昨夜は日付が変わる前に何とかベッドへ。久しぶりにトリプルルームで息子を真ん中に川の字で眠った。夫の鼾が・・・と言いつつも、今朝は目覚ましをかけた時間より30分前まで起きることはなかった。果たして息子曰く、「お父さんとお母さんの交互の鼾で夜中にびっくりした。」そうだ。・・・なんと。ちょっとショック。自分で思っているよりも疲れているようだ。
あいにくの雨。九州、関西方面では早くも電車の運休のニュースが続く。母にご機嫌伺いの電話をする。不要不急の用事がない時には外出を避けるようにという報道にため息。お誘いした方たちが心配だ。何もこんな悪天候の日に道楽のコンサートに来て頂くなんて・・・と思うと、なんとも申し訳ない限りである。
2人を起こして、お茶を淹れてコンビニで調達した朝食を済ませる。
8時50分集合、大学の1限相当である。都電で向かってもドアツードアで30分かからない距離だけれど、足元を濡らしたくないし、体力温存のためにタクシーに乗った。ホテルのエントランスまで夫が送ってくれる。雨は小止みだったのでまあ贅沢だったけれど、10分もかからず快適に到着。既に講堂前にはOBOG現役たちの一群が。
先輩たちにご挨拶して時間をやり過ごす。9時に時計塔の鐘が優しい音を奏でる。いい音だ。そしてパンクチュアルに講堂が開く。
すぐに講堂に入り、現役の学生指揮者Sさんによる発声練習からスタート。ステリハは校歌でステージオーダーを確認した後、現役が30分、続いて私たち卒団生が30分。さらに続いてプロの卒団生たちが20分。何といっても150人という大人数なのでスムーズに舞台に乗り切れない。
現役の組曲「あさきよめ」は初めて聴いた。室生犀星の詩に藤嶋美穂さんが曲をつけている。5曲を紡いでいくと、苦悩や葛藤から立ち上がり生きようとする姿が浮かび上がる構成になっている。若い演奏家のために描かれたという組曲だが、詩を読みながら心に響くフレーズがここかしこにあり、ちょっとうるっとしてしまった。息子によれば、彼の大学の合唱団も今年はこの曲に取り組んだという。12月のコンサートでは聴き比べが出来そうだ。
そして、私たち。Y氏の指導でまずはピアノ伴奏付の邦人曲「くちびるに歌を」から2曲、次にシュッツの2曲。このステージだけはきちんとオーダーが決まっており並んで安心だったが、他は実際に乗ってから調整ということでちょっと不安が残る。
Y先生が少し遅れるという連絡があり、先にアンコールの練習。指揮者が変わりながら4曲を歌う。
そして、合同曲のリハが始まった。当初とプログラムの順番が変わり、「Hora est」がラストに。それ以外の3曲が終わってから舞台を移動するという案も変更になり、1コーラス、4コーラスのメンバーは最初から舞台を降りて客席の袖辺りに並ぶことになった。ひな壇がないので、先生の指揮を見るのが結構大変。ああ、こうしてY先生の指揮で歌える機会はこれから先にもあるだろうか、とちょっと悲しくなりつつも今日の日を迎えられたことに胸が一杯になり、楽譜を見るどころではない。何か所か出のタイミングを外したり、言葉を間違えたりしてシュンとする。とにもかくにも先生を穴の開くほど見ながら一生懸命歌おうと強く思う。
そしてステリハは終了。開場まで1時間である。控室に移動してまずは着替え。現役時代に穿いていた黒のロングスカートは、何を隠そう高校時代のブラバン時代からの年代物。10年近く前に第九を歌った時には実家からお蔵入りのものを取り戻したが、さすがに今回はウエストも不安(!)だし、ゆったり歌いたいので今日は最近買い求めたミモレ丈で勘弁してもらった。後列だからそれほど目立たないし、と。
着替えを済ませ、男性控室で昼食タイム。20分しかないし、本番前にはそうそう沢山入るものではない。食事を終えて再び女性控室の小講堂に戻り、楽譜の最終チェックやお越し頂く方たちへのLINE連絡等など。
開演10分前には舞台袖に待機だ。舞台が始まるこの瞬間の胸の高鳴りは他の何物にも代えがたいものがある。始まったらあとは終わりに向かって進むだけ、である。
