
【本】万華鏡のように迫る名著 ~『新装版 資本主義・社会主義・民主主義』~
『【本】『世界をまどわせた地図』
【本】率直過ぎる米情報将校の直言 ~『戦場 -元国家安全保障担当補佐官による告発』~
【佐藤優】宗教改革の物語 ~近代、民族、国家の起源~」」
【本】舌鋒鋭く世の中の本質に迫る/地球規模で読まれた洞察の書 ~『反脆弱性』~
【本】【神戸】「自己満足」による過剰開発のツケ ~『神戸百年の大計と未来』~
【本】英国は“対岸の火事”にあらず ~新自由主義による悲惨な末路~
【本】人材開発でもPDCAを回す ~戦略的に人事を考える必読書~
【本】仮想通貨が通用する理屈 ~『経済ってそういうことだったのか会議』~
【本】進化認知学の世界への招待 ~『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』『動物になって生きてみた』~
【本】「戦争がつくっった現代の食卓」 ~ネイティック研究所~
【本】IT革命、コミュニケーションの変容、家族の繋がりが希薄化 ~『「サル化」する人間社会』~
【本】生命はいかに「調節」されるかを豊富な事例で解き明かす ~『セレンゲティ・ルール』~
【本】メディアの問題点をえぐる ~『勝負の分かれ目 メディアの生き残りに賭けた男たちの物語』~
【本】テイラー・J・マッツェオ『歴史の証人 ホテル・リッツ』
【本】中国から見た邪馬台国とは
【本】核兵器は世界を平和にするか ~著名学者2人がガチンコ対決~
【本】『戦争がつくった現代の食卓 軍と加工食品の知られざる関係』
【本】梅原猛『梅原猛の授業 仏教』
【本】東芝が危機に陥った原因は「サラリーマン全体主義」 ~『東芝 原子力敗戦』~
【本】バブル崩壊後の経済を総括 ~『日本の「失われた20年」』~
【本】20世紀英国は実は軍事色が濃厚 ~通念を覆す『戦争国家イギリス』
【本】時代による変化、方言など ~『オノマトペの謎 ピカチュウからモフモフまで』~
【本】冷笑的な気分に喝を入れる警告と啓発に満ちた本 ~『日本中枢の狂謀』~
【本】物質至上主義批判の古典 ~『スモール イズ ビューティフル』~
【本】日本近現代史を学び直す ~『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』~
【本】精神の自由掲げた9人の輝き ~『暗い時代の人々』~
【本】遊牧民は「野蛮」ではなかった ~俗説を覆すユーラシアの通史~
【本】いつも同じ、ブレないのだ ~『ブラタモリ』(1~8)~
【本】分裂する米国を論じた労作 ~『階級 「断絶」社会 アメリカ』~
【本】否応なきグローバル化、つながることの有用性 ~「接続性」の地政学~
【本】読書の効用、ゆっくり丹念な ~より速く成果を出すメソッド~
【本】国谷裕子『キャスターという仕事』

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