ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2015.4.30 昭和は遠くなりにけり

2015-04-30 21:45:13 | 日記
 平成も27年、四半世紀を超えた。我が家の親戚縁者を見渡して明らかに一番若い平成8年生まれの息子が来年には成人式を迎えようというのだ。職場に平成生まれの職員が入って来てももはや何の不思議もない。
 とはいえ、常日頃息子にはため息交じりに「お母さんは、ほんっと、昭和の人だよね」と言われるし、自分自身やっぱり私は昭和だなあ~と思ってきた。私は昭和36年6月生まれだから、昭和の時代を27年半過ごしたことになる。その間に人格形成は出来上がっているということだろう。
 それなのに、全くもって恥ずかしいことをしてしまった。

 昨日4月29日は言わずと知れた昭和天皇の誕生日である。私にとって4月29日は、今上天皇の誕生日である12月23日よりも身近なものに感じていた。けれど、昨日の記事に自分が何気なくつけたタイトルを見て、今日になって、驚きと恥ずかしさのあまり赤くなった。
 「昭和の日」とは「国民の祝日に関する法律」の一部改正によって2007年に制定された祝日で、日付は昭和天皇の誕生日である4月29日があてられている。
 であるのに堂々と「みどりの日」と書いているではないか。は?・・・確かに昨日は新緑美しい良い休日だった。そして、昭和天皇が崩御された後「昭和の日」が制定されるまでは4月29日という日が「みどりの日」と称されていたには違いない。けれど、もう8年も経っているではないか。2007年の改正以降「みどりの日」はとっくに5月4日に移動していたというのに。(本日、タイトルは訂正致しました。)

 トホホ、いつも「あれ、今日はなんで休めるんだっけ?」と能天気に訊いてくる夫に「所詮、あなたは今日が何の日だか分からなくてもお休み出来ること自体が大事なのよね~」とからかっていたのに。
 とはいえ、このブログの一番目の読者である夫もいまだに気付いていないかもしれないのだから、夫婦揃って何とも間抜けなことである。
 これからはカレンダーの赤い印を見て、「お休み、お休み・・・」と小学生よろしく喜んでいないで、大人らしくその日の由来等しばし考えてみることも必要かもしれない。

 さて、今日で4月も終了。2015年、早くも3分の1を終えることになる。
 来年無事に誕生日を迎えることが出来れば、昭和という時代を過ごした27年半と平成を過ごす年月がちょうど均衡する。昭和の人と揶揄されながらもそれ迄生きていきたいものだ、と感慨深く思う。
 明日からは皐月、5月のスタートである。
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2015.4.29 治療日翌日、「昭和の日」満喫

2015-04-29 19:47:57 | 日記
 先週の土曜日は温泉一泊旅行で出かけたため、恒例の“お行儀悪くベッドの中で連続テレビ小説鑑賞”が出来なかったので、今日はその代わりを実行。
 朝食の後は、洗濯機を3度回し続けて大洗濯。本当に気持ちの良いお天気で、大物でもなんでもいくらでも乾いてくれて有難い祝日である。
 いつもは土日のどちらかでパパッと済ませる掃除もサボっていたので、その穴埋めも。

 そんなわけで、午前中にバッチリ(のつもり)家事を済ませ、昼からはヨガスタジオでピラティスのクラスを予約した。
 夫はマイ電動自転車のサドルが不具合ということで、メンテ方々2駅となりのサイクルショップ迄サイクリング。一緒に家を出て、途中で別れる。
 今日のレッスンのインストラクターは、以前こちらのスタジオにいらして人気が高く、隣県他店舗に異動してからも時折出張してくださるKさんが担当。スタジオの右端、私が好きな定位置も確保して気持ち良く汗を流す。

 その後、簡単なランチを買い込んで一人映画館へ移動。駅前はいつにも増して凄い人出だ。週末封切りしたばかりの作品だったこと、レディスデーかつゴールデンウィーク初日の祝日ということで、いつになく満員御礼。普段は両隣の席が空いている場所を狙うのだけれど、そんな席はなく、ちんまりと座る。
 あろうことか右隣に座った方の衣類から漂う柔軟剤の匂いがやけに強く、食事をしながら気持ち悪くなる。最近の柔軟剤は香り長続きがウリのようだけれど、ちょっと強すぎるのではないだろうか。私は毎朝通勤電車に乗ることはないが、夫もそんなことを言っていた。香りは好き嫌いがハッキリ別れるものだし、たとえ好きな匂いだったとしても、連続して嗅ぎ続けるのは辛い。車内とか室内等逃げ場のない場所では本当に難しいものだ。
 そんなこともあり、せっかくの2時間、なんとなく気分がイマイチで、集中出来なかったのがちょっと残念。

