ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2009.12.30 月刊誌掲載

2009-12-30 11:32:00 | 日記
 日本腫瘍学会編集の月刊誌「統合医療でがんに克つ」(発行:株式会社クリピュア)2010年1月号に、先日受けたインタビューが掲載された。「奇跡の生還」という連載ものの第19回。頁数は4ページ、写真が4枚(うち1枚は当日インタビュー後に撮影して頂いたもの、3枚はこちらから提供したもの)である。

 これは患者会・あけぼの会の紹介を通じてノンフィクションライター・関朝之さんから取材を受けたもの。普段の土日はなかなか都心まで出かけることがないが、たまたま先月、水天宮で行われた「虹のサロン」の帰りに急遽実現した。

 ホテルのロビーラウンジで1時間ほどレコーダーとマイクを前にお話した。病気のことだけでなく、これまでの半生、ということで生まれてから今に至るまでのことを大急ぎでお話。当然のことながら大したトピックがあるわけでもなく、ごくごく普通の半生だ。特別なエピソードが用意できたわけでもなく、「本当に私でいいのでしょうか?」という感じだった。

 事前に依頼されていた写真を何枚かUSBメモリーでお渡しし、近くの公園で掲載用の顔写真を撮って頂き、別れた。仕事で広報を担当していたこともあったので、取材する方の経験はあったが、取材されたのは生まれて初めてのことだった。

 1週間後にメールで原稿が送られてきた。あけぼの会事務局にも内容を確認して頂き、今回掲載の運びとなった。

 振り返って初発時と再発時を比べて、自分自身何か変わったかといえば、再発後はとにかく「迷ったら思い切ってやってみる」ということが増えたことだろうか。

 もし書店等でお見かけになることがありましたら、よろしければご覧ください。専門誌のようなので、なかなか小さな本屋さんには置いていないかもしれませんが・・・。顔写真がかなりのアップで、しわやたるみまでしっかり判って、ちょっと、いえ、かなり恥ずかしいのですが、これもこの記事をご覧になって一人でも元気になる方がいらっしゃれば、ということで思い切って、文字通り清水の舞台から飛び降りた結果・・・です。

 読んでくださっている皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。
 来年もまた、細く長くブログの更新を続けていきたいと思っています。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

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2009.12.28 ハーセプチン74回目、乳腺エコー

2009-12-28 20:49:36 | 治療日記
 今日は仕事納めであるが、通院納めの日となった。
 おととい書いたとおり、土曜日から息子がトムソーヤクラブ主催の子どもだけで行くスキーに出かけている。
 鬼のいぬ間に(?)昨日は夫と病院の最寄駅のホテルに1泊。夫はそこから出勤し、私は通院することにした。前日はホテルに併設された岩盤浴と温泉でゆっくりすることができた。脱毛して以来大きなお風呂に入ったのは本当に久しぶりだった。ほとんど誰もいなくて気兼ねなくのんびりできた。
 ただ、電車に乗り換えるとき、夫の後をついて小走りに左足を電車に入れたのだが、ちょうどドアが閉まりかけ、右肩に触れた。その拍子にバランスを崩し、右足が電車とホームの間に落ちてしまった。左足は電車に乗っていたので、当然バランスを崩し左にしりもちをついた。一瞬何が起こったのかわからなかった。ごついブーツを履いていたのが幸いだったが、打撲で内出血してしまった。後から、もし反対にバランスを崩していたらと、ぞっとして震えがきた。「危険ですから無理なご乗車はおやめください。」を身をもって体験し、反省した。

 先週「最終日なのでは点滴がとても混みますから、なるべく早く来てください 。」と先生から言われていたので、いつもより1時間ほど早く病院へ入った。夫が一足先に出たが、その時には降っていなかった雨がぱらぱらしていた。先に内科で診察の後、皮膚科へ、内科に戻って点滴をして、午後から乳腺エコーという盛りだくさんの日程だった。
 診察では、やはり手指のこわばりが日中もあること、胸の傷口は押せば痛い程度、ということをお話しした。皮膚科では手の爪、足の爪を診て頂き、足もラップでくるまず、ケラチナミンを朝夜塗るだけでよい、ということになった。徐々に良くなっている。処置室に戻り、検温、血圧の後、針を刺して薬を待つこと30分ほどで、順調に点滴が終了した。乳腺エコーの予約時間に十分間に合う時間だったので、ゆっくり昼食がとれた。
 午後の指定時間に乳腺エコー。今日は両胸だけでなく首から肩まで検査があった。結果が年明けで気になるところだが、気に病んでも仕方ない。先日の職場検診の時よりもそれほど時間がかからなかったこと、サイズを測ったり、プリントしたり、という作業があまりなかったように見えたこと、を良しとしたい。