校歌からスタート。最後列のひな壇の上からは驚くほどよく客席が見渡せる。あいにくのお天気だけれど、1階席はほぼ埋まっている。有難いことだ。気持ち良く3番まで終わって、現役を残して舞台から降りる。
そして、男性控室で現役の演奏をモニターを通じて聴く。最終曲が始まったところで舞台袖に待機。いよいよこの5か月頑張ってきた成果をお披露目することに。
Y氏は黒の上下、ピアニストも黒のドレスでとてもシックだ。シュッツの2曲は本当に歌い出したと思うとすぐに終わりが来る。ああ、もう終わってしまった、と哀しくなる。
そして邦人曲。2曲ともとても美しく大好きな曲だ。気持ち良くそして心を込めて歌うことが出来てとても満足。スケジュールが大分早く進んでいる。
私たちが歌い終えると、卒団生でプロとして活躍している方たちの演奏も。お客様には楽しんで頂けたことだろう。
そして休憩時間。先輩や後輩たちと記念写真を撮ったりしてすっかり和んだ雰囲気。すぐに合同曲入場となる。何分人数が多いので大移動はなかなか大変だ。ようやく皆が並び終え、司会者がY先生を紹介される。こちらのナレーションを聴きながらしみじみと学生時代のあれこれに思いを馳せる。それにしてもやはりY先生は凄い。父母と同じ世代なんて信じられない。
そして始まったらもう終わりまでノンストップ、である。
「流浪の民」、「Jesus bleibet meine Freude」、「Ave VerumCorpus」と想い出一杯の曲がするすると恙なく進み、いよいよ「Hora est」である。
出だしのタイミング等何か所か危うかったけれど、何とか歌うことが出来た。目の前にはY先生、そして周りの先輩たちの息遣いや声が聞こえてくる中に確かに存在している自分を思い、最高に満ち足りた気分。
フィナーレが終わり、沢山の拍手を頂いた。
拍手が終わったところでアンコールの2曲を静かに、そして応援歌は元気よく歌う。ラストの愛唱歌はコンサートの最後の定番で、いつもいつも泣かされるのだけれど、今日は不思議と冷静で歌うことが出来た。
ああ、終わった。家族の支えと励ましがあってのこの5か月だった。急いで控室に戻るとお出で頂いた方からの素敵な花束を同期のNさんが持ってきてくれた。お礼を言いたいので「今からすぐにロビーに行きます」と連絡。別の方たちからも「ロビーで会えますか」とのLINE連絡。慌てて着替えてロビーにダッシュ。
足元の悪い中、お誘いした方たちが皆さん来てくださった。お越し頂けるだけで、聴いて頂けるだけで充分満足だったのに立派な花束まで頂戴して恐縮しきり。
同期も沢山の懐かしいメンバーが。久しぶりの方も複数。早速みんなで記念撮影タイム。夫と息子もロビーの外で待っていてくれたので、合唱をやっているよしみで息子も紹介させて頂いた。
講堂を出ると雨が小やみになっていた。終了後の懇親会は失礼してご挨拶して帰途に就こうとすると、息子が若者と挨拶をしている。どなたかと思ったら、京都の大学の4回生だそう。この大学とは、私たちの時代からずっと交歓演奏会を続けていて、隔年で京都と東京で開催している。まさかその学生さんと再会するとは息子も思っていなかった様子。こんなご縁もあるものだ。
急いでバスの停留所に向かいターミナル駅までバスで移動する。ターミナル駅で座席を確保するために15分ほど待って準特急で最寄り駅まで移動し、もう今日は外食ということでお寿司を食べて、雨が強まる中、タクシーで先ほど帰宅した。
タクシー車内でお金を落としてしまう、というお間抜けなこともした(暗い中手袋をしながら細かい仕事をする自業自得である)けれど、とにかく体調を崩すことなく無事に今日の日を終了することが出来た。私としては100点満点だ。
頂いたお花を幸せ気分で活ける。とても綺麗。早速写真を頂いた方々にお送りして御礼。
明日からはまた普通の生活が始まる。とんでもなくハードな1週間だった。我ながら薬を飲み続けながら良く頑張れた。
週末はまた患者会の瞑想ヨーガ教室もある。今日は早く休んで体調を整えなくては。
雨風が強まってきた。どうか台風24号の被害が大きくなりませんように。
悪天候の中、ご足労頂いた方々、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。