ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2017.8.30 丑三つ時、Wの悲劇

2017-08-30 18:15:08 | 日記
 昨夜のこと。
 ようやくジェムザールの副作用である気持ち悪さが抜け、何を食べても美味しい幸せな期間に突入した筈だった。
 便秘も解消し、朝も昼食後も快便だったのだが、心なしか夕方からちょっとお腹が重い感じがしていた。

 それでも夕食もしっかり頂き、入浴。前の晩インテンシヴコースで興奮したせいか、寝つきが悪かったので今夜こそ、と早めにベッドに入ったのだが。
 入浴を境に急に気持ちが悪くなってきた。
 生唾が出てたまらない。それでも嘔吐するところまでは行っていない。さらに入浴後に腹痛。軟便が泥便になる。

 うーん、どうしたことか。ベッドの上で右を向いたり左を向いたり、マントラCDをBGMにヨガニードラをしてみたり。眠る努力をするが全然ダメ。
 結局1時間ほどして、トイレで1度目の嘔吐と水様便。それほどの量ではないが、3月に久しぶりに嘔吐した時のように眼に見えてスッキリ、とはならない。
 仕方なく、またベッドに戻る。

 それでも気持ち悪さは変わらず身の置きどころがない。隣室で眠る夫を起こすに偲びず、1時間ほど悶々と過ごす。
 脂汗が出て急に胃がせり上がって来た。これはまずいとベッドを飛び起きて廊下を走り、手で口を覆うが間に合わず。

 1回目より長い時間便器を抱えてかなりの量を吐いている間に、なんということか、お手洗いに座る閑なくその場で水様便の悲劇。ああ、脱力・・・。
 とにかく始末をしなくては、とへろへろの中、シャワーを浴びて汚れ物を手洗い。お手洗いの床、廊下にアルコール除菌スプレーをかけて四つん這いになって掃除。こんな時間に、とだんだん情けなくなってくる。
 さすがに真夜中に洗濯機を回す元気もなく、そのままお風呂場の洗面器に洗ったものを絞って入れ、再びベッドへ戻る。これで勘弁してもらえると思ったのだが、まだ気持ち悪い。

 ウトウト出来ないうちにまた1時間。せっかくパジャマもタオルも全て着替えたというのに、また、だ。

 同じことの繰り返しで、廊下で嘔吐しながらお手洗いへ駆け込む。今度は2度目よりもっと大量。うわー、こんなに、と見ながらやけに冷静な自分がいる。吐いて吐いて、最後は胃液まで出た模様。汗と涙と鼻水で顔はぐしゃぐしゃ。ぐったり。さすがに今度はお手洗いの方は間に合ったけれど、相変わらず見事な水様便。お腹はすっかりぺっちゃんこというか、もう消耗することしきり。

 再び這いつくばって廊下やお手洗いを掃除し、気付けば丑三つ時を過ぎている。
 それから3時間ほどなんとかうとうとしただろうか。

 朝が来た。

 夫はそんな私の悲惨な状況は露知らず。エー、全然知らなかった、とのたまう。そりゃそうですよ、起こしては申し訳ないと頑張ったんですから。

 いわく酷い嘔吐と下痢となれば先ずはノロウィルス感染が疑われるとの見立て。専門家の夫相手に喫食調査と相成った。24時間から36時間という潜伏期間を鑑みると、昨夜の夕食に原因はなさそう。月曜日の夜は一緒に同じものを食べているし、その日の昼にヨガスタジオの近くのカフェで頂いたサンドイッチが怪しいそうだ。とはいっても真偽のほどはわからない。

 なんとかこのまま落ち着いてくれればよいけれど、感染していたらまずいからと朝、私のものだけ全部洗濯機にかけて干して出た。夫のものを洗う前に洗濯機も除菌する予定である。吐き気はおさまっているのだが、胃が痙攣した後の重苦しさが残り、固形物は食べる元気がなく、水分補給のみに留める。お腹は空っぽの筈なのに、今朝も申し訳程度の水様便が3度。

 トホホ。そんなわけで投与後の体重減少が回復しないうちにまたしても1kgの減。このところ体組成計によるカラダ年齢は30~1歳で安定していたのだが、久しぶりに29歳を示した。何のことはない、水分が減っただけなのに。