 とはいえ、家事も済ませ、好きなこともし、明るいうちに家に戻ってすっかりリフレッシュ。昨日が治療日だったけれど、目立った副作用らしいものはない。そして、昨日昼から食前の小建中湯、食後のラックビーも止めているが、お腹の調子はまずまず。よって服薬は朝のバイアスピリン、デノタスチュアブル、ロキソニンの3種類だけ。これまでに比べ、随分身軽になって、昼夜と薬を持ち歩かなくて済むのがとても嬉しい。

 夕食当番は“祝日クックパパ”の夫が買って出てくれたので、有り難くもお任せする。
 さて、あと2日頑張れば、お待ちかねの5連休がやってくる。翌7日は休暇を申請済みで6連休。その理由といえば、2月末の頭部MRI結果による経過観察の為、ここまで予約が取れなかったほど混んでいる神経内科への通院であるのだけれど・・・。
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2015.4.28 採血後診察、ランマーク8回目、カドサイラ(T-DM1) 4回目

2015-04-28 20:27:39 | 治療日記
 ゴールデンウィークに突入の週だ。明日が祝日ということで今日火曜日が変則で通院日である。昨日に続き、今日も夏日の予報。本当についこの間まで寒くてタイツが脱げず、コートが仕舞えなかったのに(現に前回20日前の治療日は霙と雪に見舞われ、ダウンコートと長靴で出かけている)、この気温差はどうしたものだろう。

 最寄駅でも乗換駅でも電車は順調で、予定通り。
 今日のお伴は、長谷川洋子さんの「サザエさんの東京物語」(文春文庫)。帯には「町子姉は悪ガキで、甘えん坊でした 実妹がつづる長谷川真知子と昭和の家族の物語」とあり、江國香織さんが解説を書いておられる。26のエッセイからなっており、その文章の巧みさにあっという間に惹き込まれ、次々に頁をめくり続けて病院最寄駅に到着。
 
 病院最寄駅に到着すると既に陽射しがかなり強くなっている。病院前の緑は随分濃くなっているが、橋が工事中で幌を被っていて、見晴しが残念だ。
 自動再来受付機前では待たずにIDカードを通す。今日は診察前採血のみ。採血では8分待ちとあったが、お手洗を済ませて態勢を整えると、すぐに自分の番号が表示された。初めての男性技師さんに当たる。準備の様子を見ながら、うーん、どうかな、と思っていると、案の定イマイチの腕前でラッキーなスタートとはいえない。いつものように3本採血。止血しながら腫瘍内科へ移動する。前回は新しい保険証が間に合わず、資格証明書を提出して受付したが、無事届いたので、提出の上コピーを取ってもらう。

 読書に相応しい照明の明るい角の定位置を確保し、1冊目を読み終わる。2冊目は2012年本屋大賞第一位、映画も観たし(このブログでも記事にした)、文庫化を待ちわびていた三浦しをんさんの「舟を編む」(光文社文庫)。文庫特典の、主人公馬締クンの恋文全文(?)収録には笑ってしまった。こうして原作を読むと、映画がいかに忠実に丁寧に作られていたのか改めて思う。そしてキャストも実にハマっていたな、と当時の映像を思い浮かべながら順調に読み進む。実に面白い。
 連休ということで混雑を覚悟していたが、思いの外早く1時間半も経たずに「中待合へどうぞ」の番号が点滅した。自動血圧測定機の計測結果は、108-64、脈拍は78。最近上が100を割ることがなく、私としては高めに安定している。中待合に入ってからは僅か20分ほどで、いつもの向いの診察室から先生がお顔を出された。そう、先生は、火曜日は外来日ではないのだが、明日(休日)の患者さんを木曜日一日ではさばけない、ということで今日も外来に出ておられる。

