昨日は勤務終了後、一旦帰宅してから食事の支度をして、その後帰宅した夫と一緒に夕食。なんとなく疲れ気味なので、早めに家を出て(夫が荷物を持って送ってくれた)、そのまま病院最寄り駅に近いホテルに向かった。行きの車内でNHKスペシャル取材班による「がん治療革命の衝撃 プレシジョンメディシンとは何か」(NHK出版新書)を読みだしたら止まらず、チェックイン後もそのまま一気に読み終えてから入浴。安眠ピロースプレーのおかげか、あっという間に眠気が襲い、普段より2時間近くそのまま寝てしまった。
明け方1回お手洗いに起き、あと2時間眠れると寝直したのが運の尽き。モーニングコールがうんでもすんでもなく、なぜか採血が上手くいかずに何度も刺されて血が止まらないと困っている夢を見て、目を覚ますとなんと7時である。気づけばいつもモーニングLINEを入れる夫から先にLINEで「大丈夫?」とある。慌てる。 モーニングコールの設定が中途半端で、最後に押すボタンが押せていなかったようだ。うーん、取説どおりに設定したし、初めて泊まったわけではなく。前回はどうしたっけ、と思いながら慌てて身支度を整えて1階のレストランへ。エレベーターがなかなか来ないので非常階段で降りる。なんだか大阪北部地震に遭遇した時のことを思い出す。
ぱっぱと朝食を済ませ、新聞を持って部屋に戻り、朝の連続テレビ小説を視てからチェックアウトして病院へ向かった。
朝夕冷え込むようになった。それでも空気が乾いて青空が広がる気持ち良い朝だ。ここの所ようやくお天気が安定してきて嬉しい。日中は20度を超えて過ごしやすい気候になるという予報。病院に到着し、少し並んでIDカードを通してから、採血の受付番号を取る。40番。月末だからなのか採血待合が空いている。電光掲示板には7分待ちとあったが、すぐに室内に入ることが出来て、大荷物を整理する間もなく順番になった。今日は初めての男性。名札を付けていないので名前もわからない。紙テープにしてもらったけれど、何本取ります、という確認もなくいきなり刺される。痛い。今日はフル検査なので5本なのだけれど、採血中ずっとチリチリ痛み、抜針も痛んだ。あれは正夢だったのか、ちょっとついていないスタートだ。
止血しながら向かいの腫瘍内科へ移動。
今日のお伴は、小池真理子さんの「モンローが死んだ日」(新潮文庫)。それぞれの孤独を生きる男女の心の揺れを描いた濃密な心理サスペンス、ということで700頁弱の厚みに挑戦したが、もう序章を読みだしたら止まらない。なんとなく舞台である軽井沢に近い場所も想像出来て、どんどん読み進めた。
今年は読書のペースがかなりダウンしているけれど、折しも今週は読書週間で昨日新刊を色々買い込んだ。やはり本を読むのは楽しい。読書の秋である。
小一時間の待ち時間、かなり集中して本を読んでいたので中待合へどうぞの番号が出てから慌てて呼吸を整えて血圧測定。119-70、脈拍は74。
それから30分ほどして先生がお顔を出された。
ご挨拶して椅子に座る。私の顔を見て開口一番「うーん、しんどくなっているように見えますね~」と言われる。
「はい、ちょっと疲れ易くて怠いです。」と言うと、「マーカーが上昇しているんですよ。」と言われる。画面に検査結果が出ている。赤字が目に入る。5月から連続して上昇中で、先月より2割増し、ゼローダを始めた今年の初めよりも高くなってしまった。(帰宅して確認すると、この10年の間で最も高い・・・)「肺の病変も大きくなっているし、マーカーも上がる勢いだし、治療もしんどそうなので、もうゼローダで治療を粘るのはやめたいです」と仰る。
ああ、今回は1年持たせられなかったか、とちょっとガックリ。「ただ、9月にCTを撮影したばかりですし、CTを撮るには早い。それほど非常事態というわけではないと思うが、ゼローダの次の治療の当てが全くないならもう少し頑張るのもありかもしれない。が、まだ選択肢があります。1番目はハーセプチンにハラヴェンとパクリタキセル(タキソール)、2番目はハーセプチンにパージェタと同じくパクリタキセル。ただ、出来ればドセタキセル(タキソテール)がいい。そして、3番目は大胆に久しぶりにハーセプチンにホルモン剤フェマーラ等をやってみる。2,3か月試す価値はある。間が空くと効く人もいるので。腫瘍量が多くなるとこういう博打は打ちづらいが今ならやってみる価値はある。」とのこと。