 それにしてもフラフラのヨレヨレだ。急ぎの仕事を済ませて午後は大事を取ってお休みを頂いてしまった。
 ぞっとするのは、もし12時間症状が出るのが早かったり遅かったりしたら一体どんなことになっていたのか、ということ。職場でこんな醜態を演じることになったらもう立ち直れない・・・。なんとか早く復活したいものである。
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2017.8.28 新たな気づきと弱点克服へ~ハタフローヨガ・インテンシヴコース2日目

2017-08-28 21:22:12 | ヨガ
 あっという間に4週間が過ぎ、ハタフローヨガ・インテンシヴコース2日目を迎えた。
 この間、真っ白なマイ教科書をなるべく埋めようと日々の気づきを書き留めるように努めたが、なかなか思うに任せず、が実情であった。
 投与後の体調不良時には毎日練習を続けられるわけでもなく、夏休み期間ということで息子の帰省や旅行等も重なり、トホホの空白の日も数知れず。

 前回、初日は午後休暇を頂いて駆け付けた。それでも昼食を摂る時間もなくドタバタの滑り込みだった。それに懲りて今日は一日夏休みを頂いた。朝のうちに先回りして出来る家事を済ませ、教科書を眺めながら昼食時間も摂れるようにゆとりを持って家を出た。

 開始30分ほど前にスタジオに到着すると、M先生が笑顔でお出迎え。体調を気遣ってくださる。治療後でようやく復活したものの、本格的に身体を動かすのは6日ぶりになるので、マイペースで行きます、とご報告。

 ぼつぼつとマットが埋まっている。定刻にはすっかり一杯になった。2日目も21名全員出席である。
 M先生から出された、このひと月自分の観察をしてくるという課題について、どんな気づきがあったのか、シェアするように、とのご指示。スタジオ一杯に11枚ずつ敷き詰められたマットの前列と後列で、真向かいに座った方とペアになって、自分にとってこれぞという1つのネタに絞って掘り下げて話をし、お互いを理解しあうように努めるというワークだ。

 今日ご一緒したのはHさん。既にインストラクターをされている方で、私が通っているスタジオにもワークショップで何度かお見えになっているのを掲示等で見ていた。実際にクラスを受けたことはないのだが、とてもチャーミングな方だ。
 (前回のクラスで受講生から発せられた言葉)「空っぽだけれど満たされている」という状態について、私が気づいたことをお話する。
Hさんは2つの気づきがあったとのことだったが、残念ながら一つだけ伺ったところで時間切れ。

 後は、M先生含め11組が相手から聞いた気づきについて全員にお披露目していく。様々な気づきから、今日のテーマやキーワードが次々とあぶり出されていく。
 Hさんが私の気づきをお披露目してくださった時、自分自身では意識していなかったこと-自分を認め、今の身体の状態で出来るヨガに気づき、それが出来ているからこそ、“空っぽだけれど満たされている”というのは実は空っぽなどではなく、ぴったりとうまく収まっている状態、だからこそ幸せで満ち溢れている状態なのではないか、という気づきがあったのでは-を感じてくださったようで、びっくりした。

 一巡したところで、身体を動かしながら相手と自分の境をなくしていく呼吸法や瞑想を実践する。同じペアでのワークだ。
 実際に呼吸を合わせ相手の胸元一か所を見つめながら手を重ね合っていると、次第に皮膚の表面が溶け合っていくような不思議な感覚になる。指導者として受講生をアジャストする時には、自分の身体に触れるような感じで行うと相手に嫌な感じを与えないという。

 “触れる”という行為のエネルギー交換を鑑みるに、自分のコンディションが悪い時に相手に触れると(良くない感じを与えるかもしれない)いうことの責任重大さを感じる。自分の身体を客観的に見る感じでクラスを指導すると、色々な気づきがあるのでとても為になるとのこと。なるほど、と思う。

 続いて前回練習した太陽礼拝のポーズをペアで観察しあう。M先生のリードのもと、ひとつひとつ丁寧に身体を動かしていく。緊張するけれど、とても心地よい時間だ。M先生が私たちの周りを回りながら一言二言アドバイスをしてくださり、その通りにしてみると、不思議なくらいポーズが楽になる。そしてHさんから温かいコメントを頂く。なるほどな、と納得するところが沢山。自分の弱点、苦手な点もやっぱりな、と痛感する。