 今日は2冊の本が読めた。1冊目は清水久典さんの『死にゆく妻との旅路』(新潮文庫)。来年映画化の予定と聞いている。作家の高山文彦さんが現代道行考で絶賛なさっているが、末期の大腸癌におかされた妻は摘出手術の後、早ければ3ヶ月で再発する、と医師から突き放されている。その状況で長い放浪の旅に連れまわし、結局、妻の意向で病院に行かずに車の中で息を引き取る。夫と年が離れているところなども自分と重なってしまい、ちょっと辛くなった。
 2冊目は河本敏浩さんの『名ばかり大学生 日本型教育制度の終焉』(光文社新書)。帯には”21世紀の大学生は70年代の暴走族レベル?”とまで書いているが、本当に子どものために良かれと思ってやっていることが果たして本当に良いことなのか自信がなくなってしまう。息子はちょうど小学校が全て「ゆとり教育」にあたっていた。今は大学職員である私だが、どうも大学院生が昔の大学生、学部生は高校生、という感じを受ける。学生確保のためのAO入試の功罪もあるだろう。また、息子が中学受験をしたときに、国語で大学入試問題と同じ文章が出ているのを目にしたことがあった。12歳で選別され、その後は逆転ができない。そういう社会はやはりおかしいのだろう。いろいろ考えさせられる1冊だった。

 今年の通院日数は、1月6日のハーセプチン25回目・タキソテール3回目から、本日のハーセプチン74回目・乳腺エコーまで、52日に及んだ。領収書もそろったところで、確定申告用の書類も整理もしておかないと・・・。私の今年の医療費は合計で160万円ほど。夫と息子2人がかりでの1年分は、私の1か月分にも満たない。それでも今年は1日も入院しないで通院だけですんだ。
 来年もこの調子であせらず、あきらめず、頑張り過ぎず、過ごしていければいい、と思う。
 年明けは1月5日の通院が最初だ。


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2009.12.26 墓地完成 

2009-12-26 18:37:44 | 日記
 クリスマスプレゼントに間に合うように、とお願いしていたお墓。今朝「昨日、完成しましたので、ご確認にいらしてください。」との連絡があった。早速夫と2人で見に行った。1日遅れのクリスマスプレゼントになった。春の鳥の名前がついた区域にお願いしたとおりのお墓があった。

 正面には名字のみ。「家」とは入れなかった。また、墓石の右脇には「建立」した私たち夫婦の名前の字のみ。まだ誰も埋葬されていないので、墓誌もまっさらである。出来るだけ長い間まっさらのままであってほしい。

 本当は3人そろって見に行きたかったのだが、息子は今朝からスキー教室に出かけている。年明けに学校のスキースクールがあるので、友人たちと滑る前にこっそり、少しでも上手になっていたいらしい。(ええ格好しいは誰に似たんだか・・・。)夫は雪国の出身だが、腰痛のためスキーはやらないし、私も高校時代に1回体験した後は社会人になって2回ほど行ったきり、スキーにはあまり縁がない。先日、昔、夫と観た映画「私をスキーに連れてって」をテレビでやっていたので懐かしく観たが、そんな両親なので、息子は中学に入学するまで全くスキーの経験がなく、今年1月、中学校でのスキースクールが生まれて初めてのスキー経験だった。

 とても面白かった様子で、その後、春休みの3月に今回と同じ旅行会社の子どもだけで行くクラブ主催のスキー教室に参加した。去年は今の時期、学校の冬期講習があったので、3月の春スキーコースになったのだが、今年は冬期講習にも該当しなかった(実力テストの成績が講習指名水準に達しなかったので、残念ながら呼ばれなかった、ということです。)ので、今回参加できることになった。

 早朝都心の集合場所まで見送りに行った夫いわく、小学校3年から中学生までの参加者の中で息子は最年長。リーダーの大学生とは前回も一緒だったようで、ため口かつハイテンションで出かけたそうだ。月曜日までしばし我が家は夫婦2人で、静かになる。

 それでも息子には帰宅したら、やはりなるべく早く完成したお墓をきちんと見せておきたいと思っている。今はただの墓石だが、開眼供養をして頂いて、ようやくお墓に魂が入るとのこと。埋葬しなくとも両家の墓から土を持ってきて、新しく建てたお墓に入れて読経してもらうことでご先祖様から守って頂ける、という儀式をするようだ。
 ずっと気になっていたことが済んでほっとした。


