昨夜は今日に備えて早めに入浴を済ませ、ベッドに入った。とにかく疲れていた。
明け方、お手洗いで目が覚める。あと2時間近く寝ていてよいのだけれど、夫の鼾で二度寝が出来ない。目覚ましが鳴るのを待って起き出す。朝ヨガを済ませ、お米をこれまでの倍以上研ぎ、サラダだけ作って2人の朝食の支度を済ませる。私は朝食抜きなので、身支度だけすればいつでも出かけられる。
2人が起きてくる気配はない。朝刊を読み、BSと地デジの朝ドラを視て、メールチェックをして、さぁ、出かけようとしたところ、夫が起きてきた。「あれ、食事しなかったの?」という。いや、私は造影CTなので朝抜きだと何度も言ったのだけれど。前回もそうだったなぁ、所詮そんなものか。寝坊助息子はお疲れのようで、私が出かけるまでうんでもすんでもなかった。
今日も花冷えの曇天。にわか雨が降るかもしれないという予報だ。遊歩道の7分咲きの桜は灰色の空の下、何となく震えているようにも見える。薄手のハイネックのニットに薄手のコートを羽織ったけれど、なんだか肌寒かった。
最近、通院時前泊がデフォルトだから、通勤時間帯の電車に乗って当日病院入りするのは検査の時だけで、5か月ぶり。予定通りの私鉄に乗り、JRに乗り換えたところ、ラッキーにも席が確保出来た。
車内のお供は長月天音さんの「ほどなく、お別れです それぞれの灯火」(小学館文庫)。
帯には「さまざまな『お別れ』に涙が止まらない 大切な人を喪っても、人生は続いていくー。大反響ロングセラーの『わけあり』お葬式小説!」とある。初めましての作家さんだ。プロローグに続き4つのお話からなる。17歳の事故死、90歳の自殺等、葬儀場での遺族等のリアルな描写は、大学時代に葬儀場のアルバイトをした経験からだそう。数年前に病気でご主人も亡くされている。
瞬く間に病院最寄り駅到着。途中の歩道には春の花の寄せ植えがとても綺麗だ。
2020年7月に新薬エンハーツを始めて、早いもので2年8か月になる。再発治療15年を過ぎ、既にどちらが先だったか空では言い尽くせないほど沢山の治療薬のお世話になってきた。2年以上病状を抑え、副作用にめげずに続けられている薬は初めてだ。次回で40クールになる。これまでカドサイラ30クールが最長だったので、最長不倒記録である。
とはいうものの、さすがに副作用がきつくて、しんどくなってきたのは事実だ。思えば、規定量で投与出来たのは2020年7月と8月の2クールだけ。3クール目からは1段階、4クール目からは2段階減量して、これ以上減量するなら中止という状況になった。2021年夏、さらに3週間に1度の投与を4週間に1度にして、1年8か月になる。今回は、そのエンハーツをさらに5週に1度にして続行してよいかの効果測定である。
予約時間の15分前に病院に入る。病院前の桜並木も7,8分咲きといったところ。雨で既に花びらが散っているのが可哀想だ。自動受付機はすんなり。エスカレーターで2階の放射線受付で紙の受付番号を受け取る。3番目だったようで、ほどなくして呼ばれた。
CT準備室へ行くように言われて待つ。ベッドで運ばれて来る方、車椅子を押されて来る方、歩いてくる方等、入院患者さん達が多い。少し待って造影剤注入のためのルート確保の針刺しに呼ばれる。
準備室の看護師さんはAさん。初めましてだ。今日も検査対応のいでたちで、ブラトップと無地のニット、ゴムのギャザースカート。検査着への着替えは不要にしてある。荷物をロッカーに入れ、いつも刺すところがぷっくりと膨らんでいる右腕を差し出すと、「いつもここですね。では、今日もここで」とのこと。
造影剤用の針は太いから大抵痛むだけれど、今日はチクリとも痛まず、ラッキー。「お上手でした。痛くありませんでした!」とお礼を言う。中廊下に出てからは予約時間を少し過ぎるまでお呼びがかからなかったが、その後はスムーズ。いつも通り靴を履いたまま、服のままCT装置に寝っ転がる。
もう数えきれないほど受けている慣れた検査だから、ベッドに寝て顎をやや上げ加減にして両手万歳の姿勢でリラックスして目を瞑る。最初は造影剤なし、次に造影剤を入れて、2回撮影するが、始まったら所要時間は10分もかからない。
ドクターがやってきて「造影剤が入るとカーッと暑くなりますが普通の反応です」と聞き慣れた注意がされるが、注入されると、薬液の匂いがツーンと鼻を突き、すぐに口の中まで薬の嫌な味がしてくる。