 交代してHさんの太陽礼拝を拝見する。現役のインストラクターでおられるし、基本の立ち姿勢からして本当に美しい。プランクのポーズがちょっときつそうだな、と思うけれど、残念ながらどこをどう直してあげると快適になるのか、わからない。そこをM先生がフォローしてくださる。肩の位置、手の向き等、ちょっとしたところでポーズがぐっと快適になるのが素晴らしい。

 M先生から講評がある。ポーズを直された時、すぐに直せる人は全体像の把握が出来ている人だとのこと。一か所を直すだけだとその都度その都度きりがない。どこをどう直すか、どう対応することかでトータルなバランスがOKになるか、という感覚を覚えることが大切なのだ。こうした様々な感覚を身体に染み込ませることが出来るのがクラス最後に行うシャヴァーサナのポーズ。深くこのポーズに入ることで身体では修正作業が行われていくという。その醍醐味に是非触れてほしいとのコメントに深く頷く。ただ気持ちいい~と寝落ちしている場合ではないのだ。

 そして今回の課題。太陽礼拝における自分の苦手なポーズが分かったところで、では太陽礼拝をより良く行うためにはその前に何を練習したらよいのか、自分で良いと思うポーズを実験してみて、採用なのか不採用なのかをまとめてくること。今日のように口頭で発表するのではなく、レポートにして提出するということになった。これは大変。毎日試行錯誤しながら練習を続けていかなければならない。太陽礼拝はどうも苦手で…などと言っている場合ではなくなった。

 まとめとして、前回のいくつかの課題についてM先生からコメントがあり、これからの進め方について大きな指針を頂く。
 自分でもうこれが完璧(これが私のポーズ)だと思ったら何も広がらない。ただ奢り高ぶるだけ。無論、私のレベルでそんなおこがましいことは到底思わないけれど、まあ、このぐらいでいいか(手を打とう)と思うことは多々ある。何かをやり切った時に自信を持つのは大切なことだが、ヨガの学びは決して終わらない。ステージの次元が挙がっていくだけである、という言葉は、瞑想が常に今の段階を突破しながらより繊細なゾーンに入っていくことに繋がる。
 
 というわけであっという間に3時間が経過した。
ご挨拶した帰り際に「〇〇さんはお好きかもしれないので、加島祥造さんが訳された老子の道(タオ)を読んでみるといいかもしれませんね」というアドバイスも頂き、早速手に取ってみることにした。
 
 帰路は私が普段通っているスタジオで何度もお見掛けしたことのあるIさんとご一緒した。車内であれやこれやとずっと喋り続け、気づけば最寄り駅。今日でもう3分の1一が終わってしまいましたね、来月が待ち遠しいけれどそれが終われば半分終わってしまうのですね、寂しいですね、大切にしたいですね、等と言い合う。

 明日からの1か月、マイペースで良いから自分なりに苦手なポーズ、弱点から目を背けずに過ごしていきたいと思う。
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2017.8.25-27 投与翌日、不調で寝付いた土曜日、合唱練習再開の日曜日

2017-08-27 20:54:15 | 合唱
 金曜日。
 投与翌日。当然のことながら絶不調。朝食はいつもの半分程度を何とかお腹に入れて薬を飲んで出勤。溜まったメール等を処理し、出来るだけ体力温存しながら黙々と仕事をこなす。昨日の投与後、午後から続いている耳鳴りが止まず、不快だ。もしやこれも副作用かと思って調べたら、やはりジェムザールの副作用その他の項目に耳鳴りが含まれていた。

 これまでもろもろの治療薬を休むことなく身体に入れているわけだから、ジェムザール単独ではなく相乗作用もあるかもしれない。それにしてもズズズズズと鬱陶しい音。集中力を欠くのが困る。お昼はスープだけにして各種薬を。
 耳鳴りが一番気になるので気持ち悪さは相対的に収まっている感じ。なんとか持ち堪えて帰宅。生協のお届け品を取り入れ、夕飯の支度をし、洗濯機を頑張って2回廻す。
 さすがに空腹。貧血気味だし少しでも食べないと、とレバーを調理してみたら夫に好評で、こちらも少し箸が進んだ。食事を終えたら怠さも酷くなり、入浴後、早々に就寝。

 土曜日。
 ベッドで朝の連続テレビ小説を視た後、二度寝。いくらでも眠れる。夫が痺れを切らして朝食は先に摂るというので、そうしてもらう。その後もしぶとく寝ていたら、かかりつけのクリニックに出かけて行った模様。時間を見れば11時。さすがにまずいとゆるゆる起き出す。