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2009.12.22 ハーセプチン73回目、ゾメタ29回目 

2009-12-22 20:26:36 | 治療日記
 今日は内科受付の後、ほどなくして中待合への番号が点滅し、診察室に入った。昨日、無事新型インフルエンザの予防接種を終了した旨ご報告。それから金曜日の婦人科検診についてご相談。昨年度は受診していないので、2年ぶりであること、「しこりは感じないがエコーでは両側に影が認められるため、針生検をするところだが、週1回通っているかかりつけの病院に相談するように」と言われた旨をお話しする。

 先生は「まずはこちらで乳腺エコーをして存在確認をしましょう。」ということで、来週点滴の後に予約を入れてくださった。それでもどうしても聞きたかったのは、(私のような再発転移のケースで)さらに針生検や手術が必要なのか、ということだった。正直、もう完治しないことは判っているのにそれでもまた、針を刺すだの手術だのと言われたら・・・と、金曜日以来ずっと気になっていた。
 先生のお答えはとても明快で安心した。「まずは存在確認ができてからの話だが、実際にある、となったときには左は再発・転移の可能性が高い。右は転移かもしれないし、新しいものかもしれない。前回の検診後2年の間にできていたものかもしれない。その場合には左はそのまま何もしないで良いが、右についてはがんの性質について調べるために針を刺す、ということもあるかもしれない。ただ、現在あなたはホルモン治療、ハーセプチン、抗がん剤とフルコースの治療をしている。全ての治療が効くタイプのがんだから。もし今治療しているがんがホルモン剤も効かない、ハーセプチンも使えないという性質のものであれば、右に新しくできたがんの性質を調べれば選択肢が増える、という可能性もあるが、あなたの場合はそうではないので、仮に右に新しくできたものの性質がわかったところで治療方針が大きく変わるわけではない。ホルモン治療の薬を変えてみるとか抗がん剤を変えてみる、ということはあるかもしれないが、ホルモン治療、ハーセプチン、抗がん剤という3大柱以外の選択肢が増えるわけではない。だからその必要はない。」と。本当に安心した。先生でよかった、と思った。とにかく来週のエコーを受け、年明けに読影後、ということになった。

 処置室へ移動し、薬が届くのを待って点滴開始。今日はハーセプチン、ゾメタのフルコースの日。生理食塩水を含め4本の点滴だ。
おかげで今日も2冊の本を読んだ。
1冊目は中島義道さんの「醜い日本の私」(新潮文庫)。日本と欧米の客室乗務員の違いから始まった第3章の「奴隷的サービス」、車内アナウンス等を例にとった第4章の「言葉を信じない文化」が特に興味深かった。また大学内に飛び交う怪文書、については実際さもありなん、と思うところがあった。解説の椎名誠さんではないけれど、この本を読んだことで、この国をもう少し冷静に見つめるための訓練ができるかもしれない。
2冊目は桐野夏生さん編「我等、同じ船に乗り 心に残る物語 日本文学秀作選」(文春文庫)。島尾敏雄・ミホ夫妻、松本清張、太宰治、坂口安吾、谷崎潤一郎などという、そうそうたるメンバーの作品集。なかでも林芙美子の「骨」、菊池寛の「忠直卿行状記」、澁澤龍彦の「ねむり姫」は面白かった。久しぶりに今を生きる作家から離れたが、菊池寛の文章の格調の高さ、リズムには改めて圧倒された。

 日ごろから考えていることを少し書いておきたい。
「ワーク・ライフ・バランス」=数年前からこの言葉がずいぶん市民権を得てきたような気がする。病気になってから、というわけではないけれど、私は勤め始めてからずっといつもこのことを意識し続けてきた。いくら忙しくても、忙しいときほど深呼吸をして、自分の生活を大切にしよう、と。

 プライベートがきちんとしていないと決していい仕事は出来ない、とつくづく思う。もちろん若い時期、仕事を覚えなければいけない時期、しゃかりきになって働かなければいけない時期はあるけれど、今や「24時間働けますか」という時代ではないだろう。いかに勤務時間内に密度濃く仕事をするか、とりあえず最初から残業モードで日中はのんびり、夕方からだんだん元気になってくる、というのはどう考えてもおかしなことだ。