 ご挨拶の後、「さて、3週間どうでしたか。」と問われ、「おかげさまであの後、胸痛が大分治まってきて以前のように朝1度のロキソニンに戻せています。」と応じる。診察室での検温は6度6分。
 まだ10日前に行った人間ドックの正式な結果は未だ届いていないが、当日頂いた血液検査の結果等をお見せする。タイケルブからカドサイラに変更して2か月、1年3か月内服を続けてきた小建中湯とラックビーは止めても良いかご相談。とりあえず予備として10日分持ってお休みしてみましょうということになった。涙目と鼻水で相変わらず瞼と鼻の周りの爛れがあることもお話しするも、「ブタクサの花粉症ですかね~」と言われておしまい。
 採血結果は特に異常なしとのこと。10日前にはどれもこれも*が付いていた肝臓の数値も戻っているようだ。腫瘍マーカーは前回に比べ2割減で、正常範囲内に。「下がってますね~」と言われ、「本当に単純ですね」と応えると、「いや、薬に対しては単純な方がいいですよ」とフォローしてくださる。ぶつけた覚えのない手の甲に内出血跡がいくつか出来ていたことをお話しすると(色々な抗がん剤を使っているので)どうしても血管が脆くなっているとのこと。また、抗がん剤投与時にどうしてもステロイドを使うので、血糖系への影響もあるとのことだった。
「(効果測定の)CTは夏頃ですか」と問うと、レントゲンを見ながら必要なタイミングで十分とのこと。来週にはTIAの経過観察の為、神経内科の予約も入っているが、今日は、カドサイラ(T-DM1)4回目と、前回胸痛が酷くなければ6週間に1度で良いと言われたランマークの注射となる。

 念のため予備に10日分の漢方、整腸剤、ロキソニン、3週間分のバイアスピリン、デノタスチュアブルを処方後、次回3週間後には採血・レントゲンを予約して頂き、化学療法室へ移動する。その待ち時間に夫やお友達に報告LINEやメール。

 15分程待って、窓側で一つだけ空いていたリクライニングの椅子に案内される。お手洗を済ませ、体勢を整えてポートの針刺しを待つ。Okさんが刺してくださったが、今日は痛みが酷くてちょっとガッカリ。さらに30分程待って薬が届く。これまで病棟にいらして育休明けで4月に異動されてきたという初めましてのTさんが点滴を開始してくださった。そして、痛いランマーク注射。「時間がかかっても良いので、ゆっくりお願いします。」と言ったのだがやはり痛いものは痛い。今日は針刺しアンラッキーデーである。
 点滴パックは2本。1時間10分ほどでカドサイラ(T-DM1)を投与した後、15分の生食で終了。終了後の血圧は117-79、脈拍は63で私としては若干高めだ。
 カーテンの向こうで聞き覚えのある声がするなと思うと、やはり以前こちらにいらしたHさん。今日は患者さんが多いのでヘルプに来ていらっしゃるとのこと。カーテンの隙間から私の顔を見たら、思わず入ってきてしまったとおっしゃって抜針してくださる。ちょっと衝撃があって響いたが、懐かしくご挨拶して、お喋りする。

 会計が出来るまで待ち、採血、点滴、注射の3割負担16万円弱のお支払い。
 外は初夏の陽射し。薄いジャケットを羽織ってきたが、汗ばむほどで不要である。薬局へ移動するとかなり混雑しており、空腹の身には堪える。小一時間待ち、薬が減っているので2,000円に達せず、持参したエコバックも今日は十分余裕がある感じ。

 本日の病院と薬局の滞在時間は合わせて6時間弱。何とか3時のランチタイムに滑り込み、読みかけの本を読み終わる。昼食前後の薬は中止してみた。
 今日も仕事に行く時と殆ど変わらない時間の帰宅。帰りの電車では既に読む本がなく、途中まで席も確保できなかった。最寄駅でちょっと買い物をし、またも軟弱にタクシーに乗って帰ってきた。
 今回も熱っぽくもないし、頭痛もなし。胸痛も今のところ落ち着いている。胃の痛みもない。普通に夕食の支度も出来たし、明日は祝日、さて何をして過ごそうか。
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2015.4.26 本日も晴天なり、観光も食事も充実、大満足の1日!