 全くお腹が空いていない。果物だけにしてまた薬を飲む。耳鳴りは、止んだかと思うとまた始まる。右耳は幼児の頃に罹患した中耳炎の既往があるので、疲れるとたまに耳鳴りがするのだが、こんなに連続して鳴り続けるのは初めて。しかも交代で左耳もキーンという音がする。抗がん剤副作用の難聴は耳鳴りから始まることが多いという。次回相談しなくては。

 外はかなり暑そうだ。洗濯が良く乾いていたので取り入れて畳んだら、もうぐったり。夫が帰ってきても起きられず。ひたすらリビングのソファで横になる。
 取り溜めたビデオを見ながら気づけばうとうと。いつの間にかエンドロール、の繰り返しだ。

 普段なら水曜日に投与すれば土曜日の夕方はだんだん復活してくるタイミングだが、今回投与が1日遅れているから曜日感覚と身体の感覚は1日ずれている。それでも昼まで寝ていて一歩も外に出ないまま土曜日を終えてしまうのはあまりに哀しいということで、夕方涼しくなってから散歩方々夫と映画を観てきた。気持ち悪さに身体が大分慣れてきたということか。ドンペリドンが良い仕事をしてくれているというべきか。

 観たのは昨日封切りの「ワンダーウーマン」。アマゾネスと人魚姫のエピソードを彷彿させる、強くて美しい女性戦士ダイアナの物語。CGも凄く暑さを忘れるにはいい2時間だった。帰りに夕食も外で済ませ、帰宅後は入浴してころりと就寝。

 日曜日。
 さすがに2日連続昼近くまで寝ていたら我が家は回らない。今朝は早く起きて朝食の支度。まだいつも通りの量は食べられないけれど、空腹を感じてある程度お腹に入れても大丈夫になると、復活はもうそこまで、である。

 朝食後は掃除。その後、1か月ぶりに参加する大学OB・OG合唱団の練習に備えて、またしても直前泥縄式の自主練習。音源のCDを聴きながら楽譜をチェックして音取り確認。You Tubeで演奏を聴きながら前回の練習を思い出しておさらい。簡単にお昼を摂ったらいざ、出発である。

 いつもの練習場の空調が不調とのこと、下の階のクッキングスタジオで緊急避難的に練習が行われていた。少し遅れてしまったので、後ろからそっと、と思ったが並びがいつもと違ったため、申し訳なくも真ん中の列の空席に何とか座らせて頂いた。
 今日は男性が10名ほど、女性は12,3名いただろうか。例年アルトが優勢でソプラノが少ないのだが、今年はちょうどいい具合に同じくらいの人数だ。テーブル等を寄せても空きスペースが狭くなっているので、逆にみっちり近づいて大勢の参加者がいるように見えた。

 前回同様外国曲2曲、邦人曲1曲を練習。練習の間が1か月も空いてどうしても忘れてしまうので、指揮者にとって、最初は前の回のレベルに戻すまでがなかなか大変な作業だ。それでも現役も数名参加してくれており、なんとなくハモってくると、本当に楽しい。そして肺に一杯空気を入れて大きな声を出すのは何より気持ち良い。
 
 今日も3時間半近く練習。最後は喉がすっかり枯れてしまう。それでも心地よい疲れだ。水曜日が治療なら次回の日曜練習はもうちょっと元気な筈。何より本番は休薬週の日曜日だから、体調はそれほど心配しなくとも大丈夫だろう。
 今年はジャズとの共演ということで、色々面白い趣向も凝らすそうだ。それまでにちゃんとスイングして歌えるようになっていると良いのだけれど。

 本番まで残すところ9月に2回、10月に2回、計4回の練習のみ。残念ながら10月のジャズバンドとのコラボ練習は、均整術の後期初日と重なってしまってお休みしないとならない。ということで、あと3回で本番だ。これはやはり自主練習あるのみ、である。

 昨日の昼まで寝ていたのが嘘のように元気になった。帰りは7代下、9代下のアルトの後輩と乗換駅まで一緒にお喋りしながら。ちょうど小学生、中学生の子育て真っ最中で大変そう。大変だけれど、振り返ると一番いい時期だから楽しんでね、とちょっと先を行く者として目を細めてしまった。