すかさず、「今も手足の痛みや痺れがあり、この状態でタキサンを加えるのは(嫌です)、ハラヴェンも白血球が下がって予定通り治療が出来るかどうか不安だし、出来れば(脱毛のある)タキサンなしで、ハーセプチンとパージェタだけでやりたい。ドセタキセルはトラウマですし」と訴える。
先生が仰るには、ハーセプチンとパージェタだけでの効果があるのは1次治療の人で(エビデンスがある)、(私のように)色々前治療歴がある人に本当に効くかどうかわからない、とのこと。ただ、(身体を休ませるという)お得感を考えれば(私がお得が好きなのをよくご存じである!)ハーセプチン+内服でフェマーラ、アリミデックス、アロマシンのどれかかな、と。
「とりあえずすぐにレントゲンを、今日は正面と側面2枚撮ってきてください。」と言われ、ご挨拶して診察室を出、腫瘍内科受付に事情を話して2階のレントゲン受付にダッシュする。
2階のレントゲン受付はそれほど混んでいなく、すぐに受け付けてもらえて中待合で座って待つ。ほどなくして名前を呼ばれる。嗚呼、まさかレントゲン撮影になると思わなかったので、ワンピースを着ている。普段なら検査着を使わないのに、男性の技師さんが「ああ、ワンピースですね、ではズボンも」と上下の検査着をお借りすることに。トホホ、申し訳ない。
急いで着替えて撮影に。正面、左側面から撮影して無事終了。再び着替えて1階に戻る。所要僅か15分。
腫瘍内科受付に戻ったことを伝え、再び中待合で待つ。
10分ほど待って名前を呼ばれると、既にPC上に前回2か月前と今回の正面の画像が並んでいる。先生が仰るには、レントゲン画像上では2か月前とあまり変化なし、とのこと。見てわかるレベルの増悪ではなさそうだ。ただマーカーは上昇を続けており肺の病変がゆっくり大きくなっているのは事実である。
そこで先生が5月以降のマーカーのグラフを普通に表示させる。一見グングン上がっているように見えるが、y軸を対数に置き換えるとそれほどの急勾配ではなくなる。そして、時系列も同様に対数表示にするとまあ微増を続けている感じに見えなくもない。ペースとしてはゆっくりです、と仰る。いつも仰るように、マーカー値の上昇よりも画像上と体調(の変化)が大切だとのこと。
体調は、といえばここのところ左のわきの下が痛んだり、乳房の横にぽっちりとした部分が気になっていたのだけれど、レントゲンでは問題なさそうなのでほっとする。下痢も収まっており、痛みも朝のロキソニンプラスアルファで収まっている。それほどの体調の悪化は感じないが、まあ気持ち悪いこともあり、その都度ドンペリドンのお世話になっているし、仕事を終えるとぐったり怠いし、疲れ易いのは間違いない、とご報告。
一番期間が開くとすると、タモキシフェン(2008年の再発前に3年近く内服)かフェマーラだが、閉経後と考えればフェマーラの方が期待できるという。フェマーラは転院して再発後にすぐに使ったけれどあまり長く続けられなかった。アロマシンは飲んだことがあるが、アリミデックスは飲んでいない。
ということで、飲んだことのないアリミデックスを処方されることになった。今度悩まされるのは関節痛やホットフラッシュか。念のためアリミデックス、ハラヴェン、パクリタクセル、パージェタのガイドブックも頂いた。
「手足は痛いし、どす黒いくて猿のようだし、あちこち色素沈着がこのまま続けていると顔まで黒くなってきそうで・・・」と言うと、「確かにそうですね、それで結構しんどくなっているのが判るし、うんと効いているわけでもないので、ゼローダはもう止めて良いです。もちろん増悪のペースはゆっくりなので、効果がゼロというわけではないから絶対止めるというタイミングではないけれど、しんどい思いをしてあまり効果がないのはもったいないし、ここぞという時にちゃんとした体調で治療を始めたいので」と。