 実際のところ、子育て中は何があろうとも保育園のお迎え時間という印籠があったから、どんな状況でも涙を呑んで頭を下げて職場をあとにした。どうしても間に合わなければ土日出勤、もしくは平日帰宅後、食事の支度と息子の世話をして、夫が帰ってきたらバトンタッチして、再び職場に出直す、などという「帰ってきたぞ、ウルトラマン」式の技も駆使してきた。

 けれど持ち時間が限られていると、仕事の優先順位、段取り、根回しは当然真剣に考えるし、今やれることはすぐやるし、明日以降でもいいことも(明日子どもが熱を出すかもしれないから)できれば片付けておくなどなど、時間制限なく仕事をしているよりもずっと効率は良かったはずだと思う。

 それと同じで、今は仕事と治療の両立というワーク・ライフ・バランスが私のモットーになった。週1度の通院は多分これから生きていく限り絶対欠かせないので、それ以外の4日間でいかに効率的に関連部署に迷惑をかけずに5日分の仕事を片付けるか。日々それを考えつつ過ごしているので、おかげさまで毎日が充実している。
 それでも仕事がなくて暇・・・よりも、少し忙しいくらい仕事があった方が精神衛生上絶対に良い。こういう状況で仕事を続けていくことについて、家族に皺が寄っている、といえばそうかもしれないけれど、今は基本的に超過勤務をせずウイークデーは朝の洗濯、お弁当作りから夕飯のしたく等家事もこなしている。そして、土日は夫が主体的に家事を担当してくれてもいる。とにかく去年の今頃を思えば、こんなに普通に毎日働けるようになったことが本当にありがたい。今年の勤労感謝の日はたまたま出勤だったが、自分がまた働けるようになったことに感謝、の日だった。今の状態がどうか1日も長く続いてくれますように・・・。

 帰りには看護師さんたち手作りの可愛いクリスマスカードを頂いた。去年に続いて2回目だ。去年のものもとってある。お忙しい中、時間を作って手作りされるのだろう。本当に頭が下がる。「ステキな笑顔を見せてください、応援しています。」の言葉に今年1年の感謝と来年また治療をがんばらなくては、という思いを強くした。

 会計の後、処方して頂いた1か月分のアロマシンを薬局で受け取り、帰宅の途に着いた。
 今日は冬至。ゆず湯に入って暖まろう。


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2009.12.21 新型インフルエンザワクチン接種

2009-12-21 23:19:40 | 日記
 優先接種対象者証明書を頂いてから1ヶ月あまり、10日ほど前に最初にエントリーをした最寄り駅のクリニックから「日にち・時間指定で別の系列クリニック(電車で2駅先)で急に空きが出たのですが、どうしますか。」という打診があったけれど、どうしてもその日は休めなかったため、残念ながらお断りした。先週また連絡があり、今日は勤務を終えて大急ぎでかけつけ、無事接種してきた。

 事故の話も耳に入ってきていたので、ワクチンが国産なのか、輸入なのかちょっと気になったので接種証明書を書いて頂くと、以前も季節性インフルエンザで聞いたことのある国産のメーカーのものだった。
毎年接種する季節性の方は刺した後、いつもかなり真っ赤に腫れて、その後痛がゆくなり、掻くのを我慢することになるが、だるくなったり熱が出たり、ということまではない。今回はどうか、ということで心配したけれど、今のところそれほど腫れてもいないし何ともない。

 初めてのクリニックだったが、穏やかな先生で丁寧だったので、とてもありがたかった。「この姿勢が一番痛くないのでここに打ちます。」と。「皆さん季節性より痛い、と言いますが大丈夫ですか。」と聞いて頂いた。確かに薬が入っていくときは若干痛かったが、何のことはなく無事終了。「今後も予防をしっかりとしてください。」とのことだった。
 念のため診察券も作って頂いた。会計のカウンターに立ったまま、小さなカメラで写真撮影され、その場で写真入の診察券ができた。また1枚診察券が増えてしまった。

 息子は新型インフルエンザも終息に向かっているのでは、という中で先週しっかりかかってしまったけれど、タミフルのおかげでそんなに酷くならずにすんだ。この後も夫と私はなんとか感染せずに、もしくはかかっても軽くすませたいものだ。

 帰途は風がとても冷たく、肩をすくめながら急ぎ足で帰宅した。年賀状はとりあえず宛名印刷だけは終えたのだが、毎年一人一人コメントを添えているので、そろそろ書き出さなければ。毎年毎年書き始める日が遅くなっている。今年もあと10日という実感がないのが本当のところかもしれないけれど。

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