 明日からまた新しい1週間。早くも週末は9月だ。気づけばあっという間に陽が短くなって、ちょっと物悲しく思う夏の夜である。

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2017.8.24 採血後腫瘍内科診察、ハーセプチン184回目(3.3倍量4回目)、ジェムザール(5割減)13クール1回目)

2017-08-24 21:44:17 | 治療日記
 昨日は仕事を終えて真っ直ぐ帰宅。家で夕食を摂った後、病院近くのホテルに前泊した。ここ数日の暑さのせいか眠くてたまらず、入浴後は早々にベッドに入り、テレビをつけたけれどそのまま寝落ち。夜中に一度もお手洗いに起きずに朝、モーニングコールが鳴る10分ほど前自然に目が覚めた。

 夫にグッドモーニングLINEをして、恒例の足湯。
 外は曇天だが、予想最高気温は34度。湿度も高くベタっとした感じ。朝食は軽めに済ませ、チェックアウトして病院へ向かった。

 IDカードを通して採血受付機へ移動。すぐに採血室へどうぞ、と番号が表示され、5分も待たずに席へ案内される。今日は久しぶりに検査技師のSさん。フル検査なので4本。刺す時も抜く時もちょっとチリリと痛んだが無事クリア。

 止血しながら腫瘍内科受付に移動。時間はまだ早いのだが、既に定位置が埋まっている。別の席を確保して読書開始。今日の御伴は米澤穂信さんの「満願」(新潮文庫)。
 帯には「磨かれた文体、完璧な技巧、至高のエンターテインメント!ミステリ最高傑作、待望の文庫化」とある。最後に登場する表題作の他、五篇が収録されている。裏表紙の紹介をお借りすると、“「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが・・・。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作「満願」”―これにはなるほど、そうきたか、と唸った。
 冒頭「夜警」は頁を繰るのももどかしく、次の「死人宿」、「柘榴」もざらっとした後味を残しながら、引き込まれた。中でも私が一番面白かったのは商社のビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」。都市伝説をモチーフにした「関守」にもぞわぞわとし、全作通じて短編ミステリーの雅趣を堪能した。山本周五郎賞受賞作であり、ミステリ部門の文学賞、史上初めての三冠達成というのも頷ける。

 本を読みながら小一時間経過。面白くて本を閉じるタイミングを計っているうちに「中待合へどうぞ」の表示が出てしまう。焦って血圧測定に並ぶ。101-66、脈は73。

 その後30分もせずに先生が診察室からお顔を出され、ご挨拶しながら診察室へ入る。いつものように「さて2週間、いかがでしたか」と問われ、「今回も気持ち悪さは相変わらずでしたが、金曜日が祝日だったので少しゆっくり出来て身体が楽でした。おかげさまで旅行にも無事行ってきましたが、ちょっと疲れが出たのか日曜日から胸痛が気になり、朝だけでなくロキソニンのお世話になっています。」とお答えする。

 診察室での検温は6度6分。採血の結果、白血球は4,300、好中球は2,600ほど。充分な数値だ。気になる腫瘍マーカーの数値は一割に満たない程度下がっている。「少し下がっていますが、まあ安定しているということですね。」とのこと。現在のジェムザールは規定の2投1休が叶わず、隔週で、しかも規定量半分の投与だが、全然効いていないということもなさそうだ、というところか。他にはやや貧血だとのこと。ヘモグロビンは11。これまでも11.5という数値は出ていたようだが、それほど心配することもないか。

 ということで、予定通りの治療。ここのところ白血球が4000台で落ち着いているので、次回は採血をパスしてみましょうとのこと。レントゲン撮影のみ予約が入った。
 いつもどおり4週間分の各種内服薬に加え、発熱時に備えてクラビットや便秘予防の酸化マグネシウム錠も補充して処方して頂き、化学療法室へ向かった。

 今日は予定通りハーセプチンとジェムザール。
 化学療法室へ移動し、待ち時間には夫やお友達に報告LIN。まだそれほど混雑していないようで、10分も待たずにヘルプの看護師さんから声がかかる。今日はきちんとリクライニング出来る内側の椅子に案内された。10分ほどすると、初めましてのNさんが針刺しに見える。腫瘍内科の入院病棟に6年間いらしたとのこと。2012年秋(以降入院していないという記録を更新中である!)に入院した時にお目にかかっているかもしれませんね、とご挨拶。