血流と共に、瞬く間に造影剤が体中を駆け巡り、体の芯がカーッっと熱くなってじーんと痺れたような感じがするのもいつもの通り。「ご気分悪くなっていないですか」と訊かれ、「はい。」と応えるが、アレルギー症状が出ているわけではないものの、良い気分というわけではない。
「息を吸って。止めて下さい・・・。」を繰り返して終了。看護師さんから針を抜いてもらったところ、やはり殆ど痛まなかった。止血テープをグルグル巻きにされ、ロッカーから荷物を出して外廊下で待つよう促される。
5分ほどして、同じ看護師さんがチェックにいらして、その場で止血確認終了。ご挨拶をして準備室を後にした。放射線受付に戻ってファイルを戻し、1階の総合受付の会計へ行くように言われる。
1階の会計に向かうと、待合椅子は大混雑している。支払い受付は長蛇の列。番号をもらってお手洗いを済ませ、15分ほど待って私の番号が出た。90番台である。自動支払機で8,000円強をカード支払。本日の病院滞在時間は1時間弱だった。
朝抜きだったので、さすがに空腹だ。朝、出かける時、今日の帰りは夜になると言ってきたので、これからはおひとり様のお愉しみ時間である。お花見には似つかわしくないお天気だけれど、普段の治療日にこんなに早く解放されることはないので、予定通り途中駅で降りて映画を観てから好きなお店で遅いランチをすることにした。
スケジュールの関係でまずは近くのカフェで小さなサンドイッチとカフェラテの遅い朝食を摂り、映画の席をネットで予約する。
下車駅の橋が架かる川辺は桜並木。病院駅まで続いている。お天気が良かったらさぞ綺麗だろう。
時間もよかったし、気になった映画だったので、先週末封切りされた「ロストケア」を観た。100人ちょっとの小さなスクリーンだったが、月曜日の昼前というのに半分ほどの入りだった。安全地帯にいると、穴の底で地獄を見ている人たちのことは分からない、という言葉が重い。老親を抱える誰しもが身につまされる内容なのだろう。途中から鼻をすする音があちこちで響いていた。2時間弱の上映時間、一度も時計を見ることがなかった。
映画の後は、季節限定グラタンプレートに、季節限定のピーチアールグレイティーをポットで、食後にはメープルシフォンケーキも頂き、読書の続きも出来て満足。
外はまだ日が高い。快速電車に乗って読書の続き。乗換駅ではちょっと買い物をする。
夫と息子は、荷物を収納できるように部屋に棚を作ったりするとのことで、資材の調達にら車でホームセンターに繰り出したらしい。ところが、部品が足りなくて息子がまた調達に出かけているのでゆっくり帰ってきていいよ、と夫からのLINEがあった。
最寄り駅に到着し、岩盤浴タイムのヨガスタジオへ。私以外にお一人だけで、ほぼ貸し切り。今日はろくにストレッチやセルフプラクティスもせず、ほぼ仰向け、うつ伏せのゴロゴロウトウトで1時間過ごす。さっとシャワーを浴び、ドラッグストアでアロエのヨーグルトを買って帰宅した。
帰宅すると相変わらず家の中は大混乱。全然進んでいない・・・ため息しか出ない。息子(イメルダの息子なので靴が大好き)の靴箱をアレンジし、ぬいぐるみの棚(27歳男子、ポケモンのぬいぐるみが嫁入り道具かというほどの持ち主)を作ったようで、木工製作中。
急いでご飯を炊き、食事の支度をしながら、今月のお届けの花を活けた。
赤、ピンク、黄色のチューリップ、赤と紫のアネモネがそれぞれ1本ずつ、リューココリーネが2本とこでまりが1本。花言葉はそれぞれ「博愛」「君を愛す」「暖かい心」「優雅」だそう。いつも玄関に飾るのだけれど、息子の荷物でそんな状況ではなく、いきなりお手洗いに持っていかれた可哀想なお花たちである。
息子に母に昨夜出来なかった挨拶のMeet通話をさせる。私達が大分疲れていることを気にして、お気楽息子に苦言らしきものを呈していた。既に夕食も済んだと言い、それではまた明後日ね、と言って切る。
困ったときのお助け餃子をいつもの倍焼いて、夕食にした。
ということで、夫は今もウトウトしている。ずっとこの状況が続いているのでかなりお疲れ状態だ。ジムにも全然行けていない。明日は出勤。私は検査通院を盾に強引に引っ越し後業務からエスケープしたので、少し酸欠状態から脱したけれど、夫はなかなかカオスから撤退できず、である。
息子よ、引っ越しの大変な作業である梱包(業者委託)と荷解き(父母任せ)からほぼ解放されていたのだから(これをもって引っ越ししたとはとても言えないだろう)、これからは主体的にしっかりやりたまえ、である。