2015-04-26 21:54:36 | 
 昨夜、夫は夕食後気持ち良さそうにうたた寝をし、お風呂には行かずじまい。私は300人も入浴できるというローマ風呂を堪能して、ちょっと湯疲れ気味。
 そして、今朝。真東に向いている部屋はカーテンが閉まっていても明るくなり、日の出前に一度目覚める。時計を見ると4時半。お風呂は5時からだった、ともう一度ウトウトしてから、そーっと一人で露天風呂に出かけた。
 
 既に何人も入浴中だったが、真正面の海の上をどんどん太陽が高く昇って行く。本日も晴天なり。いいお天気で気温が上がりそうな気配だ。
 朝からいい感じにふやけて私が戻ると、お風呂嫌いの夫も目覚めたようで、入浴を進めるも丁重(?)に辞退されてしまった。

 そして、ゆるゆると朝食会場へ移動。さすがに目覚めて3時間近く経つとお腹もペコペコ。あれもこれもと目が卑しく、ちょっとずつ色々盛り付ける。しっかり完食してエネルギーチャージを済ませ、部屋に戻って食休み方々荷物のパッキング。持ってきた文庫を小一時間読んでから、目の前の港から出る遊覧船乗り場へ向かった。
 姉妹都市であるサンレモ市に因んでつけられたという船は、赤と黒の船体にイタリア三色旗を模したお洒落なデザイン。船内の階段を下りると海中が見えるガラス窓があり、出航前には自由に泳ぎ回るお魚たちとご対面。そういえば、1月に旅行した時もグラスボートに乗ったっけと思い出す。約30分の遊覧だったが、お天気が良く青い海に浮かぶ半島や島も見渡せる。潮風が心地よい。船は苦手な筈なのに、不思議なほど観光気分が盛り上がった。

 海岸通りから少し街中に入ってランチ場所を探しつつ散策しながら、一旦ホテルに戻った。
 チェックアウトして、荷物を預け、創業1947年だという海を一望出来るオープンテラス席のある老舗レストランを目指した。けれど、あいにく今日は予約で一杯とのこと。
 では仕方ない、と地元の方たちに人気の隠れ家的存在、限定10食のランチがお勧めという茶房に行ってみた。カウンター5席と4人がけテーブル1つの小さなお店を奥様お一人で切り盛りされている。カウンターには常連さんがいらしており、私達はテーブル席に。ちょうどお昼時ということで、集まってきた雀や鳩にもお米のランチが供されていた。奥様の毎日の日課のようで、今日のような温かいお天気の良い日はエサに事欠かないので、他所で食べる鳥もいて3,4羽だけれど、雨の日や寒い日には30羽も集まってくるという。
 さて、このお店のランチが大当たりで大満足。どれも丁寧な手作りメニューで、デザートと珈琲・紅茶まで全く手抜きがない。すっかり豊かな気持ちになって奥様と話し込み、一緒に写真まで撮ってきてしまった。一人息子さんが日本画家だそうで、その作品だという一筆箋と絵葉書も買い求めてきた。次回は息子も連れて必ず来ようと思えるお店に出遭えたのはとても幸運なことだ。すっかりのんびりしてしまったが、帰りのバスの時間までまだ若干時間があったので、気になっていた建物に足を延ばした。
 ここは大正・昭和の浪漫溢れる、この温泉地の三大別荘と賞賛された名邸が基だそうだ。戦後、旅館として生まれ変わり、志賀、太宰、谷崎等文豪たちに愛されたという。市街地とは思えない緑豊かな庭園は、昭和の“鉄道王”の異名を持つ実業家である根津氏により整えられたという。日本家屋の美しさを留める本館と、離れや日中欧の装飾や様式を融合させた独特な雰囲気を持つ洋館に溜息の連続。僅か30分ほどで回るにはあまりに惜しい場所だった。

 お天気が良く、痛みも収まっており、短い時間で観光も食事も、と充実した半日を過ごし、ホテルから帰りのバスに乗り込んだ。
 帰途の休憩は往路で立ち寄った蒲鉾店に再び。昨日は時間がなく断念したが、夫が狙っていたというおはぎとお茶のセットをペロリと平らげ、更にはジェラートまで欲張って小一時間の休憩時間を美味しく過ごす。奮発して上等な蒲鉾もお土産に買い込んだ。
 さすがに草臥れて、バスの中ではあっという間に夫ともどもこっくりこっくり、である。順調なら1時間で出発駅到着の筈だったが、途中事故渋滞のため高速がノロノロ運転。一体何時になることやら・・・とハラハラしたが、その後復調して思いのほか早く到着した。それでも予定時間より30分の遅延。