 ポートであるという情報が行っていなかったようで、腕からの針刺しの準備をされてきた模様。出直してきますと仰った後、ほどなくしてKrさんが代わりに見えた。ご報告ですが、と仰るので「まさか異動ですか」と訊くと、9月から化学療法認定看護師の学校に半年通うことになったとのこと。春にまた元気でお目にかかりましょう、と言ってくださった。「はい!」と返事をする。Okさんと同様、きちんと化学療法室に復帰してくださるのだから頼もしい。針刺しは問題なく終了、15分ほどでMさんが薬を準備してこられた。

 今日は、3.3倍量のハーセプチン、デキサート(ステロイド)とアロキシ(吐き気止めのセロトニン拮抗薬)の混合、5割減量のジェムザール、生理食塩水の4本。
 まずはハーセプチンを1時間ちょっと、吐き気止めは20分。ジェムザールの30分と最後の生理食塩水の15分。生理食塩水に替えたところで、Mさんが血圧を測ってくださる。104-65、脈拍は63。Mさんが「○○さんのカルテを拝見すると、歴史を感じますね」と仰る。「はい。年が明ければ10年です。最初は50歳を迎えられないと思っていましたが、還暦も夢ではないかも、というところまで来ました。有難いことです。」とお答えする。
 抜針もMさん。相変わらず衝撃があるが、ぐっと我慢。ご挨拶して化学療法室を後にする。

 会計をお願いしてから、タイミングを見て採血・点滴で5万円弱をカード支払い。
 外は日差しが強く、朝よりもかなり気温が上がっている。薬局へ移動。待ち人は少なかったが、やはり種類が多いので30分たっぷり待つ。待合椅子はそれほどの混雑ではなかった。7種類の薬は相変わらずビニール袋一杯。3000円弱を現金払い。

 今日は総じて順調だった。病院と薬局の滞在時間は5時間半弱。駅ビルのランチタイムに十分間に合った。朝も軽かったし、どうせ食べられなくなる夜に備えて、イタリアンでパスタランチのセットを頂いた。電車でも席が確保出来た。点滴後半から2冊目に突入したが、さすがに帰路の車内だけでは読み切らず。

 乗換駅でお弁当を調達し、最寄り駅からは当然タクシーに乗るつもりだったが、あいにく車の姿が見えず、タクシー待ちの人が大勢並んでいたので諦めて汗をかきかきフウフウ言いながら帰宅。

 帰宅時間は仕事をして帰ってくる時間より1時間ほど早めだったが、あれこれ片づけているうちに、なんと出張先から直帰の夫が帰ってきてしまう。当然支度など何もしていない。リビングのテーブルの上は薬やら荷物やらが散乱している。今日は歯科クリニックの予約が入っていると聞いていたので、いつもより遅い帰宅のつもりでのんびり構えてダラダラしていたのだけれど。

 結局、歯科クリニックから帰宅した夫にお弁当やお寿司を並べさせてしまった。だるいし食欲はないし、何やら帰り道から右耳の耳鳴りが続いていて鬱陶しいことこの上ない。押し寿司を2つつまんで薬を飲んで終了。

 明日は金曜日なので、会議はない。とにかく明日を乗り切れば、土日である。とはいえ、投与日が普段と1日ずれているから復活するのは日曜日の午後あたりか。せっかくの土日なのに二日とも体調不良が見込まれるのはちょっと憂鬱だ。
 
 記録のために。一昨日届いた今月の鉢は赤紫のミニ胡蝶蘭とアイビーの寄せ植え。玄関の涼しい所に置いてある。次回のお届けは早くも9月。まだまだこんなに暑いのに今年も余すところ3分の1かと思うと、本当にびっくりである。
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2017.8.19-20 旅行最終日、龍山寺と迪化街散策後帰国、通常生活へギアチェンジ

2017-08-20 21:29:06 | 
 土曜日。
 てんこ盛りの旅行も、早や最終日となった。
 昨夜はホテルに戻った後、荷物整理。なんだかんだとお土産類で荷物がかなり増えている。息子の両手が空いているのが頼みだ。大方整理して早めに休む。

 最終日は前日までより1時間以上出発時間が遅い。目覚まし時計を少しゆっくり目に合わせて、起床。今朝も予想気温は37度。浴槽足湯を済ませてから、レストランへ向かう。ホテルの朝食も3日連続で少し飽きてきた感じ。目先の違うものに手を出してみる。