診察室での体温は6度6分。採血結果はマーカー以外は特に問題なし。PCを覗くと白血球は4,300あり、好中球も1,600あった。肝臓も今のところ大丈夫そうとのこと。
次回は3週間後にレントゲンとフル採血の予約が入る。年内はあと2回だ。「薬はアリミデックス3週間分、ロキソニンはどうですか。」と訊かれ、「まだ残っていますので大丈夫です。ミヤBM錠ももういらないでしょうか。」と訊くと、「念のため5日出しますので、適当にやめて良いです。」とのこと。実にシンプルになった。
ご挨拶して診察室を後にした。化学療法室に入ると、待合椅子が一杯。ひとまずお手洗いを済ませて呼ばれるのを待ちながら夫やお友達に報告LINEしながらやり過ごす。
しばらくして助手さんから窓側の一番奥から2番目のリクライニング椅子に案内される。
15分ほどしてヘルプのSさんが針刺しに見えた。お名前の通り針刺しが静かで上手なSさん、お久しぶりだ。「わあ、嬉しい。Sさんで良かった。朝の採血がついていなかったので」とお話している間にすっと痛くなく針が刺さる。「お母さまはいかがですか。」と問われ、なんとかヘルパーさんの助けを借りながら一人暮らしを続けていること、来月からデイサービスを考えていることなど近況報告。「それがいいですね。」と言って頂く。無事逆血も確認。
もう15分ほどしてOkさんが薬をセットしにきてくださった。今日の状況報告をして「今の調子ではとてもタキサン3剤はきついので、次は是非ハーセプチンとパージェタの2剤でと先生に訴えましたけれど・・・」と言うと、「(今回の選択は)いいと思います。でも粘りましたね。最初の副作用の様子ではこれほど続かないだろうなと思っていました。大分減らしはしていたけれど。」とのこと。「ジンジン痛くて皮が薄くなって赤くあちこち黒い点になっています」と言うと足裏を触って確認してくださる。私はゼローダも出来れば1年は粘りたかったけれど、確かに最初の状況を考えれば10か月も繋げたのは良かったのだと思う。お墨付きが頂けてほっとする。
ハーセプチンと生理食塩水で1時間半。終了間近に血圧を測って頂くと、120-64、脈拍は60。
抜針もOkさん。ちょっぴりの衝撃で相変わらずの早業である。ずっと根を詰めて本を読んでしまったので、ちょっと疲れるが、たっぷり眠ったので眠気はない。
総合受付で会計。ほどほどの混み方だったけれど、本が佳境に入っているので待ち時間はあまり気にならず。30分ほど待って病院滞在時間は5時間ほど。採血・レントゲンと点滴の3割負担の3万円強をカードで支払う。
外は陽射しがあり、いいお天気。かなり暖かい。
薬局は数人が待っていたので待ちを覚悟する。30分ほどで済む。治療の変更を説明し、アリミデックスとミヤBM錠のみで3,000円ちょっとをカード払い。こんなに安かったっけ、と思う。これではミヤBM錠がなくなると現金払いになる。
病院と薬局の合計滞在時間は6時間弱。ちょっとぐったり。まだそれほど空腹を感じなかった。JRが人身事故で運転は再開したけれど遅れている模様だった。ひとまず来た電車に乗り、途中駅でランチと読書の続き。
夕飯のお弁当(ハロウィンの可愛い手巻き寿司等があったのでゲット)等買い物をして最寄り駅まで戻った。御贔屓の会社のタクシーがいたので、迷わずそれに乗り無事帰宅した。運転手さんがとても感じよいので、実家でも我が家でもいつもここに決めていると褒めたらキャンディまで頂いてしまった。荷物も多いし、疲れていたがいい気分だった。
生協からの食品を運び入れてから、あと少し残った本を読んでいると夫が帰宅。味噌汁を用意してくれて、本を無事読み終えた私は買ったお弁当やサラダを並べて味噌汁を盛り付けただけ。
夜はミヤBM錠を試しにやめてみた。明日からはちっちゃいアリミデックスを朝1錠飲むだけ。2か月でも3か月でも身体を休めて体調回復に励みたい。悪い細胞が久しぶりのホルモン剤にびっくりしてなんとかおとなしく休眠してくれますように。