 そのまま脇目も振らずまっすぐ帰宅したが、到着はいつも仕事が引けて帰るのとほぼ同じ時間。まだ明るいので、勢いがあるうちに荷物を片付け洗濯機を回し、干し終えてから、市議選の投票場所である中学校へと出向いた。最後の1時間を切っていたがこの時点での投票率は26%とのこと、うーん、こんなんでいいのかな、と思いながら帰宅。

 そして、あっという間に土日も終了。今日は早めに休んで明日に備えなくては。火曜日はまた治療日である。
 
 
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2015.4.25 久しぶりの温泉でまったり

2015-04-25 20:37:41 | 
 待ちに待った土曜日だ。今日はベッドで朝の連続テレビ小説のスタートではなく、いつもより少しだけ遅めに起床し、朝食を摂りながらの視聴になった。
 年度末のドタバタの毎日を過ごしながら、ある朝、折り込みチラシを見つけ、ずっと大きなお風呂に入っていないよね、と衝動的に近場の温泉一泊を予約した。2駅先の駅から往復送迎バスが出るという。これなら電車を乗り継いで出かけるよりずっとお手軽、というわけである。

 夫と2人のお出かけだと重い荷物を引きずる不安もなく、ハンドバック一つの楽ちんお気楽旅行である。予定の時間に半分ほど席が埋まった大型バスが発車。いつもはなかなか見ることのない景色を見ながら、1時間ほどで慶應元年創業の蒲鉾店でお手洗い休憩に入る。
 屋外には鯉のぼりならぬ鰹のぼりがたなびき、博物館まで隣接している。以前、バス旅行で立ち寄った時より随分進化している。昨年末、息子とともに箱根を訪れた時にはミニカー蒲鉾があってびっくりしたのだが、端午の節句にちなんで鯉のぼりや金太郎、兜等を模した蒲鉾セットも期間限定販売中。あれやこれやと冷やかしながら実に多彩な商品に目移りする。蒲鉾バーまであったが、時間が足りず、諦める。「金目鯛の炙りめし弁当」に目を釘付けにされた夫は、早お昼として早速買い込んでいる。そこからは海岸線に沿って、海を見ながら一路ホテルへ向かう。サーファーたちが早くも波乗りをしていて、波が光って眩しいほど。いつものことだけれど、海を眺めると自然と気持ちがほどけてくるのを感じる。先週、人間ドック受診のため臨海部に宿泊した時とはまた違う雰囲気の海だ。

 そうこうしているうちに、宿泊するホテル毎に何人かずつ降りていく。私たちのホテルは最後の最後。目の前に見えているのに一方通行で同じようなところをぐるぐるしている。空腹だし、だんだんバスに酔ってくる感じ。温泉街に入ってから30分ほどしてようやく到着。この温泉街は4年前の夏、ホームステイに出かける直前の息子を連れて泊まったことがあった。ちょうど、なでしこジャパンがワールドカップで優勝し、沸きに沸いていた夏だ。

 チェックインまでまだ1時間半ほどあったので、荷物を預けてまずは近場のレストランで遅いランチを摂る。海岸を少しだけ歩いたが、強い海風で日傘が飛ばされそう。遊覧船が出航するのを見送り、冷たい風に吹かれたらまたも胸痛が出てきてしまい、早々にホテルに戻る。

 8階の和洋室の部屋に入ると、目の前は海。見晴らしは最高である。
 一服してから、「風呂は夕食後に1回入ればいいかな~」とのたまう夫を「温泉に来て1度しか入浴しないなんてありえない」と説得して、まずは一風呂浴びに。私は花風呂、夫はローマ風呂へ向かった。まだ時間が早く殆ど貸切状態。サウナにも入ってすっかりリフレッシュ。大きなお風呂でのんびりするのは実に気持ち良いものだ。
 汗を流してサッパリした後は、施設内のカラオケボックスに籠ること1時間半。懐メロから最近の唄までチャレンジして恥はかき捨て、交代で歌いっぱなし。発声もしないで歌ったら、哀しいくらい声が出ないし、息も続かず、がっくり。あぁ、日々歌いまくっている息子が一緒じゃなくて本当によかったね~と言い合う。
 歌を歌ったらすっかりお腹もすいて、大広間で和洋折衷バイキングの夕食である。上げ膳据え膳が何よりのご馳走とはいえ、食べ盛りの息子でもあるまいし、そうそう大量に食べ倒すことも出来ず、早々に退散である。

 食休みの後は夕方入った逆の場所のお風呂を愉しんだら、もう寝るだけ、のまったり土曜日である。
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