 今日は3日間ご一緒した静岡のご夫婦に加え、初めてご一緒するご夫婦1組と私たち8名で観光だ。加えて、午後空港に行く段階でピックアップする人が数名いるということで、この人数なのに40人乗りの大型バスだ。

 まずは極彩色の外観が目を引く、台北最古の寺廟、龍山寺(ロンサンスゥ)へ。1738年創建、絢爛豪華な廟建築で精緻な彫刻が屋根や柱に施されている。観音菩薩が主神だが、文殊菩薩や普賢菩薩、媽祖や文昌帝君などの道教の神様も祀られているという。こちらのお寺も二酸化炭素縮減のためにお線香は少なくとのことで、一人1本だけ配られる。

 これまで同様神様を順々に回る。縁を取り持ってくれるという神様の前で、息子が筊(一組の三日月形の木) を投げる。何度やっても裏だけが出て、神様に意思がちゃんと届いていない、わからないという返事が返ってくる。ガイドさんから具体的に名前を出して、とアドバイスを頂き、4度目にトライしたところ残念ながらNOの答え。赤い糸を持ち帰ることは出来なかった。

 そこから清朝の面影を残す剥川寮老街(ポーピーリャオラオチェ)へ。清朝時代の商店建築をほぼ完璧な形で残しており、郷土教育を推進するスポットだという。煉瓦づくりでなかなか趣のある通りで、とても絵になる界隈だ。地元の高校生のグループが見学中で、仲良くポーズをとりながら写真を撮っていた。

 再びバスに乗り込み、迪化街(ディーホワチェ)へ。ガイドさんに問屋街の建物等について説明を受け、多くの信者や恋愛成就を願う若者の参拝者で賑わう道教の廟、霞海城隍廟(シャーハイツェンホァンミャオ)をお参り。その後解散して1時間半ほど自由散策時間に。台湾名産のカラスミや茶葉、ドライフルーツ、フカヒレ等乾物系のお店が立ち並び、歴史散策も楽しめる問屋街だ。20世紀初頭の煉瓦造りのレトロな建物も残り、リノベーションされたセンスの良い雑貨店、カフェなども素敵。ここも女子には人気な感じだが、夫と息子は暑い、お茶したいと私たち2人を置いてどんどん先に行ってしまう。

 昨日までのいわゆる旅行会社御用達の総合お土産屋さんを見るよりずっと楽しいのに・・・、と1件だけ立ち寄ってお土産のお茶やドライフルーツを買い求める。そこでフルーツがサービスされ椅子に座って一服。
 それでも喉の渇きは癒えず、カフェを探すがテラス席ばかりで冷房の利いた室内でゆっくりお茶を飲めそうなところがない。

 最後に見つけたところは、高雄に有機栽培農場と牧場を持つ日月潭紅茶のアンテナショップのようだった。一人もお客さんがおらず、お店では英語が通じない。一生懸命身振り手振りでなんとか冷たい紅茶をオーダーする。
 ところがサービスが良いことこの上ない。最終日、既に台湾ドルの現金が殆ど底をついており、大したお金も落とせないのに、お茶はどんどん継ぎ足してくれるわ、ドライフルーツも出してくれるわ、なんとガラスの器に入ったパイナップルヨーグルトまで出てくる。恐縮して、何か買わなくてはとパイナップルジャムを購入したのだけれど、それが後でトラブルに発展するとはその時はゆめゆめ思わなかった。

 とても親切な店員さんと握手して、ツーショットで写真を撮ってご機嫌でお店を後にし、集合場所へ戻る途中、母が道路のスロープに躓いて転ぶというハプニングも。幸い四つん這いになって腕をちょっと打ったようだったが、本当に肝を冷やした。ここまで来て怪我でもして帰国後病院直行にでもなったら、と思うと冷や汗が出た。どこも痛くない、大丈夫とは言っていたが結構メンタルはダウンしたようだった。

 ラストデューティーフリー!ということで免税店へ。前回も立ち寄ったこのお店、空港まで5分ほどの便利な場所だが、小一時間のショッピングタイム、うろうろ物色するだけで欲しいものは見つからず、母にはお茶席で待っていてもらってただの草臥れもうけとなった。
 この後、3組ほどのツアー客をピックアップしながら松山空港へ。

 無事チェックインして、いざ手荷物検査。ここで予期せぬトラブル発生である。何気なく買い足したパイナップルジャムを受託手荷物に入れ忘れ手提げに入れていたため、手荷物検査でシャットアウト。せっかくの思い出の品、そこで放棄するには忍びず、私一人再びチェックインカウンターに戻る。専用のカウンターがあるのでそこでパッケージをして再び預けるようにとのこと。

 だが、言われたところを歩いてみてもそれらしきカウンターは見つからない。まだ出発時間まで2時間近くはあるけれど、焦る。ちょうどパイロットらしき人の姿が見え、話しかけるとラッキーなことに日本人だという。状況を話すとチェックインカウンターで確認してくれて、一緒にパッケージしてくれる場所まで来てくださった。

 結局、持っていた最後の小銭をほぼ全額使って一番小さな専用ボックスを購入、日本でもお世話になっている宅配便カウンターでパッキングして頂き、胸をなでおろした。もう大丈夫そうでしょうか、と見届けてくれたその方はなんと私が乗る予定の飛行機のパイロット。ご親切に感謝、最敬礼でお別れした。

 心配そうに待つ3人のもとへ戻り、無事出国手続き完了。入国時、写真撮影はともかく指紋まで取られたのには恐れ入ったが、出国する際も同様の手続きがあり、無事OKサインが出て晴れて出国。遅いお昼を搭乗ゲート近くで摂り、ほっと一息。

 離陸すれば後は僅か3時間足らずのフライト時間。早めの夕食を頂きながら、往路で見損なった映画のラストシーンを手早く見終わり、さらにもう一本の邦画を観終わったタイミングで羽田空港に到着。
 ところがなぜか荷物がなかなか出てこない。スーツケースが出た後、件の小さなパッケージが出終わるまでに小一時間。息子の用事もあり、自宅最寄駅までのバスに乗り込むまで着陸から1時間半近くかかってしまった。

 帰路も渋滞で帰宅は11時を回った。遅くに母一人帰宅させるわけにもいかず、再び4人で狭い我が家に帰宅した。
 機内から稲光が見えて凄かったと窓側の席だった息子と母が言っていたけれど、東京は凄い雷雨だったようで、道がびっしょり濡れている。最寄り駅に到着したときには止んでいたけれど、旅行中もこちらはずっと雨だったようだ。

 3人で手分けして大車輪で荷物を整理し、汚れ物の山を放置しておいたら週明けから大変なことになる、と1度だけ目一杯洗濯機を廻した。
 母には先に休んでもらったが、私たちが眠りにつけたのはなんだかんだでかなり遅い時間になってしまった。

 日曜日。
 やはり自宅のベッド、短い時間ではあったが熟睡出来た。
 今日は月1回のリフレを予約していた。朝寝坊もせず、頑張って起きる。母は相当早く目覚めて身支度をすっかり整えていたようで、私たちが起きた気配を察して、準備万端でリビングに出てきた。

 朝食後、タクシーを呼び、最寄り駅で私は降ろしてもらって、母は実家に戻った。20分ほどで無事到着の電話があった、と夫からのLINE。私はいつものようにサロンのオーナーにピックアップして頂く。
 昨日夜遅く帰国してかなり疲れていること、ずっと痛みがなく調子が良かったが、旅でかなり疲れたせいか今朝は胸痛があることをお話した。後は、先月と同じ香りのコースをお願いして2時間近く微睡の世界へ。やはり目、肩、腰以外に左肺の反射区が硬くなっていたそう。ほぐして頂き、かなり楽になった。

 施術後は疲労回復ブレンドのハーブティを頂き、甘酸っぱい味に心もシャンとする。今月のプレゼントはラベンダーとペパーミントのアロマジェル。来月の予約を入れて駅まで送って頂き、駅ナカで軽食を済ませ、久しぶりにヨガベーシックのクラスに参加して気持ちよくリフレッシュ。

 夫と待ち合わせてお茶をして買い物をして帰宅した。息子は明日下宿に戻るというのに、今日もお昼からお友達と会うために都心に出かけてしまった。夕飯も不要だそうだ。
 昨夜の洗濯が乾かない中、もう一度洗濯。お天気がはっきりしないが、これでなんとか明日からの通常生活に戻れそうである。
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